ホームThink with magazineICT教育
ICT教育とは?必要とされている背景・推進するメリット

ICT教育とは?必要とされている背景・推進するメリット

2025年02月28日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
ICT教育とは?必要とされている背景・推進するメリット

デジタル技術の急速な進化により、従来のアナログ教育では実現が難しかった新たな教育方法が可能となりつつあります。特に近年では、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の実現やコロナ禍によるオンライン学習の拡大を受け、ICT教育が大きな注目を集めています。

ICT教育は、いわゆる「教育のデジタル化」を指すものです。これにより、学習の効率化や教員の業務負担の軽減を図るだけでなく、学生にデジタルスキルやネットリテラシーを身につけてもらうことが可能です。

当記事では、ICT教育の概要や必要とされる背景から、メリット・デメリットまで詳しく紹介します。

ICT教育のお悩みは、KDDI まとめてオフィスにご相談ください

1. ICT教育とは?

ICT教育とは?

ICT教育とは、これまでアナログのみで行われていた教育を、デジタル技術を取り入れることで効率化・高度化した教育手法です。

そもそもICTとは、「Information and Communication Technology」の頭文字をとった略称であり、日本語では「情報通信技術」と呼ばれます。

ICTと似た言葉として、「IT(Information Technology)」が挙げられますが、ITはデジタル機器やデジタル化された情報そのものを指します。一方で、ICTは「Communication」の要素が加わっており、ネットワークを介した人と人とのコミュニケーションを支える仕組みとして活用されることが特徴です。

ICT教育は、こうしたICTの概念や利便性を教育現場に応用した取り組みです。ICT活用の具体例としては、パソコン(PC)やタブレット端末、電子黒板、デジタル教科書、インターネット学習支援ツールなどが挙げられます。ICT教育により、学生一人ひとりの学習ペースに応じた個別指導も可能となり、教育の質向上が期待できます。

2. ICT教育が必要とされている背景・理由

ICT教育が必要とされている背景・理由

デジタル技術の進化にともない生まれたICT教育によって、従来のアナログ中心の教育では難しかった学習の効率化や柔軟な対応が可能となりました。そこでここでは、ICT教育が必要とされる3つの具体的な背景と理由について説明します。

2-1. GIGAスクール構想の実現

ICT教育が注目される最初のきっかけとなったのが、2019年に文部科学省が開始したGIGAスクール構想です。

GIGAスクール構想とは、文部科学省が提唱した日本の教育改革の一環です。この取り組みでは、全国の小中学校に児童・生徒一人ひとりに1台のデジタルデバイスを配布し、ICTを活用した学習環境を整備します。

GIGAスクール構想の背景には、現実空間と仮想空間を融合させた社会(「Society5.0」)の実現があります。また、ICT教育を通して子どもたちにデジタル技術の活用スキルを身につけさせることも目的です。

また、教育現場において教員がデジタルツールを活用することで、教材の作成や児童・生徒の学習進捗の管理が効率化され、業務負担を軽減する効果も期待できます。

2-2. コロナ禍への対応

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による遠隔教育やオンライン授業の需要の高まりは、ICT教育がますます注目されるきっかけとなりました。

COVID-19は2020年の初頭から国内でも広がり、同年3月には日本全国の学校が一斉休校を余儀なくされました。従来の対面での授業が困難となったことから、リスクを抑えつつ学びを継続する方法としてICT教育の導入が急務となりました。

当初、ICT教育の普及は2023年度を目標に進められていましたが、コロナ禍によりその導入は前倒しで進み、全国の教育機関において急速に推進されることとなりました。

アフターコロナにおいては、対面式の授業に戻りつつあります。ただし、デジタルデバイスやICTサービスを用いた授業はもはや当たり前のものとなり、今後も継続的に活用されていく見込みです。

2-3. 教員の負担軽減

ICT教育が注目される理由の1つに、教員の負担軽減が挙げられます。

近年では多くの業界で人手不足が問題視されており、教育業界も例外ではありません。教員は日々の授業やテストの準備、確認作業に加え、放課後や休日には部活動を担当するなど、こなさなければならない業務は多岐にわたります。

ICT教育の導入は、教員の負担を軽減するための1つの手段としても進められています。紙媒体の教材資料をICT化することで、印刷・配布・管理といった手間を削減できるほか、教材の作成や生徒たちの学習進捗の管理も効率化できるようになります。結果として、教員の負担の大幅な軽減を目指せるでしょう。

3. ICT教育のメリット

ICT教育を導入することには、教育を受ける学生側と教育を行う教員側それぞれにメリットがあります。ここからは、ICT教育のメリットを学生側・教員側に分けて詳しく紹介します。

3-1. 学生側のメリット

ICT教育を導入することによる学生側のメリットとしては、下記の3つが挙げられます。

●学習へのモチベーションが向上する

従来のアナログ授業に難しさや退屈さを覚えていた学生にとって、画面上で画像や映像を使った授業が多いICT教育は、分かりやすく、かつ興味をもちやすいことが特徴です。こうした理解のしやすさ・興味の引きやすさは、学習へのモチベーションを大きく向上させる要因と言えるでしょう。

●デジタルリテラシーが身につく

ICT教育では、インターネットの活用における基本的なルールやマナーのほか、情報活用能力を身につける手助けをします。社会人になっても必要なネットリテラシーを学生時代に養える点は、学生にとって大きなメリットとなるでしょう。

●場所を問わずに授業に参加できる

ICT教育の大きな利点は、学生がいつでも・どこでも授業に参加できる点です。学校から遠い場所に住んでいる生徒や何らかの理由で登校が困難な生徒も、オンライン授業を通して平等に授業を受けることが可能となります。

3-2. 教員側のメリット

ICT教育を導入することによる教員側のメリットとしては、下記の2つが挙げられます。

●業務効率化により教員の負担を軽減できる

従来のアナログ教育では、紙の書類や問題集の作成・管理が中心となり、多くの時間と労力がかかっていました。しかし、ICT教育の導入によって電子データの作成・管理が可能となり、無駄な業務を大幅に効率化できます。

また、教員同士での情報共有もデジタルツールを活用することで効率化できるほか、行き違いや見落としも防げて、業務負担の大幅な軽減につながります。

●生徒一人ひとりに対して効果的な学習指導が行える

ICT教育では、生徒が授業で取り組んだ問題や学習進捗をICT機器で管理できます。個々の生徒の苦手分野や得意分野も把握しやすく、それぞれの生徒に合った学習支援を行えるようになります。

4. ICT教育のデメリット

ICT教育のデメリット

ICT教育には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ICT教育の導入にあたっては、メリットとデメリットを理解した上で慎重に検討することが大切です。

ここからは、ICT教育の主なデメリットを2つ紹介します。

4-1. デジタル格差が生じる

ICT教育を導入する際は、地域や家庭ごとの設備やインフラの差による影響の可能性について考えておく必要があります。

特にオンライン学習を行う場合、各家庭のインターネット環境の違いが影響を及ぼし、すべての生徒が平等に教育を受けることが難しくなる可能性があります。デジタル格差が生じることで、生徒間で学びの機会に不均衡が生まれ、学習成果にも差が出るリスクがあるでしょう。

デジタル格差の課題解決策としては、地方自治体によるインターネット環境の整備が重要です。また、教育機関が保護者に家庭でのICT環境を整備するよう働きかけることも求められます。

4-2. プライバシーとセキュリティの問題が懸念される

インターネットを通したやり取りには、必ずセキュリティリスクが伴います。

ICT教育で使用するデジタルデバイスやオンラインツールには、生徒の個人情報や成績データ、さらに学習内容に関するデータなど重要な情報が多く蓄積されています。

データ漏洩や不正アクセスのリスクを最大限避けるためには、教育機関側で適切なICT環境整備とセキュリティ対策を講じ、データ管理を厳格に行うことが不可欠です。また、生徒だけでなく教員にもセキュリティ教育を行い、適切な管理方法を周知徹底することが求められます。

まとめ

ICT教育は、デジタルデバイスやオンラインツールを活用した教育活動のことです。GIGAスクール構想の推進やコロナ禍によるオンライン授業の需要の高まりなどによって、近年ますます注目されています。

ICT教育の導入においては、学生側・教員側それぞれにメリットがある一方で、デジタル格差による影響やプライバシー・セキュリティ問題の懸念といったデメリットもあります。ICT教育の導入にあたっては、メリットとデメリットを理解した上で慎重に検討するとよいでしょう。

KDDI まとめてオフィスでは、KDDIが長年培ってきた高品質でセキュアな通信を軸に、タブレットやパソコンなどのスマートデバイスの手配や、生徒の学びに必要なアプリケーションのご提案、教職員の働き方改革の一助となるクラウドサービスやセキュリティツールなど、豊富なラインアップを、ワンストップでご提供しています。教育DX実現なら、ぜひKDDI まとめてオフィスにおまかせください。過去開催した教職員の方向けのイベントレポートも公開中。ぜひこちらもご覧ください。

関連記事 ICT教育

※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。