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ロイロノートの授業実践例|愛光中学・高等学校

ロイロノートの授業実践例|愛光中学・高等学校

2021年02月25日掲載(2023年11月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

◯はじめに

四国愛媛にある愛光中学・高等学校は2017年より1人1台iPadの整備を開始し、現在は中学1年から高校1年までの4学年が1人1台体制となっています。 同学ではロイロノートを活用した授業の実践を進めており、本コラムではその実践例を紹介し、実際にタブレットを使ってどういった授業を行えばいいかお悩みの学校さまの参考にしていただければと思います。

今回執筆にご協力いただいたのは、こちらの先生。

愛光中学・高等学校(学校法人 愛光学園) 進路部長 社会科教諭 和田 誠氏
2017年度の中学1年生から1人1台のiPadを導入
ロイロ認定ティーチャー/シンキングツールアドバイザー/ロイロ超スクール校長
Google認定イノベーター/GEG Matsuyamaリーダー

目次

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◯なぜICT教育を推進しているのか

東京大学や国公立医学部に多くの合格者を出す私立中高一貫校がなぜICT教育を推進したのか。それは将来、社会で求められる力を想像するとICTが必要だと感じたからです。
愛光は「世界的教養人」と「愛と光の使徒」を建学の理念に掲げています。
今後のグローバル社会の中で世の中に貢献できる人材を育成するためには情報活用能力を身に付けることが必須だと考えました。
そして、このような社会の要請に応じて、日本の大学教育や大学入試が変わり、さらにそれに対応するための高校や中学の教育も変容していくはずです。
その中で、ICTの教育利用は当たり前になると予測したからこそ導入に至ったのです。

◯ICT活用方法

愛光では、授業や校務、いろいろな場面でICTを活用しています。たとえば、職員朝礼や職員会議などの教職員間のコミュニケーションはClassroomというGoogleのアプリを使ってペーパーレスでおこなっています。
また、保護者からの欠席連絡や、学校から保護者への行事案内などについても電話や紙のプリントを極力やめてオンライン化を進めています。
しかし、ICT活用で最も重視したいのは授業活用です。
ロイロノートやGoogleの各種アプリを使って、生徒の思考力や判断力、表現力、主体性や協働性などを高めるために、どのような授業や単元をデザインするのかが大切だと考えています。

※Google Classroomのイメージ

※Google Classroomのイメージ

◯ロイロノートを使った授業のメリット

ロイロノートは総合型の授業支援アプリで、授業に関連するさまざまな機能が備わっています。たとえば、以下のようなことが出来ます。

  • 資料配布...教師が作成したプリントや写真、動画などをカード化して瞬時に資料を生徒に送付することができます。
  • カードの提出...生徒が考えたことや回答をカードにして教師に提出できます。提出箱というロイロノート上のアイコンにカードを送ると、クラスで集約され全員分を並べて一覧できます。
  • 回答の共有...提出したカードはクラス内で共有できます(共有しない設定にもできます)。他の生徒が考えた意見や答えを見ることができるので、自分の考えと他の生徒の考えの違いや意見の違いが分かり、思考力が鍛えられます。
  • ウェブカード...ロイロノートに実装されているカードで、このカードを押すとインターネット上の情報を検索できます。調べ学習などに役立ちます。
  • テストカード...ロイロノートの新機能です。問題を作成して、他者にカードとして送ることが出来ます(教師だけでなく生徒も問題を作成して送ることが出来ます)。送られた生徒がその問題をロイロノート上で解くと自動で採点されます。そして問題を作成した方にデータが送られて正答率や得点などが反映されます。

※ロイロノートの画面イメージ

※ロイロノートの画面イメージ

このように、紙のプリントでやりとりしていたことは、ほとんどロイロノート上でおこなうことができます。
さらに紙ではなかなか出来なかったことも可能になります。
たとえば、回答共有によって他者の考えたことが瞬時に可視化されるので、ふだんの授業では手をあげて発言することがない生徒の思考がすぐに見えるようになる、などはデジタルならではだと思います。
ロイロノートを使うと授業効率化に役立ち、教師や生徒の双方向コミュニケーションが円滑になると感じています。

◯ロイロノートを使った授業実践例①「中学社会の授業」

世界の宗教について学ぶ単元があり、教科書では「キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教」の4つの宗教が取り上げられています。
これらの宗教について、まず各自でロイロノートのウェブカードでインターネットを使って特徴や歴史、人々の生活の関わりなどを調べます。
次に4人1組のグループを作り、ロイロノートのカードで発表用のスライドを共同で作成していきます。
完成したらロイロノートの提出箱に提出し、回答共有して全員が閲覧できるようにします。その後、ロイロノートのテストカードで各自が宗教に関する問題を作成して、お互いに解き合い、知識を定着させます。
これらの作業を通じて、知識が獲得されるだけでなく、表現力や主体性、協働性が養われるでしょう。

◯ロイロノートを使った授業実践例②「大学入試問題を解いてみよう(中学総合)」

平成29年度の東京大学工学部推薦入試の事前課題で次のような小論文が出題されました。『ルネサンス期にヨーロッパに大きな社会変革をもたらした「火薬・羅針盤・活版印刷術」は三大発明と呼ばれている。なぜ三大発明と呼ばれているかを簡単に考察した後、2050年頃までに期待する3つの技術革新を挙げ、それらの相乗効果がもたらす社会的変革を説明せよ。』

これについて、ロイロノートを使って中学1年生が解いてみるという実践を紹介します。
まず、後半の部分の「2050年頃までに発明されそうなものを3つあげよう」という問いに対して、生徒がロイロノートのカードに記入して提出します。
できるかぎり自由な発想で、多くのアイデアを書き出していきます。

※グループワークのイメージ

※グループワークのイメージ

そして次に、シンキングツールでいろいろな観点から整理していき、最後は3つにまとめていきます。
ビジネスの世界でも最近よく使われているデザインシンキングの「発散と収束」の手法を用いて問いにアプローチする、これをロイロノートを利用しておこないました。この実践を通じて、生徒の思考力や判断力、グループワークによる協働性などが高まったと感じています。

※シンキングツールのイメージ

※シンキングツールのイメージ

◯その他の科目でも実践

ロイロノートの授業活用は科目や校種を問いません。
たとえば、英語の授業で生徒同士がスピーキングしているところを動画撮影してカード化します。それらをお互いに生徒同士で送り合って互いにチェックすると効果的でしょう。
数学の授業で演習問題を各自が解いて提出箱に提出します。それらを回答共有すると、他人が解いた別解をすぐに見つけることができ、こういう解き方があるのかと新しい発見になります。

※提出箱のイメージ

※提出箱のイメージ

国語の授業で読書会をして、自分が読んだ本について良いところをカードに書き出して提出します。回答共有すると、自分が読んでいない本について興味を持つことができるのではないでしょうか。
体育の授業で幅跳びの距離を伸ばしたいとき、ジャンプしているところを撮影して、提出箱で回答共有します。跳ぶのが上手い生徒の特徴を研究して、自分のフォームを改善して距離を伸ばすことができるかもしれません。
他にも多くの実践が考えられますが、それは各学校、各先生方の工夫次第です。ロイロノートは無限の可能性を秘めていると思います。

◯ICT利用の目的は明確に

ICT機器を導入すると、つい使い方や便利さを追及することを考えますが、目的はあくまで「生徒のどのような力を伸ばして、どのような人材を育てていくのか」に尽きます。そのための授業や課外活動だと意識していれば、ICTを導入して理想的な方向に進んでいくはずです。ぜひ全国の学校でICT教育が進み、テクノロジーの恩恵がすべての生徒に授けられることを願っています。


<取材協力>
学校法人愛光学園
私立/男女共学校/中高一貫教育
1953年に、ミッション・スクールとして創立。「輝く知性と曇りなき愛」「愛と光の使徒たらんこと」を教育理念とし、「世界的教養人」の輩出を目指している。
トップレベルの学力の育成に定評があり、また、ICT教育についても先進的な取り組みを行っている。
愛媛県松山市衣山5-1610-1
https://www.aiko.ed.jp/

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