テレワークを導入する企業が増えていますが、生産性が落ちるなどの失敗があるのも現状です。
この記事では、これからテレワークを導入したい中小企業の経営者・情シス・総務担当の方を対象に、導入時の注意点や成功させるためのポイントについて解説します。労務規定上、テレワークの勤務時間管理は重要事項のため、人事担当の方も参考にしてみてください。テレワークを成功させるために必要な環境を整えて、業務効率向上を図りましょう。
目次
テレワーク環境の整備・構築にお悩みなら、KDDI まとめてオフィスにおまかせください
テレワークが失敗する主な原因8つ
テレワークが失敗する主な原因として、以下の8つが挙げられます。
――――――――――――――――――――――――――
1.テレワークに必要な環境を準備せずに導入する
2.社員間のコミュニケーション不足
3.テレワークをする社員の帰属意識が薄れる
4.社員の働きぶりを正当に評価するのが困難
5.生産性が下がる
6.オーバーワークさせてしまう
7.監視ツールの導入が社員のモチベーションを下げる
8.企業の体質に合わない
――――――――――――――――――――――――――
それぞれについて、以下で詳しく説明します。
1.テレワークに必要な環境を準備せずに導入する
テレワークを進めるためには、書類の電子化やツールの導入が必要です。それらを準備しないままテレワークを導入しても、作業効率が上がらないでしょう。
また、無計画にテレワークを導入しても管理職と社員のビジョンが一致せず、テレワーク制度の利用が進まないおそれがあります。社員がテレワーク制度に不満がある状態で無理に推進すれば、モチベーションの低下を招きかねません。
2.社員間のコミュニケーション不足
テレワークでは、社員間の情報共有の徹底が重要であることを、社員一人ひとりに周知し理解してもらう必要があります。コミュニケーションが不足するとプロジェクトの進行を遅らせるなど、業務進捗に支障をきたすおそれがあります。また、1人だけで作業している孤独感はモチベーションの低下を招き、業務の遅滞につながりかねません。
3.テレワークをする社員の帰属意識が薄れる
2020年4月の調査によると、テレワークによって「組織の一体感が低くなった」という回答が36.4%にのぼりました。出勤をせずに自宅などでテレワークを続けていると、会社や所属部署とのつながりを実感しにくくなりがちです。会社や部署への帰属意識が薄れると、社員の責任感やモチベーションが下がる可能性があります。
※参考:「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」|パーソル総合研究所
4.社員の働きぶりを正当に評価するのが困難
テレワークではオフィス勤務時のように社員の仕事ぶりを常に観察できないため、正当な評価ができない場合があります。働きぶりに対して正当な評価を与えなければ、社員のモチベーションは下がるでしょう。テレワークにおける評価基準を明確にするなど適切な対応をしないと、離職につながるおそれもあります。
5.生産性が下がる
自宅勤務の場合、自己管理ができない社員は生産性を大きく下げてしまう場合があります。テレワークでは上司や同僚の目がないため、業務時間中にサボることも可能です。サボり癖が付くと業務進捗に支障をきたし、長期的には会社の業績にも影響しかねません。テレワークでは、オフィス勤務時以上に、社員が主体的に仕事に取り組める環境作りが重要です。
6.オーバーワークさせてしまう
上司やチームのサポートがない環境では作業効率が落ち、所定の労働時間を超えて業務を継続する可能性があります。それを自分の責任だと考える社員が自己判断で時間外労働をしてしまい、残業を申請しない場合も出てくるでしょう。無給のオーバーワークが常態化すれば、モチベーションの低下や体調悪化を招き、業務放棄や離職につながりかねません。
7.監視ツールの導入が社員のモチベーションを下げる
社員がサボっていないかを監視するためにWebカメラなど監視ツールを導入する企業もあります。しかし、Webカメラの監視は、オフィスでの監視以上にストレスを感じさせるおそれがあるのです。監視の強化はテレワークのメリットである「自由度の高さ」を阻害します。監視ツールによっては社員のモチベーション低下を招き、生産性を下げかねません。
8.企業の体質に合わない
企業の風土や職種などにより、テレワークが合わない場合もあります。書類が電子化されておらず上司の印鑑が必要な場面が多い企業において、テレワークは非効率です。顧客対応をする職種は自宅勤務での対応が難しい場合があります。
また、テレワークでは実労働時間を把握しにくいため、実労働時間で社員を評価する会社では正当な評価が難しくなる可能性もあるでしょう。
テレワークの失敗・成功事例
ここでは、アメリカにおけるテレワーク失敗事例と日本におけるテレワークの成功事例を2件ずつ紹介します。
アメリカY社における失敗事例
Y社はアメリカの大手IT企業で、社員の25%がテレワークをしていました。しかし、在宅勤務をしている社員の生産性が落ちたことを理由に、2013年にテレワークを禁止したのです。
生産性低下の理由は、在宅勤務者が上司の監視がないのをいいことに業務時間にルールを逸脱する働き方をしたことでした。たとえば、業務時間内の外出や居眠りです。無断で下請けを雇ったり、副業や会社経営をしたりといった例もありました。
アメリカI社における失敗事例
I社もアメリカの大手IT企業です。2009年以降は、173か国・38万6,000に及ぶ社員の約40%がテレワークを活用していました。
ところが、2017年にテレワーク推進体制が一変します。社員は、オフィス勤務に戻すか、退職するかの選択を迫られることになりました。以降、テレワークの禁止に至ります。テレワークが禁止された理由は「コミュニケーション不足」「一体感不足」とされています。
日本M社の成功事例
M社はソフトウエアおよびクラウドサービス、デバイスの営業・マーケティングを行う企業です。
M社ではテレワークに関する社内規定を改善し、テレワークをしやすい環境を作りました。まず、テレワークをする場所や日数の制限を撤廃し、テレワークの申請期限を2週間前から前日までに変更しました。申請方法も上司にメールで伝えるだけでよいことにするなど、柔軟に対応できるようにしています。
日本U社の成功事例
U社はスキンケアやヘアケアなどを主力製品とする化粧品会社です。
U社では、テレワークを育児や介護中の社員に限定せず、全社員が利用できる制度を設けました。在宅勤務者は勤務時間を1時間前倒しでき、それによって1時間早い終業が可能です。こうした社員の働きやすさを重視した制度は社員のモチベーションを上げ、また、テレワークでは外線電話の取次対応などがないため業務に集中できるなどを理由として、作業効率が向上することを実証しました。
テレワークを成功させる3つの方法
コミュニケーションツール、クラウドツール、人事評価システムの導入がテレワークを成功させる方法です。ここでは、それぞれについて解説します。
1.コミュニケーションツールを導入する
コミュニケーションツールを使えば、複数のメンバーとリアルタイムに情報やツールを共有できます。
活発なコミュニケーションはチームワークによる相乗効果を促進するため、コミュニケーションツールを導入することによって、生産性の向上を見込めるでしょう。テレワークに際して社員間のコミュニケーションを推進すれば、オフィス勤務時以上に効率的なコミュニケーションも可能です。
コミュニケーションツールにはWeb会議システム、メッセージやファイルを共有できるアプリがあります。主なWeb会議システムは、Cisco Webex with KDDI、Microsoft 365 with KDDI、 Zoom、などです。主なメッセージ・ファイル共有アプリには、LINE WORKS with KDDIやChatworkなどがあります。
2.データ・ファイル・進捗状況を共有できるクラウドツールを導入する
テレワークを成功させるためには、オフィス外でも作業しやすい環境を整備することが重要です。クラウドツールにはデータの保管・共有・分析、スケジュール管理、プロジェクト管理などをオンラインでできる機能があり、テレワークには欠かせません。
それらの機能を持つ主なクラウドツールとして、大容量のGmailやGoogleドライブを使えるGoogle Workspace、業務に必要なセキュリティ機能やビジネスツールを詰め込んだMicrosoft 365 with KDDI、さまざまなデバイスからプレゼンテーション資料や画像、動画ファイルを共有できるKDDI ファイルストレージ、クラウド電話帳のPHONE APPLI PEOPLE (フォンアプリピープル)などがあります。
3.テレワークに対応した人事評価システムを導入する
テレワークの人事評価に勤怠管理ツールを活用できます。勤怠管理ツールの主な機能としてテレワークの出勤や退勤管理、残業や休日管理などができるため、人事評価にも役立つツールです。勤怠管理ツールの中には、労務管理機能を搭載しているもの、給与計算や経理における機能を備えているものもあります。
テレワーク導入時の注意点3つ
導入目的の明確化、環境整備、情報漏えいリスク対策をテレワーク導入前に済ませましょう。それぞれについて以下で解説します。
1.業務内容を見直し、テレワークの導入目的を明確にする
テレワークで生産性の向上が見込める業務を明確にすれば、書類の電子化やデータの共有方法など、導入にあたって何を準備すべきかが明らかになります。まずは、業務内容を見直し、テレワークに適したものと適していないものを区別しましょう。次に、テレワーク導入の目的を明確にすることによって、導入すべきツールを正しく選択できるようになります。
→こちらも併せて読みたい「テレワークのルール作りのポイント|導入に必要な手順を解説」
2.テレワーク対応の環境を整える
テレワーク制度を始動する前に、コミュニケーションツール、勤怠管理ツール、セキュリティツール、クラウドツールやグループウェアなど、テレワークに必要なツールを導入しましょう。テレワーク業務で使用するツールの使用方法について、社員への周知を徹底することも重要です。
→こちらも併せて読みたい「テレワークの勤怠管理は大丈夫?管理のポイントやツールの選び方まで解説」
3.情報漏えいリスク対策
テレワークでは社員が個人的に所有するデバイスや安全性の低いインターネット回線などを利用して社内データベースにアクセスする可能性があるため、情報漏えいのセキュリティリスクが高まります。社外から社内データベースにアクセスする際のルールを設定し、セキュリティルールの周知を徹底しましょう。
また、社内データベースへのアクセス権限などを制限するとともに、管理者が不正アクセス監視ツールの運用や操作方法に慣れる必要があります。
→こちらも併せて読みたい「テレワークのセキュリティ対策とは?7つのリスクと対策をわかりやすく解説」
テレワーク環境の整備は一元化できます
KDDI まとめてオフィスは、社内や社外などさまざまな環境でスムーズに業務を進めるためのベストな解決法をまとめて提供しています。テレワークにおいてもオフィス勤務時と同じように作業を進行できる環境として、Web会議やファイルの編集・共有などができるクラウドツール各種を取り揃えています。
さらに、コミュニケーションツール(テキストチャット)も利用できるほか、VPNやLTE対応のパソコン導入によって、ネットワーク接続のセキュリティ対策も可能です。
まとめ
テレワークが失敗する原因は、必要なツールやクラウド環境が整備されておらず、コミュニケーション不足によるモチベーション低下や生産性低下、ルール違反によるセキュリティリスクなどが主に挙げられます。
KDDI まとめてオフィスでは、「通信×オフィス環境」のトータルソリューションにより、テレワークに最適なクラウド環境を提供できるのが強みです。導入後はもちろん、運用で生じるさまざまなトラブルについても、アフターサービスでしっかりサポートします。テレワークの導入や環境の整備をご検討中でしたら、お気軽にお問い合わせください。
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。