クラウドプロキシとは?仕組みや導入するメリット・デメリットを解説
SaaSの普及にともなってネットワーク負荷が問題となっており、クラウドプロキシが注目を集めています。クラウドプロキシの導入で、さまざまなメリットが感じられる一方、デメリットもあるため注意が必要です。この記事では、クラウドプロキシの仕組みやメリット・デメリットなどを解説します。利用する際の注意点も解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
プロキシとは
プロキシとは、英語で「Proxy」と表記されるもので、日本語に訳すと「代理」です。ITの分野では、ネットワークの内部から外部へのアクセスを代理で行うシステムを指し、プロキシサーバーとも呼ばれています。
プロキシを使用すると、プロキシが代わりにサイトにアクセスすることになるため、企業の端末が直接外部にアクセスすることを防げます。そのため、セキュリティの強化につながるとして、企業で利用されるケースも増えています。
プロキシは4種類
プロキシには種類があり、大きく4種類に分けられます。ここでは、各プロキシについて解説します。
1.フォワードプロキシ
フォワードプロキシは、一般的なプロキシです。プロキシやプロキシサーバーという場合には、フォワードプロキシを表しているケースが多いです。一般的にはクライアント側に設置されるもので、クライアントの要求を中継しインターネットに接続します。クライアントの代わりになるため、セキュリティ対策にもつながります。
2.リバースプロキシ
リバースプロキシとは、フォワードプロキシとは逆で、クライアント側ではなくサーバー側に設置します。自社のWebサーバーにアクセスしてくる通信を制御するために用いるもので、Webサーバーへのリクエストを代わりに受信します。Webサーバーにアクセスする際の窓口のようなものだとイメージするとよいでしょう。
リバースプロキシにはセキュリティ機能を備えているものもあり、不正アクセスからサーバーを守ることができます。
3.キャッシュサーバー
キャッシュサーバーとは、動画や画像などのコンテンツを保持できるサーバーです。動画などのコンテンツを保持しておくことで、次に同じサイトにアクセスするときに、キャッシュサーバーが代理でサイト情報の返信を行います。
同じ動画や画像といった情報を再度ダウンロードすると時間がかかってしまいますが、キャッシュサーバーに保持しておくことで、動画や画像などをダウンロードする時間が短縮されるメリットがあります。また、サーバーへの負担を軽くすることも可能です。
4.透過型プロキシ
透過型プロキシとは、社内ネットワークの出入り口でプロキシのアドレスを設定するものです。通常のプロキシの場合には、クライアントPCのそれぞれのブラウザで設定するため、手間や管理コストがかかってしまいます。一方、透過型プロキシの場合には、社内ネットワークの出入り口だけに設定するため、設定の手間や管理コストの軽減などにつながります。
また、透過型プロキシはユーザー側で迂回路が作れないため、セキュリティが高いことも特徴です。
セキュリティ対策やITソリューションについて相談する方はこちら
クラウドプロキシとは
クラウドプロキシとは、その名のとおりクラウド上にプロキシがあるものです。自社で設置するオンプレミスタイプのプロキシよりも、通信速度が低下しにくい特徴があり、利用する企業も増加傾向にあります。
クラウドプロキシでは、社内だけでなく社外でもプロキシを活用することが可能です。社外での通信セキュリティ対策としても有効です。サテライトオフィスやテレワークでも、社内と同等のセキュリティを確保できるため、働き方改革推進やコロナ禍の影響でますます企業のセキュリティ対策として普及が進んでいるプロキシです。
クラウドプロキシの仕組み
クラウドプロキシはどのような仕組みなのでしょうか。ここでは、クラウドプロキシの仕組みを解説します。
1.クライアントPCがWebサイトをリクエストする
2.クラウドプロキシがリクエストを受け取って、Webサイトでリクエストを送る
3.Webサイトがリクエストに対応したページをクラウドプロキシに返信する
4.返信されたページをクラウドプロキシがクライアントのPCへ渡す
5.クライアントPCにページが表示される
クラウドプロキシがない場合、リクエストを受けたWebサイトのサーバー上にクライアントのPCからアクセスしたというデータが残りますが、クラウドプロキシがあれば情報が残りません。
クラウドプロキシが注目されている背景
クラウドプロキシが注目される理由の1つが、SaaSの普及です。文書作成やメールの作成、送受信などをクラウド上で行う企業が増えたことからセキュリティリスクが高まっており、セキュリティ対策にもなるクラウドプロキシが注目されています。
また、テレワークを導入する企業も増え、情報漏洩リスクなども高まっています。従来型のプロキシはテレワークでは使用できないため、社外でも利用できるクラウドプロキシを導入する企業が増えているようです。
セキュリティ対策やITソリューションについて相談する方はこちら
クラウドプロキシを導入するメリット
クラウドプロキシを導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、6つのメリットを解説します。
1.アクセスログを残せる
クラウドプロキシを導入することで、サーバーにアクセスログを残すことができます。そのため、クライアントPCが、どのようなサイトにいつどこからアクセスしたのかの把握が可能です。従業員が業務に関わりのないWebサイトにアクセスしていないかなどをチェックできるため、テレワークなどの上司の目が届かない場合でも安心です。
また、アクセスログはサイバー攻撃を受けたときにも役立ちます。ログ解析により、不正アクセスの特定や被害状況の把握などがスムーズに行えます。
2.匿名性を担保できる
クラウドプロキシを導入することで、匿名性の確保につながります。プロキシはブラウザから直接Webサイトにアクセスする必要がありません。プロキシが代理でWebサイトにアクセスして、必要なページを表示してくれるため、アクセス元のクライアントPCが特定されにくくなります。
Webサイトの運営者に対して匿名性を確保できるため、悪意あるWebサイトの運営者から影響を受けることがなく、情報の抜き取りなどを防げます。
3.アクセス制限ができる
クラウドプロキシでは、URLのフィルタリングが可能です。そのため、業務に必要ではないWebサイトへのアクセスや、不適切なサイトなどへのアクセスの制限も行えます。不正サイトへのアクセス制限などもでき、セキュリティ強化につながります。
4.画面表示がスピーディになる
クラウドプロキシには、キャッシュ機能があります。キャッシュ機能とは閲覧したサイトのデータ(画像やテキストデータなど)を一時的に保管しておく機能です。キャッシュ機能があることで、過去にアクセスしたサイトなどがスピーディに表示されるようになり、ストレスがありません。
通常、クライアントPCから直接Webサイトにアクセスした場合には、Webページの動画や画像、テキストデータなどをその都度受信することになり、表示まで時間がかかってしまいます。しかし、クラウドプロキシのキャッシュ機能ではサイトのデータを一時的に保管しています。
そのため、サイトにアクセスして再度情報をやり取りする必要がなく、プロキシが保管している情報をすぐクライアントPCに返せるため、Webサイト表示の高速化が可能です。
5.ウイルスチェックが可能
クラウドプロキシには、ウイルスチェック機能もあります。クライアントPCにウイルスなどの脅威が到達する前に、クラウドプロキシ上でウイルスチェックが可能です。そのため、ネットワークに脅威が侵入することを防止できます。
6.通信負荷の軽減につながる
クラウドプロキシを導入し上手く活用することで、通信負荷の軽減につながります。通信負荷の軽減を実現するには、クラウドプロキシに搭載されたキャッシュの保存やロードバランシング機能の活用が重要です。ロードバランシングとは、アクセスが特定のサイトに集中しないように、複数のサイトへ振り分けられる機能です。
これらの機能によって、サーバーやネットワークにかかる負担を軽減させることで、通信速度が向上するメリットがあります。
クラウドプロキシを導入した場合のデメリット
クラウドプロキシでは、例えばキャッシュが保存されるページの表示は高速化されますが、キャッシュのないページへの通信が遅くなるなどのデメリットもあります。
また、情報漏洩のリスクも考えられます。プロキシにはログが残り、従業員の管理業務などに役立ちますが、不正アクセスなどによって攻撃者に見られてしまうと、情報が盗まれたり漏洩したりする可能性もあるでしょう。
攻撃者がクラウドプロキシに攻撃をして、不正サイトに誘導される可能性もあります。これらのセキュリティなどはクラウドプロキシの性能に左右されるため、自社にあった安全なクラウドプロキシを選ぶことも重要です。
クラウドプロキシにおける注意点
クラウドプロキシを導入する際には、以下で紹介する3つの注意点を意識することが大切です。
公開プロキシの利用に気をつける
クラウドプロキシには、一般のユーザーが利用できる「公開プロキシ」と、特定のユーザーだけが利用できる「非公開プロキシ」があります。公開プロキシは、通信に関する情報を簡単に確認されてしまいます。悪意のあるクラウドプロキシも少なくないため、ビジネス利用する場合には安全性の高い非公開プロキシを利用するようにしましょう。
送信元グローバルIPが変わる
クラウドプロキシを利用した場合、送信元のIPアドレスアすべてクラウドプロキシのものになります。グローバルIPアドレスという、インターネットに接続できる機器に割り当てられるIPアドレスに変わるため注意しましょう。
IPアドレスでクラウドサービスの利用制限をかけている場合には、アクセスできなくなるケースもあります。固定IPアドレスの設定が可能なベンダーか確認する、固定IPアドレスは自社のものが使えるか、ベンダーのものになるのかもチェックしておくとよいでしょう。
バージョンアップで操作が変わる可能性がある
クラウドプロキシは自動でバージョンアップされます。自社でバージョンアップする必要がない点はメリットですが、操作感が変わってしまう可能性もあります。新しい機能が追加されたり操作方法が変わったりするケースもあるため、アップデート内容などが記載されたリリースノートなどを確認し、都度操作方法の確認を行いましょう。
セキュリティ対策やITソリューションについて相談する方はこちら
まとめ
クラウドプロキシとは、クラウド上で提供されるプロキシです。クラウドプロキシを導入することで、匿名性の担保や通信負荷の軽減、アクセスログによる管理業務の軽減、セキュリティ強化などのメリットがあります。
KDDI まとめてオフィスは、KDDIが長年培った高品質でセキュアな通信を軸に、スマートフォン・パソコンなどのデバイスと、クラウド・セキュリティなどのITソリューションで、お客さまの課題を解決します。さまざまな課題に対して、複数のラインアップから最適なソリューションをワンストップで用意できる点も強みです。
クラウドサービスの導入やセキュリティ強化をお考えなら、ぜひKDDI まとめてオフィスにお問い合わせください。
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。