働き方改革や人材不足といった事情から、現代では業務システムのクラウド化が進んでいます。この記事では、クラウドサーバーのコストやオンプレミスとの違い、クラウド化にかかるコストの削減方法、クラウドのメリット・デメリットを解説します。この記事を読んでクラウド化にお役立てください。
目次
クラウドサービスの活用・導入にお悩みなら、KDDI まとめてオフィスにおまかせください
クラウドサーバーの運用コスト
クラウド化を進めるためには、クラウドサーバーの基本を押さえておくことが大切です。そこで、クラウドサーバーの概要や運用コストの目安を解説します。
クラウドサーバーとは
クラウドサーバーとは、オンライン上に置かれた仮想のサーバーのことです。ユーザーはクラウドサーバーにログインするだけで、保存されたデータやシステムへアクセスできます。パソコンさえあればいつでもどこでも利用でき、利便性が高いのがクラウドサーバーの特徴です。
総務省の「令和2年版情報通信白書」によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業は国内における全体の64.7%を占めます。前年度の58.7%という結果から6.0%も増加しており、クラウドサーバーの利用が広まりつつあることがわかります。また、クラウドサービスを利用した企業のうち85.5%が「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」と回答しています。
企業におけるクラウドサービスの利用動向|令和2年版 情報通信白書|総務省
クラウドサーバーのコストの目安
クラウドサーバーのコストは、たとえば361円/1hの従量課金制というように、使った分だけ料金が発生するタイプが主流です。クラウドのサービスのなかには、月額500円から利用できる低価格タイプもあります。
社内のクラウド化を実行する場合は、システム移行の人件費といったコストも考慮しなければなりません。クラウドサーバーの利用にあたって新たなシステムの構築が必要となれば、その構築費用も発生します。
クラウドとオンプレミスの比較
クラウドと比較されることが多いのがオンプレミスです。それぞれの違いについて解説します。
オンプレミスとは
オンプレミスとは、自社運用のサーバーのことです。ハードウェアの購入をはじめとする初期費用が高額になりやすいというデメリットがあります。
目安としては200万円程度から導入できるものの、リスク回避のためには500万円以上かかる可能性があります。一方、ランニングコストはクラウドサーバーと比較しても抑えやすい点がメリットです。
クラウドとオンプレミスとのコストの違い
クラウドとオンプレミスでは、コストが発生する要因やタイミングが異なります。クラウドのコストは主に継続的なサーバーの使用料金ですが、オンプレミスの主なコストは初めにかかるハードウェアの調達費用です。クラウドとオンプレミスは単純なコスト比較が難しいため、長期的な視点で比べることが大切です。
クラウドサーバーのコストを削減する方法
クラウドサーバーは、使い方によってコストを削減できます。主なコストの削減法を3つ解説します。
必要な分だけ使う
使った分だけ支払う仕組みのクラウドでは、費用を節約するためには必要な分だけ使用することが大切です。たとえば、日中にしか使わないシステムは、夜間は使用しない設定にすると半日分の節約ができます。クラウドは大きな手間をかけずに設定を最適化できるため、こまめに設定変更を行い、無駄な使用を削減しましょう。
予算を設定する
クラウドを利用する際は、予算設定が大切です。使った分だけ支払うクラウドで予算を決めずに使っていると、いつの間にか予想以上に高額の料金が発生するリスクもあります。
クラウドサービスのなかには、予算を設定する機能が付いた製品もあります。毎月きちんと予算を設定し、日々の使用可能量を守った運用を続けることで、クラウドサーバーのコストを節約できます。
クラウドネイティブ技術を導入する
クラウドネイティブとは、クラウド上で動かすことを前提としたシステムのことです。クラウドネイティブによるシステムの自動化などを活用すれば、クラウドのソフトウェア運用にかかるコスト削減につながります。クラウドネイティブの例にはCI/CDやサーバーレスなどがあります。
CI/CDとは「Continuous Integration/Continuous Delivery」の略です。システムやアプリケーションの変更について、常に自動でテストするシステム運用の手法をいいます。サーバーレスとは、サーバー管理の必要なくアプリケーションを構築、実行できるような概念です。
クラウドのメリット
ここでは、クラウドを利用する4つのメリットを解説します。
導入が容易
クラウドは導入が容易でスピーディです。サービスによっては申込が完了した直後から利用可能なものもあり、導入が決まればすぐに使える点が魅力と言えます。
また、無料試用期間を設けているクラウドサービスもあり、導入後のイメージがしやすいため申込を決断しやすいこともメリットです。契約後のサポートを行なっているサービス運営会社もあるため、運用に際してトラブルが発生した場合も安心感があります。
費用を抑えやすい
クラウドを利用するためには、物理的な機器の導入が必要ありません。サーバー機器、回線、設定費用などの初期投資が不要なことはクラウドの大きなメリットと言えます。また、自社でサーバーを持っていると管理のための人件費が発生しますが、クラウドサーバーは不要です。
どこでもサービスが利用できる
自社サーバーではアクセス環境が限定され、場所や時間によっては利用できない場合があります。クラウドはインターネットが利用できる環境があれば、場所や時間を問わずアクセスが可能です。近年では働き方改革やコロナ禍によってリモートワークが普及しましたが、クラウドはリモートワークとも相性がよく、柔軟な働き方を可能にします。
サーバーの運用管理が不要
自社のサーバーでは運営や管理に人手が必要となりますが、クラウドサービスを利用する場合はクラウドの運営会社が運用管理を行います。セキュリティやサーバーの安定においても、専門の運営会社が管理を行っているため安心です。ソフトウェアやアプリケーションのアップデートも原則として運営会社の役割なので、ユーザーは運用管理の負担が減らせます。
クラウドのデメリット
次に、クラウドを利用する前に押さえておきたい2つのデメリットを解説します。
知識と技術が必要となる
クラウドは利用企業が増えている反面、まだまだ使いこなせる人材が多いとは言えません。クラウドを最大限活用するには、知識や技術が必要となります。クラウドをはじめとした科学技術は日々進歩しており、最先端技術の活用には絶え間ない勉強が必要です。知識や技術がないままクラウドを導入すると、使い方がわからず無駄なコストを発生させてしまう可能性があります。
通信コストが増加する
企業がクラウドを導入すると、従業員の多くが仕事のためにデータ利用をすることになります。企業全体でデータ利用の機会が増えると予想以上に通信量が大きくなり、通信コストが高額になる可能性があります。クラウドを導入する際は、データ通信量についてもあらかじめシミュレーションしておくと安心です。
クラウドサービスを選ぶポイント
クラウドサービスを適当に選んでしまうと、狙った効果を得られないおそれがあります。ここでは、クラウドサービスを選ぶ際のポイントを4つ解説します。
既存システムとの連携
クラウドサービスを選ぶうえでは、自社の既存システムとの連携ができるかが大きなポイントです。企業には業務で使用するシステムが複数構築されています。
クラウドサービスによっては企業の既存のシステムとの相性が悪く、連携が不可能な場合もあります。また、連携可能な場合でも、連携にどのくらいの手間や費用がかかるのかあらかじめ確認しておくことが大切です。
クラウドの拡張性
クラウドシステムは、構築後でも適宜拡張が必要です。クラウドを選ぶ際には、システムを柔軟に拡張できる仕様のサービスを選ぶのがおすすめです。拡張性が低いものを選んでしまうと、使いづらいという理由でシステムが次第に使われなくなるおそれもあります。
クラウドのセキュリティ
インターネット上には悪意のあるユーザーもいます。クラウドで情報などを保管する際は、サイバー攻撃への対策がしっかりしているサービスを選ぶことが大切です。
サービス提供会社によっては、セキュリティ対策を強化するオプションも提供しています。情報の漏えいは結果として多大なコストの発生につながることも考えられるため、費用がかかってもセキュリティが堅牢なサービスを選ぶのがおすすめです。
クラウドのランニングコスト
クラウドサービスのコストは毎月継続的に発生するため、あまりに費用が高いサービスでは使い続けるのが困難です。一方、安価なサービスでは内容が充実していないおそれもあり、価格が安ければ良いというものでもありません。クラウドサービスを選ぶ際は、コストとパフォーマンスのバランスを考えることが大切です。
まとめ
クラウドの利用は初期費用が安く済み、自社でのサーバー管理も必要なく、インターネット環境さえあればいつでもどこでもアクセスできるなど多くのメリットがあります。一方、ランニングコストがかかり、クラウドの知識や技術が必要となるなどのデメリットもあります。
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