「グローバル教育」「イノベーション教育」の実現を目指す横浜女学院中学校 高等学校。Windowsパソコンや、電子黒板、3Dプリンター、ドローンなどさまざまなICT機器を導入し、それらに生徒たちが触れ、先端技術やものづくりと「出会う」機会を作ることが、将来の選択肢を広げることにつながるといいます。「ICT機器が不可欠」と話す意図をうかがいました。
横浜女学院
中学校 高等学校
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- 「グローバル教育」と
「イノベーション教育」の
鍵はICT - 自己受容力を高めるには
「出会い」が必要で、
それはICT機器を駆使することでしか
実現しない。
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- ICT浸透の決め手は、
教員も一緒に「わくわく」
すること - トップが率先して導入を進め、
教員は生徒と一緒にわくわくしながら
前に進む必要がある。
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- 「出会い」が
生徒の進路に影響を与える - 3Dプリンターやドローンなど
ICT機器との「出会い」により、
将来の選択肢が広がる。
- 導入サービス
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- Windowsパソコン
- 電子黒板・画書カメラ
- VRゴーグル
- レーザーカッター
- ドローン
- 3Dプリンター
- iPad キーボード・タッチペン
- プログラミングパソコン

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平間 宏一 学校長
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鈴木 俊典 教諭
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塚本 貴博 教諭
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横浜女学院中学校 高等学校
神奈川県横浜市
私立 中学校 441名 高等学校 442名
(2025年3月3日時点)
1886年創立の横浜千歳女子商業学校と1943年創立の神奈川女子商業学校を、太平洋戦争の戦禍からの再興のために合併し、1947年に創立。プロテスタントのキリスト教教育をベースとし、「愛と誠」の校訓の基、いつの時代にも通じる生き方を求める教育を行う。
2025年4月21日 公開
★ 記載された情報は、掲載年月日時点のものです。
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「グローバル教育」
「イノベーション教育」のために自己受容力を高めたい -
ICT機器などを導入する際に、
いきなり全校導入はハードルが高い -
理系を志望する生徒の志望学部が、
医療や看護などに偏る -
ESDにつながるより深い
探求的な学びを実現したい
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「グローバル教育」と
「イノベーション教育」の鍵はICT

横浜女学院中学校 高等学校(以下、横浜女学院)では、電子黒板やWindowsパソコン、3Dプリンター、レーザーカッター、ドローンなど、さまざまなICT機器を導入している。その背景には、不安定な世界情勢や生成AIの普及など、先が読めず変化が激しい時代を生き抜く力をつけるための「出会い」を大切にする思いがあった。
自己受容力が「グローバル教育」「イノベーション教育」につながる
「グローバル教育」「イノベーション教育」が求められる現代において、横浜女学院では、基礎となるのは自己受容力だとしている。平間 学校長は、「中学・高校の6年間で、自分が愛されている存在だと深く実感してもらいたい」と語る。
平間 学校長「当校のベースにはキリスト教教育があります。聖書の大切な教えに『汝の造り主である主を愛し、隣人を自分と同じように愛しなさい』というものがあります。自分を愛していないと隣人を愛せないため、生徒たちが自分は愛されている存在だと感じられること。その実現が教育方針となっています」
この教育方針が、「グローバル教育」「イノベーション教育」につながるという。
平間 学校長「グローバルな視点を持つためには自分自身を見つめる必要があります。また、イノベーションは新しいものを自分なりに捉え、変えていくことなので、自分なりの捉え方が必要です。これらの元になるのが『自己受容力』。つまり、自分が愛される存在であると自覚することです」

平間 宏一 学校長
重要なのは「出会い」。それを加速させるICT機器
自己受容力を高める方法の一つが「出会い」による変化であり、この出会いはICT機器を駆使することでしか実現できないそうだ。
平間 学校長「人が変わるためには、人と、場所と、文化との出会いが重要です。そのために当校ではニュージーランドや台湾へ行く海外セミナーや、宮城県の鳴子に行くスタディツアーなどを実施しています。さらに、これからの時代は生成AIが浸透したり、自動運転が普及したりと社会が様変わりしていくのは自明で、不可逆です。そんな時代を生き抜いていくため、そしてさまざまな出会いの機会を増やすためにはICT機器は必要不可欠だと考えています」
ICT浸透の決め手は、
教員も一緒に「わくわく」すること

ICT機器を駆使し、出会いの機会を増やすのは、口でいうほど容易ではない。未知のものへの恐れや、新しいことに取り組むハードルは誰しもが持っている。それを解消するのが学校長の役割であり、生徒と一緒に考えるのが教員の役割だという。
平間 学校長「たとえば生成AIが出てきた時に『これは危険だからやめよう』と目を背けるのは簡単です。ただ、生徒たちが今後生きていくのは生成AIなどの先端テクノロジーが当たり前になっている世界です。そんな世界に生徒たちを送り出すからには、トップである私が率先してそういうものの導入を進める必要がありますし、教員は旗を振り、生徒たちと一緒にわくわくしながら前に進まないといけません。もちろん、失敗もあるでしょうが、その責任を取ることまで含めてトップの仕事だと考えています」
職員会議での働きかけや生徒から刺激を受けてマインドチェンジを
教務部長の鈴木 俊典 教諭は、ICT機器を使った教育が浸透するためには、教員のマインドチェンジも必要だと話す。
鈴木 教諭「当校は、『神様と人に愛されている存在として、自己受容力を高め、多角的かつグローバルな視野をもち、社会貢献を果たすことのできる生徒』を育成すべき生徒像として設定しています。それを実現するために6領域12コンピテンシーを設けており、そのなかに『チャレンジすること』や『当たり前を疑うこと』があります。それらを生徒に求める以上、教員もICT機器などに取り組みましょうと職員会議などで働きかけを行っています。そして最初のハードルを超えると効率的になることも伝えています」
チャレンジやその姿勢に対して、生徒から刺激を受けることも多いという。
鈴木 教諭「月に1回、Assembly(アッセンブリー)という『チャレンジ』をテーマにした全校集会を実施し、校内外の活動に参加した生徒たちが、その活動の中で学んだことや感じたことを全校生徒に共有しています。生徒たちのそんな姿を見て、教員側もチャレンジしようと刺激を受けています。今の時代『教員たるもの生徒に答えを与えるべき』という時代ではありません。教員は共同探求者として生徒と一緒に考えていくスタンスで良いと考えます。そもそも生徒がこの先の未来で取り組むことは、答えがない課題ばかりかもしれません」
見学したAssemblyでは、生徒たちは自身のWindowsパソコンをプロジェクターに接続し、PowerPointでまとめた資料を、Wordの原稿を見ながら発表していた。生徒たちが日頃からパソコンを使いこなしている姿が垣間見えた。

鈴木 俊典 教諭

トライアルで一部導入からはじめ、全体に広げる
ICT機器は初期コストが発生しがちだ。効果が明確なものでないことに投資するストレスはどうしてもあり、校内で反発があるケースもあるという。そこを解消するために、鈴木 教諭は「トライアル導入」を勧める。
鈴木 教諭「いきなり最終目標、例えば全校導入などを目指すのは初期コストも大きく、ハードルが高くなります。そのため、まずはトライアル的に一部の教員で使用し、効果を検証し、使いこなした内容を職員会議で共有し、全校導入を目指すようにしています。また、埼玉県戸田市の『戸田市版SAMRモデル』なども参考にしています。たとえば、電子黒板を導入する際は、デモ機を借りて教員が実際に使用して、それを他の教員も見て使えそうかどうかを判断しました。現在はChatGPTを教員、生徒含めて全校解禁することを目指し、ChatGPTを使用してアプリを作った教員の事例紹介などを行っています」

「出会い」が生徒の進路に影響を与える

鈴木 教諭は、「出会い」の機会をつくり、将来を考える上での生徒たちの選択肢を増やしたいと話す。実際、選択肢が増えたことが進路に影響を与えたこともあるそうだ。
鈴木 教諭「当校は女子校のためか、理系というと看護や薬学などイメージのしやすい身近な学部を志望する生徒が多くいます。そんな中『鳴子スタディツアー』がきっかけとなり東北大学の工学部に進学した生徒がいます」
3Dプリンターやドローンなど、先端の技術に触れることで興味が生まれる
『鳴子スタディツアー』は、横浜女学院の教室で使用している机と椅子が鳴子産の木材で作られており、それを製作する大場 隆博 氏との縁で始まっている。大場 氏は、地域の炭素循環にも取り組んでおり、東北大学と連携し数値的な検証も進めている。
鈴木 教諭「鳴子スタディツアーでは、木の伐倒や加工を見学し、机などができるまでを学びます。また、東北大学では工学部や農学部、さらにはナノテラスという大型の顕微鏡の視察を行います。3年前から実施していて、東北大学の工学部に進学した生徒は、このスタディツアーの第1回目の参加者でした。3Dプリンターやドローン、プログラミングPCなどを導入することも、根幹は同じです。生徒たちは、学校で先端の技術に触れられることで、データサイエンスや工学に興味を持つかもしれません。教員ができることは、いろいろなものやこととの『出会い』の機会をつくり、生徒の選択肢を増やすことなのだと思います」
ものづくりや工学に触れる機会を増やすためにDXハイスクールを活用
横浜女学院はDXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)により、3Dプリンター、レーザーカッター、VRゴーグル、ドローンなどを導入している。これも生徒の「選択肢」を増やすことの一つだ。理科を担当する塚本教諭は、「ESDの取り組みが国際問題に偏っていたため、ものづくりや工学にふれる機会を増やしたかった」と導入理由を語った。
塚本 教諭「ものづくりや工学に触れる機会を模索していた際に、DXハイスクールを知り、補助金を活用し3Dプリンターなどを導入しました。実際に使ってみることは、より深い探求的な学びの実現や、生徒への選択肢の提示につながると思っています。3Dプリンターを例にすると、3Dデータの設計、印刷それぞれが学びにつながります。設計の段階ではどんなものが必要で、どういう構造になるかを考えなければいけません。しかし実際の印刷をしてみると、想定と異なりうまくいかず試行錯誤することもあります。その工程自体が学びにつながります。これまでには国土地理院のデータから山の模型を印刷したり、日常生活を便利にするためのものを作ったりしました」
3Dプリンターの導入には、教員側も試行錯誤があったそうだ。
塚本 教諭「教員の中に3Dプリンターを触ったことがある人がいなかったため、どのソフトで3Dデータをつくるのか?どの素材で印刷するのか?うまくいかない場合はどうすればいいのか?と、教員側も試行錯誤がありました。そういう経験があるからこそ、生徒と同じ目線で学びを深められる側面もあるかもしれません」
ICT機器はあくまで手段。予測が難しい未来を生きていく生徒のために、自己受容力を高め、出会いをつくり、選択肢を提示する。目的をぶらさずに、生徒のためにどう使えるかを考えるのが重要なのだろう。

塚本 貴博 教諭
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横浜女学院中学校 高等学校 鈴木 俊典 教諭
当校の課題を見極めた提案が決めて
「当校を知ってほしい」それがKDDI まとめてオフィスの方に最初に伝えたことです。すると、1日かけて学校を見学し、当校の課題に合ったICT機器の提案をいただけました。「こんな機器があります」という物売りではなく、目線を合わせた上で課題に即した提案をもらえたのが、KDDI まとめてオフィスを選んだ理由です。
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KDDI まとめてオフィス 担当者から一言
「学校さまが抱える課題」と「目指す姿」の乖離を明確にし、担当者さまとベクトルを合わせながら、ステップを踏んだご提案に注力しています。
これからも形式にとらわれないさまざまな『出会い』を提供し、横浜女学院様の進化をサポートする相談相手となれるよう、より良い環境整備に貢献してまいります。
横浜女学院様は、教職員の皆さまと生徒さまとの風通しの良さを大切にし、生徒さまが卒業後も社会を思い切り楽しめるよう、深い愛情を持って接しています。
私は、営業担当であると同時にそんな学校法人横浜女学院様のファンです。
豊富な導入事例があります。
まずは資料をお役立てください。
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「グローバル教育」と「イノベーション教育」の鍵はICT
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電子黒板などICT機器導入によるメリット
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DXハイスクールを活用し理系進学の課題感を払拭
- 自己受容力を高めるため、ICT機器の導入で「出会い」による変化を実現
- ICT機器を導入する際は、トライアルで一部導入から始め全体に広げる
- 理系生徒の進路の選択肢を広げるため、先端技術に触れる機会を作り興味を促す
- ESDにつながる探究的な学び(ものづくりや工学)を実現するため、DXハイスクールを活用