実践したい働き方改革の事例5選|テレワークの推進や福利厚生の充実、フリーアドレス導入など
2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されました。しかし、「働き方改革のメリットがわからない」「何から取り組めばいいかわからない」などと悩む企業も多いのではないでしょうか。この記事では、働き方改革に取り組む企業担当者に向けて、企業が働き方改革に取り組むメリット、成功のカギとなる5つの施策、成功事例などを解説します。自社施策の参考にしてください。
目次
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働き方改革とは?
ここでは働き方改革の「3本柱」と呼ばれる、3つの重要ポイントを解説します。
1.長時間労働の是正
働き方改革では長時間労働の是正のために、労働時間法制が見直されました。具体的には、残業時間の上限が原則として月45時間・年360時間に定められています。企業側には、労働時間を客観的に把握することも義務付けられました。また、企業は6カ月以上雇用しており、全労働日の8割以上出勤している労働者に対して、年5日の年次有給休暇を取得させなければなりません。
参考:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~|厚生労働省
2.多様で柔軟な働き方の実現
働き方改革では、労働者がそれぞれの事情に応じて多様な働き方を選択できるような労働環境を推進しています。そのため、労働時間の調整可能な期間 (清算期間) が1カ月から3カ月に延長されました。また、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方として、テレワーク※も推奨しています。
※テレワークの定義 = 情報通信技術 (ICT=Information and Communication Technology) を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方
3.雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
正社員 (無期雇用でフルタイムの労働者) と、非正規社員 (パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者など) の不合理な待遇差を解消することも、働き方改革の大きな目標です。その実現のために、同一労働同一賃金のガイドラインの策定、待遇差に対する企業の説明義務の強化、トラブルが発生した際の裁判外紛争解決手続 (行政ADR) の規定の整備などを挙げています。
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働き方改革が必要な背景
働き方改革関連法案が施行された最も大きな要因は、少子高齢化による「労働力不足」です。働き手を獲得することが今後ますます困難になるため、企業はテレワークや短時間勤務制度などを導入し、多様な働き方を実現することで、雇用可能な対象者を増やし、今いる従業員の離職防止に努める必要があります。
また、企業活動における従業員の長時間労働には、健康を損なうリスクが存在しています。そして正社員と非正規社員の雇用形態格差も深刻な問題です。働き方改革関連法案では、これらの問題に対して、法で規制する対策を取っています。
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企業が働き方改革に取り組む5つのメリット
ここでは、企業側の視点から働き方改革を推進する5つのメリットを解説します。
1.業績向上のサイクルが生まれる
働き方改革を推進すれば、従業員にとって働きやすい職場環境が整います。働きやすい環境があることを人事採用時にアピールできれば、その結果、「採用活動がスムーズになる→優秀な人材を確保できる→業績向上」という企業全体の好循環が期待できるでしょう。
現在の求職者は、福利厚生の手厚さやテレワークなど、柔軟に働ける環境の充実を重視しています。したがって、優秀な人材を確保し企業の業績を一層伸ばす策としても、働き方改革への取り組みは欠かせないでしょう。
2.多様な人材活用で人手不足を解消できた事例が多い
育児・介護中の人や、地方(遠隔地)在住者など、多様な人材を活用して人手不足を解消できた事例は多くあります。そのためには、テレワーク制度の導入や、Web会議ツールなどのIT活用がポイントとなります。プライベートな事情にあわせた働きやすい環境を整えることで、従業員の満足度は向上し、離職率改善と、人材の長期定着化につながります。
3.従業員のパフォーマンスアップ
長時間労働や待遇の格差などが是正されると、従業員のモチベーションが高まりパフォーマンスが向上します。旅行やレジャー、食事支援サービスなどの福利厚生を充実させたり、自己啓発のためのeラーニングなど人材育成メニューを強化したりするのも有効な施策です。
4.働き方改革推進支援助成金を活用できる(中小企業)
中小企業は国の「働き方改革推進支援助成金」制度を活用することが可能です。制度には、以下の4つのコースがあります。
コース | 概要 |
---|---|
労働時間短縮・年休促進支援コース |
長時間労働是正への取り組みを支援 |
勤務間インターバル導入コース |
従業員の健康保持や過重労働防止の整備、強化を支援 |
労働時間適正管理推進コース |
労務や労働時間の適切な管理を支援 |
団体推進コース |
中小事業主の団体の労働条件改善と賃金引き上げを支援 |
5.働き方改革はDX推進にもつながる
働き方改革への取り組みが、結果的にDX推進につながるケースもあります。DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、ITやICT(情報通信技術)を活用し、ビジネス環境の変化に対応することで、企業の競争優位性を確立することを意味します。
クラウドツールなどのIT技術の導入・活用は、企業にとって単に働き方改革の推進に留まりません。テレワークをはじめとした柔軟な働き方の提供が可能となれば、今までにない多様な人材を獲得することが期待でき、新たなアイディアの創出、ビジネスモデルの発見といった、DX推進につながる可能性も秘めています。特に、老朽化した基幹システムを運用している企業や、オフィスの移転を計画している企業などは、抜本的なシステムの刷新によって、働き方改革とDXを同時に推進する大きなチャンスと捉えていいでしょう。
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働き方改革推進のカギとなる5つの施策
ここでは、働き方改革を推進するカギとなる、ICTの活用・福利厚生の充実・オフィス環境の見直しなど5つの具体策を解説します。
1.テレワークの導入・推進
テレワークには自宅で働く「在宅勤務(リモートワーク)」、サテライトオフィス・カフェ・出張先などで働く「モバイルワーク」があります。また、出社型勤務とテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」も、昨今一般的になってきました。企業は自社にあったテレワークのスタイルを模索し、導入や改善を試みています。
2.作業時間の削減事例が多いスマートデバイス×クラウド
「スマートデバイス×クラウド」によって、書類の保管 / 閲覧 / 作成 / 編集・スケジュール管理・タイムリーな連絡など、多くの業務を効率化できます。スマートデバイスとはスマートフォンやタブレットなどの機器、クラウドとはMicrosoft 365やGoogle Workspace ™ などのクラウド型のITツールです。これらを組み合わせて活用することで、従来オフィス以外では難しかった業務フローをオフィスの外でも実行可能にし、資料の共同編集や複数人のスケジュールを一括で確認、調整するなど、作業効率を各段に向上させることができます。長時間労働是正や多様な働き方を推進するために有効な手段です。
3.フレックスタイム制・短時間勤務制度などの導入
通勤ラッシュの回避や、育児・介護などの事情にあわせやすいなどの理由で、フレックスタイム制・短時間勤務制度を導入する企業が増えています。これらは働き方改革が掲げている「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の向上にも役立ちます。
ただし、さまざまな勤務体系が混在するため、勤怠管理者はその運用が複雑になります。勤怠管理の仕方や、運用負荷を軽減するツールの導入を検討するなどの、対策も必要です。
4.福利厚生の充実(育児休暇や教育メニューなど)
育児休暇制度・レジャーの優待・eラーニングなどの福利厚生を充実させることで、従業員のワーク・ライフ・バランスの向上に寄与します。結果として従業員エンゲージメントや生産性の向上も期待できます。
しかし、福利厚生の充実を図ったことで、担当者の負担が増える、想像以上にコストがかさむ、というケースも少なくありません。また、近年では箱もの (住宅費補助や保養所の利用) の福利厚生よりも、自身のスキルアップや、身近なところで優待や割引が利用できる福利厚生が従業員の人気を集めています。運用者の人的リソースに懸念がある場合や、コストを抑えた福利厚生の導入を望む場合、「アウトソーシング型の福利厚生」という手段も検討することをおすすめします。
5.オフィス環境の見直しも働き方改革の一環
オフィス環境改善によって、長時間労働につながる非効率な働き方や、作業場所などの問題を、解決できるケースもあります。働き方改革をきっかけにオフィスのあり方を検討・再構築し、自社の生産性を最大限発揮できる次世代型オフィスデザインに刷新する企業も増えています。
例えば、固定席を持たないフリーアドレスは、ハイブリッドワークで出社人員が入れ替わる職場や、営業メンバーが多く、普段空席が目立つ場合に適したオフィス形態です。ほかにも、軽い相談をするためのスペース、創造的にアイディアを出し合うためのスペース、Web会議や考え事、作業に集中するためのスペース、リフレッシュするためのスペースと、目的により場所を選択できる空間設計 (ABW (Activity Based Working))を取り入れる場合もあります。
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働き方改革推進の成功事例5選
ここでは、先に解説した働き方改革推進のカギとなる施策を実行して結果を出した企業事例を、5つご紹介します。
オープンリソース株式会社|コロナ禍をきっかけにテレワーク強化
企業のシステム開発・運用などを請け負うオープンリソース株式会社は、以前から時短勤務者向けにテレワークを活用していましたが、コロナ禍で状況が一変し、全社導入に踏み切る決断をします。
そこで課題となった従業員間のコミュニケ―ションを解決するために採用したのが、テレワークに適したコミュニケーション基盤を整えられるクラウド型ツール「Microsoft 365 with KDDI」です。
チャットによるライトな会話が増えたことでチームワークが向上し、属人化していたノウハウの共有にもつながったということです。
詳しく見る:働き方の多様化を目指して「Microsoft 365 with KDDI」を導入。円滑な業務進行が可能に|オープンリソース株式会社様
小城市|タブレット×クラウドで業務効率アップ
佐賀県小城市はペーパーレス化とインターネット利用環境の改善を目的に、セルラーモデルのタブレットと、クラウド型ツール「Google Workspace (TM)」を導入しました。
この組み合わせによって、紙の使用がなくなり、印刷コストの約80%をカットできました。また、タブレットを使って確定申告会場で案内をしたり、Webでのワクチン接種予約を市民とともに完了させたりと、住民への行政サービスの質も上がりました。
基幹系ネットワークと独立したインターネットの両方を使えるため、テレワークや災害時の業務継続にも役立っています。
詳しく見る:タブレットで気軽にインターネットアクセス、クラウド活用で業務効率も向上。|小城市様
広島県庁|LTEパソコン(PC)1台でフレキシブルな働き方を実現
広島県庁は働き方改革と災害時のBCP対策を推進するために、7,000台のPCを「LTE対応パソコン」に更新しました。BCPとは、事業継続計画を意味する「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、災害などの緊急事態でも企業や団体が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画を指します。
ハード面から整備することでテレワーク導入は迅速に進み、庁内でも自宅でも仕事が可能になりました。また、災害時にPCを携帯して、きめ細かな指導ができる体制も整いました。
詳しく見る:「LTE対応パソコン」一台で、庁内でも自宅でも仕事が可能に。災害時の業務継続と、働き方改革に貢献。|広島県庁様
シャノン|アウトソーシングで福利厚生を充実
統合型マーケティング支援システム提供会社のシャノンは、従業員エンゲージメント向上を目的に、全従業員が利用できる福利厚生サービスの充実を図りました。映画館やレジャー、スポーツジムなど多彩なメニューを用意するとともに、各種のキャンペーンも随時企画しています。
手厚い福利厚生の運営は手間がかかりますが、「まとめて福利厚生」を導入することで、基本的には利用状況をチェックするだけで済んでいます。eラーニング研修メニューも充実しており、従業員の能力開発も進む効果も見られています。
詳しく見る:充実のeラーニングと、豊富な福利厚生で社員エンゲージメントを向上。|株式会社シャノン様
プロパティエージェント株式会社|フリーアドレスでオフィス環境を改善
デジタルと不動産で顧客の価値を創造しているプロパティエージェント株式会社は、社内用スマホの導入を検討していましたが、録音や発信番号規制ができないことから計画を断念していたと言います。
しかし、KDDI まとめてオフィスが提案したPBXと専用機器を経由して通信するシステムによって、固定電話に縛られなくなり、フリーアドレスへの移行も容易になりました。同社は組織再編が多く、レイアウト変更の手間とコストが大きいものでしたが、今ではLANケーブルを挿し直すだけで完了します。
詳しく見る:音声通話から、クラウドまで、不動産業務に最適なIT環境を実現|プロパティエージェント株式会社様
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まとめ
働き方改革を進めていくためには、ICTを活用した業務システムの構築や、環境整備、テレワークやハイブリッドワークなど、自社に適したオフィス環境のあり方の検討、福利厚生の充実など、さまざまな取り組みが必要となります。
KDDI まとめてオフィスでは、長年培った高品質でセキュアな通信を軸に、スマホ・PCなどのデバイスと、クラウド・セキュリティなどのITソリューションで、お客さまの課題を解決します。また、福利厚生のアウトソーシングや健康経営の一助となる従業員の食事補助、オフィスに必要な什器・備品、オフィスの移転など、あらゆるサービス・商品をワンストップでご提供しています。
働き方改革や新しいワークスタイルに対応し、労働生産性向上を目指す企業さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。