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DXを推進するアジャイル開発とは?メリットや採用すべき理由なども解説

DXを推進するアジャイル開発とは?メリットや採用すべき理由なども解説

2021年12月08日掲載(2024年08月15日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)をイメージ

多くのシステム開発者が、DXの推進にかかわるプロジェクトに難航しています。ここでは、DXを推進するシステム開発者に向け、DXとアジャイル開発の基本や、アジャイル開発がDXにおいて重要な理由などを解説します。アジャイル開発の具体例も紹介するため、参考にしてください。

目次

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DXとは

DX(Digital Transformation)とは、デジタル化や新技術の導入により、ビジネスに変革をもたらす活動です。ただ便利なITツールを導入するのみでは、DXとは呼べません。便利なツールを使いこなし、ビジネスや生活をよりよいものにしてこそDXが成功したといえます。

DXについては、こちらの記事も参考にしてください。
「デジタルトランスフォーメーションはなぜDXと略される?DXの意義や具体的事例まで紹介│KDDI まとめてオフィス」

DXの定義と目的

「デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン」では、経済産業省がDXについて定義しています。要約すると、DXとは「変動が激しいビジネスの世界において、ITツールやネットワーク技術・ビッグデータなどを活用し、競争上の優位性を確立すること」という意味です。

なお、「DX推進ガイドライン」は利用者視点から「デジタルガバナンス・コード」と統合することが望ましいとして、有識者の検討会を経て、令和4年9月「デジタルガバナンス・コード2.0」と改め公表されました。

経済産業省は、DXのもと積極的に最新技術を導入し、国内企業の成長を活発化させたいと考えています。

※参考:デジタルガバナンス・コード2.0

DXが必要な理由

DXが必要な理由は「2025年の崖」に備えるためです。2025年の崖とは「DXが停滞したことによる2025年以降の経済損失」を指します。経済損失の規模は1年あたり12兆円にもなり、早いうちに「レガシーシステムの刷新」が望まれます。

レガシーシステムとは、技術面で時代遅れとなったシステムを指します。レガシーシステムを新しいITツールに変更しなければ、魅力的なサービスや商品は生まれず、仕事効率も停滞しかねません。また、レガシーシステムにより業務内容の属人化も懸念されます。

※参考:DXレポート~ITシステム「2025年の壁」克服とDXの本格的な展開~

DXに向けて企業が取り組むべき内容

DXに向けて企業が取り組むべき内容を解説します。既存の業務内容を見直して現状の課題の確認を行い、適切な技術を導入しましょう。

業務内容の見直し

DX化には時間がかかるため、まずはDX化専任のチームを形成しましょう。本業の片手間にできるほど、DXは簡単なものではありません。チームで業務の棚卸を実施し、フローを整理して課題を抱えた業務を抽出しましょう。

業務上の課題には、DX化で解決できるものと、できないものがあります。たとえば、会議用に資料を印刷していた場合は、パソコンの画面でデータを閲覧するように切り替えると、会議の準備時間を削減可能です。数々の資料を電子データで保存すると、必要な資料を捜索する手間を省けます。

DXに役立つ技術の導入

DXに役立つ技術は、以下のとおりです。

5G
IoT
・クラウド
AI

5Gとは、高速かつ大容量、多端末の同時接続を可能とするデータ通信技術です。IoTやクラウドアプリケーションを快適に利用するためには、5Gが活躍します。また、AIは多くのデータを迅速に分析でき、状況判断や予測に役立ちます。このような最新の技術を組み合わせ、DXを成し遂げましょう。

ITに詳しい人材の獲得

DXの推進に向け、専門的な知識を持つ人が必要です。ITに詳しい人材がいなければ、DXの進行は困難です。また、マネジメント力をもつ人も獲得しましょう。これまで慣れ親しんだツールややり方を変えることは容易ではありません。周囲を巻き込んでDXを推進する人が望まれます。

アジャイル開発とは

アジャイル開発とは、機能単位で小さな開発サイクルを繰り返すスタイルです。開発サイクルは設計・開発・実装・テストという順番で構成され、1つのサイクルごとにクライアントのフィードバックをもらいます。また、アジャイル開発ではプロジェクトの基本機能から優先的に開発します。

アジャイル開発のメリット・デメリット

アジャイル開発の魅力は、速さと柔軟さです。アジャイル開発のメリット・デメリットを解説します。

メリット

アジャイル開発は、要件やスケジュールを詳細に決めないため、素早く開発に着手できます。また、柔軟な対応も可能です。機能単位で開発サイクルを回して都度クライアントからのフィードバックをもらいます。細かく修正しながら開発を進めていくため、プロジェクトの完了間際に大規模な修正が発生しません。

デメリット

アジャイル開発を進める際は、プロジェクトの方向性がブレないように注意しましょう。アジャイル開発は、打ちあわせのたびに要望が追加される可能性があるためです。また、アジャイル開発はマネジメントが困難です。機能単位でスケジュールを組むと、全体的なスケジュールがわかりにくくなります。また、クライアントの要望で方針が変われば、スケジュールの見直しを迫られます。

方向性のブレをなくしてプロジェクトをマネジメントするためには、アジャイル開発に適したプロジェクト管理ツールや、ドキュメント管理ツールを活用しましょう。

アジャイル開発とウォーターフォール開発の比較

従来のシステム開発は、ウォーターフォール開発が主流でした。アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いを解説します。

ウォーターフォール開発とは

ウォーターフォール開発とは、従来のシステム開発でおもに使われてきたスタイルです。ウォーターフォール開発の手法を、10個のステップで以下に示しました。

1.要件定義
2.外部設計
3.内部設計
4.プログラミング
5.機能単位ごとのテスト
6.各機能の結合状態のテスト
7.システムの総合的な状態のテスト
8.システムの試運転
9.システムのローンチ
10.運用後の状況を観察

ウォーターフォール開発は決められた順序にしたがって進み、基本的に後戻りはできません。したがって、最初の要件定義が重要です。

ウォーターフォール開発に向くプロジェクト

ウォーターフォール開発には、要件が明確なプロジェクトが向きます。途中からクライアントの希望が盛り込まれるプロジェクトでは、最終的に大幅な修正が発生する恐れがあります。たとえば、既存のシステムにあわせる開発には、ウォーターフォール開発を選びましょう。

アジャイル開発に向くプロジェクト

アジャイル開発には、新規サービスの開発が向いています。ユーザーや市場の反応が読めないプロジェクトでは、ミニマムな機能で素早くローンチして、随時新しい機能を追加しましょう。

アジャイル開発の種類

アジャイル開発の代表的な3種類について、特徴を紹介します。プロジェクトの内容により、適した進め方は変わります。

ユーザー機能駆動開発(FDD)

ユーザー機能駆動開発(FDD)は、クライアント目線の開発が可能です。ユーザー機能駆動開発では、クライアントのビジネスを見える化し、必要な機能を洗い出します。また、機能単位で短期間のローンチを繰り返すことで、都度クライアントの反応を盛り込みながらプロジェクトを進めます。

エクストリーム・プログラミング(XP)

エクストリーム・プログラミング(XP)とは、プログラマーや開発者を中心としたアジャイル開発です。エクストリーム・プログラミングでは、開発途中での仕様変更や追加を前提に「コミュニケーション・シンプル・フィードバック・勇気」という4つの要素を重視しています。

スクラム

スクラムはチーム体制が特徴的な、アジャイル開発でよく用いられがちな手法です。スクラムではチームのコミュニケーションが重要で、開発計画の立案から設計、テストまで実行します。チーム内のコミュニケーションがうまくいかなければ、プロジェクトが頓挫する恐れがあります。

【アジャイル開発の例】スクラムの進め方

スクラムは、以下の5つのステップで進められます。

1.スプリントプランニング
2.スプリント
3.デイリースクラム
4.スプリントレビュー
5.スプリントレトロスペクティブ

スプリントとは、機能単位で実施される「計画・設計・開発・テスト」のサイクルを指します。スプリントプランニングでは、メンバーがスクリプトの目標に応じて計画を立てます。スプリントは、およそ1カ月を目安に設定しましょう。あまりに長すぎると、スピーディーに開発できません。

デイリースクラムは、チーム間のコミュニケーションです。スプリントレビューは、クライアントも参加するレビューで、新しい要望が追加される場合もあります。

スプリントの最終ステップは、スプリントレトロスペクティブです。メンバーはスプリントの反省点を明確にして、以降のスプリントに活かします。

アジャイル開発でも要件定義書や設計書は重要

アジャイル開発でも「要件定義書」「基本設計書」「テスト結果報告書」などの書類は重要です。何も資料がなければ、途中でプロジェクトを引きつごうとしても説明に難航します。また、開発後に運用を続けるうちに、正しい仕様がわからなくなる場合もあります。

アジャイル開発の成功事例

鹿児島銀行のスマホ決済アプリ「Payどん」には、口座と連携させた「銀行口座支払い」と、自身でチャージする「電子マネー」の機能があります。

Payどん」はローンチする予定が決まっていたため、開発スケジュールには余裕がありませんでした。そこで、スピーディーに開発を進めるアジャイル開発を採用したところ、重要な機能を優先して開発でき、問題なくシステムをローンチできました。

※参考:スマホ決済アプリ『Payどん』│Monstarlab

DXにアジャイル開発を採用すべき理由

アジャイル開発のスピーディーさと柔軟さに注目し、DXにアジャイル開発を採用すべき理由を紹介します。

DXは柔軟な対応が求められるプロジェクトであるため

DXは試行錯誤を繰り返して進めるため、実際に手を動かしてみてわかることが多いものです。また、新しい技術や、現場やユーザーの意見を柔軟に取り入れることで、DXの効果を高められます。課題の抽出から試作の検証までを高頻度で繰り返すアジャイル開発であれば、スピーディーにDXを進められます。

優先順位の高い機能から取り組めるため

アジャイル開発は機能単位でシステムを開発できるため、優先順位の高い機能から取り組めます。最低限の機能がそろった状態でローンチすると、顧客や市場の対応をプロジェクトに反映可能です。システムが完成した状態でローンチするウォーターフォール開発と比べると、アジャイル開発はより世間のニーズにあうシステムを開発できます。

まとめ

変化が激しいビジネスの世界で優位に立つには、DXへの取り組みが欠かせません。柔軟性が高くスピーディーな進行が可能なアジャイル開発で、DXを進めましょう。

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