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医療現場でIT化が進まない理由|IT化を進める方法や手順、メリットなどを解説

医療現場でIT化が進まない理由|IT化を進める方法や手順、メリットなどを解説

2022年12月06日掲載(2023年11月01日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

医療 it 化 が 進ま ない 理由

IT化が叫ばれる昨今ですが、多くの医療現場ではIT化が進まない状況にあります。しかし、医療機関でもIT化の促進により、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現ができ、患者さまのストレス軽減や業務効率化につなげられます。この記事では、医療現場のIT化を推進する人に向け、IT化が進まない理由・対策・手順・メリットなどを解説します。IT化の具体例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

医療のIT化とは

IT化とは、ITツールやデジタル技術を導入することを指す言葉です。さまざまなメリットがあるためIT化に取り組む企業は多く、人手不足解消などを理由に医療現場でもIT化が求められています。

ITなどのデジタル技術を通して成長がもたらされることをDXといいますが、近年注目されている医療DXを実現するためには、電子カルテやオンライン診断などの既存業務のIT化が必須となります。一つひとつの業務をIT化することが医療DXにつながり、患者さまの負担軽減や業務効率の改善など、従来の医療現場を大きく変えられるのです。

医療のIT化が進まない現状

厚生労働省が発表している「電子カルテシステム等の普及状況の推移」のデータによれば、令和2年における電子カルテの普及率は、一般病院では57.2%です。病床規模別のデータを見ると、400床以上の病院では91.2%と比較的進んでいます。一方、200床未満の病院では48.8%に留まり、病床規模が小さいほど電子カルテの普及が進んでいない状況です。

同調査結果によればオーダリングシステムについても、病床規模によって普及率に同様の傾向が見てとれます。なお一般診療所でも電子カルテ普及率は49.9%に留まり、こちらも高い数字とは言えません。

参考:医療施設調査|厚生労働省

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医療のIT化が進まない3つの理由

どのような理由で医療業界がスムーズにIT化できないのでしょうか。医療のIT化が進まない主な理由を解説します。

1.スタッフのITリテラシー不足

医療分野では、ITツールの導入を進められる専門性の高い人材を見つけにくいのが現状です。医療について詳しい知識を持つ医師でも、パソコン(PC)の操作には不慣れなことが多いため、シンプルなITツールでなければ導入が難しいといえます。こうした傾向は、スタッフの人数が少ない小規模な医療機関や診療所のほうが強くなりがちです。

2.予算不足

大がかりなITシステムの導入にはコストがかかりますが、予算不足のためIT化を進められないケースもよくあります。IT化は費用対効果がわかりにくいこともあり、他の部分に予算を回すほうが優先されがちです。

3.ITツールの連携に関する障害

病院ですでにある程度のITツールを導入している場合、先に導入したツールと新しく導入したツールが連携できないため、最新ツールを入れられないケースがあります。あるいは部門別にバラバラのツールを使っていて、新たなツールを導入するにあたって、部門の合意を得られないケースも少なくありません。

医療のIT化を進めるための対策

ここまでに見てきたような問題のなかで医療のIT化を進めるためには、以下のような対策が有効です。

スタッフのITリテラシー不足への対策

病院スタッフがITリテラシー不足のため機械の操作が得意でないという場合、できる限り操作がシンプルなITツールを導入することが重要です。

操作方法の研修会などを設けると、ITに関する知識や操作方法の理解を深められます。ただし、使い方を説明するだけで終わらず、積極的に質問してもらう研修会にすることが大切です。

予算不足への対策

予算不足が気になる場合は、部門単位など小規模にIT化をはじめるのがおすすめです。さまざまな種類があるITツールのなかでも、業務効率化のITツールなら導入予算を抑えられます。ITツールが導入しやすい業務や、導入によるコスト削減効果などを検討してみましょう。

ITツールの連携に関する対策

ITツールの連携に関しては、Web予約やWeb問診などが備わった電子カルテなど、多機能なツールの導入により解決可能です。1つの機能に特化したツールを複数導入するよりも利便性が高くなります。新しいツールをすべての既存ツールと連携する必要はなく、今のままで支障がないツールはそのまま利用することも検討しましょう。

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医療のIT化を進める4つのメリット

医療のIT化が注目されるのは業務上のメリットが大きいからです。具体的な4つのメリットについて解説します。

業務効率化

ITの導入により業務が効率化でき、医師やスタッフが抱える業務負担を軽減できます。適切なIT化がなされていれば、院内文書の作成・ファイリングや保管、データの入力や転記などの手作業を格段に減らすことが可能です。医療スタッフの負担が軽減するのはもちろん、患者さまの待ち時間も短縮できます。

人件費削減

システム化や業務効率化が進むと、ペーパーレス化に自動化、オンライン診察・問診などの発展により、スタッフのさまざまな手間を削減できます。結果として人手不足の解消、さらに人件費削減につながります。

BCP対策

BCPとは災害時などの事業継続計画です。災害時には病院も被害を受ける可能性がある一方、医療のニーズは高まります。病院が電子カルテやオンライン診療に対応していると、緊急事態の際にも電気やインターネットが復旧した時点から診療を再開できます。

コロナウイルス感染症対策

IT化によって院内書類の電子化が進めば、紙の文書を持ち運ばずにすむため、院内でのコロナウイルス感染症リスクを軽減できます。2022年11月現在、コロナウイルス感染症対策により、オンライン診療を希望する患者さまも増えています。患者さまの希望に対応できる体制が整っていると、新たに診療を希望する患者さまが増える可能性も高くなるでしょう。

医療のIT化に役立つツール・システム

医療のIT化に役立つツールやシステムには以下のようなものがあります。導入の検討材料にしてください。

電子カルテ

電子カルテとは、患者さまの情報をデジタル化して保管するシステムです。電子カルテと他のITツールを連携すると業務効率化につながり、データの一元管理が容易になります。紙のカルテが不要になるため、保管スペースがどんどん増えてしまう、膨大な量のカルテから該当のカルテを見つけるまでに時間がかかるなどの問題も解決できます。

自動化システム

医療の現場で利用できる自動化システムには、自動清算システム、自動発注システム、予約システム、健診システムなどがあります。

これらのシステムに使われているのが、RPAツールと呼ばれるデータ登録やシステム管理を自動的に行うソフトウェアです。RPAツールを使い電子カルテと他のシステムを連携することで、カルテの入力と同時に検査予約ができるなど、スタッフの業務負担を軽減できます。

オンライン診療に関わるシステム

オンライン診療に関わるシステムを整備すると、オンライン診断が可能になります。とりわけオンライン問診票は、オンラインで適切な診断を行うために欠かせません。したがって、患者さまにオンラインで問診票に回答してもらうためのシステムが必要です。また、Web会議システムなど、一般企業で使われるツールもオンライン診療に役立ちます。

医療情報システム

医療情報システムとは、複数の機関で、電子カルテの情報を共有するシステムです。医療情報システムがあると、患者さまの情報を地域ぐるみで共有できます。たとえば、患者さまが複数の医療機関を受診して、それぞれ薬を処方されているケースなどもあります。このような場合に情報共有がなされていれば、投薬ミスなどを防ぐことが可能です。

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医療のIT化を進める手順

医療のIT化は、以下の手順で進めることができます。

1.課題の把握

最初に、IT化の目的を明確にします。病院でどのようなことが支障になっているのか、スタッフにヒアリングして課題を洗い出し、優先順位を付けましょう。課題に優先順位を付けておくことでITシステムの選定がスムーズになります。優先順位は、スタッフにとっての重要度だけでなく、経営の視点からの重要度も加味しましょう。

2.導入するITツールの決定

洗い出した課題のうち、優先度の高いものについて課題を解決するITツールを探して比較します。比較するポイントは、導入コスト・教育コスト・操作性などです。オンプレミス型かクラウド型かといったことも検討材料となります。どちらのタイプにするかは利便性やコストに大きく関わるため重要です。

また、操作性については、スタッフが実際に使ってみないとわからない部分でもあります。選定に迷う場合は、無料トライアル期間のあるITツールもおすすめです。

3.ITツールの使用方法の周知・運用方法の見直し

ITツールの導入作業が終了した後は、業務に支障が生じないようにITツールの使用方法を周知し、スタッフを教育する必要があります。さらに改善すべき部分があれば、定期的に運用方法を見直すことも重要です。

今後の医療現場におけるIT化の動向

医療業界でも働き方改革が広がりつつあります。医療現場の負担は、今後の少子高齢社会の訪れに伴ってさらに大きくなると予想されており、IT化はこうした負担の軽減に欠かせません。上述した人手不足の解消・人件費の削減などの観点からも、IT化に取り組む医療現場は増えると考えられます。

KDDI まとめてオフィスの事例「医療現場へのビジネスチャット導入」

KDDI まとめてオフィスの事例として、ビジネスチャットを利用した例を紹介します。

医療法人社団さくらライフ様が導入しているビジネスチャット「LINE WORKS with KDDI」は、使い慣れた人の多いLINEアプリケーションに準じる高い操作性で、スタッフ同士の連携が取れるツールです。訪問診療、訪問看護の現場で役立つモバイル端末で、迅速な情報共有やリアルタイムのチャットコミュニケーションによる患者さまの情報共有が可能になりました。

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まとめ

医療のIT化が進まない現状を解決するには、使い勝手がよく費用対効果の高いツールの導入がおすすめです。

KDDI まとめてオフィスでは、KDDIが長年培った高品質でセキュアな通信を軸に、スマートフォン・パソコンなどのデバイスと、クラウド・セキュリティなどのITソリューションで、お客さまの課題を解決しています。患者さまの個人情報など、機密性の高い大量の情報を扱う医療機関に求められる、高度なセキュリティ対策とともに、最適なソリューションをワンストップでご用意可能。医療のIT化を担うご担当者の負荷を軽減しつつ、業務効率化など、現場のお困りごとにお応えすることができます。まずはお気軽にKDDI まとめてオフィスにご相談ください。

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