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中小企業におけるテレワークのメリットや導入のポイントをわかりやすく解説

中小企業におけるテレワークのメリットや導入のポイントをわかりやすく解説

2020年11月05日掲載(2023年11月02日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

中小企業のテレワークについて考える

「新しい生活様式」への対応として、テレワーク導入が推奨されています。しかし、大企業に比べて、中小企業ではテレワークの導入が進んでいないのが実状です。この記事では、なぜ中小企業でのテレワークの導入が進まないのか、導入するメリットや導入時のポイントなどについて解説します。自社のテレワーク導入にぜひ役立ててください。

目次

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企業規模別でみるテレワーク導入率

コロナ禍以前に総務省で行われた「令和元年通信利用動向調査」では、資本金別のテレワーク導入率は以下のようになっています。

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この表をみてもわかるように、資本金の多い大企業ほどテレワークの導入が積極的に進められており、中小企業では導入率が伸び悩んでいました。

出典:総務省「令和元年通信利用動向調査」

最新の調査結果でも中小企業の半数が「テレワーク導入検討なし」

2020年7月、デル テクノロジーズによる中小企業を対象としたインターネット調査では、36%が「テレワークを導入している」と回答しています。3月に行われた同調査結果の13%に比べると大幅に増加してはいますが、約半数にあたる47.2%が「テレワークの導入をしておらず、検討もしていない」と回答しています。

この結果から、「新しい生活様式」が推奨されていても、中小企業の多くは「テレワークの導入」が難しいと考えていることがわかりました。

出典:中小企業のテレワーク導入状況に関する調査結果 | Dell Technologies Japan

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中小企業でテレワークが進まない理由

中小企業でテレワークが進まない理由はどこにあるのでしょう。中小企業が抱える導入のハードルについて解説します。

テレワーク導入にかけるコスト捻出が難しい

企業規模が小さいほど、デジタル化が進んでいないのが要因のひとつです。テレワークを導入するためには、デジタル機器の購入や既存システムのデジタル化などが必要になり、コストや労力がかかります。しかし中小企業では資金に余裕がなく、パソコン(PC)やタブレットなどの購入や、システムの導入にかけるコストの捻出が難しいという背景があります。

テレワーク向きの業務が少ない

そもそもテレワークに向いている業務が少なく、導入できない中小企業も多くあります。企業のメインとなる業務が、製造業や接客業など物理的にテレワークが難しい場合には、将来的にも大規模な導入は見込めません。また、テレワークできる職種とできない職種があり、社内での不公平感が懸念されるなどの理由から、検討まで至らないケースもあります。

業務管理の面で抵抗がある

テレワークの場合、実際にオフィスに出社して働くのとは異なり、勤務時間の把握がしにくくなります。出退勤の時間や実際の労働時間などが把握しにくい環境に、抵抗を感じる人も少なくありません。管理者の目が届かず、社員がサボるのではないかという心配もあります。

また、従来のようなメンバーシップ主義・プロセス重視の評価制度では、社員の適切な評価がしにくいです。成果主義に偏りすぎると過剰労働などがおこる可能性もあり、業務管理・評価の難しさも障壁となります。

こちらも併せて読みたい「テレワーク時には監視するべき?在宅勤務でも生産性を落とさせないために知るべきこと」

紙ベースで業務を行っている

中小企業では、紙ベースで業務を行っているケースも多いです。請求書や納品書、契約書などを紙でやり取りしている、書類に印鑑を押す必要があるなどの理由で、出社しなければならないこともあります。このような場合、オフィス勤務での対応が基本のフローとなっており、テレワーク導入に消極的になりがちです。

また、ICT化を進めようと思っても、知識やスキルのある社員がおらず、導入できないケースもあります。

中小企業でテレワークを導入する4つのメリット

このように、さまざまなハードルがあり難しいと考えられがちなテレワークですが、中小企業こそ導入するメリットは大きいです。以下では、メリットについて詳しく解説します。

1.多様な働き方に対応できる

オフィスに出社せずに仕事ができるようになることで、パートナーの転勤や子育て、介護などのライフイベントを理由にした離職を防げる可能性が高まります。今まで業務を支えてきた優秀な人材の離職を防げることは、人材不足が加速する現代では大きなメリットです。

また、場所を問わずに働けることで、海外や地方に在住する優秀な人材の確保にもつながります。

2.コスト削減できる

出社する従業員を減らすことで、交通費やオフィスの光熱費、従業員ごとに必要なデスクや備品の購入費といったコストを削減できます。また、テレワークの導入が進んでいけば、ゆくゆくはオフィスの縮小化も可能となり、賃貸料の削減による大幅なコストカットも見込めます。

3.企業のイメージアップになる

積極的にテレワークを導入することで、多様な働き方を推進している企業としてイメージアップが期待できます。働き方改革や感染症対策などの必要性が高まる現代では、柔軟で多様な働き方を推進していることはアピールポイントになります。また、学生が企業を選ぶ条件のひとつともなっており、採用活動においても有利です。

4.非常時にも業務を遂行できる

日本は、地震や台風、大雨といった自然災害の多い国です。また、新型コロナウイルスの流行により、非常事態であっても業務が続けられる環境の構築が、大きな課題となっています。場所を問わない働き方のため、自然災害や感染症が流行しても業務を継続できるのも、テレワークのメリットです。

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中小企業でテレワークを導入するときの6つのポイント

中小企業がテレワークを導入する際には、以下で紹介する6つのポイントを意識しましょう。

1.補助金を活用する

国や地方自治体では、テレワークの導入時に使える補助金制度を設けています。以下で、各補助金制度を具体的に紹介します。なお、詳細な条件や申し込み方法は各公式サイトをご確認ください。

IT導入補助金(経済産業省)

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者を対象にした支援事業です。テレワークに限らず、各企業のニーズや課題にあったITツール導入の支援を行っています。ソフトウェア費や導入関連費などが補助の対象です。

はじめてテレワーク(東京都)

東京都では、都が実施するテレワーク導入コンサルティングを受けた都内の中堅・中小企業を対象に、支援事業を行っています。テレワークを行うための環境構築費、就業規則変更のための専門家への委託費などが補助対象です。

テレワーク定着促進助成金(東京都)

東京都では、都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加している都内の中堅・中小企業を対象に、テレワークの定着・促進に向けた支援事業を展開しています。テレワークに必要なパソコン(PC)やタブレット、ソフトウェアなどの導入が補助対象です。

その他地方自治体の補助金

地方自治体でも、テレワーク関連の補助金制度を設けています。自社が所在する地方自治体でも利用できる補助金がないか、問い合わせてみましょう。

・とちぎテレワーク環境整備導入支援補助金(栃木県)
厚生労働省所管の働き方改革推進支援助成金を活用し、テレワーク導入に取り組むことが条件

・群馬県テレワーク導入促進補助金(群馬県)
国の助成金を受け、テレワーク導入に取り組むことが条件

・職場環境向上支援助成金 <新型コロナウイルス特例 テレワーク導入>(横浜市)
新型コロナウイルス対策としてテレワークを導入する場合、委託費や備品購入費などを支援

・テレワーク(在宅勤務)奨励金(福井県)
テレワークを導入し、実際に利用者がいる場合の奨励金

2.社内の理解を得て目的を共有する

テレワークの必要性が明確でないと社内にも浸透しにくいです。導入前には説明会や研修などを行ってテレワークへの理解、導入する目的などを共有します。特に、目の届かない場所での勤務に消極的になりがちな、管理職の意識改革が必要です。

また、従業員間の不公平感への対策として、テレワーク対象者だけでなく全社員に対して説明し、理解を得ることも重要です。

3.社内ルールを決める

テレワークには、「在宅勤務(リモートワーク)」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」があります。自社にあった形態がどれなのか検討し、導入範囲・対象者を決めましょう。また、従来のような方法では勤務時間などを管理しきれないため、テレワークに対応した勤怠管理・業務管理の方法についても整備が必要です。

就業規則も確認する

就業規則の変更、付則の作成が必要になるケースもあります。勤務場所が変更になるだけであれば、変更は必要ありません。しかし、始業・終業時間や休憩時間の変更がある場合や、オフィス勤務の従業員とは異なる賃金制度を導入する場合には、就業規則の変更が必要です。

テレワークにおける就業規則についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

こちらも併せて読みたい「テレワークの就業規則は必要?項目や注意点をわかりやすく解説」

4.完璧にしようとしない

テレワークの導入を全社一斉に行うと、慣れないシステムや管理で混乱を招く可能性もあります。まずは、人事や事務といった比較的導入しやすい部署から始める、育児・介護などの事情がある社員から始めるなど、段階的に進めましょう。また、週に1回程度からというように部分的に導入するなど、小規模から始めてみることが大切です。

5.効果検証の指標を決めておく

テレワークは、導入して終わりではなく、導入後の効果を検証するようにしましょう。効果検証項目は、「定量的評価」と「定性的評価」の2つに分けられます。それぞれの項目は以下の通りです。

定量的効果の項目
・業務効率(伝票などの処理件数・企画書などの作成件数、時間など)
・顧客対応(顧客対応件数、時間・新規契約獲得数など)
・オフィスコスト(オフィス面積・賃貸料・光熱費など)
・移動コスト(従業員の交通費など)
・ICTコスト(情報機器、ネットワークコストなど)
・所定外労働時間数
・人材雇用と育成(新規応募者数・離職者数)

定性的評価の項目
・業務プロセス(仕事の質など)
・顧客満足度
・コミュニケーション
・業務評価に対する満足度
・ICTツールに対する満足度
・働き方の質(仕事、働き方への満足度)
・私生活の満足度

6.業務のペーパーレス化をすすめる

自宅やサテライトオフィスなどでスムーズに作業するには、業務のペーパーレス化が重要です。必要なデータや書類をクラウドに移行することで、インターネットにつながっていれば、どこからでもアクセスできます。

ペーパーレス化やコミュニケーションを円滑にするには、ICTツールの導入が効果的です。中小企業には特に「Microsoft teams」がおすすめです。

Microsoft teamsとは

Microsoft teamsとは、コミュニケーションツールのひとつで、チャットやWeb会議、ファイルの共有・管理、その他ツールとの連携など、テレワークに必要な機能が一通り搭載されています。ペーパーレス化を実現するだけでなく、コミュニケーション不足といったテレワークでおこりがちな課題をカバーできます。

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まとめ

中小企業では導入が見送られがちなテレワークですが、優秀な人材の確保やコストカット、企業のブランディングといった、中小企業に嬉しいメリットもたくさんあります。テレワークを導入する際は、ICTツールを活用しながら効率よく進めましょう。


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