従業員がオフィスで快適に働くためには、一人当たりに推奨されているスペースを確保する必要があります。従業員一人当たりに必要な気積(空気の総量)は事務所衛生基準規則によって最低10m3(10立法メートル)以上と定められており、面積に関しては一般的に2.5~3坪以上が推奨されています。オフィスの面積を考える際は、自社のレイアウトや働き方などにあわせて検討するとよいでしょう。
当記事では、オフィスに必要な一人当たりのスペースと計算方法、オフィスのスペースを広くする方法などを解説します。オフィス環境を改善したいという方や、働き方にあわせてオフィスのレイアウトを変更したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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1.オフィスに必要な一人当たりの面積は?
オフィスに必要な一人当たりの面積を考える際、まず重要なのは事務所衛生基準規則です。この規則により、社員の健康と安全を確保するために、執務スペースの気積(空気の総量)を労働者一人当たり最低10m3以上確保することが定められています。
出典:厚生労働省「事務所衛生基準のあり方の検討について」
出典:e-Gov 法令検索「昭和四十七年労働省令第四十三号 事務所衛生基準規則」
執務スペースの気積は、下記の計算式で求められます。
気積=(執務スペースの床面積×天井高-設備類の容積)÷社員数
★床上4メートル以上の空間は対象外
ただし、実際のオフィスの面積を考える際には、この基準だけでは不十分です。オフィスの構成や社員の働き方によっても必要な面積は変わってきます。一般的なオフィスレイアウトであれば、社員一人当たりに推奨されるスペースは、2.5坪(約8.25m2)~3坪(約10m2)以上です。
オフィスで働く社員が20人いるなら、ワークスペースだけで約50坪(約165m2)が必要となります。外資系企業や個室が多い業種では、もっと広いスペースが必要になる場合も少なくありません。しかし社内のIT化が進んでおり、書類や事務用品を保管するオフィス家具、社員数に合わせたデスクやチェアなどの、物理的に仕事に必要なものが少なければスペースを節約できる可能性もあります。
2.オフィスの一人当たり面積の変移
新型コロナウイルスの流行以降、オフィスの面積に関する考え方が大きく変わりました。テレワークやハイブリッドワークの定着により、企業はオフィス環境の最適化を図るようになっています。特に目立つのが、これまでの「人」を基準にした面積の考え方から、「席」を基準にする考え方への移行です。
コロナ前は、一人当たり2~4坪のオフィス面積が用意されていました。しかし、ハイブリッドワークの導入により、全社員が毎日出社しない職場も増えてきました。そのため、固定席がまったく使用されず、無駄なスペースとなる職場も出てきています。この変化により、オフィスの必要面積を「出社率」と「必要な席数」から計算する新しい方法が注目されるようになりました。
さらに、Web会議の普及で会議室の利用が減少したこともあり、オフィス全体で利用スペースの再編を進める企業が増えています。最近では、座席のフリーアドレス化やWeb会議用の個室の設置、コミュニケーションスペースの充実に力を入れる企業も少なくありません。
3.オフィスに必要な面積を計算するには?
快適で効率的な職場環境の整備には、オフィスに必要な面積を正確に計算する必要があります。自社の企業形態や出社状況を考慮し、人数・出社率のいずれかふさわしい計算方法を選びましょう。
ここでは、オフィスの面積を計算する方法と計算時に注意すべきポイントを、人数と出社率の2つに分けて解説します。
3‐1.人数から計算する方法
オフィス利用人数から計算する方法は、全社員の出社を前提とした従来のオフィス面積の求め方です。この計算では、オフィス利用人数とオフィス在籍人数がほぼ同じとなる企業に適しています。
計算式 |
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オフィス面積=オフィス利用人数(=在籍人数×出社率)×一人当たりの面積 |
たとえば、50人の社員が全員出社するとして、一人当たり3坪(約10m2)を確保するのであれば、500m2のオフィス面積が必要となります。
この方法は、全員が同時にオフィスで業務に従事する状況を想定しています。そのため、実際の出社スタイルやシフト状況に応じて調整が必要です。
3‐2.出社率から計算する方法
出社率からオフィス面積を計算する方法では、席数を在籍人数・出社率・席余裕率を用いて算出し、一席当たりの面積をかけてオフィス全体の必要面積を求めます。テレワークやハイブリッドワークが導入され、出社する人数が流動的な企業に適した方法です。
計算式 |
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オフィス面積=席数(在籍人数×出社率×席余裕率)×一席当たりの面積 |
たとえば、在籍人数50名・出社率60%・席余裕率120%・一席当たりの面積が3坪(約10m2)の場合、計算式は下記のとおりです。
計算式 |
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オフィス面積=50×0.6×1.2×10=360m2 |
この計算式では、固定された席数を中心に据えつつ、出社する人数が変動する状況を考慮することで、柔軟な働き方に適したオフィス面積の算出が可能です。席余裕率とは、オフィスに出社する従業員一人あたりの席数割合のことを言います。出社率や席余裕率は各社で異なるため、状況に応じた適切な値を設定する必要があります。
4.オフィスのスペースを広くする方法
現在利用できるオフィスで十分なスペースが確保できない、あるいはオフィス移転や縮小で利用できるスペースが減ったケースもあるでしょう。そのような場合でも、工夫次第では使用できるスペースを増やすことができます。
ここでは、限られたスペースでも効率的かつ快適なオフィスづくりを可能とするコツを、4つ紹介します。
4‐1.ペーパーレス化を進める
ペーパーレス化を進めると、書類の保管に必要な収納スペースをほかの用途に活用できます。また、書類の電子化を進めると業務効率化が進み、テレワークなどの柔軟な働き方に対応しやすくなるのもメリットです。
ただし、法定保存文書や個人情報を含む書類の取り扱いには、法令要件やセキュリティへの配慮が必要です。また、社内の運用規定や仕組みの変更には、十分な準備と社内説明会などの施策が求められます。
ペーパーレス化を進める際のポイント |
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4‐2.フリーアドレス制を導入する
フリーアドレス制は固定席を持たず、空いている席を自由に利用するワークスタイルです。フリーアドレスなら、オフィスに常駐する社員の分以外の固定席が必要ありません。そのため、社員の出社率に応じて確保すべきスペースを削減できます。特に外回りの営業職など席を外す社員が多い場合や、交代で出社するようなワークスタイルを導入している企業では、フリーアドレス制が効果的です。
フリーアドレス制を導入する際のポイント |
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4‐3.共有スペースを有効活用する
共有スペースを有効活用することで、限られたオフィススペースを最大限に利用できます。たとえば、ランチスペースをミーティングスペースとしても利用する、応接室と展示ルームを兼ねる、といった具合です。
ただし、休養室など労働安全衛生法で快適な職場環境の形成に必置とされるスペース・設備については法令を確認し、適切に設けなければなりませんので注意しましょう。
共有スペースを有効活用する際のポイント |
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4‐4.コンパクトな家具を選ぶ
オフィスのスペースに余裕を生み出すには、オフィス家具の選び方も重要です。できるだけコンパクトなサイズを選べば、限られたスペースでも効率的に活用できます。家具の色や形状など、空間を広く見せやすいデザインにも気を配るとよいでしょう。また、ペーパーレス化を進めると書類の保管スペースや筆記具などの事務用品の保管スペースを縮小でき、収納家具の削減が可能になります。
コンパクトな家具を選ぶ際のポイント |
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まとめ
オフィスに必要な面積を考える上で重要なのが、従業員一人当たりに最低限必要な気積(空気の総量)・面積を把握することです。気積に関しては事務所衛生基準規則によって一人当たりに必要なスペースは最低10m3以上と定められており、面積は一般的に一人当たり2.5坪(約8.25m2)~3坪(約10m2)以上が推奨されています。
近年ではテレワークやハイブリッドワークの定着により、従業員が毎日出社しない職場も増えてきました。オフィスの必要面積を「出社率」と「必要な席数」で求める場合もあるため、自社の働き方に照らし合わせてオフィスに必要な面積を求めることが大切です。
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