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在宅勤務時の交通費は実費でも良い?減額の際のチェックリストや注意点について解説!

在宅勤務時の交通費は実費でも良い?減額の際のチェックリストや注意点について解説!

2021年03月30日掲載(2023年11月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

電車通勤中のの人がスマホを見ている写真

在宅勤務を取り入れる際、検討すべきポイントのひとつが従業員に支給する交通費についてです。この記事では、在宅勤務に移行した場合の交通費は減額できるのか疑問を持っている方に向けて、交通費支給の要否や交通費減額の判断ポイントについて解説します。在宅勤務移行後のコスト削減の参考にしてください。

目次

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在宅勤務で交通費支給は必要か?

新型コロナウイルスの影響でやむなくテレワークに切り替えた企業では、「通勤手当をこれまでどおり支払う必要はないのでは?」と疑問に思っている担当者もいるでしょう。たしかに、在宅勤務であれば通勤は発生しないため、定期券は不要になります。

通勤手当については法令で定められていないため、各企業の就業規則によって対応は異なっているのが現状です。実際にテレワークを取り入れている企業では、通勤手当ではなく実費支給に切り替えているケースがあります。

在宅勤務での交通費支給の現状

在宅勤務を取り入れた企業では、交通費支給についてどのような対応を行っているのでしょうか。ここでは、在宅勤務での交通費支給の現状について解説します。

通勤手当・交通費に対する捉え方

従業員に支給する通勤手当と交通費は、それぞれ以下のように定義されています。

・通勤手当:会社に通勤するために必要となる費用

・交通費:業務上必要な移動にかかる費用

先述のとおり、通勤手当や交通費については法令による決まりがないため、各企業で定める就業規則や給与規定に沿って判断する必要があります。

在宅勤務での交通費支給の実情

在宅勤務を取り入れた企業の交通費支給の実情として、経費削減のために支給する交通費の減額を検討するケースが多くなっています。

ただし、在宅勤務の場合でも全く交通費がかからないという企業ばかりではないため、柔軟な支払い形態を検討しなければなりません。例えば、出社日数が多い社員には定期券代を支給、出社日数の少ない社員は実費支給とするなど、それぞれのケースに対応できるような仕組みが必要です。

交通費を減額するには?

交通費を減額する場合、自社で定める就業規則に反しないかどうか確認が必要です。交通費・通勤手当の減額が就業規則に反しない場合は問題ありませんが、そうでない場合は就業規則を変更しなければなりません。

就業規則を変更するには、社員の合意もしくは変更の合理性が必要となります。これを満たしていない場合は違法となるため、注意してください。交通費の減額にあたって対応が必要となるポイントについて、以下で詳しく解説します。

交通費減額を行う際のチェックリスト

在宅勤務に伴って交通費の減額を検討する場合、チェックが必要となるポイントがいくつかあります。ここでは、交通費減額を行う際のチェックポイントについてそれぞれ解説します。

在宅勤務率の実態を把握する

交通費の減額を検討する場合、はじめに自社の在宅勤務率がどの程度の割合になっているかを確認しましょう。現状に加えて、これから在宅勤務の割合をどのように変えていくつもりなのかなど、計画を立てている場合は先々のことも念頭に置いて検討する必要があります。

現状や今後の計画を把握してから、実費支給への切り替えでどの程度のコスト削減が可能となるのかの試算が必要です。この検討を怠ると、実費精算に切り替えても思ったほどのコスト削減にならなかったり、場合によってはコストが増額してしまったりするケースもあります。

実費切り替えの可否を判断する

交通費の実費精算への切り替えは、定期券の割引率も加味して、定期券代を支給する場合と実費精算の場合でどちらが会社の負担が少なくなるかで判断します。例えば、6カ月定期券は割引率が大きいため、出社日数によってはテレワークでも定期券代支給のほうがコストを抑えられるケースもあります。

通勤経路、定期券代、片道運賃、従業員の出社日数から、定期券代支給と実費精算それぞれにかかるコストを検討し、実費切り替えの可否を判断しましょう。

定期券の払い戻しが可能か確認する

定期券の購入タイミングによっては、「定期券を購入したばかりなのに在宅勤務となってしまった」という従業員もいるでしょう。このようなケースも考えられるため、定期券の払い戻しが可能かどうかの確認も必要です。

鉄道会社によって対応は異なりますが、例えばJR東日本では、定期券の有効期間が1カ月以上残っている場合は払い戻しが可能です。払い戻し額は、定期券代から使用済み月数分の定期運賃と手数料220円を引いた額になります。

新型コロナウイルスの影響による条件付きでの払い戻しに対応しているケースもあるため、鉄道各社の対応を確認してみましょう。

就業規則の変更が発生するか確認する

交通費の減額にあたって、就業規則の変更が必要かどうかの確認を行いましょう。労働組合への説明が必要なケースもあります。先述のとおり、就業規則の変更にあたっては対応を怠ると違法となる可能性もあるため、しっかりとした対応が必要です。

交通費を実費支給に切り替えることで就業規則に反する内容がないか、切り替えスケジュールは労働組合との合意までの期間を加味しているかなど、細かい点まで確認しておきましょう。

在宅勤務の交通費減額で生じる疑問点

在宅勤務による交通費減額の検討を進めていると、いくつかの疑問が出てきたという人もいるのではないでしょうか。特に、新型コロナウイルスの影響で急に検討の必要が生じた場合は、疑問を解消して素早く対応を進める必要があります。ここでは、在宅勤務の交通費減額で生じる疑問点について解説します。

在宅勤務中の通勤手当は非課税なのか?

所得税法によって非課税となる通勤手当は定められており、通勤手当が非課税となるのは電車やバス、マイカーなどを使用した勤務地への通勤が条件となります。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務となり、通勤が発生しなくなった場合でも、以下の観点から通勤手当は非課税として問題ありません。

・一時的に在宅勤務になったとしても、従業員の本来の勤務地は会社であるため

・在宅勤務期間中であっても、必ずしも通勤が発生しないとは限らないため

ただし、本来の勤務先が自宅となる場合はこの限りではないため、注意が必要です。

労働条件の不利益変更に値するのか?

就業規則を変更する場合、社員の同意もしくは変更の合理性が条件となります。交通費を減額すると従業員への支給額が減るため、不利益変更に値するのではないかと懸念している担当者の人もいるでしょう。しかし、変更内容に合理性が認められる場合は不利益変更には値しません。

在宅勤務によって通勤の頻度が減ると、通勤にかかる費用も減ると考えられるため、交通費の減額には合理性があるでしょう。そのため、交通費を実費支給に切り替えても労働者の不利益とはならないと考えられます。

在宅勤務の交通費減額での注意点

在宅勤務に伴って交通費を減額する場合、いくつか押さえておくべき点があります。ここでは、在宅勤務の交通費削減での注意点について見ていきましょう。

通勤手当と社会保険料の関係

社会保険制度上、交通費や通勤手当は支給方法、勘定科目の違いに関係なく社会保険料の算定に含まれます。そのため、従業員への支給額の調整だけでなく、社会保険で利用する報酬額の調整も必要です。交通費を実費支給に切り替える場合は、報酬額の調整にかかる担当者の運用負荷についても検討しておく必要があります。

定期券と実費支給は本来両立できない

交通費実費支給を検討する際、前払いである定期券と後払いである実費支給は、本来両立するものではないということを念頭に置いて制度を作る必要があります。出社日数に応じて定期券代支給か実費支給かを判断することにした場合、出社日数が完全に決まっていないと不具合が生じるかもしれません。

例えば、定期券を買ったにも関わらず、実際の出社日数が少なく実費支給になってしまった場合、従業員から訴えがくる可能性があります。給与担当者は日々の業務に加えてこのようなケースの対応も強いられ、負担の増加が懸念されます。

まとめ

在宅勤務制度を導入する場合、交通費支給についての見直しも必要になることについてご説明しました。コストを削減するため、定期券代の支給から実費支給に切り替える場合には、先述したような注意点、確認ポイントがあることを念頭に検討を進めましょう。

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