ホームThink with magazineICT教育
ICT導入1年目の端末管理ツールMDMとWebフィルタリングサービス|オンラインセミナーレポート

ICT導入1年目の端末管理ツールMDMとWebフィルタリングサービス|オンラインセミナーレポート

2021年07月29日掲載(2023年11月09日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

2021年6月29日、KDDI まとめてオフィスがICT活用をサポートする学校の関係者向けに、タブレットの運用管理ツールとWebフィルタリングツールの解説セミナーが開催された。KDDI まとめてオフィス株式会社では、ICT活用に取組む学校にさまざまな支援をしている。ICT導入1年目の学校の管理者を対象とした同セミナーの概要を紹介する。

目次

ICT教育のお悩みは、KDDI まとめてオフィスにご相談ください

第1部:MDMの概要 - 効率的な端末管理

第1部は、多くのタブレットを効率的に運用する管理ツールであるMDMについて、KDDI まとめてオフィスの佐竹範幸氏が解説した。

MDMとは、「Mobile Device Management」の略称で、複数の端末を効率的に運用管理するのに役立つ。アプリケーションの配信やセキュリティ対策などを1台ずつではなく、一括して設定することができる。MDMにもさまざまな種類があるが、KDDI まとめてオフィスでは、「KDDI Smart Mobile Safety Manager(=SMSM)」というMDMをおすすめしている。SMSMは、国内No.1のシェアを誇るオプティム株式会社のMDMがベースだ。全国のタブレットやスマートフォンの運用現場で培われたノウハウが反映されており、使い勝手と機能性の高さから多くの学校や企業で利用されている。

タブレットの管理ツールであるMDMと、iPad、Apple School Manager(ASM)の3つを組み合わせることが、効率的な端末管理の基本だと佐竹氏はいう。具体的には、ASMで「タブレットの登録やアプリケーションを購入する」、MDMで「タブレットに設定を反映したりリモートで操作したりする」、ASMから「タブレットにManaged Apple IDを発行する」、という具合だ。

次いで、実際のSMSMの画面を映しながら基本操作について説明があった。SMSMへのログイン方法、設定する端末の絞り込み方、管理者の登録方法などか分かりやすく解説されていった。基本的な操作であっても、改めて説明をきくことで新たな発見をしたり操作方法のおさらいができた参加者もいたようだ。

学校ならではの機能制限の設定も、管理画面を見ながら解説をきくと理解がしやすい。「カメラの使用を許可する」、「App内課金を許可しない」などの機能制限を、どの画面をどのように操作すれば変更できるのか分かりやすく説明された。学校でよく使われる機能制限を技術者でなくてもかんたんに設定できることは、SMSMが選ばれる一因だという。

第1部:学校でよくあるMDMの設定 - 運用上のコツ

次に、学校の日々の運用でよく使われる操作について説明があった。 学校でのタブレットを運用するなかで頻出なのが、パスコード忘れだ。SMSMの管理画面からパスコードをクリアしてユーザーが再設定する流れが、画面を表示しながら説明された。

なお、パスコード間違いを重ねるとセキュリティロックがかかる。その場合、パスコードのリセット以上に管理者の負担がかさむ。そこで、「パスコード忘れの連絡があったら、叱るのでなく早めに申告したことを褒めて申告しやすいやすい雰囲気を作ることが運用負荷につながる」と実践的なコツも共有された。機能説明にとどまらず実際の運用に役立つアイディアを聞けるのが、多くの学校の運用支援をしているKDDI まとめてオフィスの強みだと言える。

端末を紛失してしまった時の探索に役立つ「紛失モード」も覚えておきたい。端末のありかをさがして遠隔からロックができるので、紛失時の生徒の個人情報の保護に役立つ。なお、端末が通信圏内にある必要があるため、Wi-Fiモデルよりもセルラーモデルの方が見つかりやすいという。紛失モードでは、捜索するだけでなく、拾った人に連絡先を伝えるロックメッセージの配信も可能だ。具体的なメッセージの設定や、どのようにメッセージが表示されるかも解説された。

最後に、セミナー申し込み時やセミナー中に寄せられた質問に佐竹氏が回答した。「所属する組織を後から変更する方法」という質問には、対象者が多ければCSVで一括設定する方法の解説もあった。「運用で分からないことがあれば遠慮なく営業やサポートにお問い合わせください。先生方が授業に専念できるよう、私たちも精一杯サポートさせて頂きます」と一部が終了した。

第2部:Webフィルタリングの必要性

第2部は、有害サイトへのアクセス制御などに使われるWebフィルタリングサービス「InterSafe GatewayConnection(ISGC)」の解説プログラムだ。ISGCは、信頼性の高さから全国の学校の約半数となる2万校以上で利用されている。同サービスを提供するアルプス システム インテグレーション株式会社の山下智子氏が解説した。

初めに、Webフィルタリングの必要性が説明された。

ある学校でフィルタリングサービスを利用しない場合のアクセスを調べたところ、以下の様な発見があったという。

① 成人向けなどの不適切サイトに加え、過度の熱中や長時間利用につながりうるサイトの制限も重要
② 違法アップロード漫画サイトへのアクセスは、著作権や商標権の侵害につながりうる
③ 動画配信サイトは、学習利用でのYouTubeの閲覧とニコニコ動画などの学習以外の閲覧が混在する
④ 学習以外の動画やSNSは帰宅後から深夜帯に利用されており、時間帯別の利用制限の必要性が伺われる

山下氏は、全てを制限することは子どもたちの可能性を潰してしまうおそれがあるとし、次のような説明を加えた。「フィルタリングサービスをつかってハイリスクな点は制御しつつ、ある程度の私的利用は節度をもった範囲で許容するなど、適切な利用に導くことが重要だと考えています。」

第2部:学校でよくある制限 - 安心と自由度のバランスのさせ方

ついで、学校で多く使われるおすすめの設定が解説された。
効率的な管理のためには、生徒を学年ごとのグループに紐づけて、グループごとにルールを設定することが基本だという。学年が上がるにつれて制限を緩めることで、安心安全と子どもたちの可能性を広げることのバランスをとることができる。第2部も、具体的な画面操作の説明を加えながら解説が進んだ。

閲覧の制限や許可は、サイトやサービスのカテゴリ・個別のURLの両方で設定できる。
ISGCの特徴として、曜日や時間帯別に細やかなフィルタリングルールを設定できる。これにより、授業中は生徒の利用を広げ、学校がない休日には特定の学習コンテンツのみ閲覧させるなどの柔軟な制限も可能だ。授業でのICT活用の幅を広げつつ、適切な制限を両立できることも、多くの学校で支持される理由だという。

その後は、よくある質問について実践的な説明が続き、同社が提供するサポート体制の説明もあった。
充実したFAQサイトに加え、いつでも相談可能なメール窓口、エンジニアが直接サポートしてくれる電話窓口など、サポートにも力をいれているという。

今回のセミナーでは、2021年7月のISGCのバージョンアップの概要説明があった。「キッティングが完了したデバイス情報の一覧化」、校内ネットワーク接続時はISGCのWebフィルタリングでなくプロキシサーバーのWebフィルタリングを適用させる「フィルタリングキャンセラ機能」などが説明された。こういった、管理者に便利な機能を随時更新されていくことで、忙しい管理者のニーズに応えていきたいと語った。

最後に、事前および当日寄せられた質問に回答して、第2部が終了した。

KDDI まとめてオフィスで学校のICT活用支援を担当する販売推進グループの杉山太郎氏は、以下の様に語る。

「今回は、ICT導入初年度の学校を対象として、セキュリティの基本部分のサポートセミナーを開催しました。今後も、技術的な内容だけでなく、現場の先生による授業実践セミナーなど、ICT活用に取組む先生方のお役に立つような取り組みを予定しています。学校の方針や導入からの経過期間によって、ICT教育における課題は異なります。多くの学校のICT活用をご支援するなかで得た知見を活かしながら、お客さまにあったお手伝いをして参ります。ぜひ、お気軽にKDDI まとめてオフィスにお問い合わせください。」


<取材協力>
アルプス システム インテグレーション株式会社
アルプスアルパイン株式会社のグループ会社として1990年に設立。
市場シェアNO.1のWebフィルタリングメーカーであるアルプスシステムインテグレーションが提供する「InterSafe GatewayConnection(略称:ISGC)」が、国内の多くの企業、官公庁や教育機関で活用されており、URLデータベースも国内の主要携帯キャリア3社に採用されている。Webフィルタリングのリーディングカンパニーとして、学校教育においても、子どもたちの教育ICTを支える安心安全なソリューションを提供している。
東京都大田区雪谷大塚町1-7
https://www.alsi.co.jp/

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。