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【後編】「まなびのミライ~学校交流会2023~」イベント開催レポート~教育現場の学びの未来につながるICTの在り方~

【後編】「まなびのミライ~学校交流会2023~」イベント開催レポート
~教育現場の学びの未来につながるICTの在り方~

2023年09月15日掲載(2023年11月06日更新)
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
【後編】「まなびのミライ~学校交流会2023~」イベント開催レポート~教育現場の学びの未来につながるICTの在り方~

昨年ご好評をいただいた「まなびのミライ~学校交流会~」を今年も開催した。
今年度は「教育現場の学びの未来につながるICTの在り方」と題して、法政大学 キャリアデザイン学部教授 坂本 旬氏と愛光学園中学・高等学校の和田教諭をお招きして、ご講演いただいた。
全国56校の教職員の皆さまにご参加いただき、大変盛況な会となった。

前編では「デジタル・シティズンシップ教育」をテーマに法政大学 キャリアデザイン学部教授 坂本 旬氏 の特別講演の様子をお届けした。
後編ではICT活用実践事例をご紹介いただいた愛光中学・高等学校 和田 誠教諭による講演の様子をお送りする。

前編はこちら→

目次

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はじめに

この会が「まなびのミライ」と題するとおり、「これから教育の未来がどうなっていくのか私自身の考えと、そのキーワードとなるだろう生成系AIについて話したい」と和田教諭は語った。

愛光学園での取り組み

<講演者プロフィール>愛光中学・高等学校 ICT推進室長 和田 誠 教諭

<講演者プロフィール>
愛光中学・高等学校 ICT推進室長
和田 誠 教諭

次に同氏は、スクリーンいっぱいに二次元コードを表示させた。「せっかくなのでICTをたくさん使って進めようと思います」とその理由を話し、観客席にいる先生たちに二次元コードを読み込んでもらった。
二次元コードのリンク先には「Google forms」を使ったアンケートがあり、 同氏は「ICTを活用する利点のひとつは、リアルタイムに経過や結果を速報できることです」と話しながら、スクリーンにグラフを表示させ、アンケート回答数が現在進行形で増えていく様子を映した。質問項目によって円グラフだったり、棒グラフだったり、各々のグラフが瞬時に明示され、アナログと比べ、集計作業の効率は雲泥の差がある。和田教諭は「ICTの活用が、働き方改革に確実につながります」と念を押した。
実際に愛光学園では、クラウドシステムには「BLEND」を、職員間のやり取りにはGoogleの「Classroom」を採用。煩雑な業務が改善されたことにより、「職員の退勤時間を毎日17時45分とし、職員室が閉じる18時15分には完全退勤が完了しています」と和田教諭が内情を打ち明けると、会場が驚きに包まれた。「デジタル採点も使っていますし、スライドやプレゼン資料はテンプレート数がものすごく多くて便利な『Canva』を使っていて、これはすごくおすすめです」と続け、ICT推進室長たるレパートリーの多さを垣間見せた。

▼講演を聴きながらメモをとる参加者

▼講演を聴きながらメモをとる参加者

その後、ICTの魅力をさらに伝えるために「Google Earth」で東京から愛媛県松山市にある愛光学園まで移動するデモンストレーションや、愛光学園の校舎がバーチャルで探索できるバーチャルツアーをスクリーンで披露。今後はメタバース空間で行うアバターツアーも計画中と語った。

そんなICT先進校である愛光学園が主に授業で使用するのは「ロイロノート」や「Google for Education」といったツール。導入から既に7年が経つ。デジタル端末に関しては「中学生はiPadを、高校生はChromebookを一人一台与えています」と和田教諭。
既にICTを活用している生徒もいるらしく、松山市内にある飲食店でテイクアウトを行う店を「Google Map」でマッピングし、一般公開。和田教諭は「するとそれを数十万人が閲覧し、結果的にコロナ禍に疲弊する飲食店を手助けし、感謝される出来事がありました」と嬉しそうに語った。先進校では教育現場のICT活用が社会課題に挑むまでに発展しているのである。

教育現場でのAI活用

次に和田教諭はAIの活用に話題を転じた。「まず授業でのAI活用のとっかかりとしては『Quick,Draw!』という絵描きツールを使っています。子どもは絵を描くことに夢中になるので、AIに親しんでもらうのに非常にもってこいなんです」と微笑む。
他方、本格的に運用しているAIツールのひとつ目は、文章データを分析する「AIテキストマイニング」だ。「例えば『走れメロス』の全文をコピペで貼り付けて分析にかけてみると、動詞や名詞など単語の種類を色分けで表示したり、全単語からポジティブかネガティブかの傾向を判断したり感情の度合いを分析することができます」と、その興味深い機能を説明した。そして「要約機能を使い、生徒の要約と比べて評価させることで、正誤だけでなく発展性を持たせることが可能」と力説する。

和田教諭はここで、本講演で最も重要視する生成系AIについて語る。主に「ChatGPT」を使用しており「間違いなく教育の現場で欠かせないツール」と断言した。百聞は一見にしかず。同氏は再び、使い方のデモンストレーションを行う。「入力画面に『あなたは中学校の社会教師です。日本国憲法を中学生に教えるための授業案を3つ考えてください』と打って回答を生成すると、実際に3つの授業案をAIが作ってくれます」。回答の精度はプロンプトの条件設定が肝となり、それが甘いと精度も低くなると和田教諭は言う。「実際に使える授業案が出てくるとは限らないし、そのまま活用するのはあまり適切ではないかもしれませんが、時々、自分の発想にない答えを出してくれることがあるので、それを活用することは大きな意義があります」と経験から得たメリットを述べた。
ほかにも「英作文の添削や家庭科の調理メニューのアイデア出しなど、主題と条件次第で無限に活用できる」と述べた。

▼講演資料より

▼講演資料より

和田教諭は講演の締めくくりにあたり、ICTや生成系AIの推進におけるアドバイスを送った。「先生自身が義務感ではなく楽しんで新しいことを学び、失敗を恐れないこと。そしてAIを使う目的を持って、少人数から始めることが重要です」。
最後に 「ICTや生成系AI活用はもう避けては通れない」と再度言及し、「いずれは浸透するものだから、たとえ抵抗勢力があっても気にせず生徒のために使い続けていってほしい」と願いを託し、降壇した。

最後に

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