CO2削減が関係するのは大企業だけではない?!中小企業のリスクとは
2022年4月に東京証券取引所の市場が「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに再編されました。この際、新しい上場基準が定められ、プライム市場に上場している企業は、TCFD(注1)に基づいた情報開示(TCFDレポート)が求められるようになりました。
TCFDレポートでは、気候変動課題への対応を「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の 4 つのフレームワークに沿って開示することが推奨されており、目標の中にはサプライチェーン全体でのCO2排出量削減も含まれています。
注1) 気候関連財務情報開示タスクフォース
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Scope 3では、取引先が大企業の場合は中小企業も対象に
前述のとおり、CO2排出量の削減は、大企業だけではなくサプライチェーン全体で求められていきます。
サプライチェーンでのCO2の排出量は、自社の直接排出を対象とするScope1、自社が購入や使用したエネルギーに由来する間接排出を対象とするScope2、それ以外の間接であるScope3に分類されます。
- Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
- Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
- Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
つまり、Scope3のCO2排出量削減を目指す大企業と取引をする(大企業に原材料を納品する場合や、大企業の製品を使用する)場合は中小企業でもCO2の削減を求められるようになっていくのです。
CO2削減が関係する中小企業のリスクとは
仮に、中小企業がCO2排出量の削減の取組が疎かになった場合、その会社にはどんな経営上のリスクがあるのでしょう。
1つ目は、仕入先や販売先などの取引先を失うリスクです。仕入先や販売先がプライム上場企業で、Scope3でのCO2排出量削減に取り組んでいる場合、その会社との取引を終了する可能性が出てきます。
2つ目は、資金調達の難易度が上がるリスクです。銀行などの金融機関も気候変動対策に注目しており、CO2の排出量削減に取り組んでいる企業への融資の場合は金利を優遇する金融商品なども出てきています。加えて、CO2排出量削減に取り組むことで、国や自治体から補助金や助成金が出ることもあります。
言い換えると、これらのリスクは、中小企業の中でいち早くCO2排出量削減に取り組むことのメリットの裏返しでもあります。
競合などに先んじて、CO2排出量削減に取り組むことで差別化を図ることで、新しい大企業の取引先を獲得できたり、補助金などを受けられたりし、経営にプラスの効果を生む可能性があります。
次回の記事では、中小企業がCO2排出量削減に取り組む際、何から手を付け、どんな手順で進めていくか、といった具体的な方法などをご紹介します。
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。