コロナ世代での研修の変化|オンライン研修の効果的な実施方法、注意点など
一カ所に集まり講義・セミナーを受けることが当たり前だった新人研修やスキルアップのための研修は、コロナウィルスによる感染リスクを避けるために、オンライン研修へと変わりつつあります。
本記事ではこのようなコロナ世代にあった研修方法について知りたい方に向け、オンラインで行う研修の概要や方法、メリットについて解説します。ぜひお役立てください。
目次
コロナ世代における研修の現状
新型コロナウイルスが蔓延したことで、研修のあり方は大きく変わりました。現代における研修の現状はどうなっているのでしょうか。
企業の多くが研修方法をオンラインに変更している
HR総研の「新型コロナウイルス感染拡大による新卒採用や新入社員受け入れ」のデータによると、調査した全企業のうち半数が「予定どおりの日程で新人社員研修を実施」したものの、大企業の6割は「変更予定」と回答しています。
このように、コロナ禍の影響で予定通りに研修ができないことから、オンライン研修が主流になってきています。実際に、パーソル総合研究所の「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」では、2020年の1年間でオンライン集合研修を増やした企業は75.0%にものぼります。
また、100名以上300名未満の中小企業でも61.0%がオンライン研修に切り替えており、大企業も中小企業も関係なく、オンライン研修を取り入れていることがわかります。
※参考:「新型コロナウイルス感染拡大による新卒採用や新入社員受入れへの影響」に関する緊急アンケート|HR総研
※参考:「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査 」
コロナにより研修が実施されないことで生じる不満も
研修が通常どおりに行われないがために生じた不満も複数あります。新人社員にとって入社時点で研修を受けることは、不安を解消する意味合いもありました。しかし、研修が行われないため、ビジネスマナーや社会人としての心得、企業風土などの感触を得ることができず、不安な状態のままで入社することとなりました。
特に営業職を目指す社員などは、相手先で必要なマナーもわからないために、入社したものの業務に支障をきたし、そのままやめてしまうケースもありました。
再度問われた研修の意味
コロナの影響により新人研修が行われなかったことで、「研修」のあり方や意味について考えるきっかけになったという声もあります。
例えば、今まで「集合研修」が通常だった企業ではビジネスマナーやスキル、能力の向上といった目的がありましたが、即戦力にするための研修だけではなく、研修という場を通じて関わることによって「早期退職の防止」や「従業員エンゲージメントの強化」という効果も得られていたことがわかりました。
今後も対面での集合研修が難しいwith コロナ時代がつづくことが予想されます。また、ポストコロナに備えるという意味でも、ICTを活用した「オンライン研修」を研修の主要なスタイルの一つとして捉える企業が増えています。次から、オンライン研修の概要やメリットについて具体的に解説します。
オンライン研修とは
オンライン研修とは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを用いてインターネット上で受講する研修スタイルを指します。オンライン研修は主にZOOM、Google Meet、Microsoft Teams などのWeb会議ツールを活用して実施されます。
端末とWebが使える環境さえ整っていれば、場所にかかわらず誰でもセミナーや講座、研修を受けられるという特徴があります。
なお、オンライン研修には、「ライブストリーミング型」と「オンデマンド型」の2種類の配信方法があり、参加の形態については、会議室など特定の場所に複数人が集まって行う「多拠点参加型」と、個人個人が自宅やコワーキングスペースといった場所から受講をする「個別参加型」があります。
オンライン研修の特徴
オンライン研修の特徴にはどのような点があるのでしょうか。いくつか特徴を解説します。
グループワークが可能
オンライン研修の特徴として、対面時同様にグループワークが可能な点があります。オンライン上で講義やセミナーなどを視聴中に、ディスカッションや講師のフィードバックを受けながら実施することが可能です。
一方向の動画視聴ではなく、相互にコミュニケーションが取れるので、わからない点があれば質問できたり、少し時間をおいてディスカッションできたりするため、よりオフラインに近い参加型の研修が実施できます。
チャットを使った質問ができる
わからないことがあった時に、チャットを使った質問ができます。チャットツールがあるシステムを使うことで、リアルタイムで質問することが可能です。また、研修の講師も受講者側を意識しながら質問する時間、質問に回答する時間を設けることで、より満足度の高いオンライン研修を実現できます。
eラーニングとして使うこともできる
eラーニングとは、インターネットを利用した学習形態を指します。受講者は好きなタイミング繰り返し視聴が可能で、コンプライアンス研修や情報セキュリティ研修のように、反復して覚える必要があるものはeラーニグとして用意することをおすすめします。
Web会議ツールを使い開催したライブストリーミング型の研修などを録画しておき、eラーニングの教材として、社員に展開するといった使い方もできるでしょう。
オンライン研修のメリット
オンライン研修のメリットでよくあげられるのが「全国どこからでも受講が可能」な点です。
研修会場までの移動にかかる交通費や、遠方からの参加による前泊のホテル代といった費用が不要となり、新人研修で会社が負担するコストを削減することにつながります。もちろん、不要な接触機会を減らすことで、感染防止としても有効です。
研修運営側も、場所を抑え会場準備や紙資料を配布するといった物理的な負荷を軽減できる、会場費がかからないといったメリットがあります。
ほかにも、産休育休明けや家族の介護をしているなど、個人の事情から自宅での業務を余儀なくされるような従業員がいた場合も、オンラインなら平等に研修参加が可能となるため、知識やスキルの機会損失を防ぎ、従業員満足度向上にも寄与します。
また、録画システムを使えば、研修当日に急遽参加できなくなった社員へオンデマンドで動画を配信したり、研修参加者の復習用に再利用できるといったメリットもあります。
オンライン研修を成功させるには
オンライン研修を成功させるにはどのようなコツがあるのか、いくつかポイントをまとめました。
オンライン研修でのリアクションに気を付ける
オンライン研修では、講師はオフラインの研修以上に、研修生の参加中のリアクションや表情に気を付けるべきです。同じ空間にいない分、参加者の雰囲気を把握しづらいため、進行スピードが速すぎないか、ついてこられない参加者がいないか、積極的に意見を求めるなどして、丁寧に理解度を確認しながら進行するのが効果的です。
場合によりカメラオフで研修を実施することも想定されますが、このときもチャットによるコメントやリアクションボタンをフルに活用するよう事前説明するなど、参加者が積極的にコミュニケーションを取るように促すとよいでしょう。
事前にツールの使い方を学んでおく
オンライン研修の前には、講師側だけでなく受講生側にも事前に操作マニュアルを用意しておき、研修当日に必要な操作が分からないといった事態を防止すると良いでしょう。事前にツールの使い方や設定方法などを学んでおくと、研修中の時間を無駄にせずに済みます。
研修生によっては、Web会議ツールの扱いに慣れていない人がいる可能性もあるため、講師側がツール操作の分からない研修生に対して研修前にトレーニングする時間を設けたり、補助スタッフを用意して研修中個別に対応できる環境を整えるのも効果的です。
具体的には、カメラとマイクのON/OFFや背景変更のやり方、画面共有やリアクションボタンの使い方などを事前に案内しておくと良いでしょう。
時間に区切りを持たせる
オフラインの研修と違い、オンライン研修は参加している受講者の集中力が下がっていないか確認しにくくなります。
集中力が下がると研修の効果が落ちてしまいますので、1時間以上に及ぶ研修の場合は集中力を回復させる休憩時間を計画的に挟む、参加者同士に適度な会話をさせる時間を設けてリフレッシュさせるなど、集中力低下を防ぐ工夫が必要になります。
進行サポート役(オペレーター)を配置する
当日のオンライン研修時は、ツールに詳しい人を用意することでスムーズに進行できます。ディスカッションの場やチャットを使った質問タイムを設けた場合には特に、ツールの使い方がわからない人が出ることは予想するべきです。
また、不具合やイレギュラーが起こることも予想されます。その際に、サポート役やオペレーターがいることで、参加者が不安にならずに研修に集中できます。取り残される人を生むことがないよう、効率よく研修を進めましょう。
研修外でのコミュニケーションも大切
研修当日に画面上で初対面となるよりも、事前に交流をもっている方が参加者同士の不要な緊張感は生まれにくくなります。研修スタイルとしてワークやディスカッションが多い場合は、研修前に顔合わせをしておくことで、活発な意見交換ができ、研修がスムーズになるケースもあります。
また、研修後に参加者同士で情報や意見を交換するチャットルームを組んで、研修をきっかけに横のつながりが生まれたり、そこから派生して業務における創造的ななにかが生まれるということもあるようです。大前提として、横のつながりを大切にする企業風土を醸成しておくことが重要になります。
オンライン研修で注意する点
オンライン研修は便利な一方で、注意しなければいけない点もあります。以下で注意点を解説します。
受講者同士の関係構築
オンライン研修で多くのメンバーがカメラをオンにすると、画面上に映る複数人の表情に圧迫感を感じたり、緊張して発言しづらく感じてしまう研修生もいるかもしれません。
萎縮気味な研修生に対してはカメラオフを許可する、コメントなどのリアクションを積極的に取るといった対策を講じてコミュニケーションを図るよう促す方法もあります。また、研修の前にアイスブレイクの時間を設けて、緊張をほぐす工夫をするのも良いでしょう。グループディスカッションやロールプレイを行う際だけはカメラをオンにさせるなど、メリハリを付けるのもいいかもしれません。
ただし、リアルの研修のような緊張感を持たせる、参加者同士の関係性構築や、研修後の横の繋がりを作るためにも、基本は全員がカメラオンで参加するというルールにすることをおすすめします。
体を動かす実習型には不向き
オンライン研修はその特性上、座学やディスカッション、グループワークなどに向いています。逆に体を動かしたり、大掛かりな機材を扱い技術継承するような実習型の研修には向いていません。
オンライン研修の導入を検討する際には、自社で実施したい研修の内容が、オンラインで叶えられるかどうかを考えてみる必要があります。
オンライン研修で使うツール
オンライン研修では以下のようなツール、システムが必要となります。
・安定したインターネット環境
・デバイス(スマートフォン、タブレット、PC など)
・Web会議ツール(Microsoft Teams など)
さらに、音声や映像の解像度をあげることで研修に臨場感を持たせることができる、以下のようなツールもおすすめです。
・ヘッドセット、イヤホン など
・外付けのカメラ
まとめ
現在、企業はいわゆる With コロナ時代の只中にあり、研修も従来のやり方から急激に変化しました。オンライン研修にはメリットが多く、新型コロナウイルスの流行が落ち着いてからも、働き方改革推進などと相まって、企業への普及が続いていくことが予想されます。
実際にオンラインの研修を導入し実施するにあたっては、IT分野に強くない参加者も考慮し、研修参加前の事前案内や当日の積極的なコミュニケーションを促進する工夫、イレギュラーが起きた場合の対策などを準備して、実りあるオンライン研修にしましょう。
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