通信速度は業務効率にも影響があります。しかし、通信速度に大きく関わる通信環境は見落とされがちです。
2023年7月には、全国平均の時給が1002円になり、初めて1000円を超えました。物価上昇の影響はありますが、今後労働力人口が減少していくことを考えると、人件費が経営に与えるインパクトは大きくなり続けるでしょう。
そんな未来を見据えると、業務効率化のためのデジタル化や競争力を向上させるDXは大企業だけの話ではなくなります。そして、それと同時に実施されるべきなのがネットワークの最適化です。
省人化や効率化のために行ったはずのデジタル化が、通信環境の悪化につながり、結果的に業務効率が下がってしまっては意味がありません。
今回は、デジタル化の推進や企業規模の急拡大の際に考えたい一歩進んだネットワークについて考えます。
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SD-WANを導入し、ネットワークを一元管理する
企業規模を拡大し、複数拠点を設ける際などは、SD-WAN(Software Defined Wide Area Network)の活用が効果的です。
ハイブリッドワークや出社が増えたことに伴い、SD-WANは関心を集めていますが、SD-WANの前に、WANについて説明をします。WANは、日本語では「広域通信網」と訳され、地理的に遠い場所にあるコンピューターやネットワーク機器を相互に接続するために使用されます。例えば、本社と支社、データセンターなど複数の拠点をインターネットや閉域網で結ぶことで、データの共有や通信が可能になります。
対して、SD-WANは、物理的なネットワーク(WAN)上に、ソフトウェアを用いて仮想的なWANを構築しネットワークを管理する技術です。
SD-WANを利用するメリットとして、複数の回線を組み合わせた帯域幅の最適化や、セキュリティの強化、ネットワークの管理をソフトウェアで一元管理できることが挙げられます。
これによって、ネットワークの効率化やコスト削減が可能になるのです。
SaaS専用のネットワークを準備し、トラフィックを分散させることも選択肢に
SD-WANの導入に加え、トラフィックの多いSaaS専用の帯域を設ける「ブレイクアウト」も効果的です。
別のコラムでは、ネットワーク帯域を"道路"、データパケットを"車"に例え、ネットワークの帯域幅が限界に達し通信環境が悪化する「輻輳(ふくそう)」について解説しましたが、ブレイクアウトも同じ例えを使って説明ができます。
ブレイクアウトは、一般道(既存のネットワーク帯域)とは別にバイパスを設けるイメージです。一般道とは別にバイパスが作られると、交通量が分散し、渋滞が解消するのは想像に難くありません。ネットワーク帯域も同じで、SaaSを利用するトラフィックに限定した帯域を新たに設けることで通信環境が改善します。
ブレイクアウトには、分岐の場所によって「センターブレイクアウト(網内で分岐)」、「ローカルブレイクアウト(拠点で分岐)」、「デバイスブレイクアウト(端末で分岐)」などがあります。
最適なブレイクアウトは企業によって変わりますが、ポイントはMicrosoft 365など通信量の多いデジタルツールに対して専用の経路を設けることです。
通信環境の悪化が生む損失は、累積では膨大なものに
通信環境の悪化は、オンライン会議の通信が安定しなかったり、ファイルのダウンロードが少し遅くなったりと、個別の事象としてはそれほど大きくはありません。しかし、1時間に10秒、100人の社員に対して損失が発生していたとすると年間では176万秒、488時間もの損失が生まれることになります。
損失による業務効率の差は価格差や収益率の差につながってしまうかもしれません。
ルーターの見直しなどネットワーク機器など物理的な要因から、SD-WAN、ブレイクアウトまで、幅広くお客さまの困り事が解決できるのがKDDI まとめてオフィスです。
通信環境の悪化を感じていたら一度KDDI まとめてオフィスにご相談ください。
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