新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、テレワークに注目が集まっています。しかし、テレワークを導入する際の課題について心配に思う人も多いでしょう。この記事では、テレワークの課題や日本でなかなか普及しなかった理由などを解説します。テレワークを導入することで得られる効果や課題の解決方法についても紹介しているので、参考にしてください。
目次
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テレワークとは?
テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、時間・場所を問わない柔軟な働き方のことです。作業場所などによって、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務の3種類に分けられます。
コロナ禍で増えたテレワーク導入率と見えてきた課題
総務省の2019年9月のテレワーク導入率は20.2%でした。2020年3月のテレワーク導入率は13.2%、4月は27.9%、5月は25.7%で、一時的に導入した企業や短期間だからと導入を見送った企業がありましたが、長期化するコロナ禍で、テレワーク導入を検討する企業がますます増えたことにより、テレワーク導入のための課題が見えてきました。また、課題に対する対策も検討されるようになりました。
※参考:
令和元年通信利用動向調査ポイント|総務省
第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査|パーソル総合研究所
テレワーク導入のための7つの課題と解決方法
新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークを導入した企業は多くありました。その中で、明らかになったテレワーク導入の課題や解決方法を解説します。
テレワーク環境が整っていない
自宅で作業するにあたって、リモートアクセス環境が整っていない、自宅作業用のパソコンやモバイル端末(スマートフォンやタブレットなど)がない、オフィスにかかってくる電話やFAXへの対応が難しいといった課題があります。
解決方法
会社のパソコンを貸与したり、タブレットやスマートフォンを支給する方法があります。社外で業務を行うためには、光回線やVPNなどのネットワーク環境の構築も必要です。クラウドサービスを導入することで、データの共有、電話やFAXの転送サービスなどを活用できます。
情報漏洩などのセキュリティリスク
パソコンの盗難・紛失、サイバー攻撃による情報漏洩などのセキュリティリスクが高く、不安を持っている人は多くいます。
解決方法
会社のパソコンを仕事以外の用途で使用しないことで、リスクは軽減します。マルウェア対策として、ウイルス対策ソフトを導入する、OSやソフトウェアの更新を行い、常に最新の状態に保つことなどが必要です。パスワードは、他人に推測されない複雑なものにし、なりすましメールなどには、充分気をつけるように、従業員のセキュリティ意識を高めておきましょう。
→こちらも併せて読みたい「テレワークのセキュリティ対策とは?7つのリスクと対策をわかりやすく解説」
コミュニケーションが取りづらい
直接顔をあわせないテレワークでは、チームメンバーとのコミュニケーションが取りにくく、進捗状況などの把握が難しくなります。商談など、取引先とのコミュニケーションが難しいといった課題もあります。
解決方法
テキストチャットツールや、顔をみて話せるビデオチャットツールなどのコミュニケーションツールを活用しましょう。主催者側が導入していれば参加者は案内されたURLをクリックするだけで参加ができるWeb会議システムを利用することで、取引先とのコミュニケーションも取りやすくなります。
→こちらも併せて読みたい「テレワークにおけるコミュニケーションの取り方を解説|失敗しないためのポイントとは?」
労務管理が難しい
業務時間中にさぼらず仕事をしているのか、働きすぎていないかなど、労務管理の難しさは、大きな課題です。通常業務とは異なり、テレワークでは働いている姿を目視できないため、従業員・管理者の双方に疑いの気持ちがおきるなど、不安になりがちです。
解決方法
テレワークで労務管理を行うためには、出退勤の打刻がWeb上できる、勤怠管理システムの導入がおすすめです。パソコンへのログイン状況を把握できるなど、勤務状況を簡単に管理できるツールがあります。入力データの集計と給与計算までできるため、非常に便利です。あわせて、勤怠ルールや評価基準・ルールの変更なども行うとよいでしょう。
ペーパーレス化が難しい
ペーパーレス化が難しく、データを取得しにくい、はんこを押すために出社しなければいけない、などの課題があります。日本では、いまだに紙ベースのデータ管理・はんこ文化が根付いているためです。
解決方法
紙の書類などにより保管されているデータを電子化しましょう。電子契約システムなどを導入することで、Web上で契約が完結し押印が不要となります。ペーパーレス化することで、紙保管スペース・印刷などのコスト削減にもつながります。
テレワークできない職種があり不公平がでる
テレワークができない職種があるため、テレワークしている従業員としていない従業員の間に、不公平感が出て、不満に思う人が増える可能性があります。接客業・製造業・運送業などの職種は、現場での業務が中心となるため、テレワークの導入が難しいとされています。
解決方法
不満を解消するためには、「テレワークをなぜ導入するのか」という目的や「導入による効果」などを明確に情報共有し、従業員の意識改革を行うことが最も重要です。また、会社にかかってくる電話・FAXを転送システムの利用でオフィス以外でも受けられるようにするなど、公平なシステムを導入し、可能な範囲で柔軟にテレワークを実施することをおすすめします。
テレワークを導入するためのコストがかかる
新たにテレワークを導入するためには、ICT環境の構築などにある程度のコストがかかります。テレワークによりオフィスの光熱費などのコスト削減はできますが、初期費用の負担が大きいと考える企業は少なくありません。
解決方法
導入前に、自社に必要なICT環境についてよく調べて吟味しましょう。テレワークを導入する際に、国や自治体の補助金・助成金を活用することもおすすめです。また自宅で仕事をする社員はその分の光熱費やインターネット料金、環境整備の一時的な費用負担などが発生するため、会社としてどこまでを負担するべきか、そのためにかかる費用はどの程度か、あらかじめ整理しておきましょう。
→こちらも併せて読みたい「テレワーク導入のための手順・重要ポイントを徹底解説!助成金も紹介」
→こちらも併せて読みたい「テレワークのためのICT環境づくりとは?テレワークの課題と解決策まで徹底解説!」
日本でテレワークが普及しなかった理由
働き方改革でテレワークが推奨されましたが、日本では普及しませんでした。その理由を紹介します。
欧米との評価制度の違い
欧米のジョブ型・成果主義とは異なり、日本ではメンバーシップ型・プロセス重視の企業が多くあります。ここでいうプロセスには、成果に関わらず「どれだけ努力したか」「どれだけ遅くまで仕事をしたか」ということが多分に含まれます。しかしテレワークでは部下の勤務態度を直接見られず、正当に評価することが難しいため、普及が遅れていると考えられています。
ハンコと紙書類中心の企業文化の存続
日本企業は、ハンコと紙書類が必要であるという文化が強く根付いているため、テレワークでは業務が滞るケースも少なくありません。電子化のためのツール導入にもコストがかかり、運用ルールなどの社内整備・定着化にも時間を要するため、データの電子化がなかなか進まないことも理由のひとつです。
防災大国日本に必要なテレワーク
2019年9月の台風15号では、多くの人が出勤しようとしたことで駅や道路が混雑し、インフラや人命などに関わる、どうしても出勤しなければいけない人たちにまで大きな影響が出ました。このことからもわかるように、日本人は会社への帰属意識が強く、仕事とは出社してチームでするものという意識が根強いといえます。しかし、自然災害が多い日本こそ、万が一の際も交通機関を使わず働けるテレワークの必要性が、今後も増していくのではないでしょうか。
テレワーク導入で得られる効果
徐々に普及が進み、テレワーク導入の課題が見えてきている反面、得られる効果も多くあります。ここでは、5つの効果について解説します。
成果制度の充実による生産性の向上
先述のとおり、プロセス重視では正確な評価が難しいため、テレワーク導入に合わせ成果主義の評価制度を充実させる企業が増えてきました。成果を出せば評価されるため、従業員の生産性は向上し、モチベーションがあがります。出社の必要がなく、通勤のストレスが軽減され、仕事に専念しやすくなるというメリットも大きいです。
人材確保の幅が広がる
自宅でも働けることで、介護・育児などを理由にした離職の減少が期待でき、人材確保の幅が広がります。通勤の必要がないことで、遠隔地に住む人材の雇用、障害のある人・高齢者の雇用など、幅広く優秀な人材の雇用が可能となります。
ペーパーレス化が推進する
書類の電子化、はんこが不要な契約方法への変更により、ペーパーレス化が進みます。電子化した書類などのデータは、クラウド上で共有することで、情報の共有スピードがあがり、テレワークがさらに行ないやすくなります。また、紙の消費を減らすことは、企業として自然環境へ配慮する、CSRの取り組みにも繋がります。
コスト削減
テレワークを導入することで、通勤のための交通費、紙書類を保管するスペース、印刷費の削減など、さまざまなコストを削減できます。テレワーク導入時には、環境整備などのために、一時的なコストが必要となりますが、日々の経費削減という中長期的な視点で見れば、十分回収することが可能です。
災害時でも事業継続できる
テレワークを導入することで、災害時でも出勤せずに仕事ができます。会社が被害を受けた場合も、インターネット環境とデバイスさえあれば、電子化された重要な書類や社内資料を、場所を問わず確認・編集ができ、紛失のリスクも回避できるため、迅速な業務復旧、事業継続が可能となり、機会損失を最小限に食い止めることができます。
テレワークを導入する際に気をつけるポイント
ここまで課題と解決方法、導入のメリットについて紹介してきましたが、最後にテレワークを導入する際に気をつけたい重要なポイントを2つ紹介します。
人を大事にする企業風土を構築する
テレワーク導入した際には、従業員を信頼し、大事にする企業風土を構築することが大切です。管理者側からすると、部下の勤務状況についての不信感が起きやすく、部下からは正当な評価がされているかの不満がおきやすいからです。信頼関係の崩壊は、機密情報漏洩などのリスクを孕んでいます。監視と管理の体制整備と、信頼しあえる企業風土の構築の両輪での運用を目指しましょう。
長時間労働防止のための対策を実施する
テレワークでは、長時間労働防止のための対策を実施することが重要です。テレワーク時には、勤務状況の管理が難しいです。評価制度が成果主義へシフトしたことで、成果を出そうと必死になるあまり、長時間労働になるケースも少なくありません。時間外・休日・深夜労働の原則禁止やインターバルの設定といった、長時間労働者への注意喚起、メンタルヘルス対策などを実施しましょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響でテレワーク導入が進みましたが、課題も見えてきました。テレワーク環境の整備、セキュリティリスク、労務管理の難しさなどに対して、しっかりと対策を立てた上で導入する必要があります。
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