現在、仕事や私生活を続けるなかで「サードプレイス」を求める人が増えており、この流れにしたがって、従業員の満足度や生産性のためにサードプレイスオフィスを設ける企業も増加しています。この記事では、従来のサードプレイスの概念について触れつつ、サードプレイスオフィスの作り方やメリットを解説します。オフィスへのサードプレイス概念の採用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
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従来のサードプレイスとは
従来サードプレイスとは、自宅でもなく、職場でもない、第三の場所を指し示す言葉でした。わかりやすい例で言うと、行きつけの飲食店のような存在です。しかし、具体的にどこかに存在する「場所」に限らず、オンライン上のつながりや人と会話のできる「時間」などもサードプレイスの一種として認められてきた経緯があります。
ファーストプレイス・セカンドプレイスとの違い
第三の場所を示すサードプレイスという考え方に対し、ファーストプレイスは自宅、セカンドプレイスは職場を指します。ファーストプレイスやセカンドプレイスは、各自の家庭での立場あるいは職場における役職によって責任や義務が生じるのが特徴です。それは致し方のないことですが、人によってはしがらみを感じてくつろぎにくい場合があります。
サードプレイスの成り立ち
サードプレイスは、都市社会学者のレイ・オルデンバーグによって提唱された概念です。彼の著書「The Great Good Place」でサードプレイスの概念が発表された1989年当時、サードプレイスは、都市で生活を送る人たちの心の支えとして捉えられていました。
日本では1990年代、サードプレイスをコンセプトとするスターバックス・コーヒーが出店したことで注目されています。
サードプレイスの条件
サードプレイスの条件は、時代とともに変化しています。当初、オルデンバーグは以下のようなものをサードプレイスの条件として挙げていました。
・立場や役職を気にしなくてよい場所
・コミュニケーションがはかどる場所
・アクセスしやすく、利便性のよい場所
・常連が集う場所
・目立たない場所
・遊び心がある場所
・アットホームな場所
これらの条件からオルデンバーグが具体例として示したのは、フランスのカフェ、イギリスのパブなどです。
サードプレイスの作り方
現在、サードプレイスは上記のような場所とは限らなくなっています。自分自身が興味関心のあることに取り組み、立場や役職を忘れることができる場所ならサードプレイスになりうるでしょう。没頭できる興味関心がなくても、気持ちを緩めながら近隣を散策することで、気になる場所を見つけられることもあります。
飲食店や娯楽施設を訪問する
行きつけの店などを作ると自然に人との交流がもてます。自分にとって居心地の良い店であれば、リラックスして過ごすこともできるでしょう。さらに、カフェやコワーキングスペースであれば、人と交流しながら仕事をすることもできます。
一方、美容室などリフレッシュしつつ人と交流できる場所も、サードプレイスの一種です。いずれの場合も、自分自身がアットホームであると感じられる店であることが重要と言えます。
ジムやスポーツセンターを利用する
ジムやスポーツセンターで運動をすると、体力づくりやストレスの軽減につながります。通っているうちに顔見知りや知り合いができるようになるため、人と交流する機会が増えるでしょう。ジムを選ぶ際に、会話がしやすい雰囲気かどうかをポイントにしてみるのもよいでしょう。
趣味の時間・ボランティアを楽しむ
習い事、趣味のサークル、ボランティアなどもサードプレイスの良い舞台となります。いずれも人との協力を必要とすることが多いため、自然と交流をもてる機会も多くあります。
また、趣味やボランティアに時間を割くと、趣味のスキルが上達したり、社会貢献ができたりします。こうした活動は自己効力感、自己肯定感につながりやすいため、気持ちが満たされることも多いでしょう。
友人との会話を楽しむ
親しい友人がいる場合は、会話を楽しむ機会をもつのもおすすめです。ただし、常日頃の立場を忘れることのできる相手でなければなりません。気の置けない相手と過ごす時間はリラックスできるため、サードプレイスとしての役割を十分に果たしてくれます。
オンラインコミュニティに参加する
SNS、オンラインサロンなど、自分の気に入ったオンラインコミュニティに参加するのもおすすめです。オンラインコミュニティは、時間や場所を問わず、リラックスしたいとき簡単にアクセスできます。オンラインならではの匿名性もあり、自分の立場や役職を気にせずに交流できるのもメリットです。
サードプレイスに対するニーズの高まり
2022年に行われた株式会社ブイキューブのアンケート調査によれば、新型コロナウイルス感染症を経て、サードプレイスを求める人は増えたと考えられます。サードプレイスを求める理由として多いのは「1人の時間をとれる」「自宅よりも集中できる」などです。
アンケート結果からは、テレワークにサードプレイスを使いたい人も多いことが見てとれます。実際、近年はカフェやコワーキングスペースのように利用できるサードプレイスオフィスを作る企業が増えています。
参考:PR TIMES【第三の場所(サードプレイス)に関する実態調査】コロナ流行後、自宅でも職場でもない「第三の場所」を求める人が増加
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サードプレイスオフィスの作り方
サードプレイスオフィスは、オフィスをリニューアルするだけで作れます。一方、近隣のコワーキングスペースなど、オフィスから離れた場所をサードプレイスオフィスとして利用することも可能です。以下では、サードプレイスオフィスを作る際に検討すべき3つのポイントを解説します。
1.セキュリティ対策を行う
一般の人も使う場所をサードプレイスオフィスとして利用する場合、セキュリティに弱いのが難点です。そこで、飲食店など不特定多数が使用する場所では機密性の高い業務は行わない、ショルダーハックを警戒し、背後に人が通らない壁際の席を利用するなど、セキュリティガイドラインの作成が求められます。メインオフィスの外から社内情報にアクセスする場合に、アクセスできる範囲を管理者側で制御するというのも手です。また、従業員がサードプレイスオフィスで使用するモバイル端末にも、万が一紛失・盗難にあった場合や、ウィルス感染などに備えたセキュリティ対策を施すことが必須となります。
2.勤怠と評価方法を見直す
サードプレイスオフィスで仕事をしている従業員の様子は、上司が確認しづらいというのが難点です。そこで、パソコン(PC)へのログイン情報を活用して労働時間を把握するなど、勤怠管理の仕組み作りを行いましょう。
ほかにも、サードプレイスオフィスの利用者とメインオフィスの出勤者で不公平感がでないように、人事評価項目や評価基準の見直しをする必要があります。普段目に見えない場所で働く部下を評価するとなると、定量評価に偏りがちになりますが、成果に至るまでのプロセスを定性的に評価することも大切です。企業側は、評価体制の見直しと、バランスよく人事評価を行うための環境づくりも、合わせて実施することが求められます。体制を切り替える際は、あらかじめ従業員にそのことを周知しなければなりません。
3.コミュニケーションツールを導入する
サードプレイスオフィスを活用した仕事には、コミュニケーションツールが必要不可欠です。チャットツールやWeb会議システムなどで、サードプレイスオフィスにいる社員ともこまめにコミュニケーションを取り、仕事に支障が出ないようにしましょう。また、ツールを導入しても利用されなければ意味がありません。オンラインでも気軽にコミュニケーションがとれる雰囲気づくりが大切になります。従業員同士がツール導入の意図を理解し、積極的に活用していこうという姿勢も必要です。そのために、企業側はあらかじめ導入目的を明確に伝え、従業員の理解を得る必要があります。
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企業がサードプレイスオフィスを作る7つのメリット
企業が既存のサードプレイスオフィスを活用するのではなく、自らサードプレイスオフィスを作ることにはたくさんのメリットがあります。それぞれについて解説します。
1.社内コミュニケーションの活性化
従来のオフィススタイルにおいては、部署が違う人同士にお互い交流がないことは多々ありました。同じ案件に関わる仕事をしていても、名前だけは知っているが話したこともないというのは珍しくありません。
その点、サードプレイスオフィスでは、部署が違っても交流がもてるきっかけを得られるため、社内コミュニケーションが活性化する可能性を広げられます。
2.新しいアイディアの促進
上記のように社内でコミュニケーションが活性化すると、部門の垣根を越えた交流によって新しいアイディアが生まれる可能性も生じるでしょう。また、職場の自席を離れられることによって、気分転換できる社員も増えます。適切な気分転換は、アイディアの幅が広がるきっかけになります。
3.従業員エンゲージメントの向上
サテライトオフィスタイプのサードプレイスオフィスは、従業員が自分の生活パターンに最もあった形で柔軟に働けるため、従業員エンゲージメントの向上に寄与すると考えられます。従業員エンゲージメントの高まりは、離職率の低下や業績の向上につながるなどのメリットがあり、自社にとってプラスの方向に作用します。
4.業務の効率化・良質化
サードプレイスオフィスでは、通常のオフィス仕事とは違った環境のなかで仕事に打ち込めるのがメリットです。自宅でリモートワークを行う場合は、家族のスケジュールに左右されたり、ある程度気を使いあったりしなければなりません。しかし、サードプレイスオフィスがあれば、家族への気遣いを心配せず仕事に打ち込めます。
5.企業イメージの向上
サードプレイスオフィスを有効活用している企業は、取引先あるいは社会全体に「柔軟に働ける企業」というイメージをもってもらえます。イメージの良い企業は取引先として選んでもらいやすい一面もあるでしょう。さらに、サードプレイスオフィスが求職者に注目されれば、採用活動の面でも有利になります。
6.従業員のメンタルヘルス改善
仕事上の役職や立場はストレスの元になりがちですが、サードプレイスオフィスでは仕事上の立場を考えることがないためリラックスできます。また、サードプレイスオフィスにおいて多くの人と交流することで、視野が広がるのもメリットです。悩みがある人も解決の糸口を見つけやすく、悩みを軽減できる可能性が高まります。
7.BCP対策
企業が本拠地から離れたところにサードプレイスオフィスを作ると、BCP対策につながります。BCP対策とは、災害などの緊急時に業務を再開、継続するための方法・対策のことです。本拠地に通勤できなくなった場合でもサードプレイスオフィスで働けることは、いざというときに大きな安心につながるでしょう。
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まとめ
サードプレイスオフィスは、仕事をスムーズに進め、従業員のエンゲージメント向上に寄与するとして、近年大きな注目を集めています。
KDDI まとめてオフィスでは、サードプレイスオフィスの設置に必要な什器や備品、オフィスの移転・リニューアルまで、あらゆるサービス・商品をご提供しています。それだけではなく、KDDIが長年培った高品質でセキュアな通信を軸に、信頼のセキュリティ対策をご提案します。
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