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もしものときに安心! 会社を守る災害に関する補償制度

もしものときに安心! 会社を守る災害に関する補償制度

2018年03月06日掲載(2023年11月02日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

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前回、巨大地震の発生直後の対応や事業継続計画(BCP)について触れましたが、いざという時に会社を守るためにはさまざまなアプローチで備えておいた方がより安心度が増すでしょう。そこで今回は会社を守る補償制度についてご紹介します。

目次

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熊本地震で適用されたサポート

一昨年に発生した熊本地震では、県内全市町村に災害救助法が適用されたことを踏まえ、被災した中小企業などに対してさまざまな支援制度が設けられました。会社を守る補償制度についてご紹介する前に、国や自治体が災害後に実施した支援制度について提示します。

【経済産業省】

  • 災害復旧貸付の実施

熊本県の日本政策金融公庫や商工中金が運転資金、設備資金を別枠の限度額で融資を実施。

  • セーフティネット保証4号の実施

熊本県内の各市町村において熊本地震の影響から売上高などが減少している中小企業・小規模事業者が対象。県信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証するセーフティネット保証4号を実施。

  • 相談窓口の設置

事業継続や再開など経営全般の悩みについて相談できる窓口を設置。全国の日本政策金融公庫や商工会議所などで実施。

  • 小規模企業共済災害時貸付の適用

熊本県内の各市町村の小規模企業共済契約者に対して、中小企業基盤整備機構が災害時貸付を適用する。罹災証明書などの書類が整っていれば原則として即日で低利で融資。

【熊本県】

  • 熊本地震被災地応援ファンド

インターネットで個人から資金を集める『クラウドファンディング』などの手法で資金の調達を行う『ふるさと投資』によって応援するファンド。現状、酒造会社や旅館などがエントリーし投資呼びかけ中。

そのほかにも『ミラサポ』(注)をはじめ補助金などの支援対策を紹介するインターネットサイトもあります。

このように国や自治体が支援した例がありますが、これから起こり得る災害に対しても同じようにサポートしてくれるとは限りません。支援の手が差し伸べられるまで待つのではなく、企業が積極的に対策を練ることでより強固な備えにつながるはずです。

注)ミラサポ・・・ミラサポは、中小企業庁委託事業として中小企業・小規模事業者の未来をサポートするサイトです。

企業向けの地震保険も

企業は、建物や設備などの被害や災害発生後の売り上げ減少、営業継続のための急な出費など事業を運転するための資金の確保が重要になります。地震が発生した時にサポートする保険といえば『地震保険』です。東日本大震災の発生により大きな注目を集めましたが、その保険のほとんどは住宅が対象であり、店舗や事務所は含まれていないため、企業として加入することができません。また、火災保険のみの加入の場合、地震による建物や設備の損壊などは補償されません。

しかし、時代のニーズに合わせ、火災保険に併せて加入できる『地震危険補償特約』や減少した売上高に対する粗利益を補償する『企業地震利益補償制度』を提供する企業が増えています。

保険会社によって補償内容はさまざまですが、自社の施設の損壊や取引先の被災による営業停止、電気や水道などのインフラ停止などが主な補償の内容となります。

また、その他にも今後巨大地震発生の確率が70%といわれる南海トラフに特化した保険や震災積み立てなどのサービスを行っている保険会社もあります。いずれの保険も地域などによってリスクが高いと判断されると保険料が割高になる場合や加入を断られるケースもあります。

それでも震災後、ホテル・旅館業や娯楽施設、小売業など客足が途絶えることが見込まれる業種をはじめ、関連した施設、オフィスが狭い地域に集中しているなど地震の影響を受けやすい企業はこうした保険の加入を検討することで事業への負担が減る可能性は大きいでしょう。こうした備えが自社を守ることにつながります。

地震保険以外としては地震対策に関して融資を行っている自治体もあります。静岡県では、南海トラフ沿いなど地震想定地域にある中小企業向けに『地震リスク分散資金』という融資を行っています。土地の取得や既存の建築物の改修など地震リスクを分散させようと考えている中小企業が活用できます。

自治体や保険会社などが提供する、もしもの時に役立つ制度を利用し、BCP(事業継続計画)の中に組み込んでおけば、発生直後落ち着いて行動することができます。地震リスクマネジメントの一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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これまで企業の災害対策についてお伝えしてきましたが、最終回は地域と連携した災害対策がテーマ。地域の一員として企業ができることをご紹介します。

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