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ISDNとは?特徴やメリット・サービス終了の背景と代替案

ISDNとは?特徴やメリット・サービス終了の背景と代替案

2024年07月31日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
ISDNとは?特徴やメリット・サービス終了の背景と代替案

ISDNは、これまで企業を中心に国内に広く普及した回線の1つです。2024年にISDNの一部サービスは終了しましたが、今もさまざまな用途で使われています。そのため「そもそもISDNとはどのようなもの?」「ISDNの代替サービスには何がある?」という疑問を抱いている方もいるでしょう。

当記事では、ISDNの概要やメリット・デメリット、2024年のサービス終了の背景、代替サービスについて説明します。

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1. ISDNとは?

ISDNとは?

「ISDN(Integrated Services Digital Network)とは、電話線を利用してデジタル信号で電話やデータ通信を行う通信方式のことです。ISDNのサービスとしては、NTT東日本とNTT西日本が提供する「INSネット」が挙げられます。

従来のアナログ通信方式では音声をそのまま電気信号として送っていましたが、ISDNは音声をデジタル信号に変換するため、音声品質が向上したことが特徴に挙げられます。また、1つの電話番号で2つの回線を利用でき、音声通話とデータ通信を同時に行える点でも注目を集めました。

ISDNは1988年にサービスを開始し、次世代の通信方式として広く普及しました。2000年代初頭までは個人・法人を問わず広く利用されていましたが、その後は新たな通信技術の登場により契約者数が減少傾向にあります。

1-1. ISDNとADSLとの違い

ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)は、アナログ回線を利用して電話やデータ通信を行う通信方式です。ISDNはデジタル回線を使用する一方で、ADSLはアナログ電話回線の高周波帯域を利用してデータ通信を行います。上りの通信速度は最大1~5Mbps、下りの通信速度は最大50Mbpsと、上りと下りで通信速度に差があることも特徴です。

また、ISDNは1つの電話番号で2つの回線を使える一方、ADSLは1つの電話番号で1つの回線しか使えない点も違いの1つです。さらに通信の安定性は、デジタル回線を使うISDNのほうが優れていると言われています。ADSLは、通信速度の速さにより1999年のサービス開始以降広く普及しましたが、光回線の登場によって現在は利用者が減少しています。

1-2. ISDNとFTTHとの違い

FTTH(Fiber To The Home)は、光ファイバーケーブルを使って電話やデータ通信を行う光回線の配線方式の一種です。電話線を使ってデジタル通信を行うISDNとは異なり、FTTHは光ファイバーケーブルを使って光信号を送ります。ISDNやADSLより通信速度が速い上、基地局から離れると通信速度が落ちるISDNやADSLとは異なり、基地局から離れても通信速度がほとんど低下しないことが特徴です。

光ファイバーケーブルが基地局からどこまでつながっているかにより、以下のように名称が変化します。

FTTH(Fiber To The Home) 家庭まで
FTTB(Fiber To The Building) オフィス・マンションなどの建物まで
FTTC(Fiber To The Curb) 建物のそばの道路脇まで
FTTN(Fiber To The Node) 屋外の分配ノードまで

2. ISDNを利用するメリット・デメリット

ISDNを利用するメリットは、以下の3点です。

●音声品質が高い

音声信号をデジタル化して送信するISDNは、音声品質が良く、電話中の会話を聞き取りやすいことがメリットです。音飛びやノイズが少なく、通信も安定しているため、ビジネスシーンでも問題なく使用できます。

●盗聴されにくい

直接電気信号を送信するアナログ回線とは異なり、音声をデジタル化して送信するため、万が一電気信号を拾われても、会話をそのまま聞かれるリスクを抑えられます。盗聴される可能性はゼロではありませんが、アナログ回線よりセキュリティ性は高いといえます。

●1つの電話番号で2つの回線を使える

1つの電話番号を契約すれば、電話とFAXなどのデータ通信を同時に行えるため、「複数の回線を引く」「目的に応じて電話線を差し替える」といった手間がありません。

一方、ISDNを利用するデメリットは以下の2点です。

●通信速度が遅い

現在広く使われている光回線は通信速度が1~10Gbps※1であるのに対し、ISDNの通信速度は64kbps※2程度と遅めです。Webページの快適な閲覧には1~5Mbps程度の通信速度が必要とされており、ISDNでは通信にストレスを感じるかもしれません。

●利用料金が高い

ISDNは、光回線と比較して月額料金が高めに設定される傾向にあります。契約する企業によっては月額料金が倍近く高くなるケースもあるため、ランニングコストを抑えたい場合には向きません。

※1 1Gbps=1,000Mbps
※2 1Mbps=1,000kbps

ISDNのサービス開始当初は、電話とデータ通信の同時利用ができる点や通信品質の良さに注目が集まりました。しかし現在はISDNより通信速度が速く、より低コストで利用できる光回線が普及しているため、ISDNを使うメリットが少なくなっています。

3. 【2024年1月】ISDNのサービスは部分的に終了

2024年1月、「ディジタル通信モード」を含む、ISDNサービスの一部が終了しました。ISDNには、パソコン(PC)などでデータ通信を行う「ディジタル通信モード」と電話などに利用する「通話モード」があり、ディジタル通信モードのみ終了しています。

ディジタル通信モードのサービス提供終了後は、補完策として2028年ごろまで「切替後のINSネット上のデータ通信」を利用できるサービスが提供されます。なお、切替後のINSネット上のデータ通信を使用する機器によっては、処理速度の低下などの影響が発生する可能性があるため注意しましょう。

出典:NTT東日本「INSネットをご利用の事業者さまへ」

出典:NTT西日本「「INSネット」をご利用の事業者さまへ」

3-1. ISDNのディジタル通信モードが終了した理由

ISDNのディジタル通信モードが終了した理由

ISDNのディジタル通信モードが終了した理由は、以下の2点です。

●契約者数の減少

固定電話サービス自体の需要の減少や、ISDNより割安な料金で高速通信ができる光回線の普及によって、ISDNの契約者数は減少傾向にあります。

●設備の老朽化

ISDNに必要なアナログ電話網は、通信設備の老朽化が進み、早ければ2025年には設備維持ができなくなると考えられています。老朽化への対策としてアナログ電話網をIP網に切り替えるにあたり、ディジタル通信モードの廃止が決定しました。

当面は補完策が提供されるほか、通話サービスは利用を継続できますが、契約者数の減少に伴い今後もISDNサービスは縮小・廃止される可能性があります。ISDN回線を利用中の方は、長期的に別の通信方式への切り替えも視野に入れるとよいでしょう。

4. ISDNの代替サービスには何がある?

ISDNの代替サービスには何がある?

ISDNの代替としては、以下のような通信サービスが考えられます。

  • 光回線
  • インターネットEDI

光回線は従来の電話回線よりも速く通信ができ、長距離の通話にも適しているのが特徴です。EDIとは、専用の回線やインターネットを使って取引の帳票を電子データとしてやり取りする仕組みのことです。

光回線とインターネットEDIにはどちらも一長一短があり、また回線の移行に手間や時間がかかる可能性がありますので、補完策の提供期間を活用しながら代替サービスを検討しましょう。

まとめ

ISDNとは、電話線を使ってデジタル信号で電話やデータ通信を行う通信方式のことです。音声品質が高く盗聴されにくいというメリットがありましたが、2024年1月をもって一部サービスは終了しています。

2028年ごろまでは補完策が採用されていますが、補完策が終了するまでにISDNの代替サービスを早期に見つけるのが理想的です。光回線やインターネットEDIなど、ISDNの代替案は複数ありますので、自社に合う回線を比較検討するようにしましょう。

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