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モチベーション3.0を組織作りに生かすには?ダニエル・ピンク提唱のやる気の引き出し方

モチベーション3.0を組織作りに生かすには?ダニエル・ピンク提唱のやる気の引き出し方

2021年03月26日掲載(2024年11月25日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

モチベーション高く仕事をしている人たちのイラスト

従来の働き方からの意識改革としてダニエル・ピンクが提唱した「モチベーション3.0」があります。本記事では、従業員のやる気を引き出す方法について課題を感じている方やモチベーション3.0について関心を持っている方に向けてモチベーション3.0の内容や、モチベーション3.0を生かして自律的に仕事に取り組む従業員を増やす方法について解説します。組織改善のための参考にしてください。

目次

モチベーション理論の変遷

モチベーション3.0が登場するまでには1.0、2.0が存在していました。まずは、モチベーション理論の歴史から見ていきましょう。

モチベーション理論は最初にモチベーション1.0の概念から始まります。モチベーション1.0とは、人が生理的に持つ欲求を満たす行動のことで「生理的動機付け」と呼ばれます。例えば子孫を残したり、身を守ったりという自身や社会の生存維持のための原始的モチベーションのことです。マズローの5段階欲求の生理的欲求にも置き換えられます。

続いて、モチベーション2.0が登場します。これは「外発的動機付け」と呼ばれ、言い換えるなら「アメとムチ」を使って人をやる気にさせる方法といえるでしょう。これはストックオプションやインセンティブなど、何らかの報酬を貰うために仕事を頑張ろうというモチベーションを生み出します。

モチベーション3.0とは?

これまでのモチベーション理論の背景が分かったところで、続いてモチベーション3.0の概念について見ていきましょう。モチベーション3.0はダニエル・ピンクにより提唱された、人を動かす動機付けの方法です。以下でモチベーション3.0の定義や特徴について詳しく解説していきます。

モチベーション3.0の提唱者は?

モチベーション3.0は、提唱者のダニエル・ピンクの著書の中で提唱された概念です。この本では、従来の組織におけるモチベーションに対する見方に疑問を呈し、ビジネスで活用するための新しいモチベーション手法が解説されています。

社会にもコンピューターに搭載されたOSと同様に人を動かすOSが存在し、その中でも自立性、自発性を継続して企業の成長に貢献する重要なものとして紹介されています。

モチベーション3.0の定義

モチベーション2.0が外発的動機付けであるのに対し、その後提唱されたモチベーション3.0は「内発的動機付け」で社員のやる気を高める方法です。

より柔軟で強い組織作りのために、社員の内側からやる気を起こそうという概念です。

具体的には「社会貢献にために行動する」「楽しいから仕事をする」「自分を磨くために努力する」といったモチベーションなどが内発的動機に当たります。

モチベーション3.0の特徴

モチベーション3.0には「自主性」「成長」「目的」という3つの特徴があります。

自主性とは、いつ、だれと、どんな課題を、どのように取り組むか、自身で主体的に決めて行動できることです。成長は、自身が掲げた目標に対して、努力を積み重ねることをいいます。目的は、個人的な欲求を満たすという利己的なものではなく、社会全体への貢献や組織・チーム全体の成長など、利他的な目的を指しています。

また、モチベーション3.0で目標設定をする上で大切になるのは、「掲げた目標が努力によって必ず成し遂げられると信じること」そして「掲げる目標が現状の自分の実力では成し遂げられないものである」という2つのポイントです。

モチベーション3.0が今求められる理由

モチベーション1.0は、毎日がサバイバルのような原始時代なら通用する概念です。また、モチベーション2.0も産業革命が始まった頃に生まれた古い考え方になります。

アメとムチによってモチベーションを高める方法は、例えば単純作業が多い工場のライン作業などの場合では有効でした。しかし、新たな価値を生み出す、新たな販路を開拓する、商品アイデアを出し合うといった創意工夫が必要な仕事には不向きといえます。

そのため変化の激しい現代では、新たなチャレンジを生み出す内発的動機付けで自立的な行動を促すモチベーション3.0が必要とされています。

モチベーション3.0を取り入れることの利点

ここからはモチベーション3.0を取り入れることの利点について、「本質的な目標にフォーカスできる」「長期的な目標達成ができる」「より高い創造性を発揮できる」の3点に分けて解説していきます。

本質的な目標にフォーカスできる

これまでのモチベーション2.0のように外発的動機付けで動いていると、私欲がモチベーションのため、本質とは外れた判断をしてしまうという問題がありました。例えばインセンティブやストックオプションなどの賞賛は、不必要な競争を生み出すリスクを秘めています。

しかし、モチベーション3.0では内発的な動機に従うため、達成すべき本来の目的や目標にフォーカスできます。

長期的な目標達成ができる

モチベーション2.0における報酬や罰則によってモチベーションをコントロールする方法は、報酬を手にした後にやる気が失われる可能性があります。燃え尽き症候群として問題視されることもあるように、長期的なモチベーションの維持が難しいという問題があります。

その一方で、内発的な意欲に従って自分らしく行動することでモチベーションが長続きし、長期的な目標達成を成し遂げることができます。

より高い創造性を発揮できる

ダニエル・ピンクは著書の中で、報酬によってモチベーションをコントロールするということは、創意工夫の低下につながると著書の中で述べています。つまりモチベーション2.0はクリエイティブな仕事には向いていないということです。

そのため、取り組む仕事に対して本来の目的を理解し、自律的に行動することで、より高い創造性を発揮し新たな価値を生み出していけます。

企業がモチベーション3.0を活用し従業員のやる気を引き出す方法

ここからは企業が実際にモチベーション3.0を活用し、従業員のやる気を引き出す方法について、「従業員の労務・職場環境を整える」「従業員に目標を決めさせる」「仕事に裁量を持たせる」「組織内の枠組みから変える」「労働環境に選択肢を与える」の5つのポイントを解説します。

従業員の労務・職場環境を整える

モチベーション3.0を実現するためにはまず、従業員の労務・職場環境を整える必要があります。その理由はモチベーション1.0、2.0が満たされていないと、その上位の概念であるモチベーション3.0を発揮することができないからです。

従業員ひとりひとりの自律性を引き出すためには、従業員が満足できる職場の労働環境や給与を、企業側が提供できていていることが必要です。

従業員に目標を決めさせる

モチベーション3.0を実現させるには、従業員自身に目標を決めさせることも大切です。なぜなら、目標が他者から与えられていると、仕事へのモチベーションを下げてしまうことにつながるからです。

例えば、無理な売上目標などの数値目標は従業員のプレッシャーとなり、やる気を削いでしまう要因となります。そのため、従業員自身がなりたい姿をイメージして目標を設定してもらうことが重要です。

仕事に裁量を持たせる

職場で上司に細かく管理されている状態では自律性が育まれにくいといえます。部下にはある程度の裁量を持たせ、仕事の判断をできるだけさせるようにしましょう。そうすることで、従業員のモチベーション向上につながります。

また、従業員が自身の裁量で進めたことが上手くいくと成功体験が生まれるため、さらに内発的モチベーションを高めることができます。

組織内の枠組みから変える

モチベーション3.0を組織に浸透させるためには、組織内の枠組みから変えるのもひとつの方法です。人は周辺環境に左右されるため、個人に対してアプローチする以外に、組織のルールから根本的に変えることが有効に働きます。

そのため、自由や裁量を与えられる仕組み作りや評価制度の見直し、内発的な動機を持つ従業員によって他の従業員に刺激をもたらすなど社内の体制を変えていき、周辺環境構築をするとよいでしょう。

労働環境に選択肢を与える

モチベーション3.0の実現には労働環境の選択肢を与えることも重要です。具体的には、フレックスタイム制を導入したり、会社の仕組みに自由を持たせたりして、従業員に選択肢を与えます。

テレワークの推進は労働環境の選択肢が増える反面、従業員の業務環境の改善も必要になります。KDDI まとめてオフィスではテレワーク環境を整えるためのサポートも行っています。

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まとめ

モチベーション3.0はダニエル・ピンクが提唱した新しい時代の概念です。外発的な理由ではなく、内発的な理由をもとに行動することで、長期的な目標の達成が可能です。本記事の内容をぜひ組織改善の参考にしてください。

KDDI まとめてオフィスでは、「通信×オフィス環境」のトータルソリューションにより、いい仕事場への最短ルートを提供しています。通信・端末・ITソリューションを主軸とした、KDDIの高品質で安全性の高いサービスを提供していますので、組織改善をご検討の際はぜひお任せください。

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