ガバメントクラウドとは、政府が提供する共通のクラウドサービス環境のことであり、地方自治体が行政サービスの効率化やセキュリティ強化を図るために導入が進められています。自治体ごとに異なっていた情報システムを統一し、運用コストの削減やシステムの柔軟な構築や拡張を可能にします。
当記事では、ガバメントクラウドの基本的な仕組みから、メリットや接続方法までを詳しく解説します。これからガバメントクラウドの導入を検討している自治体の担当者や、移行準備を進めている方はぜひ参考にしてください。
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1. 自治体におけるガバメントクラウドとは?
ガバメントクラウドとは、デジタル社会の実現に向けた重点計画に基づいて、デジタル庁が提供する政府共通のクラウドサービス利用環境です。
ガバメントクラウドの「ガバメント」は、政府を意味する単語です。ガバメントクラウドは、政府クラウドと呼ばれることもあります。
1-1. ガバメントクラウドの概要
ガバメントクラウドは、デジタル社会の実現を後押しする取り組みの一貫として導入された仕組みです。ガバメントクラウドでは、最新技術に基づいたアプリケーション開発用のクラウド環境が提供されます。自治体や行政機関はガバメントクラウドを利用して、たとえば住民情報の管理やオンライン申請システムなど、利便性の高い行政サービスの提供やシステム運用の効率化が可能です。
2021年施行の標準化法では、原則、基幹業務システムを利用するすべての自治体に対し、ガバメントクラウド環境に構築された標準準拠システムへの移行が義務付けられています。2025年度末までに自治体はガバメントクラウド接続に適した環境を整備し、移行を完了する必要があります。
出典:e-gov法令検索「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(令和三年法律第四十号)」
出典:デジタル庁「地方公共団体のガバメントクラウド利用に関する検討状況」
1-2. ガバメントクラウドの仕組み
「ガバメントクラウド」とは、特定のサービスを示す用語ではなく、クラウドサービスの利用環境を意味します。ガバメントクラウドでは、デジタル庁が所定の要件を満たすクラウドサービス事業者と契約し、安全に利用できるクラウドサービスを提供します。
デジタル庁の提供するクラウドサービス上には、基準に沿って開発された複数の基幹業務アプリが揃っています。この基幹業務アプリの構築には、複数のベンダーが関与しています。
ガバメントクラウドを活用する自治体は、移行する基幹業務の内容に応じて、用意されたアプリの中から最適なものを選択することができます。ガバメントクラウドへの移行後は選択したアプリをオンラインで利用でき、自主管理は不要となります。
出典:デジタル庁「地方公共団体のガバメントクラウド利用に関する検討状況」
1-3. ガバメントクラウドのセキュリティ要件
ガバメントクラウドで自治体は、住民基本台帳・税金・年金情報といった重要データを扱います。デジタル庁では十分な安全性を確保するための対策として、ISMAPの登録リストから以下の主な要件を満たすクラウドサービスを選定し、自治体に提供する方針です。
【主な要件】
- ①不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて、最新かつ最高レベルの情報セキュリティが確保できること。
- ②クラウド事業者間でシステム移設を可能とするための技術仕様等が公開され、客観的に評価可能であること。
- ③システム開発フェーズから運用、廃棄に至るまでのシステムライフサイクルを通じた費用が低廉であること。
- ④契約から開発、運用、廃棄に至るまで国によってしっかりと統制ができること。
- ⑤データセンタの物理的所在地を日本国内とし、情報資産について、合意を得ない限り日本国外への持ち出しを行わないこと。
- ⑥一切の紛争は、日本の裁判所が管轄するとともに、契約の解釈が日本法に基づくものであること。
- ⑦その他デジタル庁が求める技術仕様(別途ガバメントクラウドを提供するクラウド事業者の調達において提示)を全て満たすこと。
引用:デジタル庁「地方公共団体のガバメントクラウド利用に関する検討状況」2024/11/22
ISMAPとは、2020年6月に運用を開始したセキュリティ評価制度です。ISMAPでは、政府の要求するセキュリティ基準を満たし、監査・審査を通過したクラウドサービスをリストに登録しています。
出典:内閣サイバーセキュリティセンター「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)
1-4. 自治体が移行する業務
2025年度末までに、ガバメントクラウドへの移行に伴い、システムの標準化が必要な業務は、以下のとおりです。
【システム標準化の対象となる地方公共団体の基幹業務(20業務)】
- 住民基本台帳
- 戸籍
- 戸籍の附票
- 固定資産税
- 個人住民税
- 法人住民税
- 軽自動車税
- 印鑑登録
- 選挙人名簿管理
- 子ども・子育て支援
- 就学
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 国民健康保険
- 国民年金
- 障害者福祉
- 後期高齢者医療
- 介護保険
- 生活保護
- 健康管理
出典:デジタル庁「地方公共団体のガバメントクラウド利用に関する検討状況」
「2025年度末」の期限に法的な拘束力はないものの、2024年9月時点で1,471自治体中の65.8%は移行スケジュールを確定しています。同時点で86.1%の自治体は、予算の調整を完了している状態です。
出典:デジタル庁「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」
スムーズな移行を実現するためには、早急にスケジュールを確定し、計画的に準備を進めることが重要です。
1-5. 自治体クラウドとの違い
ガバメントクラウドと自治体クラウドは、いずれも自治体の情報システムをクラウドベースで標準化する取り組みですが、利用対象者・管理者・規模などが異なります。
ガバメントクラウドと自治体クラウドの違いをまとめた表は下記の通りです。
ガバメントクラウド | 自治体クラウド | |
---|---|---|
管理者 | 政府 | 特定の自治体 |
対象 | 全国の自治体や行政機関 | 特定の自治体 |
範囲 | 全国の自治体 | 近隣地域の自治体 |
規模 | 大規模 | 小規模 |
セキュリティ | 国際標準を踏まえた厳格なセキュリティ評価制度(ISMAP) | 各自治体の条例や規則に基づいて設計 |
コンプライアンス | 国際基準のコンプライアンス | 各自治体の条例や規則に基づいて設計 |
運用と管理 | 政府 | 特定の自治体 |
自治体クラウドは、隣接する複数の自治体などが共同で導入して共同管理を行う、比較的小規模なインフラです。
一方のガバメントクラウドは、全国すべての自治体と行政機関が活用する大規模なインフラです。ガバメントクラウドではデジタル庁が大規模な運営に耐えられるクラウドサービスを選定し、利用対象者に提供する仕組みであり、たとえば全国の住民データや税務情報を扱うために設計されています。
ガバメントクラウドと自治体クラウドでは、セキュリティ要件も異なります。特に、ガバメントクラウドではISMAPのリストに登録されたクラウドサービスしか選定されないため、セキュリティの要求基準はより高度です。
1-6. デジタル庁のガイドライン改定
2022年10月公表のガイドライン第1.0版には、セキュリティ要件を満たすガバメントクラウド接続サービスを政府が調達して自治体に提供する旨の記載がありました。2024年4月公表のガイドライン第2.0版では、ガバメントクラウド接続サービスに関する一切の記述が削除されています。
出典:デジタル庁「地方公共団体情報システムのガバメントクラウドの利用に関する基準【第1.0 版】
出典:デジタル庁「地方公共団体情報システムのガバメントクラウドの利用に関する基準【第2.0 版】
ガイドラインの改定理由は主に、官民の各機関においてゼロトラストアーキテクチャーの導入が推進されているためです。ゼロトラストアーキテクチャーとは、ネットワークの内外を問わず、すべてのアクセスを疑い、常に検証を行うことを基本とするセキュリティ対策の考え方です。ゼロトラスト(何も信頼しない)という概念に基づいています。
2024年12月現在、自治体拠点からの接続には三層分離の対応が要求されているものの、将来的にはゼロトラストアーキテクチャーへの移行も予想されます。三層分離は「マイナンバー利用事務系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」の用途でネットワークを分離し、それぞれの用途に応じて異なるセキュリティ対策を講じることです。
2024年5月に行われたデジタル庁大臣の会見では自治体の三層分離の対策を廃止し、ゼロトラストへ移行する方針が明示されたこともあり、足並みを揃える形で、ガイドラインが改定されました。
2. 自治体におけるガバメントクラウド接続とは?関連用語を解説
ガバメントクラウド接続とは、必要な環境整備を行って自治体の拠点(地方公共団体ネットワーク拠点)からガバメントクラウドまでをつなぐことです。必要な環境整備の内容は、既存システムの構成、アプリのベンダー、接続方法の選択などに応じて異なります。
自治体の拠点からガバメントクラウドへの接続は原則、ダイレクトに行えません。しかし、デジタル庁ではガバメントクラウド接続用の回線や通信サービスを提供しないため、各自治体が独自で用意する必要があります。
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適切に環境整備を行うために、ガバメントクラウド接続に関連する以下の用語を確認していきましょう。
2-1. 地方公共団体ネットワーク拠点
地方公共団体ネットワーク拠点には、ガバメントクラウドへ接続する回線の起点としての役割があります。自治体の基幹業務アプリがベンダーのデータセンターで運用されている場合には、その施設も地方公共団体ネットワーク拠点の1つに該当します。都道府県WANを活用している自治体の場合、ネットワーク回線の集約拠点を地方公共団体ネットワーク拠点と考えます。
2-2. クラウド接続拠点
クラウド接続拠点(データセンター)とは、地方公共団体ネットワーク拠点とアクセス回線でつながれ、ガバメントクラウドへの接続点として機能する拠点です。自治体がガバメントクラウドへ接続する際には、閉域ネットワークを利用する必要があります。クラウド接続拠点は、閉域ネットワークの入り口としても活用されます。
2-3. アクセス回線
アクセス回線とは、地方公共団体ネットワーク拠点とクラウド接続拠点をつなぐ専用の通信回線です。アクセス回線を活用し、適切な帯域幅を確保することで、運用中の突発的なパフォーマンスの低下を回避できます。冗長構成のアクセス回線を採用すると、基盤業務アプリを利用する際のセキュリティ強化も可能です。
冗長構成とは、通信回線を二重化する構成を意味します。冗長構成を採用することで、通信回線の障害発生時における事故リスクが軽減され、より安全な運用が可能になります。
2-4. クラウド接続サービス
クラウド接続サービスとは、クラウド接続拠点とガバメントクラウドを閉域ネットワークでつなぐサービスです。閉域ネットワークを活用することで、外部からの侵入リスクを軽減し、機密性の高い情報のやり取りに適した環境を構築できます。
デジタル庁のガイドライン第1.0版に登場した「ガバメントクラウド接続サービス」は、クラウド接続サービスと拠点接続サービスの総称です。2024年12月現在、デジタル庁ではガバメントクラウド接続サービスの提供を行わないため、自治体が独自に接続方法を検討する必要があります。
3. 自治体がガバメントクラウド接続サービスで得られるメリット
ガバメントクラウドを活用する自治体はシステムの標準化を実現し、人的・財政的な負担を軽減しつつ、地域住民向けサービスの質向上を図れます。ガバメントクラウドを活用するメリットを以下でより詳細に確認し、前向きに取り組むモチベーションにつなげましょう。
出典:デジタル庁「 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」
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3-1. 自治体のサーバー導入や運用にかかるコストを削減できる
ガバメントクラウドでは、サーバー、OS、基幹業務アプリなどを各機関が共同で利用します。そのため、ガバメントクラウドを導入する自治体は、インフラの整備コストを削減することが可能です。ガバメントクラウドを活用することで、自治体独自でのサーバー監視や各種機器のメンテナンス作業などが不要になり、運用コストの負担が軽減できます。
また、ガバメントクラウドでは使用するアプリを自治体ごとに選択する仕組みを採用しているため、ベンダー同士の競争が促進される点もメリットです。ベンダー同士の競争が激化することによって、より高性能なアプリを低価格で利用できるようになる可能性もあります。
関連サービス | : | コストの削減(通信・運用・省エネ) |
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3-2. 自治体のシステムを標準化・共通化する
各自治体がガバメントクラウドを活用することで、これまで独自に構築・運用してきたシステムを標準化できます。自治体のシステムが標準化され、行政データをクラウド環境で一元管理されれば、複数の市町村が連携してより利便性の高い住民サービスを生み出せるでしょう。
たとえば、ガバメントクラウドが定着すると将来的に、引っ越しした際の行政手続きをワンストップで完了できるサービスが誕生する可能性もあります。
3-3. 情報システムの迅速な構築・柔軟な拡張ができる
従来、自治体は独自にシステムを構築しており、システム改修が必要となった際はそれぞれ対応する必要がありました。自治体ごとに類似した改修をする場合でも、基盤となるアプリケーションやインフラなどが異なるため、システムの改修には手間や時間がかかります。
自治体同士の異なる開発基盤を共通化できるのが、ガバメントクラウドの特徴の1つです。開発基盤が共通化されることで新規情報システムの開発を迅速に行うことができ、大規模な制度改正に対してもスムーズに対応できます。
ガバメントクラウドを活用すれば、複数のアプリ間でデータを共有する作業の難易度も低下するため、より柔軟なカスタマイズが可能となります。将来的には地域住民の要望が変化した際にも柔軟かつ迅速な対応を行え、住民の満足度向上につなげられる可能性があります。
3-4. 情報セキュリティを強化できる
ガバメントクラウドでは、デジタル庁の規定要件を満たしたクラウドサービスを使用します。自治体は個別に対策を行わずに、高度なセキュリティレベルのクラウド環境を利用でき、安全面の強化が可能です。
また、ガバメントクラウドでは一括でセキュリティ対策が実施されます。ガバメントクラウドを活用することで、単独では導入しにくい最新のセキュリティ対策のもと、より安全な業務運営が可能となります。
3-5. 庁内外でのデータ連携が簡単になる
各自治体のシステムが標準化されることで、他の機関とスムーズに情報をやり取りでき、連携がしやすくなります。自治体間のデータ連携が推進されると、行政手続きを簡略化でき、地域住民の負担軽減を図れます。
データ連携がスムーズに行えれば、自治体の業務効率化も図れます。業務効率化によって人的リソースに余裕が生まれることで、より重要度の高い仕事に集中して取り組めるようになるでしょう。
4. ガバメントクラウド接続サービスの認定企業
ガバメントクラウドに対応したクラウドサービスは、年度ごとに公募される仕組みです。以下では、2024年11月時点でのガバメントクラウド対象サービス5つを取り上げ、特徴を説明します。
関連サービス | : | クラウド |
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関連サービス | : | インターネット・VPN |
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4-1. Google Cloud
Google Cloud は、デジタル庁のガバメントクラウド管理用アプリの開発時に採用された信頼性の高いサービスです。Google社には、全国30以上の自治体のデジタル化をサポートした実績もあります。
出典:Goodle Cloud「Google Cloudが、デジタル庁ガバメントクラウドの利用を促進するサーバレスのWebアプリケーション開発を支援」
出典:Goodle Cloud「Google Cloudと考える自治体のデジタル変革の一歩」
Google Cloud の強みは、Google社が提供する他のサービスとの親和性が高い点です。
Google Cloud はビッグデータやAI分野のサービスに強みを持ち、時代のニーズに沿った機能が搭載されています。
4-2. Amazon Web Services
Amazon Web Services は、世界中で数百万の顧客に選択されている信頼度の高いクラウドサービスです。ガバメントクラウド先行事業に参加した神戸市では、公共分野における実績が豊富な点を評価し、 Amazon Web Services を選択しました。
Amazon Web Services の公式サイトには、自治体の担当者向けの教育コンテンツが多数用意されています。教育コンテンツを活用すれば、 Amazon Web Services の機能や活用方法のスムーズな理解が可能です。
出典:AWS「AWSとは?」
4-3. Microsoft Azure
Microsoft Azure は、Microsoft社が提供するクラウドサービスです。 Microsoft Azure はMicrosoft社の提供する他サービスとの親和性が高く、スムーズに連携できます。
Microsoft Azure は、Windows OSをベースに構築されている点も特徴です。Windowsサーバーを利用している自治体は、導入しやすいサービスと言えるでしょう。
4-4. Oracle Cloud Infrastructure
Oracle Cloud Infrastructure は、シンプルな料金体系と信頼度の高さが魅力のクラウドサービスです。
Oracle Cloud Infrastructure には基本機能として各種セキュリティ機能が搭載されているため、追加コストなしで安全な運用体制を整備できます。自治体への導入実績も豊富にあり、業務課題の解決をサポートしてくれるサービスです。
出典:日本オラクル株式会社「ガバメントクラウド取り組み概要」
4-5. さくらのクラウド
さくらのクラウド は、さくらインターネット社が運営する国産クラウドサービスです。さくらのクラウド は、2025年度末までに技術要件を満たすことを条件としてガバメントクラウドの対象に認定されました。
自社開発や運用の体制が十分に整備されている点が、さくらインターネット社の強みです。さくらインターネット社ではユーザーサポートも自社で担当しているため、高度な安全性が要求される自治体案件に対しても、責任ある取り組みが期待されます。
出典:さくらインターネット株式会社「さくらインターネット、ガバメントクラウドサービス提供事業者に選定」
出典:さくらインターネット株式会社「国産クラウドベンダーとしての挑戦!新組織「ガバメント推進室」の取り組み」
5. ガバメントクラウドへの接続方法5つ
ガバメントクラウドへの接続方法には複数のパターンがあり、それぞれ特徴が異なります。以下で接続方法の主な種類とそれぞれのメリットを把握し、自治体の現状に即した接続パターンを選択しましょう。
出典:デジタル庁「令和5年度ガバメントクラウドの先⾏事業(基幹業務システム)における調査研究 ネットワーク接続のあり⽅検証 検証結果」
5-1. 自治体から専用線で接続する
専用線とは、拠点同士を1対1で接続する回線です。専用線を利用する場合、自治体の拠点からガバメントクラウドまでの回線を独自に用意する必要があります。
専用線の利用は、比較的大規模なシステムを運用している自治体に適しています。共同接続を選択すると、IPアドレスの重複などの問題が生じて対応コストがかさむ場合があり、そのため専用線の利用を検討することができます。
5-2. ASPのデータセンターから専用線で接続する
既存のシステム環境として地域回線などを利用してデータセンターに接続している場合、データセンターからガバメントクラウドまでの専用線を共同利用する方法も一案です。共同利用方式には、単独で専用線を使用する方法と比較して回線コストを抑えやすいメリットがあります。
5-3. 都道府県WANを経由して接続する
回線コストをより軽減するためには、都道府県WANを経由してクラウド接続サービスを共同で利用する方法もあります。都道府県WANを経由する場合、クラウド接続拠点から遠い場所にある自治体の拠点でも、費用負担の軽減が可能です。都道府県WANを利用している自治体では、既にIPアドレス設計などの調整を行っているため、移行作業の負担を軽減できる可能性もあります。
5-4. 既存のパブリッククラウドの接続回線で接続する
パブリッククラウドを導入済みの自治体は、既存の回線を利用してガバメントクラウドに接続することが可能です。既存の回線を利用する場合には、新規に回線を準備する手間と費用を削減できる半面、回線事業者との調整は必要です。
5-5. LGWANを経由して接続
LGWANとは、自治体の組織内ネットワーク同士を安全に接続し、情報共有を推進するための行政専用ネットワークです。2024年11月時点で詳細は公表されていないものの、2025年度以降に本格運用される「第5次LGWAN」は、ガバメントクラウド接続に対応する予定です。
まとめ
ガバメントクラウド接続サービスを導入することで、自治体は業務の効率化や柔軟なシステム運用が可能になります。さらに、標準化された情報システムは、自治体間のデータ共有をスムーズにし、迅速な行政サービスの提供を実現します。情報セキュリティの強化により、住民からの信頼感も高まるでしょう。
多くの自治体が移行準備を進める中、スムーズな導入に向けた計画的な対応が重要です。ガバメントクラウドの導入を進め、地域住民にとって便利で安心な行政サービスを提供できる自治体を目指しましょう。
KDDI まとめてオフィスでは、KDDIが長年培ったセキュアで高品質な通信を軸に、クラウドサービスの導入、各種デバイスの手配、セキュリティ対応、BCP対策強化など、あらゆる課題を解決するソリューションをワンストップでお届けしてまいりました。自治体のガバメントクラウドにまつわるお悩み事などございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。