2025年3月6日から3日間、ポートメッセなごやで行われた「第30回日本災害医学会総会・学術集会」。災害医療に関わる、医師、看護師、救急隊員など、多くの関係者が参加する当総会に、KDDI まとめてオフィスは、Starlinkを中心とした展示ブースを出展し、協賛セミナーを開催。Starlinkの使い方や、能登半島地震で実証された災害時の有用性について詳しく解説するとともに、関心が高まる医療DXについても具体的な導入事例を紹介。災害時の通信確保から、日常業務の効率化まで、KDDI まとめてオフィスのサービスが、医療活動を幅広く支援できることをアピールしました。
「第30回日本災害医学会総会・学術集会」開催概要
災害医療に携わる医師、看護師、救急隊員が全国から参加
「日本災害医学会総会・学術集会」とは、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに発足した日本災害医学会が、毎年行っている定期総会です。災害医療に携わる医師、看護師、救急隊員ほか、消防や防災など、多方面の関係者が集い、互いの経験や知識・技能を共有することを目的とし、一人でも多くの命を守る取り組みに役立てています。
第30回の記念大会となった今回は、「海とともに生きる!伊勢湾台風復興の地で災害のこれまでとこれからを考える」をメインテーマとして、関係者が伊勢湾台風復興の地に一堂に会し、災害医療の歴史を振り返りながら、災害医療体制のさらなる向上を目指す大会となりました。
3日間の会期中に約160のセミナー・シンポジウム・パネルディスカッションが行われ、展示会場には約57の企業・団体がブースを出展。自然災害が激甚化し、頻発化するなか、災害医療に尽くす多くの関係者の熱気に満ちた大会となりました。
展示コーナーでStarlinkの優れた機能を紹介
KDDI まとめてオフィスは、会場の入り口近くに展示コーナーを出展。Starlinkのアンテナ、電源ユニット、Wi-Fiルーターのほか、災害現場で便利なポータブル電源を紹介した展示コーナーには、多くの来場者が足を止め、説明に耳を傾けていました。
展示コーナーでお客さま対応をしたKDDI まとめてオフィス中部(株) 中部支社の鬼澤直人は、「とくに、救急課や災害対策室の皆さまの関心が高く、Starlinkの知名度の高さを実感できました。一方で、名前はご存知でも、通信速度の速さなど機能面について詳しく知る人は意外と少なく、"一般的な光回線のインターネットと同等以上の通信速度です"と説明すると、驚かれる人もいました」
「また、能登半島地震の際に、現地でStarlinkを体験したDMAT(災害派遣医療チーム)の方からは、"通信速度がすごく速い""災害時には欠かせない"と高く評価してもらいました。"導入を検討しているので提案してほしい"という依頼も数多くいただき、大きな成果につながったと思います」(鬼澤)
トヨタ車体「MEDICAL MOVER」とコラボレーション
さらに、屋外の車両展示コーナーでは、トヨタ車体(株)の医療MaaS車両「MEDICAL MOVER」と共同展示を実施。
"走る診察室"と呼ばれる「MEDICAL MOVER」は、移動回診を行う専用車両であり、医師による遠隔診療の通信手段としてStarlinkを活用。Starlinkの高速・大容量通信によって、大型モニターを通した遠隔診療が可能になり、僻地など通院が難しい高齢者への医療提供と、医療業界の人材不足にも貢献しています。
もちろん、「MEDICAL MOVER」は災害時も活躍でき、能登半島地震の際も、Starlinkと共に現地へ出動。携帯電話の電波が届かない避難所などで遠隔診療を行い、被災者の健康支援に貢献しました。平時から、Starlinkを活用していたため混乱する現場でもスムーズに運用ができたそうです。
セミナー第1部・2部:Starlinkの特長と能登半島地震での活用状況
さらに、総会初日には、KDDI まとめてオフィスが約1時間のランチョンセミナーを開催。広いコンベンションセンターを埋め尽くす約500名の参加者を前に、第一部・二部では、プロジェクト営業本部 中部ビジネスソリューション部長 中井一雄が登壇。Starlinkの概要について紹介しました。
低軌道衛星ならではの高速・大容量通信
まず、従来の衛星通信との違いについて中井は、「これまでの衛星通信は高度約36,000kmの静止衛星を活用するため、通信速度が8Mbps程度で、安定したインターネット接続に利用するのは困難でした。これに対して、Starlink衛星は、約550kmの低軌道を周回していることから、最大220Mbpsの高速通信が可能であり、オンライン会議や各種クラウドサービス利用も快適に行うことができます。
また、静止衛星は4基〜5基で地球全体をカバーしているのに対して、Starlink衛星は、2月末現在で6,750基が地球を周回しており、今後1万基程度まで増やす予定です。これにより、空全体が開けて見えるところであれば安定した通信が可能になります。さらに、静止衛星は、1基にトラブルが発生しただけで通信サービスが提供できなくなる恐れがありますが、Starlinkは、その心配がありません。しかもStarlinkを提供しているSpaceX社は、自ら衛星を打ち上げる能力を有していることから、つねに衛星を適切な数に維持でき、安定したサービス提供を実現しています」(中井)
また、Starlinkの個人用プラン(レジデンシャルプラン)と、法人向けプラン「Starlink Business」の違いについて中井は、「災害時や医療現場で使用するには、高速・安定性と手厚いサポートが受けられる法人向けの「Starlink Business」がおすすめです。個人用と法人用はアンテナの大きさが異なるため、個人用は25〜100 Mbps(下り最大)、法人用は40〜220 Mbpsと、約2倍の速度差があります。個人用は混雑時にアクセス制限を受けますが、法人向けは優先接続が可能です。さらに、個人向けはウェブ窓口のみのサポートですが、法人向けは我々が24時間365日、運用サポートをしますので、万が一の故障時も、素早い代替機対応が可能です。
当社では、導入前のデモンストレーションや設置場所の適性判断のほか、関連サービスや機器の手配まで、安心してご利用いただける幅広いサポートを行っています」と説明し、会場の関心を集めていました。
能登半島地震で実証されたStarlinkの有用性
さらに、災害に強いStarlinkの実力が実証された能登半島地震での活用状況についても、中井が詳しく報告。
「最大震度7を観測した能登半島地震では、KDDIの通信設備も大きな被害を受けました。震度5レベルの余震が続くなか、車載型基地局やStarlink 回線などを用いて通信を復旧するとともに、医療活動や被災者支援のために約700台のStarlinkを用意しました。しかし、至る所で道路が寸断され、現場へ辿り着くことさえ容易ではありません。それでも、1日最大500名の社員が現場を奔走し、珠洲市と輪島市のDMAT本部をはじめ、約350箇所におよぶすべての避難所へStarlinkを設置しました。さらに、輪島市西保地区で多数発生した孤立地域へは、陸上自衛隊の支援を受けてヘリコプターでStarlinkを運ぶなど、多くの関係者にも助けられ、使命を果たすことができました」(中井)
また、セミナーの途中では、能登半島地震で活躍した社員のインタビュー映像を紹介。その中である社員は、「忘れられないのは、やっとの思いで辿り着いた孤立集落でのことです。Starlinkを設置し、通信がつながったその瞬間、周囲から一斉にLINEの通知音が鳴り響き、被災者のみなさんから安堵の声が沸きあがりました。あの通知音は、今でも耳に残っています」と話し、災害時における通信の役割の大きさを改めて認識する一幕となりました。
セミナー第3部 : 医療と通信の融合で救う未来
続いて、セミナー第三部では、KDDI まとめてオフィス中部(株)の法人営業1部長 朝日崇が登壇。幅広い業界で導入が進む「Starlink Business」の活用事例を紹介しました。
災害医療からBCP、働き方改革まで、広がるStarlinkの活用事例
最初に紹介したのは、「第30回日本災害医学会総会・学術集会」の会長である北川 喜己様が病院長を務める名古屋掖済会病院の事例です。
「名古屋掖済会病院様では、能登半島地震の現場で同院のDMATがStarlinkを活用し、その有用性を高く評価され、「Starlink Business」を3台導入していただきました。災害医療の現場では、隊員間の連絡はもちろん、広域災害救急医療情報システム(EMIS)へのアクセスや、オンライン会議にインターネット環境が不可欠となっていましたが、ご存知の通り、被災地で通信環境を確保するには多大な労力が必要でした。こうした課題を「Starlink Business」が解決し、災害時の医療活動の迅速化に貢献しています。さらに、南海トラフ巨大地震の発生が危惧されるなか、名古屋掖済会病院様は、自らの病院が被災した場合のBCP対策としても「Starlink Business」を活用される予定です」(朝日)
また、Starlinkには洋上で使用できる「Starlink Business マリタイムプラン」もあり、遠洋漁業や海洋土木の分野で導入が進んでいることも紹介。
「北海道函館市で海洋土木事業を営む菅原組様では、洋上で工事を行う作業船からのインターネットアクセスを可能にするため、「Starlink Business マリタイムプラン」を導入されました。従来は、発注者や会社からのメールを受信するために、港に戻らなければならなかったのですが、洋上でクラウドサービスの利用や、気象海象情報サイトへのリアルタイムアクセスが可能になり、大幅な業務効率化を実現されています。
また、インターネット環境を整備することは、数カ月にわたって船内で過ごす乗組員の職場環境改善にも貢献しています。夜間や休憩時間などに家族とのLINEや動画閲覧が可能になり、満足度向上にも貢献できているようです」(朝日)
最後に
こうして、約1時間にわたって行われたKDDI まとめてオフィスのセミナーは、参加者の皆さまの大きな拍手で幕を閉じました。
3日間に及ぶ「第30回日本災害医学会総会・学術集会」は、災害医療に携わる全国の関係者に、Starlinkの理解を深め、有用性を実感していただくまたとない機会となりました。
あらゆるものが、インターネットでつながる時代、通信は、あらゆるシーンで必要不可欠なインフラとなっています。とくに、一刻を争う災害医療の現場では、通信環境の有無が、生死を左右することさえあるでしょう。
KDDI まとめてオフィスは、こうしたインフラを担う責任を新たにするとともに、Starlinkをはじめとしたさまざまな通信サービスや、職場環境づくりをご提案し、"はたらく未来を変えていく"というコーポレートスローガンの実現に向けて、これからも邁進していきます。
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