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介護の業務改善を行う方法とは?手順や改善のアイデア5つを紹介

介護の業務改善を行う方法とは?手順や改善のアイデア5つを紹介

2024年11月29日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
介護の業務改善を行う方法とは?手順や改善のアイデア5つを紹介

高齢化に伴い介護需要が増す一方で、慢性的に人材不足が発生している介護業界において、業務改善は必須です。厚生労働省は2024年現在、介護業界の業務改善のためにガイドラインやマニュアルを公表しており、積極的な改善活動を呼び掛けています。

この記事では厚生労働省のガイドラインを参考に、介護施設が取り組むべき業務改善の方法やアイデアについて解説します。業務改善にはスタッフの定着率向上、ハラスメント対策、採用・教育のコスト削減といったメリットもあるため、ぜひ参考にしてください。

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1. 介護業界に業務改善が必要な理由

介護業界に業務改善が必要な理由

介護業界に業務改善が求められる理由として、少子高齢化にともなう介護需要の高まりと人材不足があげられます。

2022年10月の時点で日本の高齢化率は29.0%に達し、介護を必要とする高齢者人口は年々増加している状況です。さらに2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、日本は超高齢化社会を迎えます。

出典:内閣府「1高齢化の現状と将来像」

しかし、介護ニーズに対して介護・医療従事者の数は追いついておらず、2025年には介護人材が約37.7万人不足すると推計されています。介護人材の不足が加速する、いわゆる「2025年問題」により、介護業界での人材確保はいっそう困難になると予測可能です。

出典:厚生労働省「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」

2023年に行われた介護労働安定センターの調査では、64.7%が従業員の不足感を抱いています。一方、従業員側も49.9%が人手不足の不安・不満を抱えているという結果が出ており、経営側・現場側の双方で人手不足感は深刻な状態です。

出典:事業所における介護労働実態調査結果報告書「8.従業員の過不足状況」

出典:介護労働者の就業実態と従業意識調査結果報告書「19.労働条件・仕事の負担に係る悩み、不安、不満等」

介護需要に応えつつ人材不足を解消するには、業務のやり方を工夫して改善を図り、現場の負担を軽減しつつ業務を効率化することが不可欠といえるでしょう。

2. 介護施設が業務改善に取り組むメリット

介護施設が業務改善に取り組むメリット

業務改善は介護スタッフの負担を軽減するためだけの取り組みではありません。施設を経営する側にとってもさまざまなメリットがあり、時間を割いて取り組む価値があります。介護施設が業務改善を行うメリットは、以下のとおりです。

2-1. スタッフの定着率が上がる

業務改善によりムダを削減できれば一人あたりの業務負担が軽減され、スタッフ全体の定着率向上につながります。介護労働安定センターの調査によると、介護職員が介護施設を退職する理由の26.3%は「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」です。また運営のあり方への不満として「無駄な業務が多く、職員の業務量負担への配慮が弱かった」が30%を占めています。

出典:介護労働者の就業実態と従業意識調査結果報告書「6.介護関係の仕事を辞めた理由」

出典:介護労働者の就業実態と従業意識調査結果報告書「経営理念や運営のあり方等に係る退職理由について」

業務環境に対する満足度は、スタッフが仕事をつづけたいと思えるか否かの重要な判断ポイントです。業務改善によって快適に働ける労働環境を提供すれば、上述のような不満による離職率も下がり、長く続けてくれるスタッフが増えるでしょう。

2-2. ハラスメント対策になる

あらゆる面で業務改善がされることで職場の雰囲気がよくなると、人間関係の摩擦やハラスメントを防げます。

介護労働安定センターの調査では、介護職の退職理由として「職場の人間関係に問題があったため」という回答が34.3%を占めています。そのうち「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラがあった」という理由で辞めた人は49.3%です。また38.8%が「同僚の言動(きつい言い方・悪口・嫌み・嫌がらせなど)でストレスがあった」という理由をあげています。

出典:介護労働者の就業実態と従業意識調査結果報告書「6.介護関係の仕事を辞めた理由」

出典:介護労働者の就業実態と従業意識調査結果報告書「経営理念や運営のあり方等に係る退職理由について」

さらに、厚生労働省の調査によると、人手が常に不足している職場では、45.4%がパワハラを経験していると回答しています。

出典:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要」

したがって、人手が不足している現場ではパワハラが発生しやすく、パワハラの結果退職者が増加し、さらに人手不足になる負のループに陥りやすいといえるでしょう。

人手が不足することで一人ひとりの業務負担が大きくなるとどうしても心の余裕を持ちづらくなることもあるでしょう。そんなときこそ求められるのが活発で円滑なコミュニケーションです。

例えばスマートフォン(スマホ)でチャットツールを介して、職種や勤務時間が異なる仲間と適宜情報共有をはかる。スマホにインカムアプリを入れて、離れた場所のスタッフ同士声を掛け合いながらムダのない連携を取る。といったことが考えられます。

ICTツールを少し活用すれば人手不足を補うことができ、また行き違いがなくなることで一体感が生まれます。結果としてハラスメントの対策にもつながるでしょう。人手不足やハラスメントを理由とした退職者の低減も期待できます。

2-3. 採用や教育のコストが削減できる

職場環境がよくなりスタッフの定着率が改善すると、金銭的・時間的コストを削減できます。新しいスタッフがすぐに辞めてしまう施設は、慢性的に採用・教育のコストがかかります。特に介護職は特別なケアや技術が求められるため、戦力になるまで教育を施すには多くのコストが必要です。

業務改善によって働きやすい職場になれば職員の定着率が上がります。新たな人材の育成を必要とする頻度が下がれば、そこにかけていた労力を業務の「さらなる質の向上」に充てられます。また業務体制が整い働きやすい職場は、就職希望者の目にも魅力的に映ります。人材採用時の強みとしても生きてくるでしょう。業務改善に取り組むことは時間と労力がかかるかもしれませんが、長期的な視点で見れば職員の定着率の向上とコストの削減、さらに人材採用時にも有利に働く好循環を生み出し、施設運営の安定化にも少なからず寄与するはずです。一度業務改善に時間と労力をかけることは、長期的な視点で見たときに、施設運営の安定化にも大きく寄与するでしょう。

3. 介護業務を改善する基本的な方法

介護業務を改善するためのフレームワークとして、厚生労働省は5Sと3Mを紹介しています。ここでは、5Sと3Mがそれぞれ何を表しているのか、またどのように業務改善につながるのかを解説します。

3-1. 5S

5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字を取った言葉で、業務プロセスにおいて徹底するべきポイントを表しています。介護現場で5Sは、以下のように機能します。

整理

いるものといらないものを分ける

例:必要のない書類や備品を取り除き、スムーズに業務を行えるようにする

整頓

三定(定置・定品・定量)と手元化

例:備品を決まった場所に保管し、一定の在庫数を保つことで作業のペースを上げる

清掃

最善の状態で使えるよう常に点検する

例:動線上が濡れていたり物が落ちていたりしないように、きれいにして転倒防止を図る

清潔

3S(整理・整頓・清掃)を維持する

例:チェックリストを用いて3Sが徹底されているか確認し、衛生的で安全な施設運営を行う

決められたことを守る習慣をつくる

例:研修中に分からない点をトレーナーに尋ねたり、手順書の遵守を徹底したりする癖を付ける

出典:厚生労働省「より良い職場・サービスのために今日からできること」

5Sによって円滑に業務が行える職場環境が生み出されます。各スタッフのモチベーションも上がり、安全で質のよい施設運営につながるでしょう。

3-2. 3M

3Mはムリ・ムダ・ムラという改善するべき3つのポイントを表す言葉です。介護現場では、以下のような3Mを見直すとよいでしょう。

ムリ

人材への過度な負担

例:新人スタッフが1人で夜勤を行う、複数人必要な業務を1人にさせる

ムダ

省力化できる業務

例:記録を複数の媒体に何度も転記する

ムラ

負荷のバラつき

例:人によって手順が異なる、日によってスタッフの人数が異なり対応に差が出る

出典:厚生労働省「より良い職場・サービスのために今日からできること」

徹底して3Mを避けることで業務効率が向上し、スタッフの負担軽減を実現できます。

4. 介護業務を改善する手順

厚生労働省は、業務改善に向けた標準的なステップを打ち出しています。ここでは、厚生労働省のガイドラインによる6つの手順に沿って、介護業務改善を実現する方法や促し方のコツを解説します。

出典:厚生労働省「より良い職場・サービスのために今日からできること(業務改善の手引き) パイロット事業令和2年度版」

4-1. 改善活動を準備する

まずは業務改善に取り組むプロジェクトを立ち上げ、改善活動の準備を行います。経営陣がプロジェクトオーナーとなって現場のマネジメント層および中核人材を中心にチームをつくり、リーダーを決めて業務改善を進められる裁量権を与えてください。

取り組みスタート時には、経営陣から施設全体に向けて開始宣言をしましょう。スタッフ全員が業務改善の必要性と効果を理解し、意欲を高めることが大切です。開始宣言にあたっては、「いつまでに」「どういった目的で」業務改善を行うのかという点を伝えます。例えば、「職員の残業による身体的負担を軽減することを目的に、3カ月後には残業時間を15%削減することを目標として改善を実施する」など、明確な実施目的と期限、具体的な目標を宣言すれば、職員も納得感を持って取り組みやすくなります。

4-2. 現場の課題を見える化する

実際にどのような課題があるのか、現場の状況を明らかにします。3Mを参考に現場で困っていることを洗い出しましょう。困りごとの原因を整理し課題を構造化すると、全体像が見えてきます。また、業務全体の流れを把握するとともにボトルネックを探す方法として、業務時間調査を行うのも有効です。

困りごとを洗い出す際は、相手の意見を否定せずに、気がかりな点を忌憚なく言ってもらえる環境づくりが大切です。厚生労働省が準備している課題把握シートや、業務時間見える化ツールを活用して課題を可視化するのもよいでしょう。

出典:厚生労働省「取組に活用可能な各種ツール」

一般的に、業務改善を始めた直後は取り組むべき課題が多く出てきます。しかし、一度にすべて解決しようとするとリソースが分散し、目標を達成できない可能性が高まります。したがって、改善によって大きな効果が期待できる課題や、職員が意欲的に取り組めそうな課題から、優先順位をつけて取り組む順番を定めてください。

4-3. 実行計画を立てる

課題を決めた後は、実行に向けて計画を練るステップに移ります。ガイドラインにある改善方針シートを活用し、どのような課題に対して何をどの順番で取り組んでいくのか、課題解決までの道筋を明確にします。計画を立てる際は、期待する結果を目指しつつも現実的で実現可能な計画であることが大切です。

出典:厚生労働省「取組に活用可能な各種ツール」

また、計画を立てても想定どおりに改善を実施することが難しくなるケースも出てくるでしょう。その場合、速やかに計画を修正する必要があるため、想定外の事態を前提として柔軟に変更できる計画を立てるのも重要です。

実行計画ができたら、プロジェクトの進捗状況を常に確認する体制を整えます。進捗状況の記録や成果を観察ポイントごとに評価する進捗管理シートを作成し、取り組みを数値化しましょう。

4-4. 改善活動に取り組む

実行計画を実践し、実際に業務改善に取り組み始めましょう。新たな試みであっても、まずは実践し、そこから得た気づきを今後に反映していくことが大切です。小さな成功体験を重ねると、現場のモチベーションも高まり、一丸となって業務改善に取り組めるようになります。義務感から業務内容を変えるのではなく、目的意識を持ち、前向きな気持ちで計画を推し進められるようサポートしましょう。

リーダーはメンバーに対して明確な指示を出し、メンバーは進捗状況を細やかに報告します。報連相を心がけ、意思の疎通を密に図ることでプロジェクトに対する認識のずれを防げます。想定外の事態が発生したり、計画が変更されたりした際にすぐに意思疎通ができる体制をつくっておきましょう。

4-5. 改善活動を振り返る

あらかじめ設定した指標を用いて途中経過を把握し、業務改善活動の状況を振り返って、目標を達成しているか、もしくは達成に近づいているかを検証します。スタッフの働きやすさはどう変わったか、介護サービスの質に変化はあったかなど介護現場での視点に立って改善内容を評価するとよいでしょう。

また取り組みの振り返りは、スタッフの人材育成にも活用できます。計画時と実行後にアンケートを取ると、取り組みを経て遂げた変化や成長が明らかになり、スタッフ個人の活動記録にもなります。

4-6. 実行計画を練り直す

業務改善の最後のステップは、振り返った評価をもとに実行計画を練り直し、業務改善を継続させることです。業務改善に終わりはなく、常に働きやすい環境つくりを続ける必要があります。今回の取り組みでよかった点、見直すべき点を共有し、これからの改善活動にどのように生かせるかを話し合いましょう。

想定どおりに進まなかったとしても、原因を探って今後の計画づくりに反映させるなら、行ったことが無駄になりません。次なる課題も含めつつ、最初のステップに戻って業務改善のサイクルをつくります。

5. 介護業務を改善するアイデア5選

スタッフの負担を減らし職場環境を向上させるために、厚生労働省はさまざまなアイデアやツールを掲載しています。以下では、介護現場の業務改善に活用できるアイデアおよびツールを紹介します。

出典:厚生労働省「介護分野における「生産性向上」とは?業務改善に向けた取組」

出典:厚生労働省「介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」

5-1. ICTツールの導入・活用を進める

ICTツールを導入し、これまでアナログで行っていた作業をデジタル化することで、介護業務の負担が軽減されます。

介護業務向けのICTツールには、例として以下があります。

    • 業務用のスマートフォンやタブレット
    • ビジネスチャット
    • インカム
    • 見守りセンサー
    • 見守り機器
    • 介護記録ソフト

など

「介護施設が業務改善に取り組むことのメリット」のパートでも少しお伝えしましたが、スタッフにスマホやタブレットを配布し、利用者の介護記録や申し送り事項を電子化すれば、大量の紙資料を持ち歩く必要もなく、どこにいてもすぐに閲覧できます。あわせてビジネスチャットやインカムを導入すれば情報共有も容易になり、スタッフ間の連携も取りやすくなるでしょう。

また、介護施設では記録業務が多く、血圧や体温などを測定しメモした後、紙媒体の介護記録へ記入する作業が発生します。介護記録システムを用いてICT化を図ると、計測結果や利用者のケア内容をその場で端末に入力でき、介護記録を自動的に作成できます。さらにスマホやタブレットを導入することでさまざまな業務をペーパーレス化できれば、紙書類の管理や検索に要する労力、保管に必要なスペースの確保、印刷にかかる手間とインク代や紙といった消耗品費など、多方面のコスト削減が期待できます。

5-2. 業務の標準化と役割分担の明確化を進める

特定のスタッフにしか対応できない業務をつくらないようにし、適切な役割分担を心がけましょう。

特定のスタッフしか業務内容を把握できていない状態は、そのスタッフの不在時に業務が滞り介護サービスにムラが生じるうえ、いつも対応するスタッフにだけ負担が偏ることになります。マニュアルの作成や業務フローの見直しを行い、業務の標準化を進めることが大切です。

同時に、役割分担を明確にして、特定のスタッフにだけ過剰な負担がかからないようにします。スタッフ一人ひとりのスキルを考慮した上で、負担が偏っていないか全体のバランスを確認しましょう。過剰な業務の掛け持ちによって、一つひとつの業務の質が低下する恐れがあり、場合によっては大きなミスを招くリスクも孕んでいます。

業務の標準化と適正な役割分担は、スタッフの精神的・身体的負担の軽減と、介護の質の維持につながります。

5-3. 人材育成の仕組みをつくる

日常業務を通じて、人材育成を進めていくことが大切です。スタッフのスキル向上は、快適な介護サービス提供を徹底する上で欠かせません。介護業務は人と人との関わりです。現場で業務を通じて人材育成を行うことで、技術面のみならずコミュニケーションスキルも培われていきます。日ごろの業務を分かりやすくまとめたマニュアルを作成・展開したり、定期的な研修を開催したりすることと、業務を通じた育成の両輪で、スタッフ全体のスキルアップを目指しましょう。

さらに重要なポイントとして、トレーナーとして教える側のスキルを磨くことが挙げられます。トレーナーによって教える基準が異なると、教わる側が混乱し、ケアの質にムラが生じたり、不満の種となり離職につながる恐れもあります。介護サービスの平準化を図るためには、人材を育成するトレーナー向けのマニュアルやカリキュラムのフォーマット化をして、それに沿って一貫した育成をする仕組みをつくることも必要です。

5-4. 迅速に情報共有するよう工夫する

迅速な情報共有は、介護業務をスムーズに行う上で重要なポイントです。適切な介護サービスを提供するには、利用者一人ひとりの状況や介護計画、気づいた点などをすべてのスタッフが把握する必要があります。

特に日勤と夜勤など交替制を導入している介護現場では、引継ぎに割く時間が多く求められます。情報共有の仕組みを整え、効率的に引継ぎを行えると、次の業務に速やかに移れ、その分の時間を介護ケアに用いることが可能です。

また、適切な情報共有は、利用者の安心感にもつながり、信頼関係を築く助けになります。スタッフ間の連携も取りやすくなり、介護ケアの質の向上が期待できるでしょう。

迅速な情報共有に役立つのが、スマホおよびビジネスチャットツール・インカムアプリです。夜勤や日勤の交代にあたって、ビジネスチャットツールにて申し送り事項を記載するルールにすれば、情報の抜け漏れを防ぎやすくなります。

また、インカムアプリとイヤホンを活用すれば、離れた場所のスタッフ同士が手を使わずに音声でやり取りが可能です。介護をしながら職員が報連相できるため、例えば、ナースコールが押されたときに一時的に2人のスタッフが1人の利用者のところに向かったり、緊急時の対応が遅れたりするケースを防止できるメリットがあります。

ほかにも、情報共有のためのさまざまなツールを活用すれば、スタッフ間でのコミュニケーションが活性化します。認識のずれや情報の伝え漏れなどが原因で発生するコミュニケーションエラーを減らせることで、スタッフのチームワークが強化され、ハラスメント防止にも寄与するでしょう。

5-5. 職場環境を整備する

介護業務の改善に向けた取り組みには、職場環境を整えることも含まれます。介護現場は紙の書類や記録が多いため、素早く情報共有を行うためには整理をしておく必要があります。

しかし、多忙な介護現場では、書類や備品の整理整頓にじっくり時間を費やせず、後回しになるケースも少なくありません。必要なものがどこにあるか分からない環境では、特定の情報を探し当てることに時間を取られ作業効率が下がってしまいます。

5S活動を念頭に、整然とした職場をつくり上げることで、スタッフは介護ケアの提供に集中できます。業務の一環として整理整頓の時間を確保する、持ち回りで場所場所の整理整頓を担当するなどして、職場環境を整える工夫をしましょう。

6. 介護業務を改善するときのポイント

介護業務を改善するときのポイント

業務改善を成功させるポイントの1つは、ICTツールを導入する際に現場の業務に合ったツールを選ぶことです。多機能で便利そうに見えても、現場のニーズや業務改善の課題に合っていなければ意味がありません。また、複雑すぎる機能は活用が浸透せず業務改善を成し遂げられない可能性もあります。スタッフが「楽になった」「無駄な作業が減った」と感じられるツールかどうか、活用のハードルが高すぎないかをよく検討し、導入に進むことが大切です。

また改善を推し進める際は、スタッフに負担がかかっていないか注意が必要です。プロジェクトチームをつくるために大幅に残業が増えたり、プロジェクト推進者以外のスタッフがリカバリーのために残業する時間が増えたりしては、業務改善とはいえません。あくまでも目的は業務改善の達成です。、業務改善活動が目的とならないように注意し、スタッフにとって働きやすい環境の実現と、介護サービスの質の向上を目指しましょう。

まとめ

介護業務の改善を進めるときにはトップダウンで現場のマネジメント層および中核人材を中心にチームをつくり、実現可能な柔軟性の高い計画を立てて実行することが重要です。

ICTツールの導入や業務の標準化、情報共有や人材育成の仕組み化、職場環境の整備などを通じて、介護業務の改善を進めましょう。どこから手を付けてよいのか分からないという方には、まず手始めとして、コミュニケーションを活性化させ、業務を円滑化するためのチャットツールとこれを使うためのスマホの導入からはじめてみることをおすすめします。業務改善の取り組みは一度きりで終わるものではないため、常に改善を繰り返しながら、働きやすい環境づくりに取り組み続けましょう。

KDDI まとめてオフィスは介護現場の業務効率化に役立つソリューションサービスを多数ご用意しています。介護現場の業務改善についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。