アナログ回線とは?仕組みやダイヤル回線とプッシュ回線の違い
アナログ回線とは、音声を銅線に乗せて伝送する電話回線のことです。アナログ回線は、少しずつ縮小傾向にあるものの、ビジネスシーンで現在も一般的に使用されています。
アナログ回線は、2024年1月以降にサービスを順次終了することが決まっており、現在アナログ回線を使用している方にとっては、今後どうなるのか気になるところです。
当記事では、アナログ回線の仕組みやメリット・デメリットにくわえて、その他回線との違いや、今後どうなっていくのかといった点について解説します。
電話サービスの導入や切り替えを検討中なら、KDDI まとめてオフィスにご相談ください
1. アナログ回線とは?
アナログ回線とは、音声を銅線に乗せて相手方に伝達する電話回線のことです。日本ではNTT東日本・NTT西日本がアナログ回線を使用した電話サービスを提供しています。
アナログ回線は昔から使用されている電話回線であり、現在でも家庭用電話機を中心にアナログ回線を使用する機種が少なくありません。固定電話回線は徐々に縮小傾向にあるものの、ビジネスシーンにおいても、今なお一般的に活用されています。
以下では、アナログ回線の仕組みと種類について確認しましょう。
1-1. アナログ回線で音声通話ができる仕組み
アナログ回線で音声通話をするときは、まず受話器に発した音声が電話機でアナログ信号に変換されて、電話機に接続されている銅線に流れます。アナログ信号とは、音声をそのまま電流の強弱として電気信号に変換する信号方式です。
電話機は銅線で電話局の電話交換機と接続しており、電話交換機から相手方の電話機までの間も銅線で接続されています。銅線には電流が流れていて、電子の振動によってアナログ信号が伝送されることで、相手との音声通話を実現する仕組みです。
アナログ回線で音声通話ができる仕組みは、糸電話をイメージすると分かりやすいでしょう。糸電話の受話器に発した音声は、糸を振動させて相手方の受話器に伝わります。糸を銅線にして、音を伝達する糸の振動を電子の振動に変えたものがアナログ回線です。
1-2. ダイヤル回線とプッシュ回線の2種類がある
アナログ回線には「ダイヤル回線」と「プッシュ回線」の2種類が存在します。どちらも使用する線そのものは同じであるものの「電話番号をどのように電話局の交換機へと伝達させるか」に違いがあります。
ダイヤル回線は、電話番号の交換機伝達にパルス信号を用いる方式です。ダイヤル回線を使用する電話機には回転ダイヤル式の「黒電話」があり、ダイヤルを回転させたときに発生する電気信号の断続数(パルス信号)を用いて交換機に発信します。プッシュ回線と比較したとき、ダイヤルした数字ごとに回線を瞬断するため、一つの音を識別するのに時間を要するという特徴があります。
対するプッシュ回線は、プッシュボタン式電話機のボタンを押した際に鳴る「ピッポッパッ」といった音の周波数信号を用いる方式です。プッシュボタン式の電話機で使用されていて、ボタンを押したときに発生する音(周波数信号=トーン信号)を用いて交換機に発信します。現在アナログ回線のなかではプッシュ式が主流となっています。「*」や「#」などのボタンが付いていることが特徴です。
ダイヤル回線については、下記のページでも解説しているため、詳しく知りたい方はぜひご一読ください。
2. アナログ回線とその他回線との違い
固定電話に使用する回線には、アナログ回線のほかに「デジタル回線」「IP回線」「ひかり回線」があります。回線の違いは固定電話を導入するメリットに影響するため、それぞれの違いを理解しておきましょう。
アナログ回線とその他3回線の違いや特徴を紹介します。
2-1. デジタル回線とアナログ回線の違い
デジタル回線(ISDN)とアナログ回線はどちらも銅線を使用する回線であり、違いは音声の送信方法にあります。
すでに説明したように、アナログ回線は音声をそのまま電気信号に変換して、銅線で送信する回線です。
一方でデジタル回線は、音声を0と1のデータに変換する「デジタル化」をして、電流が流れている銅線を通して送信します。音声のデジタル化によって音声品質が向上し、アナログ回線よりもクリアな音声で通話できる点がデジタル回線のメリットです。
電話機が使用する回線がアナログ回線かデジタル回線かは、電話機の周辺機器に貼られているラベルで確認できます。ラベルに「ISDN」と記載があればデジタル回線であり、「ADSL」と記載があればアナログ回線です。
2-2. IP回線とアナログ回線の違い
IP回線とアナログ回線は使用する回線の種類に違いがあり、アナログ回線は電話回線を使用するのに対し、IP回線はインターネット回線を使用します。
まず、アナログ回線が使用する電話回線は、電話局を経由して相手方の電話機と通話します。一方のIP回線は、音声をデジタル化してインターネット回線に通し、IP網を介して相手方の電話機と通話する方法です。アナログ回線は、長距離電話すると通話料金が高くなるのに対し、IP回線は距離によって通話料金が変わらないメリットがあります。
また、アナログ回線を利用する場合は、電話加入権の購入やモジュラージャック設置工事などの手続きが必要です。IP回線の場合は、インターネット回線が建物に通っていればすぐにIP電話を使えるため、機器設置や回線工事が不要で初期費用を抑えられます。
ただし、IP回線には電力供給が必要なため、停電時には電話を利用できません。アナログ回線は停電時も電話のみはつながる場合があります。
2-3. ひかり回線とアナログ回線の違い
ひかり回線とアナログ回線は、使用する回線の素材そのものに違いがあります。アナログ回線は金属製のアナログ電話線を使用しており、一方でひかり回線はガラスを原料とした光ファイバーケーブルを使用する点が違いです。
ひかり回線はアナログ回線よりも通信品質が高く、クリアな音声で安定した通話ができます。高速なインターネット通信にも対応していて、動画を4Kで視聴できるほか、大容量のファイルを短時間でダウンロード可能です。
費用面については、ひかり回線を使用した電話は国内の通話料金が均一となっています。月額料金プランもアナログ回線より安く、インターネット回線とのセット利用がお得です。
また、アナログ回線は電磁波の影響を受けやすいのに比べて、ひかり回線は電磁波の影響をほとんど受けません。ひかり回線は電磁波による通話・通信のノイズが発生しにくく、より高音質で快適な通話を実現します。
3. アナログ回線のメリット・デメリット
アナログ回線の固定電話を導入することには、メリットとデメリットの両方があります。
具体的なメリット・デメリットの内容は、下記のとおりです。
アナログ回線のメリット |
---|
|
アナログ回線はNTT東日本・NTT西日本が提供していて、通話の安定性が高い点が特徴です。電源を必要とするモデムといった周辺機器が不要であるため、停電などの障害に強く、電力供給が不安定になる災害時も使用できます。
アナログ回線のデメリット |
---|
|
アナログ回線は音声を電気信号に変換して銅線で送信するため、銅線が長くなるほど信号が弱くなり、音質は悪くなります。外部の電波による影響も受けやすく、電話環境によっては通話中に音声のかすれや雑音が入る可能性があるでしょう。
また、アナログ回線は基本的に1回線あたり1通話しかできません。ビジネス用に導入する場合は回線数を増やす必要があり、導入費用が割高になります。
4. アナログ回線は今後どうなる?
アナログ回線を提供しているNTT東日本とNTT西日本は、2024年1月以降にアナログ電話やISDNなどの固定電話網(PSTN)を順次廃止することを発表しています。
アナログ回線のサービス終了後は、固定電話に使用する回線はすべてIP網に移行する予定です。NTT東日本・NTT西日本の局内設備が変更するだけのため、固定電話網からIP網への切り替えがされても、利用者は従来と変わらずに固定電話を使い続けられます。
アナログ回線のサービス終了に伴って、利用者側で電話機の設定を変更したり、設備工事をしたりする必要はありません。利用者はIP網への切り替えによって、固定電話の通信料が安くなるメリットがあります。
まとめ
アナログ回線は、災害時や停電などの障害に強く安定した通話ができる一方で、銅線が長くなるほど音質が悪くなったり導入や増設にコストがかかったりする点がデメリットです。
2024年にはアナログ回線のサービス終了が決定しており、固定電話に使用する回線は順次IP化していく予定となっています。アナログ回線の廃止にともなって、ひかり回線を検討されている方には「KDDI 光ダイレクト」がおすすめです。
「KDDI 光ダイレクト」は、アクセス回線に光ファイバーを利用しており、お客さまの電話機、電話番号をそのまま使用できる高品質IP電話サービスとなっています。ぜひ、この機会に「KDDI 光ダイレクト」の導入をご検討ください。
関連サービス | : | KDDI 光ダイレクト |
---|
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。