今年の冬は、昨年末から強い冬型の気圧配置が続き、北海道から北陸・近畿の日本海側に強い寒気が流れ込み西日本を中心に平年より気温が低くなる見込みです。オフィスの空調は、快適な温度を保たれているでしょうが、冬場の空調のエネルギー消費は予想以上に大きくなることをご存じでしょうか。
今回は、コストが膨らみがちになる冬の空調の省エネ対策について、全5回の連載コラムでお送りします。第1回は何をどうすれば、どのくらい省エネになるのか、具体的な数値を交えながらお伝えしましょう。
目次
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外気温と室温との差が激しい冬は、電力消費が膨大に!
空調の省エネというと、夏のエアコンすなわち冷房をイメージする方のほうが多いかもしれません。夏季に実施されるクールビズ運動の知名度も年を追って高まり、その中で推奨されている『夏の室内温度は28℃が適正』という意識をお持ちの方も多いかと思います。
企業にとって冷房の省エネ対策も無視できない課題ではありますが、実は冷房よりも暖房のほうがエネルギー消費は大きくなります。
資源エネルギー庁が公表した『平成27年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2016)』によると、2014年の業務用エネルギー消費原単位は『暖房用』が『冷房用』の2倍となっています。
同じように使用しているイメージがあるのに、これほどまで夏と冬で空調のエネルギー消費に差が生じるのはどうしてなのでしょう?その理由のひとつは、夏よりも冬のほうが外気温との差が大きくなるためです。
仮に、1年を通じて空調を26℃に設定したとしましょう。その際、夏の猛暑日が35℃だったとすると、室温との差は9℃です。一方、冬は東京の平均気温が5℃前後。そうなると、室温との差は21℃になります。地域によって気温差はありますが、冬のほうが室温との差が大きくなるのは明白です。その分、電力消費が高まることになります。
ちなみに、冬の中でも消費電力がとりわけ大きくなりがちなのは、1年が幕開けして『仕事始め』となる時期です。年末年始の冬期休業によって建物自体も冷え込んでいるため、エネルギー消費が大きくなります。
温度設定を1℃低くすると、約10%の消費電力削減に
こうした背景によるエネルギー消費の抑制、ひいては地球温暖化の防止を目的に、環境省では夏のクールビズに呼応して、冬の『ウォームビズ』を提唱していることをご存じでしょうか。ウォームビズでは衣食住においてさまざまな工夫を実践し、室温20℃でも快適に過ごせるライフスタイルを呼び掛けています。これは一般家庭だけでなく、オフィスでの過ごし方においても同様です。今シーズンは11月1日から3月31日までがウォームビズ期間です。
すでにウォームビズを実践する企業や団体もあります。社員は一様に、カーティガンやセーター、ベスト、ストールなどを身につけ、窓から熱が逃げないよう厚手のカーテンを使用するなどの工夫もみられます。また、某地銀では本部の暖房温度を19℃に設定する一方で、各営業店の窓口業務時間は22℃終了後は19℃に下げるといった措置を実施。来客を配慮した設定として参考になりそうです。
そこで気になるのは、室温を抑えることでどのくらい省エネになるのかということ。日本冷凍空調工業会や環境省では、冬の暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%の消費電力削減になるとのことです。また、1日1時間、使用時間を減らした場合の省エネ効果(年間)は、暖房(設定温度20℃)の場合、電気40.73kWh、原油にして10.26L CO2削減量16.8kgの削減となります。ちなみに、フィルターの掃除は2週間に1度のペースが推奨され、暖房時で約6%の消費電力の削減になりますので、こちらも意識したいところです。
また、近年は建物の断熱性も向上しているため、冬場でも暖かい日が続いた場合は空調をつけずとも20℃に保たれていることもあります。まさに『建物自体がウォームビズ』といえるでしょう。外気温なども考慮しつつ、賢く空調を使っていきましょう。
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冬の空調に関する省エネ対策として、もうひとつ欠かせない要素は『古いエアコンの買い替え』です。空調自体の性能やコストメリットなども交えて、次回お送りします。
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