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ペーパーレス化とSDGsの関係性とは?実現方法や注意点を解説

ペーパーレス化とSDGsの関係性とは?実現方法や注意点を解説

2024年11月29日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
ペーパーレス化とSDGsの関係性とは?実現方法や注意点を解説

テレワークの普及や働き方の推進によって、企業のペーパーレス化は業界を問わず活発化しています。ペーパーレス化は、持続可能な世界の実現に向けた国際的な取り組みである「SDGs」と密接に関連しています。

積極的な社会貢献活動が企業にも求められている近年、SDGsへの貢献につながるペーパーレス化への取り組みは、企業価値の向上や社内での環境意識改革の有効な手段の1つです。

今回は、ペーパーレス化とSDGsの概要と関係性、ペーパーレス化のメリット・デメリット、そしてペーパーレス化を実現する方法や注意点を詳しく解説します。自社でSDGsの取り組みをしたい、ペーパーレス化を実現したいと検討している企業の経営者やご担当者の方の参考になれば幸いです。

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1. ペーパーレス化とSDGsの関係性について

ペーパーレス化とSDGsの関係性について

ペーパーレス化とSDGsは、密接に関連しています。

ペーパーレス化の推進によって、用紙やインクの使用量が減ることは容易に想像できるでしょう。用紙やインクの使用量削減は、自然資源(森林伐採量)の削減や生産・印刷・配送にかかるエネルギー消費の削減につながります。

こうした自然資源や消費エネルギーの節約は、環境に配慮した取り組みとしてSDGsの目標達成に大きく寄与します。

また、電子文書やデジタルデータの利用は、用紙などの廃棄物の削減や資源の管理・配分の効率化、ガバナンスの改善にも貢献します。さらに、デジタル技術の活用により業務効率が向上し、労働環境の改善や経済成長にも寄与します。

ペーパーレス化による効果 達成が期待できるSDGsの目標
  • 紙の生産・印刷・配送・廃棄にかかるエネルギー消費の削減による森林保全と、温室効果ガスの排出削減
  • リモートワークが可能となり通勤の減少によるCO2排出量の削減
目標13「気候変動に具体的な対策を」
  • 資源の管理と配分の効率化
  • エネルギー使用の最適化
目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」
  • データの管理・共有が容易になるり情報へのアクセスが向上し透明性が増すことで公共機関や企業の説明責任が強化される
  • コンプライアンス遵守につながる
  • デジタルプラットフォームを通し意思決定により多くの関係者が参加することが可能となり、包摂的なガバナンスが実現する
目標16「平和と公正をすべての人に」

1-1. ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは?

そもそもペーパーレス化とは、紙媒体の利用を減らし、デジタル化された文書や資料を保存・活用することを指します。

IT技術が著しく進歩している近年では、働き方改革や環境保全、行政効率の向上、国際的な競争力強化などの観点から国がペーパーレス化を促進しています。

ビジネスにおいては、業務効率の改善やコストの削減、空間の有効活用などを目的に、紙媒体の各種書類を電子化することをペーパーレス化と呼んでおり、業界を問わず多くの企業が積極的に取り組んでいます。

特徴として、ペーパーレス化の動きはビジネスの世界だけでなく、世間一般にも広がっています。電子書籍、電子チケット、デジタルマニュアル、オンラインバンキングなどは、世間一般に広がる身近なペーパーレス化の代表例といえるでしょう。

1-2. SDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった略称であり、2015年9月の国連サミット(持続可能な開発のための2030アジェンダに関する国連サミット)で採択された「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標」のことです。日本語では、「持続可能な開発目標」とも呼ばれています。

SDGsは、人権や経済・社会、さらに地球環境に関する17の大きなゴールと、それらを達成するために求められる169の具体的なターゲットから構成されています。

このなかでペーパーレス化は先述のとおり、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」、目標16「平和と公正をすべての人に」といったさまざまな目標の達成に寄与する、重要な施策とされています。

出典:外務省「SDGsとは?」

2. ペーパーレス化のメリット・デメリット

企業がペーパーレス化を推進することは、「企業としてSDGsに貢献できる」大きな魅力やメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。

しかしデメリットがあるからとペーパーレス化をせずにいれば、世間や他社から取り残されるというリスクがあります。そのためペーパーレス化を進める際には正しくデメリットも把握し、適切な対策を講じる必要があります。

ここからは、ペーパーレス化のメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。

2-1. ペーパーレス化のメリット

企業としてペーパーレス化をすることの代表的なメリットとして、下記の4つが挙げられます。

  • 業務効率化による生産性向上
  • 柔軟な働き方実現による従業員エンゲージメント強化
  • コスト削減による利益向上
  • SDSGsへの取り組みによる企業ブランド価値向上

ペーパーレス化の最大のメリットは業務効率化です。紙媒体で行っていた従来の業務を電子化することで、書類整理が不要になり、データの検索性が向上します。特に、契約書や請求書、領収書、給与明細書などを取り扱うバックオフィス部門では、さらなる業務効率化が期待できます。文書検索に数時間かけていたものが、数分に短縮されるケースもあります。文書検索時間が短縮されたことにより生み出された時間は、ほかの業務に充てることができます。

また、ペーパーレス化により場所を問わずデータのやり取りが可能になれば、在宅勤務や出先での業務も可能となり、1人当たりの生産性向上にも寄与します。さらに柔軟に働ける環境を導入することは、従業員のエンゲージメント強化にもプラスの影響を与えるでしょう。

紙代や印刷代、複合機の維持管理費といったコストを大幅に削減できる点も大きなメリットです。実際に、佐賀県のほぼ中央に位置し、日本一の干潟である有明海に面する小城市様では、ペーパーレス化を進めたことで、会議用の紙と印刷コストを約80%削減できたという事例があります。

前述のとおりペーパーレス化とSDGsは密接な関係にあり、ペーパーレス化を進める企業は「世界共通の課題に取り組み、社会的に責任のある活動をしている」「地域社会や環境への配慮がある」とみなされ、企業のブランド価値向上によるイメージアップが期待できます。企業イメージが向上することで、ステークホルダーからの信頼獲得と良好な関係の構築、新たな接点の創出、人材獲得と、多方面にプラスの効果が期待できます。

2-2. ペーパーレス化のデメリット

企業としてペーパーレス化をすることのデメリットとして、下記の4つが挙げられます。

  • 各種システムの導入コストが発生する
  • 書類によっては電子化できない場合がある
  • データ消失などのリスクがある
  • デジタルデバイドの懸念

企業がペーパーレス化を進めるにあたっては、クラウドサービスやWeb会議ツール、電子契約システムなど、何らかの電子化システムやツールの導入が不可欠です。これらのシステムを導入する際には、予算の制約なども考慮する必要があります。導入にはイニシャルコストとランニングコストが発生します。具体的には、クラウドサービスの月額料金が1IDあたり数千円、システムの維持費やサポート費用、更新料が数千円から数万円と幅広く、導入するシステムやツールによっても変わる点を押さえておきましょう。

また、ビジネスに必要となる各種書類の中には、紙面での保管が義務付けられている書類もあります。そのため、業種によっては完全ペーパーレス化を実現できない場合もあります。

特に注意すべきデメリットは、ペーパーレス化によるデータ消失リスクです。データ化した文書は紙での文書に比べて業務負荷が軽減され、コスト削減にもつながる一方で、デバイスやシステムの故障・不具合や、人的ミスなどによってデータが消失する可能性も決してゼロではありません。定期的なバックアップを取る、重要データへのアクセス権限を厳密に管理するなど、慎重な運用が求められます。

さらにデジタルデバイドの懸念もあります。ペーパーレス化により、すべての従業員がデジタル環境にスムーズにアクセスできるわけではありません。特に年齢や技術的な背景によるデジタルデバイドが生じる可能性があるため、全員が平等にデジタルツールを利用できる環境を整える必要があります。教育やトレーニングも場合により必要になるかもしれません。

3. ペーパーレス化を実現する方法

ペーパーレス化を実現する方法

ペーパーレス化を実現するには、社内のワークフローや労働環境の見直しが必要です。ここでは、ペーパーレス化推進に向けた具体的な方法やポイントについて紹介します。

POINT(1)ペーパーレス化の目的を明確にする

ペーパーレス化を検討する際は、まず「なぜペーパーレス化を進めるのか」を明確にしましょう。自社が抱える課題を可視化することで、ペーパーレス化の目的や達成手順がイメージしやすくなります。

POINT(2)ペーパーレス化の目的を社内に周知する

ペーパーレス化の目的や自社が抱える課題を明確にした後は、社内に周知してペーパーレス化に対する理解を深めましょう。社内全体におけるペーパーレス化の理解度は、実施後の運用能力に大きく関わってきます。

POINT(3)ペーパーレス化を段階的に進める

ペーパーレス化の目的や概案を社内に周知したら、ペーパーレス化を段階的に進めましょう。すべての紙書類を即座に電子化するのは困難であるほか、実施する中で新たな課題が浮上する可能性もあるためです。まずは会議資料など、業務影響が少なく取り組みやすい範囲から実施していくことで、抵抗感を軽減させながらペーパーレス化を推進できます。

POINT(4)必要に応じてシステムを導入する

単純に紙の書類を電子化するだけでは無駄な手間が増え、作業効率が低下するおそれがあります。また、紙の書類をなくすという方法の場合は業務プロセスの変化によって一時的に作業スピードが低下したり、属人化が起きたりすることもあるでしょう。

ペーパーレス化のメリットを最大限享受するためには、システムやツールの導入が有効です。起こり得る課題に応じて、オンラインストレージや文書管理システム、WEB会議ツールなどの導入を検討しましょう。

4. ペーパーレス化を実現する際の注意点

SDGsの貢献、業務効率化や生産性向上、コスト削減につながるペーパーレス化を実現する際には、下記の点に注意が必要です。

  • システム障害への対策
  • 取引先に対する電子化対応の確認
  • 紙で残す書類と電子化する書類の適切な選別

特に注意すべきは、システム障害への対策です。システムの組み合わせが基本となるペーパーレス化では、スマートフォン(スマホ)やパソコン(PC)などの端末や使用するツールの故障・不具合により、重要なデータが一時的に閲覧できなくなったり、最悪の場合消失したりする可能性もあります。

業務に多大な支障をきたさないためにも、定期的に電子データのバックアップを取るなど、できる限り多くのシチュエーションを事前に想定して対策を練りましょう。また、サポート体制が整ったベンダーのシステムを選定することも大切です。

まとめ

SDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標を指します。そしてペーパーレス化とは、紙媒体の利用を減らしデジタル化された文書や資料を保存・活用すること保存・活用することです。資源の管理と分配の効率化やエネルギー消費量の削減につながるペーパーレス化は、SDGsと深く関連します。

業務効率化による生産性向上、従業員エンゲージメント強化、コスト削減による利益向上、さらにSDGsへの貢献による企業イメージの向上といったメリットがある一方で、故障・不具合によるデータの消失など、デジタルならではのリスクもあります。必要に応じてシステムやツールを活用しながら段階的に導入することが重要です。

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