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STEAM教育の国内・海外における取り組み事例|現状の課題なども解説

STEAM教育の国内・海外における取り組み事例|現状の課題なども解説

2023年01月13日掲載(2023年11月01日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

steam 教育 事例

STEAM教育は、国内外を問わず注目され、導入・推進されている教育手法です。実際にどのような取り組みが行われているか気になっている人も多いでしょう。この記事では、STEAM教育の概要に触れたうえで、特に重要視されている背景や国内外の事例を解説します。STEAM教育を取り入れたいが、実はよく分からない...という方のご参考になれば幸いです。

目次

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STEAM教育とは

STEAM教育とは、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Art(芸術)」「Mathematics(数学)」の5つの分野の知識や考え方を取り入れた教育手法です。それぞれの頭文字をとり、STEAM教育と呼ばれています。子供たちはSTEAM教育を通じて、将来社会にでてから必要となる力を身につけていきます

STEAM教育とSTEM教育との違い

STEAM教育と似た教育手法として、STEM教育があります。STEM教育には、STEAM教育に含まれている「Art(芸術)」がありません。従来はSTEM教育が推進されてきましたが、自ら考える創造性を養うには、より多面的な視点が求められ、「Art(芸術)」も含む必要があるとして提唱されたものがSTEAM教育です。Artには、芸術のみならず教養も含まれます。

STEAM教育が重要視されている背景

現代ではAIやロボットなどの技術が普及し、ビジネスはもちろん普段の生活においてもさまざまな変化が生じています。今後もより変化が激しく、予測困難なVUCA時代がつづくと言われており、将来子供たちが社会で活躍するには、新しい価値を生み出す力が必要です。STEAM教育で横断的・多面的に5つの分野を学ぶことにより、新しい価値を創造する力を身につけていくことが期待されています。

このような背景から、子供たち一人ひとりが社会に必要とされる人材になるための教育方法として、STEAM教育が重要視されるようになりました。STEAM教育は世界中で注目を集めており、日本に先駆けさまざまな取り組みが行われています。

STEAM教育における文部科学省の方針

日本においても、文部科学省がSTEAM教育を積極的に推進しています。たとえば、⽂部科学省のWebサイトには、STEAM教育の事例が掲載されています。また、STEAM教育に関するガイドを作成したり、関係機関とも連携を強めたりしている状況です。文部科学省の方針に則り、STEAM教育に力を入れる学校も少しずつ増えています。

参考:STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について | ⽂部科学省

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日本のSTEAM教育の取り組み事例

日本では、具体的にどのようなSTEAM教育が行われているのでしょうか。ここでは、事例を紹介します。

STEM教育研究センターの設置

埼玉大学内のSTEM教育研究センターは、地域の子供たちを対象としてSTEAM教育を実施している機関です。STEM教育研究センターという名前になっていますが、STEM教育だけでなく、STEAM教育も実施しており、ロボットやプログラミングなどの知識を学び、ものづくりを行う体験を提供しています。さらに、教員を目指す学生や外部講師などを参加させ、子供たちの教育を行いながら教員の育成も行っています。上記のような取り組みを経てSTEM教材の開発を行っている点も大きな特徴です。

STEM教育研究センターのプロジェクトの1つである「ロボットと未来研究会」では、ロボットとプログラミングの技術について学ぶことができます。また、ロボカップジュニアコンテストにも出場しています。

参考:STEM教育研究センター

科学の甲子園の実施

科学の甲子園は、国立研究開発法人科学技術振興機構が実施している競技の場です。高校生たちが理科、数学、情報の分野で競い合います。チームごとに筆記試験や実験などに挑戦するため、メンバー同士の結束も必要です。

たとえば、糖の種類を特定したり地震波のグラフから震源の深さなどを計算したりする問題が出題されるため、幅広い力を身につけていなければ対応できません。また、知識やスキルを活用するためのアイデアも求められます。

参考:科学の甲子園

GIGAスクール構想

GIGAスクール構想とは、生徒1人につき1台のパソコンや高速ネットワーク環境などを整備する取り組みです。文部科学省が推進しており、5年以内に実現することを目標としています。また、デジタル教科書やAIドリルを導入し、教員や指導者の養成も行うとしています。

GIGAスクール構想の内容が実現すれば、生徒は自宅でもより幅広く学べるようになるでしょう。さらに、保護者も教育に関するさまざまな情報を受け取れるようになります。

参考:GIGAスクール構想の実現について | 文部科学省

こちらも併せて読みたい「今さら聞けない GIGAスクールサポーターとは?ICT支援員との違いや役割、業務内容なども解説」

スーパーサイエンスハイスクールの指定

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)は、先進的な理数教育を行っている高等学校を「スーパーサイエンスハイスクール」として指定する取り組みです。文部科学省が実施しており、予算による支援を行っています。

指定された高等学校は、学習指導要領とは異なるオリジナルのカリキュラムを開発することも可能です。より実践的で、生徒自身が課題解決のための力を身につけられるような授業も実現できます。

参考:スーパーサイエンスハイスクール(SSH| 文部科学省

STEAMライブラリー

STEAMライブラリーは、経済産業省が公開している無料のデジタルコンテンツライブラリーのことです。130以上のテーマに関するさまざまな情報が提供されています。各テーマについて映像でまとめられているため、あまり興味がない段階からでも気軽に閲覧できます。

STEAMライブラリーは、子供が興味のある分野を探すためのきっかけとして活用しやすいです。まずはSTEAMライブラリーの映像を閲覧させ、子供の反応を見てみるのもよいでしょう。

参考:STEAMライブラリー

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海外のSTEAM教育の取り組み事例

海外でも、さまざまなSTEAM教育が実践されています。ここでは、海外の事例を紹介します。

High Tech High(アメリカ)

High Tech Highは、アメリカのカリフォルニア州でSTEAM教育に取り組んでいる学校です。教科書は使用せず、頭と手を動かすことに重きを置いて教育をしています。学力や偏差値など表す認知能力よりも、意欲や創造性などを表す非認知能力を高めることを目標にしています。プログラミングをはじめとし、さまざまなスキルを実践的に学んでいるところが大きな特徴です。

参考:High Tech High

Makeblock(中国)

Makeblockは、学校や家庭で利用できるロボットやソフトウェアを提供している中国の企業です。2013年に設立され、中国のSTEAM教育を牽引する存在になっています。

特に注目を集めているのは、「mBot」と名付けられた教育ロボットです。金属のパーツを組み合わせながらロボットを制作すると、自然にプログラミングについて学べるようになっています。ロボットがどのような仕組みで動くのか、実践を通して理解することができます。

参考:Makeblock

教育現場でのSTEAM教育の取り組み事例

日本の教育現場においては、各学校がさまざまなSTEAM教育を実施しています。具体的な取り組み事例を紹介します。

仙台白百合学園小学校の取り組み

仙台白百合学園小学校では、20214月にiPad11台利用できるようにしました。目的は、オンライン授業をスムーズに進めるためです。その結果、MetaMoJi ClassRoomなどのアプリを使用して質の高い授業を実施できるようになりました。児童が記入している内容をリアルタイムで確認でき、考えている過程にも教師が気を配ることができます。iPadの導入により、プログラミング学習も進めやすくなりました。

参考:【事例】iPadを自由に使ってチャレンジを|仙台白百合学園小学校

日出学園での取り組み

千葉県にある日出学園では、STEAM教育に取り組む「STEAM科」を取り入れ始めました。たとえば、音楽の授業ではアプリを活用して作曲などを行い、生徒の創造性を育んでいます。また、技術の授業では、プロジェクターやパワーポイントなどを駆使し、ICTを積極的に取り入れながら学習を進めています。STEAM教育の理念に則った教育により、特色のある教育を実現しました。

参考:日出学園

聖徳学園中学校・高等学校の取り組み

東京都の聖徳学園中学校・高等学校では、STEAM教育を展開するための新校舎ができました。大型のモニタが4台設置された教室や、映像の編集作業が行える教室などに加え、大型の多目的ホールも設けられています。また、各生徒がiPadを利用できるようにしました。

各教科で学んだ知識を横断的に活用する取り組みにも力を入れており、Webサイトには事例が多数掲載されています。

参考:聖徳学園中学校・高等学校

国内のSTEAM教育における現状の課題

国内のSTEAM教育には課題もあります。ここでは、現状の課題について解説します。

ICT環境の整備が追いついていない

教育現場でSTEAM教育に取り組むには、タブレット・パソコンなどの端末や、ネットワークの構築といった「ICT環境」を用意する必要があります。しかし、日本の学校は、ICT環境の整備がまだ不十分なところも少なくありません。STEAM教育に取り組む下準備として、まずはICT環境を整えるところから始めましょう。STEAM教育を行える土台をきちんと整えることが、その後のスムーズな導入と推進に大きく影響していきます。

指導者数が不足している

STEAM教育では、5つの分野を横断しながら子供たちを指導する必要があります。それぞれ専門的な内容であるため、STEAM教育を行うには指導者自身が専門的なスキルや知識を身につけていなければなりません。そのような高いスキルや知識を持ちあわせている教員は、まだ不足している状況です。STEAM教育に取り組むには、教員の育成や確保にも力を入れるべきです。

注目度がまだ低い

世界と比較すると、日本におけるSTEAM教育の注目度はそれほど高くないのが実情です。そのため、STEAM教育に対する意識も、学校や地域によって差があります。取り組みの内容や積極性にも差が生じており、すべての子供が質の高いSTEAM教育を受けられるわけではありません。将来活躍できる人材を増やすには、学校や地域による差も無くす必要があります

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教育現場でSTEAM教育に必要なICT環境の整備を行う方法

すでに触れたとおり、教育現場でSTEAM教育を推進するには、通信環境やタブレット・パソコンなどの端末といった、ICT環境の整備が必要不可欠です。とはいえ、授業以外にもさまざまな校務を抱え、思うように時間がとれないという学校のICTご担当者さまも多いのではないでしょうか。スムーズにICT環境を整えるには、さまざまな業者とのやり取りが必要になるうえ、ご担当者さま自身にも高いITリテラシーが求められます。学校内だけでの推進に不安を感じる場合は、導入の検討から、導入後の活用までを、ワンストップでサポートしてくれるような外部業者を探すことから第一歩を踏み出すことをおすすめします。

まとめ

VUCA時代を迎えた現代の日本では、将来社会に出てから活躍できる人材を育てたいという狙いを背景に、STEAM教育に大きな注目が集まっています。すでに世界中でSTEAM教育開始されており、日本国内の教育現場においても先進的な取り組みをしている学校が少しずつ増えてきました。

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