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生徒たちの進路選択の視野を広げるキャリア研修

生徒たちの進路選択の視野を広げるキャリア研修

2024年12月17日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
生徒たちの進路選択の視野を広げるキャリア研修

2024年10月15日に、広島国際学院中学校・高等学校様のご依頼を受け、KDDIの通信インフラ建設、保守ならびにネットワーク監視を担うKDDIエンジニアリングの協力のもと、KDDI まとめてオフィスが窓口となり、高校1・2年生8名を対象としたキャリア研修を実施しました。

ありがたいことに、研修実施後に参加した生徒さまを対象に行った、満足度アンケートでは、全員から「非常に満足」という回答をいただきました。

本記事の前半部分ではキャリア研修の流れやその様子について、後半部分ではキャリア研修を発案した広島国際学院高等学校の田中教諭にお話を伺い、発案の経緯や実施の上で配慮すべきことなどについてお伝えします。

キャリア研修のご要望も、KDDI まとめてオフィスにご相談ください

「つながる」ことの重要性を伝える

本研修は約2時間の構成で、以下の流れで行われました。

研修の流れ
  • KDDIグループ全体の業務紹介
  • ネットワークの運用保守業務の説明、監視センター見学
  • 地下免震層や車載型基地局の見学
  • 座談会形式での質疑応答

最初に、KDDIグループ全体の業務を生徒さまにご紹介。auなどの個人が利用する身近なサービスだけでなく、企業内での通信、IoT機器に至るまでさまざまな通信や事業を手掛けていることをお伝えしました。

その後は、ネットワーク運用保守業務の説明を行い、実際に監視センターを見学。生徒さまは、普段の生活では見ることのない場所を、食い入るように見つめていました。

続けて、災害や有事の際にも通信を途切れさせないための設備を見学。地震の揺れを軽減し、通信設備を守る免震構造の説明を受け、「積層ゴム」や「オイルダンパー」なども見学いただきました。

<地下免震層の見学風景>

また、通信に欠かせない電気と回線を持った、車載型基地局を見学。車載型基地局は、車から電気を供給し衛星通信によって回線を保持することができるため、電気・回線がともに遮断された場合にも通信を可能にします。

座談会では、生徒さまからいくつもの質問が投げかけられ、KDDIグループの仕事内容の一端をお伝えすることができました。

大学卒業以降の景色を生徒に見せたかった

ここからは、広島国際学院高等学校の田中教諭に、キャリア研修発案の経緯などを語っていただきます。

―これまでもキャリア研修は行ってきたのでしょうか?

これまでもキャリア教育は行ってきました。ただ、各企業が行う出前授業がメインで、実際に現地に足を運び、丁寧に説明してもらう「キャリア研修」という機会を設けたのは今回が初めてです。

―今回のキャリア研修発案の経緯や目的を教えてください。

今回のキャリア研修は中高一貫コースの生徒を対象に実施しました。中高一貫コースの高校2年生は、進学に向けての大学見学を一通り終えています。一方で、生徒たちは普段の生活のなかで大学卒業後のキャリアについて考える機会が多くはありません。生徒が社会人としてイメージしやすいのは、身近な看護師や医学療法士、教員などの職業になります。当校がある広島県は地元志向が強いのか、県内での進学や就職を考える生徒が多くいます。そのため、企業の仕事をイメージする場合も地元である広島の製造メーカーに偏ってしまいます。そんな生徒たちに、「視野を広げてさまざまな職業分野に興味を持ってほしい、グローバルで働くイメージを持ってほしい」と考えたことが、企業を訪問し説明を受けて見学をする「キャリア研修」発案のきっかけです。

―なぜKDDI まとめてオフィスにお声がけくださったのでしょう。

広島県内には、製造メーカーが多い反面、大手IT企業の本社はあまりありません。せっかくであれば普段接することが少ない業界の仕事に触れてもらいたいと考え、ICT機器の導入や、導入後の定例会サポート(ICT⁺サポート)でつながりがあった KDDI まとめてオフィスさんにご相談し、今回の実施に至りました。

関連ページ ICT⁺サポート

研修後の生徒の変化、進路に対してポジティブに

―キャリア研修実施後の生徒からはどんな反応がありましたか?

研修に対しての満足度は非常に高かったですね。アンケートでの生徒の声を一部紹介させてください。

  • KDDIについての詳しい説明に加え、実際に働いている様子を見せていただくことや、職員の皆さんに直接質問をさせていただくことができた貴重な機会でした。
  • 想像以上に大きいグループで、日々の人間の生活を根底から支えてくださっているというイメージを持ちました。また、研修時の職員の皆さまがとても優しく質問にもしっかりと答えてくださったため、優しくて誠実な印象も持ちました。
  • 私自身はすごく文系で、通信などを主に扱うようなお仕事や企業さん(それこそKDDIさんのような)にはすごく理系のお仕事というイメージを持っていて、正直就職も全く考えておらず、今回の研修も先生に誘われたことが理由でお邪魔させていただいていました。ですが、職員の方々は文系と理系が約半分ずつと聞き、普段考えもしなかったような企業にも就職の道がたくさんあるのだと分かりました

―嬉しい反応をありがとうございます。先生の目から見て生徒たちの変化はありましたか?

前提として、キャリア教育では短時間に劇的な変化があることは少ないと考えています。キャリアについての考えは、心に残り徐々に変化していくものだからです。
それでも、将来について考える機会になり、視野の広がりはあったように感じます。実際、自習室の滞在時間が長くなった生徒もいました。学習は大きなエネルギーが必要なため、これは大きな変化だと手応えを感じています。

―保護者の方からの反応はどうでしょう。

今回は用事などで参加できなかった生徒の親御さんからは、「ぜひ行かせたかった。次の機会があれば」という反応や、生徒の大学生のお兄さんから「就職活動を控えた自分が参加したかった」と声があったようです。

研修実施にあたってのポイント

―KDDI まとめてオフィスへの依頼からキャリア研修の実施まではスムーズに進んだのでしょうか?

定例会にて、キャリア研修の内容を相談したところ、KDDI まとめてオフィス側で内容もアレンジしてもらえたため、非常にスムーズでした。

―今回はスムーズだったとのことですが、後から振り返っての改善点などはありますか?

2つあります。1つ目は事前学習です。総合探求の時間などを使ってもう少し企業研究をしてから研修を実施できると、より深い学びにつながったのではないかと思います。

2つ目はプログラムです。午前と午後で二社(KDDI まとめてオフィスともう一社)を訪問するプログラムでしたが、少し盛り込みすぎた感覚があるため、1泊2日にしてもよかったかもしれません。

―この記事を読んだ先生が自身の学校で実施する際に配慮すべきこと はありますか?

学齢と実施内容の見極め、実施の際のリスクヘッジ、生徒へのアナウンスの3点は工夫しました。

学齢に関しては、は生徒たちが企業の方の説明や見学内容を理解し、自身で消化できるかどうかを見極める必要があります。また、事前に研修内容のすり合わせを企業の方としておく必要があると思います。それにより目的や学齢とのミスマッチも防げます。

リスクヘッジについては、フォーマットなどがない"手作りの研修"で、交通費は親御さんに負担してもらっているため、旅行保険を掛けました。「当日インフルエンザで参加できない」などは考えられたので、そういうケースにも対応するためです。

生徒へのアナウンスとしては、「家に帰ったら今日の研修の話を親御さんとしてね」と伝えました。キャリア研修で1日がかりで他県まで行ったのに、何もないと親御さんとしても不安になるはずです。そのため、生徒を通して研修の内容が親御さんにも伝わることが重要だと考えました。

―そのほか、読者の先生に伝えたいことはありますか?

昨今の進路選択は、"あこがれの職業"に就くための進路選択になりがちです。ただ、生徒たちがイメージできる"あこがれの職業"はそれほど多くはありません。その中から職業を選択すると、少ない選択肢で生徒の将来が決まってしまうことになりかねません。我々教員は、世の中には多くの職業があり、生徒たちが知らない世界があることを伝えていく必要があると考えています。その両方が揃って初めて、よい進路選択ができるはず。私たち含め、そういう機会をもっと増やしていけるといいと考えています。

KDDI まとめてオフィスでは、今後も学校さまのキャリア研修の要請などにお応えしていきたいと考えています。興味がある学校さまは、弊社までご連絡ください。

<取材協力>

広島国際学院中学校・高等学校
広島県安芸郡海田町/私立/共学

広島県安芸郡海田町にある、中学校・高等学校[全日制・通信制]を設置している私立学校。学園創立以来96年、広島で中等教育の一端を担い、建学の精神「教育は愛なり」のもと、幅広く教育活動を行っている。生徒数は1,600人規模の学校で、中学校全校生徒、そして高等学校の3つのコースの生徒にiPad(セルラータイプ)を導入している。
学校HP:https://www.hi.hkg.ac.jp/

★上記のリンクから、田中教諭がご登壇されたイベントレポートもご確認いただけます。

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