新型コロナウイルスの影響で、テレワークを導入する企業が増加しています。しかし、テレワークを導入したものの、情報共有やコミュニケーションなどの面でトラブルが起きている企業も少なくありません。この記事では、テレワーク導入のコツや流れ、メリット・デメリットなどを解説します。テレワーク導入の成功事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
テレワーク環境の整備・構築にお悩みなら、KDDI まとめてオフィスにおまかせください
テレワークの意味と目的
そもそも、テレワークとは何なのでしょうか。ここでは、テレワークの意味と導入目的について解説します。
働く場所にとらわれないワークスタイルのこと
テレワークとは、ICT(情報通信技術）を活用して、場所や時間などを問わずに働ける勤務形態を指します。例えば、育児や介護といったライフイベントで出社が難しい場合、在宅勤務ができるワークスタイルです。他にも、通勤に時間がかかる本社へ行かずに、自宅から近いサテライトオフィスを使い仕事をするといったこともテレワークになります。インターネットを活用するため、ネットワーク環境が必須です。
企業がテレワークを導入する主な目的
テレワークを導入する目的の1つめは生産性の向上です。時間や場所を問わず働けることで、生産性アップが見込めます。2つめは、移動時間の短縮や通勤困難者への対応です。移動時間を短縮させることで、よりよい労働環境が整備されます。最後は、非常時の事業継続への備えです。オフィス以外でも働けるため、万が一災害があっても事業を継続できます。
テレワーク導入で確認するべきポイント
テレワークを導入する際には、以下で紹介するポイントを確認しておきましょう。
助成金や補助金の申請を確認する
テレワーク導入時に、助成金や補助金の申請ができるケースもあります。そのため、あらかじめ自社が該当するかどうかを確認しましょう。中小企業向けとしては「働き方改革推進助成金」(テレワークコース) があります。また、ITツールを導入する企業向けの導入補助金などが利用できるケースもあります。申請期限があるものも多いため、チェックしておきましょう。
セキュリティ面を徹底しておく
テレワーク環境で、社外秘のデータのやりとりが必要になるケースも多いでしょう。万が一、情報漏洩などのセキュリティ事故が発生してしまうと、企業の信用問題に関わるため、セキュリティ対策の徹底は欠かせません。テレワーク導入時には、以下のポイントを確認しておきましょう。
・社外秘データのやりとりをする際、システムにセキュリティ上の問題がないか
・システムとセキュリティツールに適合性があるか
・機器紛失・盗難などのリスクを回避するための社員教育はされているか
・機器を紛失した場合の対策はあるか
テレワークで発生する経費の取り決めを徹底しておく
テレワーク導入時には経費が発生します。例えば、ネットワーク構築や通信費、環境整備にかかる費用などです。経費をどこまで企業が負担するのか、個人が負担するのかは、線引きが難しいケースも多いです。テレワークにともなう経費の負担トラブルや不安を軽減させるためにも、経費のルールを決め、事前に全従業員に周知しておきましょう。
テレワークを成功させるための手順
テレワークを成功させるには、導入手順を把握しておくことが重要です。ここでは、テレワーク導入の手順を解説します。
テレワークの全体像を把握する
テレワークを導入する前に、テレワーク導入のイメージ・プロセスといった全体像を把握しましょう。漠然としたイメージで導入してしまうと、うまく浸透しなかったり、導入段階でつまづいてしまったりする可能性があります。また、テレワークを推進する体制、例えばプロジェクトチームなどを構築することも重要です。
基本方針や全体方針を決定する
全体像を把握したら、テレワーク導入の基本方針や目的などを決定します。テレワークの導入を目的にするのではなく、テレワーク導入によって何を実現したいのか、など「基本方針」を明確にしましょう。方針決定には課題の洗い出しも重要です。また、社内の合意を得ることも忘れずに行いましょう。
テレワーク導入についてのルールをつくる
テレワーク導入のルールを策定することも大切です。例えば、テレワークを実施する範囲の確認や就業規則、労働時間などの見直しを行います。また、従来の人事評価ではテレワーク時の評価は難しいため、労働管理制度の確認・見直しも欠かせません。ルールを策定したら、従業員への教育や研修を行いましょう。
ICT（情報通信技術）環境をつくる
自社のICT (情報通信技術) 環境の確認を行いましょう。ICT環境を確認した上で、既存システムを活用できるか、新システムが必要な場合には自社にどのようなICTシステム・ツールが必要なのかを比較・検討していきます。ICTシステムやツールはそれぞれ機能や特徴が異なるため、自社にあうものを選定・導入しましょう。
セキュリティ対策を行う
テレワーク利用の際の情報の取り扱いやデータの持ち出しなどに関するルールを策定し、セキュリティ対策を実施します。セキュリティシステムなどを導入して技術的なセキュリティ対策を実施することが重要です。また、防犯対策や紛失・盗難など物質的なセキュリティ対策も忘れずに行いましょう。
テレワークを成功させるためのコツ
ここでは、テレワークを成功させるために押さえておきたい5つのコツを紹介します。
業務連絡をスムーズにする環境を整える
テレワークは、オフィス以外の場所で働くという性質上、メンバー間で業務に関する連絡などがしにくく、状況を把握しにくくなります。そのため、業務連絡や相談、会議などを円滑にできるようなツールを導入するとよいでしょう。例えば、ビジネス版LINEのLINE WORKSや、Microsoft 365のTeamsといったコミュニケーションツールがおすすめです。
雑談できる場所をつくる
テレワーク勤務が長く続くことで孤独感が増加したり、チームのコミュニケーションが減り、信頼関係が築きにくくなったりする可能性があります。そのため、業務上必要な会話だけでなく、気軽に雑談できる環境を整えましょう。例えば、雑談専用の社内掲示板やチャンネルを作成するなどして、コミュニケーションの場を提供します。
目標設定や業務の進捗確認を行う
テレワークを行う際、何をすればよいのかわからないというメンバーが出てくる可能性もあります。時間を無駄にしてしまうリスクもあるため、個人の目標設定を行い、するべきことを明確化しましょう。また、業務の進捗状況などを把握したり、見える化できるシステムや仕組みを構築することもポイントです。
継続的なフォロー体制を整える
個人的な目標を設定したら、マネージャーやリーダーといった管理者が進捗状況を確認して、フォローすることが求められます。テレワークの場合、なかなか環境に慣れず思ったように業務が進まないケースもあるため、気軽に相談できる機会を作りましょう。継続的にフォローできる体制を整えておくことで、従業員に安心感をあたえられます。
テレワーク実施後の効果の検証と改善を繰り返す
テレワークを成功させるためには、導入して終わりではなく、実施の効果を測定し、改善を繰り返していくことが重要です。できれば効果測定は定性的だけでなく、定量的にも測れるように考えましょう。効果を数値で測ることは難しいと思えるかもしれませんが、よりテレワークの精度を上げ、目的を達成するには効果の数値化が必要となります。その結果を踏まえ、テレワークの対象範囲や実施ルール、ICT環境の見直しなどを繰り返していきましょう。本格導入前にトライアル期間を設けることもおすすめです。
テレワーク導入企業の成功事例
ここでは、実際にテレワークを導入し、成功した企業の事例を4つ紹介します。
株式会社ローソン
株式会社ローソンでは、子育て支援を目的としてテレワークを導入しました。小学3年生までの子どもがいる従業員が対象で、短時間勤務や半日休暇などとの併用も可能です。周囲の雑音に邪魔されず集中できる、通勤時間を削減でき時間の有効活用につながると好評です。また、担当者から制度の説明があるため、積極的に利用しやすい環境が整備されています。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社では、育児期の女性従業員の就業継続や活躍を促進するために、テレワークを導入しました。現在では育児だけでなく介護にも対応し、小学4年生以下の子どもがいる、もしくは介護に従事している従業員が対象です。出産後、早期復職をためらっていた層も復職しやすくなり、キャリアブランクの縮小に役立っています。
カルビー株式会社
カルビー株式会社では、生産性向上やライフワークバランスの実現を目的にテレワークを導入しました。
2007年にフリーアドレス導入とペーパーレス化、2011年に営業の直行直帰スタイルの定着、2013年にテスト導入、翌年テレワーク正式導入、と段階を経て導入しています。通勤時間削減により、肉体的・精神的に余裕ができ、生産性がアップしたという声が上がっています。
日産自動車株式会社
日産自動車株式会社では、2006年に育児・介護社員へのテレワークを導入していました。2014年からは生産工程以外の従業員に対して、月5日を上限としたテレワーク勤務を認めています。これによって、2015年にはテレワーク利用者は約4,000人となり、男性従業員の利用増加も実現しました。
まとめ
新型コロナウイルスの流行が影響し、テレワーク導入がますます進んでいます。テレワークを成功させるためには導入手順を把握し、成功のコツを意識して導入しましょう。また、成功事例でご紹介した企業のように、何のためにテレワークを導入するのかといった目的を明確にすることが導入の第一歩となることを理解しておきましょう。
KDDI まとめてオフィスでは、「通信×オフィス環境」のトータルソリューションにより、多様な働き方を模索する企業の課題をまとめて解決できます。テレワークの導入や環境整備を検討している場合は、無料相談も行っているため、お気軽にご相談ください。
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
