グループアドレスとは、組織内の部署やプロジェクトごとに指定されたエリアで従業員が自由に座席を選べる働き方です。グループアドレスはチーム内のメンバーが同じエリアに集まるため、気軽に会話したり相談したりできるメリットがあります。社内のオフィス環境を改善したいと考えている方の中には、グループアドレスを導入すべきか悩んでいる方もいるでしょう。
当記事では、オフィススタイルの1つであるグループアドレスの概要やフリーアドレスとの違い、グループアドレスを導入するメリット、注意点、導入手順・進め方などを紹介します。
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1.グループアドレスとは?
グループアドレスとは、組織内の部署やプロジェクトごとに指定されたエリアで、従業員が使う席を自分で自由に選ぶ働き方です。グループアドレスでは、基本的に従来の固定席を設けません。今までそれぞれの席で管理していた個人の資料や荷物はロッカーに保管し、必要に応じて持ち運ぶ形になります。隣に座る人が日々変わるため部署内でのコミュニケーションが活発になったり常備するデスクが減ったりするなど、さまざまなメリットのある働き方です。
新型コロナウイルスの影響でリモートワークが普及したこともあり、自社オフィスを縮小した多くの企業で、スペースを有効に使う手段としての導入が増えてきました。固定席とフリーアドレスのよい点を兼ね備えるグループアドレスは、人間関係の円滑化や業務効率の向上が期待されるオフィススタイルの1つです。
1-1.フリーアドレスと異なる点
フリーアドレスとグループアドレスの主な違いは、座席のエリアが指定されているかどうかです。フリーアドレスでは、従業員全員がオフィス内のどの席も自由に選べますが、グループアドレスでは部署やプロジェクトごとにエリアが指定され、その中で席を選びます。
フリーアドレスの場合、好きな席を選べる利点がある反面、部署内のコミュニケーションはグループアドレスよりも取りづらくなります。一方グループアドレスは、部署内のコミュニケーションを促進しつつ、固定席によるマンネリ化を防ぐことができます。上司にとっては部下がどこに座っているか把握しやすく、管理が容易になります。グループアドレスは、フリーアドレスの柔軟性と固定席のコミュニケーションの利便性を両立させたワークスタイルです。
2.グループアドレスを導入するメリット
グループアドレスは導入のハードルが低く、部署単位で自由に運用できる点がメリットの1つです。ほかにも、部署内のコミュニケーションや連携が向上する、ペーパーレス化やIT化を推進する効果も期待できる、従業員の育成に有効、といったさまざまなメリットがあります。
以下では、グループアドレスを導入する代表的なメリットを3つ解説します。
2-1.部署内のコミュニケーション・連携が向上する
グループアドレスを導入すると、部署内でのコミュニケーションと連携が向上しやすいのがメリットです。グループアドレスはチームメンバー全員が同じエリアに集まるため、気軽に会話を交わしたり、相談したりしやすくなります。
互いの状況が把握しやすく、困ったときの助け合いやミスのフォロー、迅速なトラブル対応も容易です。これによりチーム内での一体感が生まれやすく、従業員のモチベーション向上も期待できます。
2-2.ペーパーレス化・IT化の推進につながる
グループアドレスを導入すると、ペーパーレス化とIT化が進みます。固定席がないグループアドレスでは、個人のデスクに書類を保管できません。ロッカーなど限られたスペースしか使用できないため書類のデータ化が必要になり、ペーパーレス化も自然と進みます。
書類をデジタル化することで、書類や情報を探し出す非効率的な作業の無駄が排除され、業務が効率化し、結果として生産性が向上します。ペーパーレス化に伴い印刷機会が減少し、用紙代・インク代・ファイル代などの経費削減も期待できるでしょう。セキュリティの強度にもより気を配るようになり、IT化の推進にも貢献します。
2-3.スムーズな人材育成を実現する
グループアドレスは人材育成にも有効です。同じ部署のメンバーが近くにいるため、新人が先輩に気軽に質問しやすくなります。また、上司や先輩も新人の様子を把握しやすく、必要なサポートのタイムリーな提供が可能です。
仕事の仕方や現状が分からないまま取り残される心配がなければ、新人は迅速に業務に慣れ、自信を持って仕事に取り組めるでしょう。効率的な人材育成は新人の戦力化を加速するだけでなく離職率の低下も期待でき、組織全体の成長と継続的な成功に重要な役割を果たします。
3.グループアドレスを導入する際の注意点
グループアドレスは、ただやみくもに導入してもうまくいくとは限りません。グループアドレスのメリットを最大限に生かすためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、グループアドレスを導入する際の注意点を3つ紹介します。
3-1.従業員に導入目的を周知した上で進める
グループアドレスの導入に当たっては、なぜ導入する必要があるのかを周知しなければなりません。導入目的が共有されないとデメリットにばかり目が行きやすく、効果的な運用が難しくなるためです。従業員の理解を得られるよう、事前にアンケートやヒアリングを実施しつつ、説明会の開催やマニュアルの配布などを行いましょう。
従業員が導入目的とメリットを理解すれば不安や誤解が減り、導入後のスムーズな運用につながります。説明会の動画を公開し、各自が都合のよいときに情報を得られるようにするのも効果的です。
3-2.導入後も席が固定化する可能性がある
グループアドレスを導入しても、席の固定化が起こる場合があります。グループ内で仲のよいメンバーや同じ作業の担当者同士で固まってしまう、利便性のよい席や居心地のよい席ばかりを選んでしまうといったケースです。席が固定化しては、グループアドレスのメリットを生かせません。
席の固定化を起こさせないためには、くじ引きで席を決めたり出社するたびに席が変わるシステムを利用したりする方法が有効です。また、すべての席で仕事に集中できるよう、環境を整える必要もあります。
3-3.部署ごとに相性を確認して向き・不向きを判断する
グループアドレス導入時には各部署の業務との相性を検討し、向き不向きを判断することが重要です。チームワークや直接的なコミュニケーションが重視される部署では、グループアドレスの導入が有効です。しかし、グループアドレスが適さない部署や業務もあるため、慎重に進めなければなりません。
また、すべての部署に同じ運用方法を適用するのではなく、部署ごとに最適な方法を見極めるのも大切です。細かいルールやエリアの使い方は各部署に任せ、必要に応じて見直しを行えば、各部署の特性にあわせて効果的に活用できます。
4.グループアドレスの導入手順・進め方
グループアドレスの導入手順とおおまかな流れは、以下の4ステップです。
1 | グループアドレスの導入目的を設定する |
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まず、グループアドレスを導入する目的を明確にします。「なぜ導入する必要があるのか」「どのようなメリットがあるのか」を具体化し、導入後のイメージを従業員と共有しましょう。 |
2 | 導入対象の部署を決定する |
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次に、導入する部署の選定です。すべての部署に適用する必要はないので、部署の業務内容に応じて向き不向きを判断しましょう。在席率が高い部署や機密性が高い業務を担当する部署は導入によるトラブルが生じる可能性があるため、注意しなければなりません。 |
3 | オフィスのレイアウトを検討する |
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在席率を基に必要な座席数を割り出し、オフィスのレイアウトを決定します。デスクの配置や必要なオフィス家具、個人用のロッカーなどを考慮しつつ、レイアウトを変更しやすい家具を選ぶと便利です。 |
4 | 運用ルールの策定・効果検証を行う |
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導入目的にあわせた運用ルールを策定し、社内で情報共有します。たとえば、コミュニケーション活性化が目的なら「毎日異なる相手の隣に座る」などのルールが有効です。試験導入を行って従業員の反応やオフィスの使い勝手を分析し、必要に応じてルールを修正しましょう。 |
グループアドレスの運用開始後も定期的にアンケートやヒアリングを実施し、従業員の意見を反映させながら運用を見直すことが大切です。業務の変化や従業員のニーズにあわせて、柔軟にオフィス環境やルールを更新することで、グループアドレスの効果を最大化できます。
まとめ
グループアドレスはフリーアドレスの柔軟性と固定席のコミュニケーションの利便性を両立させたワークスタイルです。グループアドレスは部署単位で自由に席を選べるため従業員が互いの状況を把握しやすくなり、ミスのフォローやトラブル対応がスムーズに進められるメリットがあります。
グループアドレスでは個人デスクに書類を保管できないため、自然とペーパーレス化が進み、セキュリティの強度にもより気を配るようになるでしょう。グループアドレスを導入する際は、従業員に導入の必要性やメリットを周知した上で進めることが大切です。
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