近年「デジタルシフト」という言葉を耳にすることが多くなってきたのではないでしょうか。デジタル化が進む社会で必要不可欠な企業活動として注目されています。
この記事ではデジタルシフトの推進を考えている方に向けて、デジタルシフトの概要から、デジタルシフトが必要とされる理由、事例までを網羅的に解説します。今後のデジタル活用にぜひお役立てください。
目次
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コロナ渦で進むデジタルシフト
新型コロナウイルスの影響により、テレワークが当たり前の時代となりました。今後、デジタル化に対応できない企業は生き残っていくのが難しい時代になったといえるでしょう。
デジタル化において、日本は世界と比べてもloT導入やICT投資額が低く、年を増すごとに先進国との差が開いている現状があります。しかし、5Gネットワークの登場と普及により、日本は今デジタルシフトをする1番の好機といえます。
デジタルシフトとは?
デジタルシフトとは、デジタル技術を応用して、暮らしや社会を便利にしていく考え方を指します。デジタル化と意味が似ていますが、技術を提供する企業などビジネスの場面でより多く使われる言葉です。また、企業と消費者を含む社会全体がデジタル化していくことを指す場合もあります。
例えば、一般的に今まで店舗で購入していた電化製品や書籍をネット上で購入できるようになったなど、企業側だけでなく消費者目線の変化も注目されています。そのため、企業側も消費者データを分析・活用していくことが求められます。
デジタルシフトとデジタルトランスフォーメーションとの違い
デジタルシフトと似ている言葉に「デジタルトランスフォーメーション」があります。これらの言葉は似ているため概念が混合されやすいですが、定義が異なります。デジタルシフトは、双方向のコミュニケーションを実現可能にするための環境のデジタル化です。それに対し、デジタルトランスフォーメーションは生活や社会をより良く豊かにするためのデジタル技術の導入を意味します。
そのため、デジタルシフトは比較的デジタル技術の応用に対して狭い範囲の考え方、デジタルトランスフォーメーションは広い範囲の考え方です。デジタルシフトは従来アナログで行っていた業務をデジタル化すること、デジタルトランスフォーメーションはビジネスモデルや社会の変革をもたらすもの、ともいえるでしょう。
デジタルシフトが必要とされている理由
ここからはデジタルシフトが必要とされている理由について、以下の内容を解説します。
・1.デジタル技術の進歩
・2.業務の効率化
・3.メディアの変化
1.デジタル技術の進歩
デジタルシフトが必要とされている理由は、近年のデジタル技術の進歩に起因します。今や、1人1台スマートフォンを持ち歩く時代となりました。そのため、情報の取得もコミュニケーションもスマホ1台で行える時代です。ビジネスでは、タブレットやPCを活用するのは当たり前といえるでしょう。
こういったデジタル技術の進歩により、あらゆるシーンでデジタルへの対応が求められています。
2.業務の効率化
デジタル技術は業務の効率化にも繋がります。例えば会議で使う資料の印刷など、紙を使うと膨大な量になる資料も、デジタル技術を使えばクラウド上に保存できます。時間のかかる給与計算が楽になる、相手の都合に合わせてスケジュールを組み立てる必要がなくなるなどのメリットもあります。
そのため、経理や総務の仕事もデジタル化により大幅な業務の効率化が見込めます。
3.メディアの変化
メディアの変化により、デジタルシフトが必要とされていることもひとつの理由です。従来、消費者は書籍や雑誌などの媒体で情報を取得していました。しかし、デジタル技術の進歩により、今は誰もがスマートフォンで情報を取得する時代です。
報道に関しても今はSNSで見ることが可能で、インターネットを主体とした情報媒体も年々増えています。広告業界においてもこの流れは顕著に表れており、電通の調査によると2019年にはインターネット広告費はテレビ広告費を抜いて1位になっています。
デジタルシフトに必要な3要素
ここからは、デジタルシフトに必要な3要素について以下のとおり解説します。
・1.To-Be発想
・2.明確なターゲティング
・3.改善を繰り返す
1.To-Be発想
To-Be発想とは、将来の目標を明確にイメージし、達成に向けてやるべきことを考える発想です。従来、企業ではAs-Is発想が幅広く用いられてきました。As-Is発想は、「目の前の課題を解決する手段を取る」という発想です。
しかし、デジタルシフトにおいては「目標から逆算して今行うべきことを考える」というTo-Be発想が重要になります。まずは企業や事業の目標を立て、そこに向かうためにどうデジタル技術を活用できるかを検討していきましょう。
2.明確なターゲティング
デジタルシフトを実現するためには、何をどこまでデジタル化するのかをあらかじめ決めておきましょう。例えば、業務マニュアルのすべてをデジタル化しても、対応できない社員や取引先がいることも予想されます。
場合によってはデジタル化が非効率になることも考えられるため、必要に応じてデジタル化を行うターゲットを明確にしておきましょう。
3.改善を繰り返す
デジタルシフトは導入すれば終わりという取り組みではありません。デジタルシフトはすべてが成功するとは限らないため、常に結果を見ながら修正・改善を繰り返していくことが重要です。
デジタルシフトに限った話ではありませんが、改善を繰り返していくことによって、最終的にベストな選択にたどり着くことができるでしょう。
デジタルシフトの事例
ここからはデジタルシフトを導入している企業事例を5つ紹介します。具体的な取り組みについて触れるため、自社のデジタルシフトに活かせるものがあるか参考にしてください。
1.イオン
イオングループでは2018年から2020年にかけての中長期経営計画にデジタルシフトを導入しました。具体的にはネットを使った利便性を活かすデジタルシフトの戦略を計画。
イオングループは17,000店舗というチェーン展開から、電子マネーやイオンカードの顧客情報を1億人程度所有しています。これらの情報を顧客分析し、活用していることがデジタルシフト成功の鍵といえるでしょう。
2.キリン
キリンは看板商品の「キリンレモン」でデジタルシフトを導入しました。従来はテレビCMが飲料広告のメインでしたが、若年層にターゲットを絞り動画プラットフォームに移行しています。ミュージシャンとのコラボ企画やそれに付随する配信など、軸足をかえたプロモーションを行ったことで、売上を伸ばすことに成功しました。
売上増のポイントとして、デジタル活用だけでなく、ターゲット層の口コミ把握やニーズの分析といった適切なブランドマーケティングが功を成したと考えられます。
3.コメ兵
コメ兵では、2000年代初頭からデジタル対応に取り組んでいます。ECサイトにオウンドメディアを活用したり、社内でチャットツールを導入したりなどの取り組みを実施しています。
消費者のデジタル化の流れに迅速に対応するためにデジタルシフトを導入し、いち早くオムニチャネル化を実現することに成功。店舗とEC部隊が連携する仕組みなど、社内でのデジタルシフトにも積極的な例といえるでしょう。
4.ラクスル
ラクスルでは、印刷や物流のシェアリングサービスを提供しており、印刷業界・物流業界の産業構造をデジタルシフトによって変えることに挑戦しています。
既存の印刷業界を壊すのではなく、業界の慣習を踏まえてデジタルシフトを導入できている例です。その他、中小企業が安価でターゲティングできるテレビCMのサービスも行っています。
5.ゲラン
ゲランは日本の百貨店で取り扱われている、フランスの老舗化粧品ブランドです。プロモーションにSNSやWeb動画を取り入れるなど、最近ではデジタルシフトに積極的です。
ゲランは店舗販売以外の販売チャネルがなく、ECサイトを保有していないため、基本的な購入場所である店舗につなげるためにデジタル活用を始めました。デジタルシフトに注力したことによって、若い年齢層の顧客獲得に成功しています。
中小企業がデジタルシフトを推進させるポイント
ここからは、中小事業がデジタルシフトを推進させるポイントを以下のとおり紹介します。
1.サポート体制を整える
2.人材の育成・確保
1.サポート体制を整える
中小企業がデジタルシフトを推進させるには、まずサポート体制を整えることです。具体的には、各部署でデジタルシフトがスムーズに推進され、整備されているかを確認します。
また、デジタルシフトの専任者を選定することで、サポート体制が整いやすくなるでしょう。その他、問題解決や課題解決の際に専任者がいれば、解決がスピーディーです。
2.人材の育成・確保
デジタルシフトの実現にはITリテラシー、データの活用、技術に詳しい人材が必要です。もし、デジタルを推進できる適任者が社内にいなければ、新しく雇用するか、社内にいる人材の中から適任者を育てていきましょう。
まとめ
デジタル化が進むグローバル社会において、デジタルシフトは必要不可欠な要素です。「デジタル技術の進歩」「業務の効率化」「メディアの変化」などの理由からデジタルシフトが必要とされています。
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