VPNは必要か?法人・個人の利用シーンとVPNの導入方法
VPN(Virtual Private Network)は、法人・個人を問わず、インターネット上での安全な通信を確保するための重要なツールです。特に外出先でのフリーWi-Fi利用時や、情報規制のある国での業務、複数拠点間のLAN構築、そしてIP電話のセキュリティ強化など、多くの場面で役立ちます。
当記事では、法人と個人それぞれの利用シーンにおいてVPNが必要となる具体的な場面を紹介し、導入方法についても解説します。
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1. VPNとは?
VPNとは、特定の人だけが利用できる仮想の通信網のことです。正式名称は「Virtual Private Network」で、日本語では「仮想専用通信網」と訳されます。
VPNは、インターネット上のデータの送受信間に仮想のトンネルを作り、このトンネルを使用して通信を行う仕組みです。また、送受信するデータは仮想のトンネルを通る際に暗号化され、外部から見えないように保護されます。
VPNには、不正アクセスや情報漏えいを防ぐ仕組みがあり、共有回線よりも安全です。物理的な専用回路を使用するよりも、コストを抑えて導入できるのもVPN利用のメリットです。
2. 【法人】VPNが必要となる場面
企業でインターネットを使用する際に、特に注意しなければならないことは、情報セキュリティ対策です。セキュリティレベルが低く、データの情報漏えいが起きてしまうと、会社の評価や信用が損なわれる危険性があります。
そのため、社員が社外でインターネットに接続する機会が多い場合には、VPNの必要性が高いと言えます。
以下では、法人でVPNが必要となる具体的な4つの場面を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
2-1. 外出先などで社員がフリーWi-Fiを使うとき
出張先や外出先で社員がフリーWi-Fiを使用する場合、VPN接続が推奨されます。
近年、公共施設や店舗などさまざまな場所でフリーWi-Fiが利用できます。フリーWi-Fiは利便性が高い反面、盗聴や改ざんのリスクがあり、機密情報の漏えいの危険があります。VPNに接続をしてフリーWi-Fiを利用することで、安全に通信することが可能です。
2-2. 情報規制のある国で仕事をするとき
海外でもVPNを利用すれば、通信を暗号化して安全に仕事することが可能です。ただし、トルコなど一部の国では、VPN自体は合法であるものの、違法行為や不道徳な行為での使用は禁止されています。
また、中国などそもそもVPNの使用そのものを違法とする国もあります。海外へ仕事に行く場合は、あらかじめVPNの使用に制限がないか確認しておくことが大切です。
2-3. 複数の拠点間でLANを構築したいとき
複数の拠点でLANを構築したいときには、VPNが有効です。
従来の方法であれば、離れた拠点にLANを構築する場合、拠点間通信に専用回線が用いられていました。専用回線は、安定した通信速度で通信品質も高い方法です。しかし、拠点間の距離が遠くなるほどコストがかかり、複数の拠点に接続できないというデメリットがあります。
VPNは物理的な回路を接続せず、仮想の専用回路を構築するため、コストを安く抑えられます。複数拠点のLANを安全に接続でき、リモートワークを導入している企業でも活用しやすいシステムです。
2-4. IP電話を安心・安全に使用したいとき
VPNは、IP電話の使用時にも活用できます。
IP電話とは、LINEやSkypeといったインターネット回線を用いたVoIP(ボイスオーバーアイピー)を使用した音声通話です。IP電話は基本的にセキュリティ性が低く、通話内容が第三者に盗聴・録音される可能性があります。
VPNを接続した状態でIP電話を利用すると、通話内容が暗号化され、盗聴などの危険性を軽減できます。業務上、IP電話を利用する機会が多い企業は、VPN導入を検討してみてください。
3. 【個人】VPNが必要となる場面
VPNは法人だけでなく、個人で導入できるサービスが多数提供されています。より安心・安全にインターネットを利用したいと考えている方は、個人向けVPNを活用してみてください。
以下では、個人利用でVPNが必要となる2つの場面を紹介します。
3-1. 検索エンジンからプライバシーを守りたいとき
Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンは、利用者の閲覧内容やIPアドレスなどを記録しています。検索エンジンが利用者の情報を記録している理由は、検索の性能を向上させることで、利用者により適した情報を提供するためです。しかし、検索エンジンに記録された情報は、何らかの問題が発生した際に、外部に流出する危険性もあるでしょう。
VPNを活用すると、IPアドレスの匿名化が可能です。利用者の個人情報を検索エンジンに知られることがなくなり、プライバシーの保護につながります。
3-2. 旅行先で安全にインターネットを使いたいとき
旅行先でインターネットを使用する場合、ホテルや飲食店にあるフリーWi-Fiを利用するケースが少なくありません。
フリーWi-Fiは誰でも利用しやすいことがメリットですが、通信が暗号化されていない可能性があります。フリーWi-Fiの利用は、ある程度リスクがあると言えるでしょう。
また、海外旅行に行く場合は、国ごとにインターネット接続を制限していることが多くあります。閲覧したいサイトにアクセスできず、自由にインターネットを使用できない可能性があります。
旅行先で制限を受けずに安全にインターネットを使用したい場合は、VPNを導入しましょう。VPNを活用すると、日本の回線を利用するため、安全かつ制限を受けずにインターネットを利用できます。ただし、先述した通り、国によってはVPN利用自体が違法となる可能性があるため注意が必要です。
4. VPNの導入に必要なものは?
VPNはさまざまな導入方法があります。ここでは、主な導入方法とそれぞれの方法で必要な物を解説します。
● インターネットVPN
インターネット回線を用いて接続するVPNです。インターネットVPNには、拠点ごとに「VPNルーター」が必要です。VPNルーターは、送信データの暗号化や、受信データを復号する役割があります。既存のルーターにVPN機能が搭載されている場合もあるため、購入前に確認してください。
● IP-VPN
通信事業者が提供する専用回路を用いて接続するVPNです。IP-VPNは契約者専用の回路を使用するため、インターネットVPNより安全性が高いのが特徴です。IP-VPNの利用には、通信事業者と接続する「CEルーター」と呼ばれる機器を準備します。
● VPNアプリ
VPNを利用したい端末に専用のアプリケーション(アプリ)を入れるだけで利用できる方法です。無料で導入できるアプリもあり、個人利用におすすめです。iOSやAndroid ™ OS搭載のスマートフォン(スマホ)、タブレットの場合は、VPN機能が標準搭載されています。設定アプリを操作するだけで、スマホやタブレットでVPNを活用できるでしょう。
VPNソフトは、さまざまな種類が販売されています。多くの企業がVPNサービスを提供しており、企業によって特徴や料金が異なります。
VPNを選ぶときには、法人利用または個人利用で重視すべき点を明確にすることが大切です。多くの選択肢の中から、自社、または自身のニーズを満たせる適切なVPNを選びましょう。
まとめ
VPNは、外出先や海外での安全な通信を支える強力なツールです。法人では、フリーWi-Fiのリスク回避や複数拠点のLAN構築、IP電話のセキュリティ向上に役立ちます。一方、個人でも検索エンジンからのプライバシー保護や旅行先での安全なインターネット利用に役立ちます。
VPNの導入にはルーターやアプリなどが必要ですが、自分のニーズに合った方法を選ぶことが重要です。
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