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テレワークで浮上した「固定電話どうするか」問題 スマホによる置き換え術とは

テレワークで浮上した「固定電話どうするか」問題 スマホによる置き換え術とは

2024年06月04日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。

2024年3月26日、 ITメディアオンラインに「固定電話からスマートフォンへシフトする働き方改革」についてのインタビュー記事を掲載した。

今回はその掲載記事をご紹介します。

オフィスの固定電話や内線の運用は、ハイブリッドワークを進める上での代表的な課題だ。「今、誰がどこで働いているか分からない」中で、コミュニケーションの質を保ちながら電話の取り次ぎをスムーズに進めるための方策とは。

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"電話番のためだけに出社する"を減らす

KDDI まとめてオフィスの三瓶裕介氏

KDDI まとめてオフィスの三瓶裕介氏(防災士)

「業務上のコミュニケーションで音声通話の比重が大きい職種の方からは『どこにいても電話を受けたい』『固定電話に縛られたくない』という意見をよく聞きます」。こう話すのは、KDDI まとめてオフィスの三瓶裕介氏(営業推進本部 デジタルマーケティング部マーケティンググループ 防災士)だ。従業員がさまざまな場所で働くことが当たり前になる時代に、固定電話や内線を介したやりとりが旧態依然だと、電話を取り次ぐだけでも大きな手間がかかる。テレワークはできるが、外線を取り次ぐためだけに従業員が持ち回りで出社する――このように非効率な運用をしている企業も存在する。多様な働き方を進める上では、電話の取り次ぎにまつわるプロセスを根本から見直す必要がある。

この解決策となるのが、スマートフォンの内線化だ。スマートフォンで内線の架電と受電ができれば、通話対象がどこにいるかを考慮せず、いつでも連絡を取り合うことが可能になる。従来の"取り次ぎの手間"を軽減でき、従業員同士の気軽なコミュニケーションを後押しする可能性もある。

KDDI まとめてオフィスの山田真章氏

KDDI まとめてオフィスの山田真章氏

KDDI まとめてオフィスの山田真章氏(営業推進本部 デジタルマーケティング部 マーケティンググループ グループリーダー)は、スマートフォンの内線化を実現する方法を2つ挙げる。一つはクラウド電話サービスを使う方法だ。例えばCisco Systemsのクラウド電話サービス「Webex Calling」がある。もう一つは通信事業者の電話転送サービスを使う方法だ。KDDIのサービスを使うなら、IP電話システム「KDDI 光ダイレクト」にFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「KDDI ビジネスコールダイレクト」を組み合わせることで実現できる。

両者の違いはクラウドPBX(構内交換機)を利用するか、オンプレミスにPBXを設置するかで、機能面では大差ない。山田氏は「これまでPBXを使ったことがない企業ならば、クラウドPBXの導入をお勧めします」と話す。クラウドPBXは設備工事や配線工事が不要なため、その分のコストが発生しない。社用スマートフォンと無線LANさえあれば利用を開始できる手軽さがメリットだ。オフィスのフリーアドレス化や移転、組織変更にも対処しやすい。設定変更が必要な場合はIT管理者が自分でWebブラウザのコンソール画面から操作でき、業者に依頼する必要もない。「Webex Callingなどのクラウド電話サービスは、固定電話回線と比較して音声品質は遜色なく、ビジネスでの使用に十分耐え得る品質となっています」というのが山田氏の見解だ。

オンプレミスPBXが有効な場合もある。例えば固定電話の既設台数が多い企業では、全てをIP電話に置き換えると大きなコストが発生するため、クラウドPBXに無理に移行しない方がよいと考えられる。「テナントの都合で固定回線を利用したい、FAXを使いたい、構内放送の仕組みを使いたいといった事情から、オンプレミスPBXを利用できるKDDI 光ダイレクトを選ぶ企業もあります」と山田氏は説明する。

山田氏によると、オンプレミスPBXとクラウドPBXを組み合わせて利用することも可能だ。企業の拠点ごとに両者を使い分けるパターンや、両者を組み合わせながら徐々にクラウドPBXに移行する場合もある。「どちらを使っても実現できることは同じですから、自社の既存設備に適した手段を選びましょう」(同氏)

Webex Callingで"いつでもどこからでも電話できる"を実現

これからのサービスを利用している事例を紹介する。化学品専門商社の小池産業は、本社のオフィスリニューアルを機に固定電話を廃止。Webex Callingを導入した。これにより、営業担当者はスマートフォンから、営業事務担当者はPCから会社の代表電話を使えるようになった。どこでも架電と受電ができる仕組みが整ったことで、電話取り次ぎの手間が大幅に軽減したという。固定電話を廃止したことで人事異動に伴う固定電話の移設工事や内線電話の番号管理も不要になった。

ビジネス電話に欠かせない基本の機能

オフィスリニューアルを機に営業フロアのフリーアドレス化も実現した。小池産業は、「商社にとって一番大切なのは、1分でも長くお客さまとの接点を持つこと」だと考えている。「通勤に時間をかけるぐらいなら顧客先に訪問することを優先してほしい」という考えに基づいて、出社しなくても仕事ができる環境づくりを進めていたという。一方でオフィスは"新たなアイデアを生み出すコミュニケーションの場"と位置付けている。

固定電話の廃止で顧客対応の円滑化とコスト削減を両立

スマートフォンの内線化は、小売業や工場、医療機関など、施設内を従業員が行き来する業務形態では特に有効だ。静岡県や愛知県でホームセンターを展開する小売業のエンチョーは、これまで店舗ごとに固定電話を設置し、店舗従業員はPHSを利用していた。しかし屋外の売り場ではPHSに電波が届きにくく、通話の品質に課題を抱えていた。この状況を解消するため本社と全57店舗で電話回線をKDDI 光ダイレクトに切り替え、auのスマートフォンを店長と一部従業員に支給。KDDI ビジネスコールダイレクトを使ってスマートフォンを内線化した。店舗の代表番号を使ってスマートフォンから発信や着信ができる「auオフィスナンバー」も併せて導入した。固定電話機を廃止し、スマートフォンのみで運用している店舗もあるという。

従来は固定電話でしか受電できなかった「代表電話への着信」をスマートフォンに転送できるようになったことで、従業員がどこにいても対処できるようになった。スマートフォンの通話料(外線発信)が加わったにもかかわらず、従来発生していた固定費や通信料を13%以上削減することもできた。

通信の課題は、広い視点で全体最適を

通信にまつわる課題は業種や業態によって、さらには一企業の中でも拠点ごとに事情や課題が異なる場合がある。通信の業務課題は、従業員の利便性に関わる運用面だけでなく、配線設計のようなハードウェアの問題、ネットワークを構築するソフトウェアの問題など、広い視点で全体最適を考えなければならない。そのため、固有の事情を踏まえてさまざまな選択肢の中から適切なサービスを選ぶことは、選定担当者だけの力では難しいものだ。三瓶氏は「KDDI まとめてオフィスは幅広い業務課題を想定して、クラウドサービスからオンプレミスインフラまでさまざまな製品とサービスをワンストップで提供できます。お客さまの既存設備や固有の事情に合わせて、最適な提案を模索します」と説明する。同社が扱う品目は、通信サービスやエンドポイントデバイスに限らず、オフィスツールやビジネスコミュニケーションツールなどの情報系システム、オフィス家具、オフィスデザインなど、多岐にわたる。「オフィスに関するどんな相談でも引き受けます」と同氏は説明する。

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