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クラウドPBXとは?利用のメリットや機能・導入の流れを徹底解説

クラウドPBXとは?利用のメリットや機能・導入の流れを徹底解説

2025年03月31日掲載
※ 記載された情報は、掲載日現在のものです。
クラウドPBXとは?利用のメリットや機能・導入の流れを徹底解説

近年では社内のコミュニケーションスタイルや働き方の多様化から、オフィスにいなくても電話対応が可能な「クラウドPBX」に注目している企業は少なくありません。ただし、普段通話関連の情報に関わりのない方にとっては、クラウドPBXがどのようなシステムなのか分からないという方もいるのではないでしょうか。

当記事では、クラウドPBXについての概要、導入するメリットやデメリット、また料金相場や便利機能なども解説します。

目次

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1. クラウドPBXとは?

クラウドPBXとは?

クラウドPBXは、PBX(電話交換機)の機能をクラウド化して構築するシステムです。クラウドPBXを利用した電話は「クラウド電話」や「クラウドフォン」と呼ばれ、場所を選ばない柔軟な通話環境を実現します。

従来のビジネスフォンサービスやPBXシステムでは、オフィスに物理的な装置を設置することが必須です。また、電話線でつながれた特定の電話機や、社内LANの整備も必要です。しかし、クラウドPBXなら、インターネット回線を通じてオフィスの外でも会社の電話番号を利用した発着信が可能です。従業員同士の通話であれば、場所に縛られず、通常の内線電話と同様に無料で発着信ができます。

初期投資の削減や設置作業の簡素化も大きな利点です。近年、テレワークの普及が進む中、多くの企業が導入を進めています。

2. そもそもPBX(電話交換機)とは?

そもそもPBX(電話交換機)とは?

PBX(Private Branch Exchange)は、各種電話機の外線・内線を管理するシステムです。PBXがあれば、卓上タイプの電話機・スマートフォン(スマホ)を問わず、外線・内線を利用できます。社内はもちろん、PBXの設定次第で、場所を問わず外線番号・内線番号を表示することが可能です。

PBXは拠点ごとに設置し、拠点専用のPBX同士が連携することで拠点間の通信が可能です。物理的に設置するタイプもあれば、クラウド上に設置するタイプもあります。

外線を使用する際、各電話機から拠点専用のPBXに接続されたあと、指定の外線へと接続される仕組みです。外線がかかってきた場合も、拠点専用のPBXを介して各内線に接続されます。内線を使用する場合も、まず拠点専用のPBXに接続されたあと、指定の内線へと接続されます。拠点をまたぐ内線の場合は、PBX同士が連携して接続を行います。

2-1. PBXとビジネスフォンとの違い

PBXとビジネスフォンとの違い

ビジネスフォンとは、1台の「主装置」と複数台の「専用電話機」を組み合わせて使用する電話のことです。ビジネスフォンは主装置を用いて、外部からかかってくる「外線」と、社内の電話機同士で通話する「内線」を制御します。PBXとビジネスフォンには、共通点もあれば相違点もあります。以下に、PBXとビジネスフォンの違いをまとめました。

機能の違い PBX ビジネスフォン
内線を接続可能な範囲 拠点内に加え、複数拠点間でも接続可能 単一拠点内でのみ接続可能
接続可能な電話機の台数 数千台 数十台
スマートフォンの内線化の可否 内線化可能 内線化不可
業務効率化につながる機能 録音機能など、パソコンやOA機器との連携により業務効率化可能 録音機能など、パソコンやOA機器との連携により業務効率化可能 業務効率化に関する機能はなし

規模が大きく複数拠点にまたがる企業、従業員がスマホを頻繁に使う企業、業務効率化を望む企業などには、PBXを導入するメリットがあると考えられます。

2-2. PBXとビジネスフォンの耐用年数

PBXやビジネスフォンの法定耐用年数は、約6年と言われています。しかし、中には10年20年と使い続ける企業も珍しくないでしょう。

しかし、まだ使えるからといって不具合が出るまでPBXを使い続けることにはリスクがあります。ある日突然電話がつながらなくなるなど、業務に支障が出たり、商機を逃したりする可能性があります。また、企業内の問題にとどまらず、PBXの故障により顧客を巻き込むトラブルに発展する恐れもありますので注意しましょう。

PBXをはじめ、電話環境の構築・導入やお買い換えなら、KDDI まとめてオフィスにご相談ください。

3. PBXの主な4つの機能

PBXの主な4つの機能?

PBXの主な機能を解説します。ただし、後述するPBXの種類によっては、ここで紹介する機能が備わっていない場合もあります。

3-1. 外線・内線の発着信機能

PBXは、外線からかかってきた電話を指定した内線へと振り分けます。内線同士の発着信の制御も、PBXの役割です。また、「企画部内からの発信は、すべて企画部専用の同じ電話番号で発信する」など、部門ごとに特定の電話番号で発信することも可能です。

3-2. 保留・転送機能

保留・転送機能を使うと、事務所への着信を保留した上で、別の電話機に転送できます。

電話の取り次ぎ先が分からないときは、パーク保留機能が便利です。パーク保留は、通話中の電話を一時的に保留し、別の電話機からその通話に再接続できる機能です。オフィス内のどの電話機からでも通話を再開できるため、社内にアナウンスをかけて、担当者が見つかり次第、近くの電話機から通話を受けることができます。

外線・内線の発着信機能と保留・転送機能については以下の動画もご覧ください。

3-3. 録音機能

録音機能を活用すると、顧客からの問い合わせなど、通話の録音が可能です。録音データを分析して業務改善に生かしたり、顧客の意見を抽出して商品やサービスの開発に生かしたりすることができます。

カスタマーサポートなら、録音データからよく聞かれやすい内容を抽出しておくことでナレッジの蓄積ができ、サポートデスク全体の質の向上や対応時間の短縮などに役立てることができます。また、新人教育にも活用できるでしょう。

3-4. 顧客情報管理・レポート機能

PBXとCTI (Computer Telephony Integration)※を連携することで、容易に顧客情報の管理ができるようになります。顧客情報と発着信履歴を紐付けて、やり取りの頻度や通話時間などをレポート化することもできます。

PBXで保有している電話番号をもとに顧客情報を検索し、手元のパソコン(PC)に過去の電話内容などの情報を表示させることも可能です。顧客情報を確認しながらやり取りをすれば、テンポよく話を進められるとともに、顧客からの信頼獲得にもつながるでしょう。

※CTI...PBXに付属の顧客管理ソフトや、専用のCRMと連携させることで、顧客情報をPC画面に自動表示させる機能。

4. PBXの種類2つ

PBXには、大きく分けて「オンプレミスPBX」と「クラウドPBX」の2種類があります。オンプレミスPBXは物理的な電話線を利用して接続し、クラウドPBXはインターネットのクラウド環境を利用して接続するのが大きな違いです。

また、オンプレミスPBXとクラウドPBXどちらにも活用できる接続方法として、「IP-PBX」があります。「IP-PBX」は、物理的な電話線に変わり、IPネットワークを利用して接続する方法です。

IP-PBXは社内LANが整備済みであればオンプレミスPBXと比較して、短納期で導入できます。また、オンプレミスPBXよりも導入コストが少なくて済み、通信料も節約できます。

ただし、IP-PBXはIPネットワークを介して通話するので、通信環境次第では通話品質が低下しかねません。そのため、高品質な通信環境を確保し、IP-PBXの通話品質を向上させることが大切です。冗長性を考慮したネットワーク構築や、ハッキングなどのセキュリティリスクへの対策も必要です。

オンプレミスPBXやクラウドPBXにも、IP-PBXと同様にメリットやデメリットがあります。2種類のPBXについて特徴を解説するので、それぞれ接続の仕組みを確認しましょう。

4-1. オンプレミスPBX(レガシーPBX)

物理的な電話線を利用した接続方法を、「オンプレミスPBX」と呼びます。オンプレミスPBXは今回紹介する3つのPBXではもっとも歴史が古く、オンラインに接続しない点が特徴です。電話線が届く範囲の電話機しか管理できず、フロアや拠点ごとにPBXが必要です。

オンプレミスPBXは、オンラインに接続しないため高セキュアと言えます。専用の電話線を使うので通話が高品質で、カスタマイズ性が高い点もオンプレミスPBXの強みです。

一方、オンプレミスPBXの導入には時間とコストがかかります。拠点やフロアごとにPBXを設置するので、オフィスのレイアウトが変わればPBXの設置場所も見直す必要があります。さらに、トラブル対応やメンテナンスにも手間がかかります。専門知識を持つ方がいない場合はオンプレミスPBXの導入・運用は難しいでしょう。

オンプレミスPBXは、拠点やフロアの数だけPBXを設置する必要があり、スペースや予算に余裕がある企業に向いています。オンラインに接続しないので、金融関連などセキュリティを重視したい企業にもおすすめです。円滑にオンプレミスPBXを構築・運用するためには、設備に詳しい専任の人材を確保する必要があるでしょう。または、環境構築から運用保守のサポートまでを請け負う企業にアウトソースする、という手もあります。

4-2. クラウドPBX

クラウドPBXは、その名のとおりクラウド環境を利用した接続方法です。社内にPBXを設置しなくて済み、オンラインに接続できれば場所を問わず内線や外線を使って通話できます。

株式会社グローバルインフォメーションの市場予測では、クラウドPBX市場の高い成長率が報告されました。また、総務省による令和4年の調査によると、クラウドサービスを利用する企業は2019年には全体の64.7%でしたが、2023年には77.7%にまで増えています。ICT・クラウド化の波を受けて、クラウドPBX市場は今後も拡大し続けると予想されます。

出典:PR TIMES「クラウドPBX市場、2030年末までに683億米ドル規模到達見込み」

出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」

クラウドPBXが向いている企業は以下のとおりです。

  • テレワークを推進させたい企業
  • CRMなどのビジネスツールと連携させたい企業
  • BCP対策も検討したい企業

クラウドPBXは、オフィスにPBXの専用機器を設置する必要がないため導入コストを抑えられます。テレワークを推進させたい企業にも、クラウドPBXがおすすめです。オンラインに接続できれば、場所を問わず企業の外線番号(0ABJ番号または050番号)を使える上、内線番号も使えます。OA機器やCRMなどのビジネスツールと連携させたい企業にも、オンラインネットワークに接続するクラウドPBXが向いています。

5. クラウドPBXのメリット

クラウドPBXでは、インターネット回線を介して電話機能を使用することにより、コストの削減や通話の自由度の向上、業務効率化など、さまざまなメリットが期待できるでしょう。

ここでは、クラウドPBXのメリットを5つ紹介します。

5-1. コスト削減につながる

クラウドPBXは、物理的なPBXの設置が不要なため、機器の購入費用削減につながります。従来のシステムでは、オフィスにPBXを設置した上で、専用の電話機も必要でした。しかし、クラウドPBXなら会社が支給しているスマホやPCに専用のアプリケーションをインストールするだけで利用できます。導入時はもちろん、オフィスの移転やレイアウト変更、改装の際にも配線工事の手配や、配線を意識したレイアウトを検討する手間は必要ありません。

さらに、従業員同士の通話は複数拠点間であってもすべて内線電話として受発信でき、通話コストも削減されます。設定変更や拡張が簡単なため、社内の人材のみで対応することもでき、専門業者への依頼が減る点も大きなメリットです。また、クラウドPBXは従来のPBXに比べメンテナンスや故障のリスクが少なく、長期的に見ても運用コストを抑えられて経済的です。

5-2. どこでもオフィスの電話番号で通話ができる

クラウドPBXは、インターネット接続があれば、どこにいてもオフィス電話と同じ番号で通話ができる機能を持っています。従来のビジネスフォンでは、社内の電話回線とつながった電話機からしか会社の番号での発着信ができませんでした。

しかし、クラウドPBXを導入すれば、従業員のスマホやPCからでも会社の番号を利用できるようになります。テレワーク時や外出中でも、オフィスにいるときと同じように顧客や取引先と連絡が取れるのは、大きなメリットと言えるでしょう。従業員がどこからでもオフィスの電話番号で通話できることにより、業務効率が向上し、柔軟なビジネスコミュニケーションが可能となります。また、働き方の柔軟性も向上するため、働き方改革の推進、テレワークの促進効果が期待されます。

5-3. 携帯やPCなどデバイスに縛られず電話ができる

クラウドPBXは、デバイスの種類に縛られず電話ができるマルチデバイス対応である点で、従来のシステムよりも利便性が大きく向上しました。従来のビジネスフォンシステムは、社内に設置された固定電話機やコードレス電話機しか利用できません。

クラウドPBXでは、通話機能がありインターネットに接続できれば、スマホやPCといった既に所有しているデバイスをそのまま活用できます。高価な固定電話機に依存する必要がなくなるのは、クラウドPBXを導入するメリットの1つです。

5-4. 電話の取り次ぎ業務を効率化できる

クラウドPBX導入により、電話の取り次ぎ業務が効率化できます。従来のビジネスフォンシステムでは外線電話を受けた後、担当者に内線で転送するか、一度電話を切ってから担当者に連絡する必要がありました。

しかし、クラウドPBXでは、かかってきた外線電話を直接外出中の担当者に転送できます。外部からの電話を直接担当者に転送できるクラウドPBXは、担当者の外出中でもスムーズに顧客対応ができ、顧客満足度の向上に寄与します。

また、IVR(Interactive Voice Response)という音声自動応答システムを利用すれば、着信を自動で適切な部署や担当者に振り分けることも可能です。共有電話帳やワンクリックでの発信、社名の自動表示機能は、従業員が迅速に電話を取り次げ、業務プロセスを効率的に進めることにつながります。

5-5. スピーディに利用を始められる

クラウドPBXではオフィスに主装置を設置する必要がなく、インターネット環境がすでに整っていれば、配線工事も不要です。営業時間中に電話回線工事のための時間を設けたり、工事のために業務をストップしたりせずに導入ができます。

オフィスレイアウトの変更や移設・増設する際も簡単なセットアップで電話環境が整います。今後、従業員が増えたりオフィスを移転したりする可能性が考えられる企業には、特に大きなメリットと言えるでしょう。

6. クラウドPBXのデメリット

多くのメリットを得られるクラウドPBXですが、同時にデメリットも存在します。導入を検討する際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けておきましょう。

ここでは、クラウドPBXのデメリットを5つ解説します。

6-1. 発信できない番号がある

クラウドPBXでは、以下の番号へ発信できません。

110 警察への緊急通報
113 設定・トラブルサポート
115 電報の申し込み
117 時報
118 海上事件・事故の緊急通報
119 消防・救急への緊急通報
144 迷惑電話お断り
177 天気予報
0570 ナビダイヤル

クラウドPBXでは、特定の番号への発信が制限されており、これには緊急通報番号などが含まれています。これは総務省により定められた法的な規制や、セキュリティ対策の一環として導入されたものです。

緊急時にクラウドPBXで特定の番号への発信ができない場合、従業員はスマホなど、緊急通報の発信が可能なデバイスを利用して、緊急通報先に直接連絡を取る必要があります。または、最寄りの警察署や消防署の番号へかけるという方法もあります。万が一に備えて、従業員には十分な周知と訓練が必要です。

6-2. ランニングコストがかかる

従来のビジネスフォンでは、機器を購入すれば通話料以外に月々の支払いは不要なケースが一般的です。一方、クラウドPBXはサブスクリプション形式のサービスであり、毎月の基本使用料が発生します。ほかにも必要なオプションサービスを契約する場合、月々のオプション利用料も発生します。契約内容や運用期間によって、トータルコストが高くなる場合があります。

ただし、クラウドPBXを提供する同一事業者の番号宛の通話料や、内線電話で複数拠点をつないだ際の通話料は0円となるので、必ずしも割高ではありません。また従来のビジネスフォンやIP-PBXでも、リース契約や保守点検の費用が発生する場合があるため、全体のコストを考慮することが重要です。

以下の表は、通話料の一覧を一部抜粋したものです。

着信先 通話料金(税込) ダイヤル番号 備考
Webex Calling宛て 無料 0AB~J/050
KDDI電話宛て ※ 無料 0AB~J/050
KDDI ビジネスコールダイレクト宛て 無料 内線番号 オンネット通話
NTT加入電話宛て 8.8円/3分 0AB~J 国内固定電話

※KDDI電話は、KDDI 光ダイレクト、KDDI-IPフォン、auオフィスナンバー、auひかり、ケーブルプラス電話、Cloud Calling for MS Teams、Cloud Calling for Genesys Cloud CX、Cloud Calling for Zoom Phoneを含みます。

出典:KDDI まとめてオフィス「Webex Calling エリア・料金」

6-3. インターネット環境の影響を受ける

クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、通信環境によって通話品質が左右される点はデメリットです。社内や自宅など、通信環境が安定している場所での通話は基本的に問題ありません。

しかし、地下鉄や高層階、トンネル内など通信が不安定になる場所では、音質が低下したり、通話が途切れたりする恐れがあります。クラウドPBXの提供ベンダーによっても通話品質は異なるため、導入前にチェックが必要です。

6-4. セキュリティ対策が必要になる

クラウドPBXはインターネット回線を使用するため、常に外部から攻撃されるリスクと隣り合わせと言えます。利用するデバイスのウイルス感染や、不正アクセスにより、ログイン情報や顧客情報といった重要情報の流出、通話内容の傍受、端末乗っ取りなどのリスクがあります。

また、たとえばIDやパスワードが書かれた紙を紛失した、オフィス外でログイン時にショルダーハックで情報を盗まれたなど、ユーザーの不注意によって漏洩する危険性もあります。

クラウドPBXの安全性を確保するためには、導入先として実績のあるベンダーを選んだり、社員のセキュリティ意識向上に向けた取り組みを実施するなど、セキュリティ対策に取り組む必要があります。利用するデバイスに強固なパスワードを設定し定期的に更新したり、デバイスを常に最新の状態にアップデートしたり、といった取り組みも忘れずに行いましょう。

6-5. 導入時に電話番号が変わる可能性がある

クラウドPBXの導入にともない、既存の電話番号が変更になる場合があります。番号ポータビリティサービスを利用すれば、一部条件下で既存の電話番号を引き継げるケースもありますが、すべての番号に適用されるわけではありません。

特にIP電話タイプのクラウドPBXでは、通信プロトコルの違いから市外局番を使用した従来の固定電話番号の継続利用は難しく、新たに050などの番号を取得する必要があります。クラウドPBXを導入する際は、現在のキャリアへ引継ぎが可能かを確認しましょう。

7. クラウドPBXを導入するのにおすすめのシーン

クラウドPBXを導入するのにおすすめのシーン

クラウドPBXサービスが自社に合っているのかを判断するために、導入に向いている事例やおすすめのシーンを知るのもおすすめです。

ここでは、クラウドPBXをどのような会社・どのような部署で導入すると効果的であるかを詳しく解説しますので、参考にしてください。

7-1. 多拠点展開している企業

拠点が複数ある企業では、各拠点間で連絡を取り合って連携を図る機会も少なくありません。通常は、通話のたびに外線通話料金が発生する上、顧客からの電話を他拠点から担当者に回す際は折り返し連絡が必要になり、手間も時間もかかります。

クラウドPBXを導入すれば各拠点間の連絡は内線通話扱いとなるため、通話コストのカットにつながります。また、顧客からの電話を他拠点の担当者につなぐのもスムーズになり、従業員の手間を省きながら顧客の待ち時間を短縮できるのもメリットの1つです。

7-2. リモートワークを推奨している企業

クラウドPBXを導入すると、場所を選ばず外出先からでも会社番号を利用して顧客や取引先と連絡を取ることが可能です。リモートワークを推奨している企業でクラウドPBXを利用すれば、自宅でも出社時と変わらない業務効率を保てるでしょう。

また、クラウドPBXはBCP対策の観点でも有効な施策の1つです。スマホとインターネット環境があれば、いつでも・どこでも電話業務ができ、データがクラウド上に保存されるため、ハードウェアの破損により情報を失う心配もありません。

7-3. 営業部での業務効率化

営業部において業務の効率化を図るには、顧客満足度を向上させることや、営業担当者の業務負担を軽減することが重要です。

クラウドPBXを導入すれば、顧客からの問い合わせに対して、いつでも・どこでもスムーズに対応できます。担当者の外出の都合などで折り返し連絡を待たせることもなくなるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

また、クラウドPBXでは外出先からも会社の番号で通話が可能なため、営業担当者は電話営業・電話対応のために事業所に戻る必要がありません。帰社後に折り返し対応に追われることがなく、外出中の隙間時間を有効に使えます。

7-4. カスタマーサポート部での利用

カスタマーサポート部でクラウドPBXを導入すれば、カスタマーサポート業務をリモートワークにすることが可能です。リモートの従業員と社内の従業員とで連絡を取る場合は内線電話扱いとなるため通話料がかからず、コストカットも叶います。

また、クラウドPBXには通話内容の録音機能・自動音声対応機能・着信時の顧客情報表示機能などのさまざまな便利機能が搭載されています。便利機能をうまく活用すれば、オペレーション業務の効率アップを図れるでしょう。

8. クラウドPBXを導入する流れ

クラウドPBXを導入するためには、複数の工程を経る必要があります。クラウドPBX導入を検討している場合は、具体的な流れを把握しておくことで、スムーズな導入が可能になります。

ここでは、クラウドPBXを導入する流れについて詳しく解説します。

8-1. 現在の設備を確認する

まずは、既存のインターネット回線やWi-Fi環境がクラウドPBXに対応しているかを確認します。

既存設備の状況によっては、宅内環境を構築するためのNW工事や工事前の現地調査などが必要になる場合もあるので注意してください。特に、安定したインターネット回線がない・Wi-Fi環境が整備されていないといったケースでは、工事が必要となる可能性が高いでしょう。

8-2. ライセンスと端末の確定

次に、必要なライセンス数と端末を決定します。

ライセンスとはクラウドPBXを利用する権利を指します。また、端末にはスマホ・タブレット・PC・固定IP電話などの種類があるため、必要な端末の種類とそれぞれの台数を決めましょう。

さらに、既存の電話番号を引き継ぐか、新たな番号を取得するかについても検討する必要があります。

8-3. クラウドPBXを選ぶ

クラウドPBXは利用するサービスにより機能や料金が異なります。自社のニーズを明確にした上で、条件にマッチするサービスを選定しましょう。

クラウドPBXを選ぶ際は、サービスプロバイダーの信頼性、サポート体制、提供される機能、価格設定などを考慮することが必要です。口コミや実績をもとに信頼できるプロバイダーを選定し、トラブル時の対応や機能・操作性、価格プランなどの詳細条件もチェックしましょう。

8-4. サービスの申し込みと設定

利用するクラウドPBXが決まったら、次はプロバイダーへの申し込みです。契約内容・初期費用・月額料金・サポート体制などを確認して見積もりを依頼しましょう。無料お試し期間があれば、実際に利用してみるのがおすすめです。

また、申し込み後は端末のセットアップや各種設定作業も必要です。

8-5. 導入テスト

初期設定が完了してクラウドPBXの利用環境が整ったら、導入前にテストを行います。

スマホ・タブレット・PC・固定IP電話の各端末を利用して、発信・着信それぞれのテストを実施しましょう。全端末で問題なく通話できれば実働開始となります。

また、クラウドPBXの稼働後は従来の電話システムは必要ありません。不要な電話回線や電話機を整理しましょう。リース品があればリース会社へ返却し、購入機器は下取りに出すのがおすすめです。

8-6. 社員への周知と教育

クラウドPBXの導入にあたり、従業員に対して日常業務におけるクラウドPBXの使い方やトラブルシューティングの方法を共有することも必要です。

導入するクラウドPBXのサービス内容や操作方法についてまとめた資料を配布する・各部署での説明を実施するなどの方法で、社内周知・教育を徹底しましょう。トラブル時にスムーズに問い合わせできるよう、問い合わせ窓口についても周知しておくことが重要です。

9. クラウドPBXの料金相場

クラウドPBX導入には、初期費用や月額利用料金、通話料金などがかかります。以下は、おおよその料金相場です。

初期費用 1万円~5万円前後
月額基本料金 内線1回線あたり1,500円~3,000円前後
通話料金 固定電話:3分につき8円前後
フリーダイヤル:1~3分につき10円前後
携帯電話・スマホ:1分につき15円前後
電話機本体 購入費:1台あたり1万円~5万円前後
レンタル代:100円から
設置機器代+工事費(光回線の場合) アダブター:1台あたり3万円~5万円前後
工事費:1万円前後
オプション料金 自動録音:月額約2,000円~3,500円前後
IVR:月額約1,500円~3,000円前後
電話会議:月額2,000円~5,000円前後

ただし、これはあくまでも相場です。実際にかかる費用は、利用するベンダーやプランによって異なります。具体的な料金は契約前に確認しましょう。料金プランによっては、通話時間を超過すると追加料金が発生するものもあるため、注意が必要です。

10. クラウドPBXの便利機能

クラウドPBXの便利機能

クラウドPBXには基本機能として、共通電話帳・保留機能・音声ガイダンス・留守番電話機能・CTI機能・IVR機能などが備わっています。これらの機能に加えて、クラウドPBXにはさまざまな便利機能も搭載されており、業務の効率化や顧客対応の質の向上が期待できるでしょう。

ここでは、クラウドPBXの便利機能を4つ紹介します。

10-1. 通話録音機能

外線通話をすべて録音し、クラウドサーバーに保存する機能です。録音機能の利用により、「言った・言わない」のトラブル防止や、通話内容の確認・分析による顧客対応の向上が期待できます。録音データは相手の電話番号とともに時刻や通話時間なども記録され、再生・ダウンロード・削除が可能です。

また、通話開始時に「この通話は録音されています」とアナウンスを流せば、執拗な営業電話や理不尽なクレームを抑制する効果もあります。コールセンターなどでの活用はもちろん、あらゆるビジネスシーンでのコミュニケーション品質の向上に貢献するでしょう。

10-2. インターネットFAX機能

クラウドPBXのインターネットFAX機能は、従来のFAX機がなくてもスマホやPCから直接FAXの送受信ができます。FAXのデータはPDFで送受信されメールなどで確認できるほか、送信相手は通常のFAXとして受領・印刷することも可能です。

この機能により、紙やトナーの消費削減やペーパーレスを推進できます。オフィスにいなくてもFAXを確認できるため、テレワークや移動中でも業務を円滑に進めることができます。コミュニケーションにも支障をきたしません。

10-3. ビジネスチャット機能

クラウドPBXのビジネスチャット機能では、電話とメッセージの一元管理が可能です。ユーザー同士がチャットで簡単にやり取りでき、電話が不通のときにメッセージを残したり、誤解を避けるために文字情報を共有したりできます。

また、連絡に複数のアプリやアカウントを使い分ける必要がないため、業務効率の向上にもつながるでしょう。業務専用のチャットツールの使用により、仕事とプライベートが切り替えやすく、誤送信や情報漏洩のリスクを減らせるのもビジネスチャットのメリットです。

10-4. ページング機能(構内放送)

クラウドPBXのページング機能(構内放送)を利用することで、緊急放送や特定の従業員の呼び出し、会議の案内などを場所を選ばずに発信できます。たとえば、「◯◯さん、1番に電話です」や「火災が発生しました、速やかに避難してください」といったアナウンスが可能です。

放送室に行かなくても必要な情報を迅速に伝えられるため、業務の効率化やお客さまへの電話対応の迅速化に寄与します。また、非常時の連絡手段や迅速な避難指示、安全確保にも役立つ機能です。

11. クラウドPBXの選び方

クラウドPBXの選択肢は多く、提供事業者やサービスごとに異なる特徴や機能があります。自社の特性にあわせて、慎重にサービスを選びましょう。

以下では、搭載機能・通話品質・料金設定・既存番号の利用可否など、クラウドPBXサービスの選定時に考慮すべきポイントを6つ解説します。

11-1. 必要な機能が備わっているか

クラウドPBXを選ぶ際、自社に必要な機能が備わっているか、必ず確認しましょう。内線化や保留転送などは基本機能として備わっています。しかし、サービスによっては録音機能や通話データ分析、文字起こし、スケジュール機能などが利用できません。

テレワーク対応や営業業務の効率化に役立つ機能、たとえばIVRやインターネットFAX、CRMツールとの連携なども選定のポイントです。また、クラウドPBXは基本的に自社で管理するため、管理画面の使いやすさも重要な要素となります。

11-2. 通話品質が高いか

多くのクラウドPBXは従来のビジネスフォンと同水準の音質を実現していますが、通話の音声が途切れるなどの問題を抱えているサービスもあります。無料トライアルまたはデモンストレーションを利用して、実際の通話品質を確認することが大切です。

また、オフィスやリモートワーク時のネットワーク環境も通話品質に影響するため、実際の使用環境でもテストをしておきましょう。通話品質が高いサービスを選んだほうが、顧客満足度の向上や電話業務の効率化につながります。

11-3. 予算に合った料金設定か

クラウドPBXの通話料金やオプション料金は、サービスによって異なります。そのため、さまざまな料金体系を比較することが重要です。また、会社の規模や従業員数、回線数など、料金が変動する基準もさまざまです。

同業種や同規模の企業への導入実績を参考にすると、自社に適したサービスを選ぶ手助けになります。また、ビジネスフォンの残債があると一括での返済や解約金を求められる場合もあるので、確認しておきましょう。

11-4. 電話番号がそのまま使えるか

クラウドPBXを選ぶ際には、現在使用している電話番号をそのまま利用できるかも重要なポイントです。クラウドPBXのサービスによっては、新規に電話番号を設定しなければならないケースも少なくありません。

電話番号を引き継げれば、顧客へ電話番号変更を通知する手間や、問い合わせを逃すリスクを防げます。既存の業務に影響をおよぼさないよう、事前に確認しておくことが重要です。

11-5. サポート体制が充実しているか

クラウドPBXを選ぶときは、導入時や使用時のサポート体制が充実しているかを確認することも重要です。基本機能のみの利用とオプション機能を追加した大規模導入とでは必要なサポートも異なるため、自社に必要なサポートを明確にした上でサポート内容をチェックしましょう。

クラウドPBXのサポートには、トラブル時の問い合わせ窓口の整備や修理サービスなどがあります。問い合わせ窓口については、WEB・コールセンターなどの複数の問い合わせ方法に対応しているかなどをチェックしておきましょう。

11-6. セキュリティ対策を行えるか

クラウドPBXを選ぶ際は、セキュリティ対策が万全であるかどうかもチェックすべきポイントです。

クラウドPBXで懸念されるセキュリティリスクには、ログイン情報の漏洩や電話帳の顧客情報の流出、ハッキング、デバイスの感染などがあります。

多くのクラウドPBXは、ベンダーが常に情報を守るための安全対策を講じており、定期的なアップデートによってセキュリティを強化しています。クラウド上で管理されているデータを24時間365日体制で監視しているプロバイダーであれば、サイバー攻撃にも迅速な対応が可能です。

クラウドPBXを導入する企業側の対策では、ログインIDやパスワードの管理徹底や定期的なパスワード変更、セキュリティ機器の導入も有効です。

まとめ

クラウドPBXは、各種電話機の外線と内線を管理するPBXの機能をクラウド化したシステムです。インターネット環境があれば、スマホやPCなどマルチデバイスで利用でき、場所を選ばずどこでもオフィスの電話番号で通話ができます。条件によっては比較的イニシャルコストが安価に抑えられたり、同一キャリア間の外線通話や内線通話が0円となったり、コストメリットもあります。ただし、基本使用料が月々発生する、必要な機能がオプション扱いになる場合がある、今の電話番号を引き継げない可能性がある、といった注意点もあるので、忘れず確認しましょう。

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