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ハンコのせいでテレワークができない!?ハンコ文化の課題と解決方法を紹介

ハンコのせいでテレワークができない!?ハンコ文化の課題と解決方法を紹介

2020年10月01日掲載(2023年11月02日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

ハンコによる契約文化

テレワークが広がるなか、ハンコによる承認や契約に課題を持つ企業は少なくありません。テレワークを推進するためには、契約管理の電子化やクラウド化が必要とされていますが、それに対するハンコ文化が問題になっています。

この記事では、テレワークにおけるハンコ文化の課題と解決策を解説します。ハンコ文化がネックでテレワーク導入が進まない、活かしきれていないという人は、ぜひ参考にしてください。

目次

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テレワークの導入にハンコが妨げになっている?

テレワークとは、情報通信技術を活用して自宅やシェアオフィス、外出先など場所にとらわれない働き方のことをいいます。テレワークの普及に伴い、業務で必要とされているハンコについて問題が出始めています。以下で、この問題点について解説します。

ハンコのために出社しなくてはならない

契約書や決済書などは、電子化されていれば、テレワークでも閲覧したり編集したりすることは可能です。しかし、いざ承認となると、出社してハンコを押印する必要が発生します。ハンコを押すためだけに、わざわざ出勤していては、テレワークをしている意味やメリットがなくなってしまいます。

これは、ハンコによるアナログな押印の文化が根強い日本ならではの問題といえるでしょう。

契約の進行が遅くなる

書類に直接押印してもらう業務形態の場合、テレワークだけでは承認プロセスが進まなくなります。承認作業が進まなければ、業務が待ち状態になって生産性が下がったり、スケジュールに遅れが生じたりします。契約の進行が遅くなると、ビジネスチャンスを失いかねません。対応が遅れたことで、顧客からクレームを受ける可能性もあります。

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テレワーク推進のためハンコに変わる仕組みが求められている

押印による承認は、テレワークの障害になりかねないとの考え方が広まっています。すでに一部の大手企業では、新しい承認・契約フローに切り替える「脱ハンコ」が進んでいます。

ハンコには慣習的な部分が多く、大抵の業務を電子承認に置き換えても、企業ポリシーや法的には問題ありません。

重要な契約や承認においては、ハンコに相当するものが必要になると考えられています。しかし、こういった考えも、今後は電子承認ツールや、欧米では一般的な署名の公証人制度などで解決され、重要性が薄れると予想されています。

ハンコの種類

ハンコに変わる仕組みが求められてきているとはいえ、ハンコ文化は依然として日本に根付いています。そもそもハンコの種類や役割には、どのようなものがあるのでしょうか。それらを今一度、整理してみましょう。

実印

「実印」とは、役所の届出をした印鑑のことで、個人用と企業用の2種類があります。個人の場合、役所に印鑑を届け出て、印鑑登録証明書が発行された印鑑となります。

企業の場合は、法務局に登記申請した印鑑になります。企業用の実印は、「会社実印」または「代表者印」とも呼ばれます。責任ある役職に付いている人しか使えず、重要な契約を結ぶ際に用いるハンコです。記名とともに実印が押された書類は法的効力が最も高く、合意や契約事実の信頼性を証明できます。

銀行印

「銀行印」とは、銀行をはじめとした金融機関に届け出た印鑑のことです。法人用口座を開設する際に作るもので、ハンコの中心の丸のなかに「銀行之印」を、外側の円に会社名を彫るのが一般的です。

経理担当者などの従業員が使うケースが多いため、通常は実印と分けて作ります。銀行印は、融資を受けたり従業員の給与を支払ったりする際に使うハンコです。実印に比べると法的効力は低いです。

社印・認印

「社印・認印」は会社名を記載したハンコです。四角い形をしていることから、「角印」とも呼ばれています。社印・認印は会社の認印として、従業員が請求書や注文書などに押すハンコです。使う人や押される文書が多いことから、実印や銀行印に比べれば法的効力は高くありません。

テレワーク対応の施策に取り組む場合、社印・認印の脱ハンコや承認プロセスの変更から始めるケースが多いでしょう。

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ビジネスにおけるハンコの効力

テレワークの推進のためとはいえ、ハンコによる承認を失くしてしまって、本当にビジネスに問題は出ないのでしょうか。ここではハンコの効力について解説します。

印鑑を押していなくても承認とみなすことができる

法律上は、ハンコを押していなくても双方の意志で合意していれば契約は有効です。ハンコは意思表示のひとつですが、ハンコでなければならない理由もありません。昔はハンコも手作りでしたが、現代では安価な流通品が出回っています。一目見ただけでは、誰の押印なのか判別することも難しいでしょう。

社内文書でもハンコが押されていなければ、不備を指摘されることもあります。しかし、法律の要請ではなく慣習として、押印と承認が結び付けられているのが現状です。

国が「ハンコは不要」と認めた?

2020年4月には、IT政策担当大臣からテレワークにおけるハンコの扱いは、民間に委ねるとの発言がありました。さらに同年6月には、内閣府、法務省、経済産業省の連名で「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても契約の効力に影響は生じない」というルールが公表されました。

これは国がハンコを押さなくても、契約の有効性に影響が生じないことを認めたことになります。国の公式な見解が明らかになったことから、脱ハンコの動きは今後加速していくと予想されています。

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ハンコを使わず、電子的に処理するための考え方

ここでは、ハンコを使わず、電子的に処理するための考え方を解説します。電子化した後も、適切な承認プロセスや情報管理などを維持できるようにしましょう。

押印の必要性はあるか

まずは、押印の必要があるものとないものに分別しましょう。社内文書に使われるハンコは承認手段にすぎないため、多くの場合で電子化できます。しかし、取引先に提出する文書では、相手から許可をもらっていない場合、ハンコがあったほうが望ましいケースもあります。

法的に義務は生じないものの、相互の信頼関係の構築やコーポレート・ガバナンスのために、ハンコを残すことが一般的です。

電子的な保存は許可されているのか

一部の例外を除いて、文書全般について電子文書として保存することは「e-文書法」という法律で許可されています。ただし、どのような形式でもよいわけではありません。次の項目で紹介するような記載の要件を満たすことが必要です。

法令要件は満たしているのか

e-文書法では以下の4つの要件が定められています。要件を満たしていないと、法的効力が認められない可能性があります。

・見読性:紙の文書と同じように読める。一般的な形式で互換性のあるファイルフォーマットである

・完全性:改ざんや一部削除がなく原本のままである。また、そのことをタイムスタンプや署名で証明できる

・機密性:アクセス権限やパスワードなどにより、運用・管理上の機密性が保たれている

・検索性:フォルダの階層やファイル名のルールなどにより、必要な文書がすぐに取り出せるように管理されている

以上の要件を満たした運用を継続できるか

一時的にe-文書法の4つの要件を満たしていても、現場レベルで継続的に運用できなければ意味がありません。運用規則を決めるだけでは維持しにくい要素がセキュリティです。特にテレワークでは第三者によるなりすましや、情報漏えいなどのリスクが高くなります。

暗号化・複合化キーの管理や送受信・アクセス履歴の保存、電子書類を扱うマニュアルの整備などが必要です。

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ツールを使った脱ハンコ解決法

企業の脱ハンコ化を進めるには、既存ツールを導入するのが一般的です。今後のテレワーク対応や、既存業務とのスムーズな接続などを考えてソリューションを選びましょう。

契約管理のクラウド化サービスを利用する

顧客との契約プロセスは脱ハンコが難しい業務です。しかし、契約管理クラウド化サービスを用いれば、作成した契約書をアップロードして顧客との共有が可能になります。契約の締結と契約書の管理を一括して実行できます。

メリット1.業務の効率化

契約管理をクラウド化することで、業務の効率化につながります。紙媒体の文書作成の手間がかからないうえ、郵送にかかる時間もありません。また、データはクラウド上に保管されるため、どこからでも契約書の作成や承認ができるようになります。

クラウド化システムによっては、顧客側にソフトウェアの設定や登録をしてもらう必要もありません。これにより、顧客との契約もスムーズに完了させられます。

メリット2.テレワークへのスムーズな移行

クラウド化システムでは、専用回線や社内サーバーが不要であり、社内外からアクセスができます。セキュリティ管理は基本的にサービスを提供している会社が行うため、導入する企業側の負担も少なくできます。

従来のようにハンコのためだけに出社することがなくなるため、管理者も本来のコア業務に集中できます。これまでは帰社して処理する必要があった契約業務も、オフィス以外の場所でも済ませられるなど、今までの業務をテレワークにすることも可能です。

メリット3.コストカット

文書の電子化により、紙代やインク代、切手代が軽減できるのも、クラウド化システムのメリットです。

重要な契約書類の交付となれば、取引先に出向いて手渡しするケースもあるでしょう。しかし、クラウド化システムに移行すれば、取引先に移動する際の交通費や宿泊代、担当者の人件費のコストカットが期待できます。

また、文書を保管する設備費や管理者の人件費、セキュリティ対策に必要なコストも削減できます。

メリット4.コンプライアンスの強化

現在の技術をもってすれば、実印の陰影を再現した印鑑を3Dプリンタで作成することも難しくありません。一方、電子書類はアクセス権限の設定や編集履歴の保存、データ改ざんの検知などの仕組みが備わっているため、セキュリティ対策が圧倒的に優れています。

また「机に置いてあったハンコが持ち出される」「プリンタや外出先に文書を置き忘れる」などのヒューマンエラーも防止できます。文書の電子化とクラウド化は、企業のコンプライアンス強化にもメリットがあります。

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まとめ

テレワークが普及するなか、ハンコによる承認・契約は柔軟な働き方、円滑な業務遂行を妨げる要因の一つと言われています。これまでの習慣からの脱却や、国の決定などにより脱ハンコが進むなか、多くの企業で通信環境整備、ツール導入が求められています。

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