働き方改革で週休2日を実現するには?建設業界が取り組むべきポイントを解説
働き方改革の推進により、週休2日制は、どのような業界であっても実現させなければなりません。建設業界ではこれまでに、週休2日制を導入していない企業が多いため、社内の労働環境改善を検討している経営者や担当者は苦慮しているのではないでしょうか。今回は、週休2日制の基本から、実現に向けて取り組むべきことを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
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週休2日制とは?
週休2日制とは、毎週2日間の休みがあるわけではありません。週に2日の休みが月に1回以上あり、毎週の休みが1日以上ある勤務形態が週休2日制です。ここでは、週休2日制の始まりや完全週休2日制との違いなどを解説します。
週休2日制の始まり
週休2日制を初めて導入したのは、現在のパナソニック株式会社であり、有名な松下幸之助が創業した「松下電器産業株式会社」です。1965年に週休2日制を導入しました。週休2日制導入の目的は、仕事の生産性を高めることであり、「1日休養、1日教養」の達成です。
他企業では、1980年代になってから、週休2日制の導入が始まっています。1987年に労働基準法が「週48時間制」から、「週40時間制」に改定されたことが大きな要因です。
週休2日制と完全週休2日制の違い
週休2日制と、完全週休2日制を混同している人も少なくありません。この2つの制度は名称が似ているだけで内容は全く異なります。まず、週休2日制ですが、先程も少しふれたように、1カ月の中で1週でも2日の休みがある制度です。
完全週休2日制は、毎週必ず2日間の休みがあります。例えば、カレンダーとおりに土日祝日が休みなら完全週休2日制です。平日7時間労働で、第2と第4土曜日は半日出勤であれば、週休2日制となります。
週休2日制を導入している企業割合
厚生労働省が公表している「令和3年就労条件総合調査 結果の概況 労働時間制度」によると、完全週休2日制を含んだ、週休2日制を導入している企業は83.5%です。この中で、完全週休2日制を導入している企業は48.4%にとどまっています。企業規模が大きいほど、従業員の休日が多い結果となっています。
建設業界でも働き方改革により週休2日制が推進されている
建設業界は、これまでの慣習により週休2日制の導入が遅れているといわれている業界です。労働時間に対する法規が年々厳しくなっていくなか、人出不足という課題を抱えている建設業界であっても、法規に対応する動きが広まりつつあります。
労働時間の上限規制
働き方改革関連法が施行されていく中で、2019年4月には改正労働基準法の施行が始まりました。中小企業は、2020年4月から労働時間の上限が規制され、違反した企業には罰則が科されることになっています。
だたし、業種によっては、労働時間の上限規制に猶予が与えられているケースもあり、その中の1つが建設業です。建設業界では、長時間労働が常態化しているという背景から、2024年4月まで施行の猶予が与えられています。
週休2日制の導入
建設業界では、2024年まで労働時間の上限規制の猶予がありますが、できるだけ早く労働環境の改善に取り組まなければなりません。
日建連(一般社団法人日本建設業連合会)では、建設業界において週休2日制を導入するための基本方針を策定し、具体的な方策として、週休2日実現行動計画を立てました。行動計画の基本的なフレームに沿って活動し、2023年度末までに4週8閉所の実現を目指しています。
建設業界の働き方改革で週休2日制を導入する理由
建設業界が、働き方改革を推進し週休2日制を導入するには、法改正以外にも理由があります。日本全体で高齢化が進む中で、建設業界の高齢化は深刻な状況です。次世代を担う若者を確保するためには、労働環境の改善を急がなければなりません。
若年層が建設業界への就職を避ける大きな要因は、3K(きつい、汚い、危険)といわれるイメージが定着しているからといわれています。実際には、現在の建設業界はデジタル化の推進や高性能な作業服の開発も進んでいます。週休2日制を導入して労働環境を変えることは、3Kのイメージを払拭させるために重要な課題です。
建設業界の休日取得状況
建設業界の休日取得状況は、日建連の「週休二日実現行動計画2021年度通期 フォローアップ報告書」の閉所状況などで判断できます。報告書によると、2021年4月~2022年3月の閉所状況は、土日閉所を基本とした作業所の割合が78.6%にまで改善しています。
全事業所では、4週8閉所以上は 37.9%でした。前年度と比較すると4%も改善されていて、週休2日制の導入が進んでいることを裏付けています。
参考:週休二日実現行動計画 2021 年度通期 フォローアップ報告書
週休2日制を導入する上での課題
建設業で週休2日制を導入するためには、さまざまな課題を解決する必要があります。
まず課題となるのは、工期です。休みが増えれば、その分工期が長くなります。
工期が長くなることで、リース機械のリース期間も長くなる等、経費の増加が想定されます。従業員目線では「工期を延ばさないためのしわ寄せがくるのでは」といった懸念もあります。
また、日給で働く技能者の収入減も大きな課題です。勤務日数が減るということは、収入が減るということになります。
働き方改革で週休2日制を実現するために取り組むべきこと
働き方改革を推進し、週休2日制を実現するためには、取り組むべき事項があります。適切な工期の設定や、請負代金の勘定科目の見直し、給与形態の見直し、IT技術の導入による生産性向上などです。ここでは、それぞれの項目について解説します。
適切な工期を設定
建設業界で週休2日制を導入すれば、従業員の勤務日数が減少するため、工期へのしわ寄せが予想されます。工期のしわ寄せは、労働環境の悪化だけでなく、仕事のクオリティを下げることにもなりかねません。そういった事態に陥らないために、あらかじめ週休2日制を前提とした工期を組む必要があります。
働き方改革関連法により、建設業界でも、2020年10⽉に「改正建設業法」で「⼯期に関する基準」が制定されています。著しく短い工期での請負契約の締結は禁止されているため、建設業者は、適正な工期で見積もりを出すことができます。
請負代金に経費を反映
週休2日制を導入すれば、比例して工期が長くなります。重機や建設機械のリース代や人件費などの経費増加分は、見積書や請負代金に反映させることが大事です。これまでと同じ請負金額であれば、経費があがり利益が圧縮されるため、会社のキャッシュフローが悪くなります。必要な経費を請求できるように、発注者や施主、元請けなどに説明できる知識も必要です。
給与形態の見直し
週休2日制を導入することにより、日給で働く技能者の収入が減ってしまうと、人材の確保がむずかしくなってきます。収入減の解決策としては、雇用形態の見直しが挙げられます。しかし、雇用形態の変更には課題が多く時間もかかります。
そこで、まずは週休2日制を導入しても技能者の収入が減らない対策を講じましょう。雇用形態見直しの期間中は、労務単価を引き上げる等、収入減を補う取り組みが有効です。
IT技術の導入による生産性向上
労働時間の短縮や、人員不足への対策として期待されているのが、IT技術の導入です。たとえば、事務所にいながら、作業現場の重機や建設機械を操作できる技術を導入している企業もあります。他にも、様々な技術が日々進化しています。こうしたIT技術により、生産性を向上させることが可能です。
まとめ
建設業界は、2024年4月までに、改正労働基準法で定められた労働時間の上限を守る労働環境を整えなければなりません。改正法には罰則規定もあり、違反している企業には厳しい罰が科されます。
また、建設業界の高齢化も深刻な状況であり、労働環境の改善は建設業界にとって不可欠な問題です。週休2日制を導入することで、若年層の建設業界に対するイメージを変えていくことも重要です。
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