【働き方改革】労働生産性が求められる理由とは?生産性向上の方法や期待できる変化まで解説
働き方改革への対応として、生産性を向上させたいと思っている企業も多いでしょう。この記事では、働き方改革の流れを受けて生産性向上を目指している人に向けに、働き方改革の概要や働き方改革が必要とされる理由、労働生産性が落ちる原因や向上させる手段などを解説します。この記事を読むことで、自社の労働生産性の向上に役立てましょう。
目次
業務効率化・生産性向上についてお悩みなら、KDDI まとめてオフィスにご相談ください
働き方改革関連法の内容を解説
働き方改革関連法とは、2019年4月から施行された労働基準法をはじめとした労働に関する法律改正の総称です。改正された内容はさまざまですが、主な内容は以下のとおりです。
・時間外労働の上限の制限
・有給休暇の取得の義務化
・同一労働同一賃金
時間外労働の上限の制限では、年間360時間、月45時間までに改正されました。法定労働時間を超えて業務にあたらせる場合には36協定を締結する必要があり、違反すると6か月以下の懲役もしくは30万円以下罰金が科せられます。
有給休暇の取得の義務化においては、労働者に年間5日以上の有給を取得させることが義務化されました。ただし、年間10日以上の有給がある労働者であることが条件になります。
同一労働同一賃金とは、正社員と非正規社員について、同じ労働に従事している場合には同一の賃金を支払うことです。雇用形態による待遇の差を埋める目的で、働き方改革関連で新たにルール付けされました。
働き方改革関連法やガイドラインについて詳しく知りたい人は、下記の記事を参照ください。
→こちらも併せて読みたい「働き方改革におけるガイドラインとは?4つの重要ポイントを詳しく解説|KDDI まとめてオフィス」
→こちらも併せて読みたい「働き方改革関連法が中小企業の2極化を引き起こす!?猶予終了の中小企業が直面する影響と対策とは」
働き方改革が必要な理由とは?
働き方改革の促進が政府により進められていますが、なぜ働き方改革に注目が集まっているのでしょうか。働き方改革の必要性が高まっている理由は2つあります。ここでは、それぞれの理由について詳しく解説します。
少子高齢化による働き手の減少
日本では、少子高齢化が加速しており労働人口(15~64歳)が減少しています。一般的に有効求人倍率は1を基準としており、1以上であれば求職者が少なく労働人口不足、1以下であれば求職者が多く労働人口が足りている状態となります。2018年の有効求人倍率は1.60倍と基準値を大幅に上回っていて、労働人口不足の深刻化が進んでいます。
外国に比べて労働生産性が低い
日本の労働生産性は、主要先進国と比べると低いといわれています。労働生産性とは、従業員1人当たりが1時間で生み出す成果です。つまり、少ない時間で高い成果を上げられているかどうかを示します。
「労働生産性の国際比較2019」によると、日本の1時間当たりの労働生産性は46.8ドルです。これは、OECD加盟36カ国中21位と世界における日本の労働生産性の低さがわかります。また、データが取得できる1970年以降、主要先進7カ国の中で最下位という状態が続いています。
労働生産性が落ちる原因は?
日本の労働生産性はなぜ低いのでしょうか。労働生産性が落ちる原因としては、「長時間労働」「人事評価」「コスト削減重視」「質の高いサービス提供」の4つが挙げられます。以下では、それぞれについて解説します。
無駄な長時間労働
すべての業務が重要度の高いものとは限りません。中には、重要度が低く自動化できる業務などもあるでしょう。こうした業務に時間をとられることで、重要度の高い業務に割く時間が短くなり、結果として残業などの長時間労働につながります。無駄な長時間労働は従業員のパフォーマンス低下を招くため、休息をしっかり取れる環境を提供したほうが生産性は高くなる傾向があります。
不適当な人事評価
従来の日本企業では、成果や能力ではなくプロセスや勤続年数などを重視する傾向が強くありました。しかし、このような風潮がある企業は、成果主義の人事評価をしている企業より生産性が低いといわれています。また、海外では、成果をもとに人事評価することが労働生産性向上を目指すために重要だとされています。
コスト削減の重視
企業として利益を向上させるためには、コスト削減が重要です。しかし、コスト削減だけに目が行ってしまうことで、根本的な業務改善につながらない場合も多くあります。コスト削減だけに注目するのではなく、業務における無駄などを洗い出して業務を効率化し、従業員が働きやすい労働環境への改善を目指しましょう。
質が高いサービスの提供
日本企業では、質の高いサービスの提供を重視する企業が多いです。もちろん、顧客満足度を高めるためにサービスの質の高さは重要ですが、質ばかりを追求し行き過ぎてしまうと生産性が低下する原因となります。サービス内容などを見直して、顧客満足度と生産性の双方をバランスよく維持できるように心がけましょう。
労働生産性を向上させる方法とは?
労働生産性を向上させるにはどうすればよいのでしょうか。以下では、労働生産性を向上させるための具体的な方法を解説します。
業務の棚卸・再構築をする
はじめに、業務内容や業務フローを明確にしましょう。どのような業務があり、どのくらいの時間かけているのか、誰が担当しているのかなどを洗い出します。業務の棚卸をすることで、どのような無駄が生じているのか、効率化できるポイントなどの把握が可能です。業務の無駄などを把握したら、業務フローを再構築しましょう。
重要な業務に集中できる労働環境を整える
労働環境の整備も重要です。重要な業務に集中できる労働環境としては、以下の3つが考えられます。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、従業員自らが始業・終業時間を決められる働き方です。定められた総労働時間の範囲内であれば、好きな時間に働けるという特徴があります。それぞれが働きやすい時間を選べるため、例えば子どもの送り迎え後に余裕持って出社するなどもしやすいです。柔軟な働き方ができ、子育てや介護などの事情がある従業員の離職防止にもつながります。
テレワーク
テレワークとは、従業員がオフィスに出社せずに自宅で業務にあたる働き方です。出社せずに仕事ができるため、出産や子育て、介護などによる離職率の低下につながります。会社側にもメリットが多く、オフィスコストの削減が可能です。また、遠方の人材でも採用しやすくなり、新しい人材や優秀な人材の確保もしやすくなります。
テレワークを導入する際の注意点について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参照ください。
→こちらも併せて読みたい「在宅勤務(テレワーク)の注意点|社員の健康や労働契約、環境整備、セキュリティ対策など」
週休3日制
週休3日制とは、その名の通り、週に3日従業員が休みを取れる制度です。休日が増えることで労働時間が少なくなり、メリハリのついた業務や時間配分などが可能になります。従業員のモチベーションのアップも期待できるでしょう。従業員が限られた時間で高いパフォーマンスを発揮すれば、生産性の向上にもつながります。また、育児や介護などとの両立もしやすいです。
ITツールを導入する
ITツールの導入により、従業員の負担軽減につながります。以下では、テレワークに有効なITツールを3つ紹介します。
クラウドサービス
クラウドサービスとは、ネットワーク上のサーバーにデータを保管・共有できるサービスです。インターネットさえあればどこからでもアクセスできるため、テレワークを導入する際にも便利です。PCだけでなく、タブレットやスマホなどさまざまなデバイスからアクセス可能で、外出先からでもデータの閲覧や編集がスムーズに行えます。
勤怠管理システム
ITを活用した勤怠管理システムの導入により、従業員の出勤・退勤時間の記録やインターネット上での打刻、休暇の申請、シフト設定などが可能になります。勤怠データの管理や分析がしやすくなり、人件費や残業時間などの把握も容易です。法令を遵守した労務管理により、勤怠管理業務が効率化できるため担当者の負担軽減にもつながります。
コミュニケーションツール
テレワークを導入すると、働く時間や場所が違うことが原因で情報の共有がしにくくなります。これを解消するためには、離れた場所にいてもやり取りできるコミュニケーションツールを導入するのがおすすめです。気軽にコミュニケーションが取れる環境を作っておけば、顔が見えない場所で働いていても連帯感が生まれます。また、メールや電話するほどでもない要件でも伝えやすく、情報の共有がスムーズにできるでしょう。
目的を共通化する
労働生産性を向上させるには、会社としてどの程度生産性を向上させたいのかをはっきりさせる必要があります。ゴールを明確にすることで、目的意識や目的を達成する意欲が湧きやすくなります。また、労働生産性を向上は従業員のためでもあるため労働環境の改善なども意識して、従業員にも目的とゴールを周知・共通化しましょう。
従業員のモチベーションを重視する
労働生産性を向上させるには、会社のメリットを重視するのではなく、従業員のやりがいや労働環境などを優先した仕組みづくりが重要です。従業員のモチベーションが下がれば生産性も落ちるため、働きやすい環境を作る必要があります。また、売り上げや利益が上がるなど会社として成果が出た場合には、従業員に還元できるシステムを導入しておくのもおすすめです。
労働生産性の向上で期待できる変化
労働生産性の向上により、どのような変化が期待できるのでしょうか。以下では、4つの変化について詳しく解説します。
従業員不足の解消につながる
労働生産性が向上すれば、1時間あたりに1人の従業員が担当できる業務量が増加します。生産性が低ければ同じ業務量でも多くの人手を必要としますが、生産性が高ければ今までよりも少人数で業務をこなせるでしょう。新しい人材を採用しなくても既存の従業員で完遂できるケースも多くなり、人手不足に悩んでいる企業にとっては良い変化です。
長時間労働の改善される
労働生産性の向上により、長時間労働が改善される可能性があります。生産性が低ければ、同じ業務を行うのにも時間がかかってしまいます。しかし、生産性が高ければ短い時間で多くの業務がこなせるため、残業などが少なくなるケースも多いです。会社全体の労働スピードが向上し、無理なく長時間労働の抑制を実現できます。
会社の業績向上が期待できる
労働生産性が向上すれば、時間や人件費といった投じる経済資源に対してのリターンが大きくなります。費用対効果がよくなるため、会社全体の業績向上が期待できるでしょう。また、労働生産性が上がると、無駄な残業が少なくなるなどして従業員にとって働きやすい会社と捉えられます。従業員を大切にする会社として社会的なイメージがアップするので、業績向上にもつながる可能性があるでしょう。
離職率が低下する
労働生産性の向上で、離職率の低下も期待できます。離職率を低下させるには、従業員エンゲージメントが重要です。従業員エンゲージメントとは、会社に対する従業員の愛着度や貢献したいと思う度合いを指します。労働生産性の向上を目指した労働環境の改善により、従業員エンゲージメントが高まり、離職率の低下を実現できます。
まとめ
働き方改革や少子化による労働人口への対応として、労働生産性向上が注目を浴びています。労働生産性の向上により、人手不足や長時間労働の改善、離職率の低下などが期待できます。
KDDI まとめてオフィスでは、「通信×オフィス環境」のトータルソリューションにより、よい仕事場への最短ルートの提供が可能です。また、オフィスに必要な備品・オフィス移転・リニューアル・災害用品まで、トータルで提供できます。新しいワークスタイルに対応し労働生産性向上を目指すのなら、ぜひ一度お問い合わせください。
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。