「ニューノーマル2.0」という言葉は、新型コロナウィルスの拡大による新しい働き方を示しています。この記事は、ニューノーマルな働き方を会社に導入しようと考えている人に向け、概要や導入時の注意点を解説しています。「ニューノーマル2.0」が何か知りたい人や、導入を前向きに検討している人はぜひ読んでください。
目次
ニューノーマル2.0とは?
「ニューノーマル2.0」とは新型コロナウィルスの拡大により広まった、新しい生活スタイルや働き方をさす言葉です。今後、ウィルスの収束が期待できても、完全に元の状態に戻るかどうかは定かではありません。密閉・密集・密接の3密を避ける行動習慣をはじめ、新しく定着しつつある「ニューノーマル2.0」が日常となる可能性も大いにあるでしょう。
ニューノーマル2.0は企業活動においても広がっています。IT業界を中心に業務の完全オンライン化が推進され、在宅勤務やテレワークでの業務が進められている点からも明らかです。新型コロナウィルスによる影響は、もはや「一過性のもの」として看過できる状況ではなく、「これから先も長く続くもの」として、企業活動を進める必要があると推測されています。
「ニューノーマル」は新型コロナ問題以前に生まれた言葉
そもそも「ニューノーマル」は、経済用語として用いられた言葉です。2008年のリーマン・ショック後にエジプト系アメリカ人のビジネスマン、モハメド・エラリアン氏のSNS上の発言をきっかけに広まりました。グローバリゼーションや無謀な資本投下による急速な経済発展の限界に関して、「ある程度の経済回復がなされても、完全に元と同じ状態には戻らない」という趣旨で用いられた言葉です。
リーマン・ショック前後に生じたような「世界観」の変化を見越し、新型コロナウィルス後の新しい社会に適応する必要があります。
ニューノーマル2.0における働き方を解説
ニューノーマル2.0にともない、私たちの働き方はどのように変化したのでしょうか。この章では、業務のオンライン化によって生じた代表的な働き方の変化を3つ解説します。自社での対応状況と比較しながら読み進めてください。
テレワーク・リモートワーク
テレワークやリモートワークとは、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)を活用して場所や時間にとらわれず、柔軟に働ける勤務形態をさします。
テレワークやリモートワークを導入すると、社員がオフィスに通勤する必要がありません。そのため、オフィス賃料や社員の交通費の削減が可能です。また、社員は毎日満員電車に乗って長時間通勤するストレスがかからず、生産性が向上するメリットがあるといわれています。
一方、離れた場所からの業務によって労務管理が煩雑化したり、外部に会社の機密情報が漏れたりといった、セキュリティリスクが高まるデメリットが懸念されています。セキュリティ対策ツールの導入や、情報持ち出しに関する社内ルールの徹底が重要です。
また、「非対面式だとコミュニケーションが取りづらい」と感じる社員に対しては、Webカメラやチャットツールなどのコミュニケーションツールを活用し、いつでもコミュニケーションがとれるような環境をつくる必要があります。
オンライン商談
オンライン商談とは、インターネットを通じて映像・音声のやり取りや、資料の共有などを行いながら、商談を進める方法です。
オンライン商談はインターネット回線をつないだPCやスマホなどから運用でき、簡単・手軽に商談が始められます。お互い商談場所まで行く必要がないため、交通費や移動時間の削減も可能です。無駄なプロセスを極力省略できので、よりスムーズに業務に取り組めます。
一方でオンライン商談は、ICT環境によって会話のしやすさが左右される点がデメリットです。例えば、通信状態が不安定だと、会話が聞き取りにくかったり、情報を正確に伝えられなかったりします。うまくコミュニケーションが取れなければ、後々にトラブルとなる可能性もあるので安定した信頼性の高い通信環境の整備が重要です。
また、オンライン商談は既存の営業ノウハウが通用しません。対面時より視覚情報が制限されることにより、苦戦する営業マンも増えるでしょう。対面時よりも丁寧な説明や細やかな確認、視覚的に分かりやすい資料づくりといった、新たなオンライン商談ノウハウの共有が求められます。こうしたデメリットを解消するためには、商談の内容を録画できるツールなどを用いたり、オンライン商談のノウハウを若手や他の社員に簡単に伝えたりする工夫が必要です。
オンライン研修・会議
オンライン研修・会議とは、Web会議システムを入れたPCやスマホを通して、遠隔拠点でも参加できる研修や会議です。
PCとWeb会議システムの環境さえあれば、どこにいても研修や会議に参加できるメリットがあります。また、全員が同じ会場に集まる必要がないため、宿泊や移動の費用の削減も可能です。
ただし、オンラインでの研修や会議は相手の表情が読み取りづらいため、参加者の理解度や納得度の把握が難しいときがあります。これを克服するためには研修や会議の進行に先立ち、全員で守るべきルールとして「オーバーリアクション」を設定すると効果的です。大きめにうなずいたり、理解したらOKサインを出したりすることでコミュニケーションの円滑化に効果がみられるでしょう。
また、会議のなかに盛り上げ役としてサポーターを決め、率先してサインを出し合うとことで会場の雰囲気作りが可能です。その他、従業員同士がストレスなくコミュニケーションがとれるように、チャットグループの整備やコミュケーションのルールを明確にするのも良いでしょう。
ニューノーマル2.0を導入する場合に注意すべきポイントとは?
ニューノーマル2.0の導において注意すべき3つのポイントを解説します。どの項目も事前に対策をとればリスクの回避が可能です。自社での対応状況と照らしあわせながらぜひ読んでください。
社員1人ひとりのセキュリティ対策が必要不可欠
会社が貸し出したPCや私物の端末などを使用して社外で業務をする際には、社員1人ひとりのセキュリティ対策が不可欠です。オフィス外での作業は、情報漏えいやコンピューターウィルスの感染などさまざまなリスクがあります。例えば、実際に個人情報が記録されたUSBメモリの紛失やフィッシングサイトへの誘導などです。
このようなセキュリティ被害を防ぐためには、メールの送受信や社外からのアクセスを制限するなどのルールを考える必要があります。また、技術的なセキュリティ対策では、データの暗号化や安全な回線を導入・義務づけをすると、セキュリティの強化が可能です。その他、物理的なセキュリティ対策として、作業場所を自宅に制限したり、書面を電子化したりするのも効果的です。
さらに、社員教育として自社での情報に対する取り扱い方法やルールを共有すると、セキュリティによるトラブルを未然に防げます。セキュリティに関する研修の実施も、従業員のセキュリティに関するベーススキルや情報リテラシーを高めるうえで有効です。
積極的なコミュニケーション
オンラインでの業務は、従来のコミュニケーショ方法が大きく変わります。そのため、コミュニケーションツールを使用しながら、今までよりも意識的な意見交換の仕組みづくりが大切です。
対面式では容易にできた声がけやささいな相談も、オンラインでは面倒になったり、迷惑がかかるのではと気を揉んだりして自己解決したりする場面も増えます。その結果、社員同士で意識のすれ違いが起きたり、トラブルの原因になったりする可能性があるのです。これらは、生産性の低下や大きな失敗につながりかねません。
加えて、業務内容や業務量、予定などの見える化も必要です。相手の状況がわからないと、コミュニケーションを取りづらくなる原因になります。定期的に進捗情報を共有するルールを作ったり、リアルタイムでスケジュールを共有できる予定ツールを導入したりするなど、社内全体での対策が重要です。
仕事に対するモチベーションの維持・管理
テレワークやリモートワークは、仕事とプライベートのオンオフが切り替えづらい場合があります。また、コミュニケーション不足で孤独感が高まると、仕事へのモチベーションを維持できない社員が出てくることも予想されます。
社内全体のモチベーションを維持・管理をするためには、上長のサポートが必要不可欠です。社員一人ひとりの適切な目標管理や進捗状況の確認だけでなく、小さな変化を察知できるコミュニケーションが重要です。
部下との信頼関係を構築するには、部下の話をしっかり聴く姿勢が大切とされています。ニューノーマル2.0で画面越しでの会話が中心となるからこそ、しっかりと部下の言葉に耳を傾け、風とおしの良い関係性を築くことを意識しましょう。定期的に業務上の悩みや改善点を交換しあえる時間をもつと、部下の心の声をすくい上げるきっかけになります。
まとめ
新型コロナウィルスの拡大により、業務のオンライン化が加速し、従来とは異なる働き方が求められています。リーマン・ショック前後に生じたような「世界観」の変化を見越し、新型コロナウィルス後の新しい社会への適応が不可欠です。
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