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ペーパーレス化の7つのメリットとは?デメリットや成功事例も解説

ペーパーレス化の7つのメリットとは?デメリットや成功事例も解説

2024年08月29日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
ペーパーレス化の7つのメリットとは?デメリットや成功事例も解説

ペーパーレス化とは、紙媒体の使用を最小限に抑え、文書や資料を電子データとして管理する活動です。近年、ビジネスの現場では効率化や経費削減のためにペーパーレス化が急速に進んでおり、国もペーパーレス化を推進しています。

この記事では、ペーパーレス化のメリットやデメリット・課題、成功事例、ペーパーレス化を実現するためのステップについて解説します。電子帳簿保存法の改正などをきっかけとしてペーパーレス化を進めたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

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1. ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、紙媒体を電子化して紙を減らす動きです。さらに言えば、ビジネスにおいては紙を減らす行為そのものではなく、紙で運用してきた文書・書類・資料などを電子化することにより、業務プロセスをデジタルに移行し、全体的な効率化、意思伝達・共有スピードの加速や、経費削減、環境配慮にもつながる活動を指します。

例えば、既存の紙の書類をスキャンし、PDF化して保管するのもペーパーレス化の1つです。また、初めから紙媒体での記録・保管を行わず、デジタルデータで作成する行為もペーパーレス化の方法として挙げられます。作成したデジタルデータはパソコン(PC)やタブレットで閲覧すれば、紙への印刷は不要になります。

ペーパーレス化は、ビジネスシーンに限らず広まっている動きです。例えば、本や雑誌などの電子書籍化や、コンサートにおける電子チケットの利用などは広義のペーパーレス化と言えます。

1-1. ペーパーレス化の推進が必要な背景

ペーパーレス化の推進が必要とされている背景には、国の動きがあります。元々、日本政府は2000年代初頭にIT基本法やe-Japan戦略を制定して以降、電子政府の実現に向けて取り組んできました。内閣府は2020年の重点施策として、国の重要方針である働き方改革を推進するためにペーパーレス化を行うと発表しています。

出典:内閣府「令和2年度 内閣府重点施策」

ペーパーレス化が実現すれば文書に関する業務効率が向上するほか、オフィスの外でも仕事ができ、さまざまな働き方に対応できるようになるためです。

また、帳簿書類の電子保存要件が電子帳簿保存法の改正で緩和されるなどの例から分かるように、民間企業のペーパーレス化も国は積極的に進めています。

出典:国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました」

1-2. ペーパーレス化できる書類

ペーパーレス化をする場合、ビジネスで利用する書類がペーパーレス化されるほど、業務を効率化しやすくなります。対して、電子化した書類とそうでない書類が混在している状況は、業務がかえって混乱する恐れがあります。紙運用が残っていると、電子化した書類と紙の書類を突き合わせ、整合性をチェックする業務が発生するためです。ほぼすべての書類を電子化すれば、内容の転記なども簡単になり、業務をより効率化できます。

以下は、ペーパーレス化できる書類の一例となります。

  • ビジネス文書(書類、資料など)
  • パンフレット、カタログ
  • ポスターやチラシなどの販促物
  • 経理書類のうち電子帳簿保存法で認められたもの

ただし、すべての書類をペーパーレス化できるわけではありません。以下のような書類は2024年現在、ペーパーレス化が難しいとされています。

  • 免許証など身分証明書
  • 許可証
  • 災害時の安全の手引き

免許証などの本人確認書類や許可証は、現物を保有していることで効力を発揮する書類です。緊急時のための安全の手引きなども、通常は紙媒体で準備されますが、追加的に、オフラインでスマートフォン(スマホ)やタブレットなどから閲覧可能な、デジタル形式を用意しておくことも有用です。

2. ペーパーレス化のメリット7つ

企業のペーパーレス化には数多くのメリットがあります。各恩恵は、社内で取り扱う書類のうち、ペーパーレス化されたものが増えるほど大きくなります。ペーパーレス化を推進する際には、特定業務の中で紙の書類と電子化された書類が混在しないよう、ある程度まとめてペーパーレス化するのが重要です。

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

2-1. コストを削減できる

コストを削減できる

ペーパーレス化を進めると、以下のようなコストの削減を見込める点が大きなメリットです。

・印刷コスト
印刷コストは、ペーパーレス化によって削減できるコストの代表です。会議や日常業務で使用する資料を印刷する場合、コピー用紙やインク、トナーなどの消耗品費がかかります。企業規模が大きくなるほど印刷コストが積み重なり、その分出費も大きくなります。しかし、ペーパーレス化を推進することで、資料をデジタル形式で保存、閲覧、共有できるようになり、印刷をする機会を大幅に減らすことができます。これによって、コストを削減可能です。

・発送コスト
ペーパーレス化によって、請求書やパンフレットといった書類を取引先などに送る際の郵送費用も削減することが可能です。郵送にかかる切手代や封筒代だけでなく、封筒に宛名書きをして切手を貼り発送する、といった人的コストも削減できます。

・保管コスト
紙資料の保管には、しばしば膨大な面積と管理コストがかかります。ペーパーレス化をすることで、紙の資料の保管スペースが不要となり、スペースの節約ができます。それに留まらず、保管後に書類の紛失・破損を防ぐためにかかる管理コストも削減できるでしょう。

2-2. 場所を問わず必要な資料を参照しやすくなる

紙で管理している資料を閲覧するためには、実際に保管場所に移動し、キャビネットやファイルの中から探さなければなりません。特にテレワーク(リモートワーク)や外回りをしている従業員にとっては、必要な資料をすぐに参照できないと業務に差し障るケースもあります。

一方、ペーパーレス化を実現してデータをシステム上で管理すれば、場所を問わず必要な資料を閲覧できるようになります。資料の閲覧に伴う移動時間や手間を大きく削減できる点が、ペーパーレス化のメリットの1つです。

また、電子化した資料は社内での共有が容易になります。オフィスの外にいる従業員にもリアルタイムで最新の資料を共有できるため、より効果的な営業サポートが可能になるでしょう。

2-3. 業務効率化を推進できる

紙の書類で管理する場合、会議の準備1つ取っても、必要数の資料の印刷や整理、ホチキス止めといった煩雑な作業が必要になります。一方、ペーパーレス化を実現すれば紙の資料の準備にかかる手間を大きく減らせるため、業務効率化を推進できる点がメリットです。紙媒体から利便性の高いデジタルツールを使った業務に移行できれば、担当者の外出により稟議書が止まるなどの問題も減り、組織の意思決定が迅速になるでしょう。

また、デジタルデータは情報や資料の共有がしやすく、伝達ミスや共有漏れが発生しにくい点もメリットです。情報共有の確実性やスピードが上がるため、組織全体としての業務生産性の向上にもつながります。

2-4. CSR活動の一環としてアピールできる

ペーパーレス化はCSR活動の一環としてアピールできます。CSRは「Corporate Social Responsibility」の略称で、組織活動における社会的責任を指す言葉です。

CSR活動の一環として、SDGsに目を向ける企業は少なくありません。そして、ペーパーレス化はSDGsへの貢献の中でも着手しやすい取り組みと言えます。ペーパーレス化推進は、森林伐採による環境破壊の抑制や環境保全につながる取り組みです。現在は地球環境問題に注目する消費者も多いため、ペーパーレス化の促進は企業イメージの向上にもつながるでしょう。

2-5. BCP対策になる

ペーパーレス化は企業のBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策としても効果的です。BCPは、災害や感染症の蔓延といった有事の際にも、被害を最小限に抑え、速やかに事業を復旧させるための対策を指します。

紙媒体で情報管理をしている場合、火事や地震といった災害発生時に、会社の資産である資料などの重要情報を消失してしまうリスクが伴います。一方、ペーパレス化を進め、情報をデータ化してクラウドストレージなどに保存しておけば、緊急事態が発生しても企業が保有する大切な情報を失うリスクを大幅に軽減することが可能です。

しかし、ペーパーレス化が万全のBCP対策であるとは言い切れません。デジタルデータは、システム障害やサイバー攻撃により、アクセスが不能となるリスクもあります。そのため、ペーパーレス化においても、定期的なデータバックアップの実施、データの暗号化、セキュリティ対策強化などを合わせて実行することが望ましいです。

2-6. 新しい働き方につながる

ペーパーレス化は、ABWなどの新しい働き方につながります。ABWとは「Activity Based Working」の略で、その日の業務内容や気分によって働く場所や時間を自由に決める働き方のことです。近年ではABWを導入し、従業員が自宅やカフェなど、オフィス以外の自由な場所で働いている企業が国内にも複数存在します。また、コロナ禍の影響や育児・介護と仕事を両立させる方の増加を受けて、テレワークを導入している企業も少なくありません。

ペーパーレス化が進めば、従業員が毎日オフィスに出勤せず、好きな場所から自由に働く働き方を実現できます。ABWやテレワークといった新しい働き方の推進のためには、ペーパーレス化は不可欠と言えるでしょう。

2-7. セキュリティやガバナンスを強化できる

紙媒体で文書管理を行った場合、現物の紛失や破損だけではなく、改ざんや不正な持ち出しといったリスクが常に生じます。一方、ペーパーレス化を実現して文書や資料をクラウドシステムに格納すれば、個別に閲覧制限を設定し、担当者以外の閲覧・持ち出しを防ぐことも可能です。

また、タイムスタンプを付与できるシステムを導入すれば文書の原本性を担保でき、不正な改ざんや複製から文書を守れます。結果として、ペーパーレス化は文書や書類に関するセキュリティやガバナンスの強化につながります。

3. ペーパーレス化のデメリット・課題3つ

ペーパーレス化には多くのメリットがある一方、デメリットや課題と言えるポイントもあるため注意が必要です。ペーパーレス化のデメリット・課題を3つ紹介するので、対応策を考えた上で導入を検討しましょう。

3-1. 人によっては紙より見づらく感じる

書類のフォーマットがデジタル向けでない場合、人によっては視認性が低いと感じるケースがあります。例えば文字が細かい資料の場合、表示する端末の画面サイズによっては読むのが難しくなります。

文字の拡大・縮小は可能ですが、一部を拡大すると資料全体が見えなくなるため、電子化した資料は紙よりも利便性が低いと感じる方も少なくありません。資料・文書のペーパーレス化を実施する際には、デジタルデータとして閲覧することを前提に、既存の書類のフォーマットを見直すとよいでしょう。

また、紙の資料であれば、複数の資料を同時に机の上に並べて閲覧することも可能です。紙のまま運用したほうが効率的な業務ではペーパーレス化を避けるなど、適材適所で使い分けるのがおすすめです。

3-2. 利用者に一定のリテラシーが求められる

ペーパーレス化の推進には、PCやタブレット、スマホといった電子機器の活用など、企業全体でのIT化が欠かせません。しかし、電子機器に慣れていない従業員は使いこなせるようになるまで不便を感じやすい点がデメリットの1つです。ペーパーレス化に伴う電子機器導入の際には、研修や説明会を実施し、従業員の電子機器への抵抗感を下げるとよいでしょう。

また、ペーパーレス化によってデジタル上で強固なセキュリティ対策が行える一方で、デジタルリテラシーが低い従業員による誤操作などからデータの流出するリスクが高まることもあります。個人情報保護意識やサイバー攻撃のリスクが高まっている現代社会において、情報セキュリティ意識はペーパーレス化を推進する場合でも、しない場合でも重要です。社員のデジタルリテラシーが不足している企業は、ペーパーレス化を推進するとともに、社員教育を行いましょう。

3-3. ある程度のネットワーク環境が必要になる

ネットワーク環境の整備が必要になる点も、ペーパーレス化において注意したいポイントです。自社のネットワーク環境が貧弱だったり、安定しなかったりする場合、ペーパーレス化の「どこからでもアクセスできる」という恩恵が小さくなってしまいます。万が一ネットワークに障害が発生した場合は利用そのものができなくなり、業務に支障が生じるでしょう。

ネットワークが貧弱でペーパーレス化に課題を感じている場合は、ネットワークの強化や契約の見直しを検討することが重要です。

4. ペーパーレス化を推進するための4ステップ

ペーパーレス化を推進するための4ステップ

企業のペーパーレス化は、以下の4つのステップに沿って進めると効率的に導入できます。

1 ペーパーレス化の目的を定める
ペーパーレス化に着手する前に、ペーパーレス化の目的を明確化することが大切です。どうしてペーパーレス化したいかという点をしっかりと設定し、経営層や社員の理解を得なければ、ペーパーレス化が浸透せずに紙での運用に逆戻りする可能性があります。
2 業務で使う紙の書類を棚卸する
企業で扱う書類や文書をすべてペーパーレス化するのは現実的ではありません。まずは紙の書類を棚卸して分類し、ペーパーレス化の対象とする書類を決めましょう。
3 ツールと運用ルールを決める
ペーパーレス化に役立つツールは数多く存在するため、自社の業務内容やペーパーレス化の目的に合ったツールの選定が必要です。いくつかのツールの機能・システムを比較検討するか、外部の専門家に相談するとよいでしょう。加えて、ペーパーレス化によってワークフローが変わるため、現場が混乱しないようあらかじめ運用ルールを決めておくことも大切です。
4 PDCAサイクルを回す
以上のステップをクリアしたら、従業員に周知の上、ペーパーレス化を実行に移しましょう。実行後、一定期間ごとに評価と改善を繰り返すことで目標を達成しやすくなります。このプロセスには、ツールや運用ルールに関する従業員への教育やトレーニングを実施することも含まれます。

ペーパーレス化を成功させる鍵は、従業員の理解を得ることです。ペーパーレス化などの新しい試みは現場の従業員に大きな負担がかかるため、必ず目的や理由・メリットを説明し、現場の意見にも寄り添いながら推進しましょう。

5. ペーパーレス化の成功事例

今回は、KDDIまとめてオフィスのサービスを導入し、ペーパーレス化に成功した事例を4つ紹介します。成功事例の具体的な施策やどのような結果が得られたかなどを参考にし、ぜひペーパーレス化の推進に生かしてください。

5-1. 北陸電気工事株式会社

北陸電気工事株式会社様は早くからワークスタイルの変革に取り組み、従業員の残業時間を削減するとともに、業務効率改善を実現してきました。

ワークスタイルの変革に大きく寄与した取り組みの1つが、工事系部門におけるタブレットの導入です。従来の業務では、工事現場で図面や資料が必要になると、離れた場所にある事務所まで取りに戻る必要がありました。しかし、ペーパーレス化の推進によってタブレットで図面や資料を確認できるようになり、大幅な作業時間の短縮に成功しています。

5-2. 福島さくら農業協同組合

福島さくら農業協同組合様は、震災の影響で県内JAの組織再編が進む中、タブレットなどを活用して業務効率化を推進してきました。中でも効果的だった取り組みが、会議のペーパーレス化です。

福島さくら農業協同組合様では理事会を中心にさまざまな会議が行われており、毎回100ページ近い会議資料の作成・配布が必要でした。しかし、会議のペーパーレス化や遠隔相談システムの導入を進めたことにより、紙代や印刷費などの費用を年間約150万円削減できました。

5-3. 株式会社GRANDCITY

株式会社GRANDCITY様は、販売部門の全従業員にスマホやタブレットを貸与し、ペーパーレス化や業務効率化を実現しています。

紙ベースで行ってきた交通費精算や日報・月報の作成をはじめ、さまざまな業務のペーパーレス化を推進することで、従業員の業務負担は大きく削減されました。また、それまでは手計算で行ってきた部内の売り上げの集計も自動化でき、コア業務に時間を割くことが可能になりました。

加えて、社外にいてもタブレットから社内データを閲覧できるため、顧客へのレスポンスがとりやすくなり、コミュニケーションもスピードアップしています。

5-4. 小城市

小城市様はインターネットを利用しやすい環境整備を行い、災害対策強化と業務効率化を達成しています。また、タブレットを導入し、庁内で行われるほとんどの会議でペーパーレスが可能になったことで、会議にかかる紙と印刷コストを約80%削減できました。会議のペーパーレス化に伴って資料の印刷や製本、配布なども不要になり、業務時間の短縮にもつながっています。

まとめ

ペーパーレス化を推進するメリットは、紙書類の印刷や保存にかかるコストを削減できるだけではありません。場所を問わず必要な書類にアクセスでき、スピーディーな情報共有ができるため、業務効率化につながります。また、電子データは閲覧制限をかけたりタイムスタンプを残したりすることで、不正アクセスや改ざんを防止できます。テレワークやABWの推進や、紙の削減によるSDGs貢献、データのクラウド保存によるBCP対策の実施などに役立つ点もメリットです。

ただし、従業員へのリテラシー教育やある程度快適にデータを閲覧できるネット回線が必要になるほか、慣れないうちは見づらく感じる従業員がいる点はデメリットと言えます。従業員の理解を得て、計画的にステップを踏みながら、ペーパーレス化を進めましょう。

ペーパーレス化による会社全体の効率化、意思決定・共有スピードの加速、コスト削減などをご検討中であれば、ぜひお気軽にKDDI まとめてオフィスにご相談ください。

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。