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ワークスタイル変革
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「モビリティワークスタイル」が
目指すもの
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ワークスタイル
用語集
●働き方改革
少子高齢化や労働人口の減少、出生率の低下、社会保障費の増大など、現在の日本が抱える課題を解決するために、国が打ち出している政策。長時間労働の是正、女性や高齢者、障がい者などの就労促進、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を柱に、国民の誰もがそれぞれの事情に応じて、多様なスタイルで働ける、一億総活躍社会の実現を目指すものです。業務を効率化して生産性を上げ、多様な働き方を実現するために、情報通信技術 (ICT) やモバイル機器の活用、テレワークやリモートワークが推奨されています。働き方改革は、従業員満足度を高め、優秀な人材を採用するための人事戦略、企業ブランディングとしても注目されています。
●アウトソーシング
企業が業務やそれを担う人材やサービスの一部を、外部の専門業者などに委託すること。新たな人材の採用や育成、設備投資を行わず、業務の効率化や品質向上を実現できるため、導入する企業が増えています。かつては事務や経理、総務、コールセンターなどの単純業務を委託することが多かったのですが、近年では人事や情報システム部門、営業など専門性の高い業務を委託することも増えています。企業はアウトソーシングを活用することで、組織をスリム化でき、コストを削減できます。それにより、コア業務に人材を集中的に投下することができます。内部では育成が難しい、高度な知識やスキルをもった専門家の力を活用することも可能です。ただし社内にノウハウが蓄積されない可能性や、情報漏えいリスクなどのデメリットへの備えが必要となります。
●コワーキングスペース
複数の企業やフリーランスがオフィス環境を共有できる場のこと。たいていの場合、フリーアドレスのワークスペースや席数に合った電源、無料Wi-Fi環境、フリードリンクが用意されています。場所によっては、個室や会議室があり、法人登記して会社の住所として利用できたり、郵便物の受け取りや転送などのサービスが受けられます。イベント・セミナーの開催、コンサルなどで利用者の業務を支援するところも少なくありません。メリットは、オフィス入居時の初期費用や月々の家賃、共益費といったランニングコストを抑えられること。また起業する際は、オフィスを借りるよりもスピーディに開業できます。利用者同士の交流会なども盛んで、コミュニティ形成をしやすい傾向にあり、新たなビジネスチャンスを見つける場ともなっています。
●テレワーク
「Tele(離れた場所)」と「Work(働く)」を組み合わせた造語。情報通信技術を活用することで、時間や場所にとらわれず、柔軟に仕事をするスタイルを指します。大きく在宅勤務、モバイルワーク、施設利用型勤務の3つがあります。在宅勤務は、子育てや介護中の社員などがPCとインターネット、電話などを活用して自宅で働くもの。モバイルワークは、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスを活用し、外出先や移動中に仕事をすること。施設利用型勤務は、サテライトオフィスやテレワークセンターなどで勤務することを言います。テレワークを導入すれば、社員の通勤による負担を軽減し、ワークライフバランスを実現することができます。企業にとってはオフィス維持のコストを削減でき、通常の勤務では採用が難しい優秀な人材を確保できるメリットもあります。
●フレックスタイム制
定められた総労働時間の範囲で、始業・終業時間を従業員が自らの意思で自由に選択できる制度のこと。自分のライフスタイルや都合に合わせて仕事をする時間を決められるため、ワークライフバランスが取りやすくなります。通常は、必ず勤務しなければならないコアタイムが定められており、その前後のフレキシブルタイムにはいつ出社・退社しても良い、というケースが多いようです。保育園の送り迎えが必要な夫婦や、資格取得のための学校に通っている人、通勤ラッシュが苦手な人などに、メリットが大きい制度です。導入にあたっては、就業規則に規定し、労使協定で制度の枠組みを定める必要があります。また、業務をチームで遂行する場合、コミュニケーション機会の創出方法に配慮する必要があります。
●リモートワーク
直訳すると「遠隔業務」となり、オフィスから離れた場所で働くスタイル全般を言います。言葉の意味としては、テレワークとほとんど同じです。ただテレワークが「在宅勤務」「モバイルワーク」「施設利用型勤務」の3つと定義づけられているのに対し、リモートワークは「オフィス以外の場所で働く」以上の定義はありません。よってコワーキングスペースやカフェなどで働くことも含む、より広い概念と言えます。いずれにしろ社員にとってのメリットは、通勤の疲労やストレスが減り、時間が有効に使え、生産性が上ること。企業にとってはオフィスを整備するためのコストを抑えられ、優秀な人材を確保しやすくなるといったメリットがあります。ただし、デメリットとなる、社内の情報共有が難しくなる、仕事とプライベートの区切りが難しくなる、といった可能性に注意が必要です。
●グループウェア
ネットワークを使って社員同士の情報を共有したり、コミュニケーションを行ったりすることができるツールです。通常は電子メール、電子掲示板、ファイルや写真の共有、スケジュール管理、企画書や報告書の決済、会議室予約などの機能を備えています。グループウェアを使うメリットは、情報の共有が迅速になり、個人の仕事の状況が可視化されること、異なる勤務地や時間帯で働く社員のコミュニケーションが活性化すること、会議や承認のための作業が軽減されることなどです。最近のグループウェアは、運用管理の手間やコストがかからない、クラウドサービスが中心となっています。
●シンクライアント
「シン(Thin)」=「薄い」と「クライアント」を合わせた言葉で、最小限の機能に抑えたクライアント端末からサーバーにアクセスし、アプリケーションの実行やデータ処理などの作業をするシステムのこと。通常はサーバーでOSやアプリケーションを一元管理し、クライアント端末はハードディスクなどの記憶媒体を持たず、アプリケーションのインストールも行いません。クライアント端末側でデータを保持しないため、情報漏えいなどのリスクを減らすことができます。またサーバーでOSやアプリケーションを一元管理するため、システム管理の手間やコストを大幅に減らすことができます。シンクライアントの発想自体は古くからありますが、災害時のBCP対策、働き方改革やライフスタイルの多様化などから近年、再評価され、普及が広がっています。
●フリーアドレス
オフィスに社員一人ひとりの固定席を設けず、仕事に応じて自由に好きな席で仕事ができる仕組みのこと。PCやモバイル機器があればどこでも仕事ができるようになり、テレワークが普及し始めている現在、オフィスに社員一人ひとりの固定席を設ける必然性がないという企業も徐々に増え始めています。フリーアドレス化により、今までかかっていた備品のコストを大幅に削減したり、余ったスペースの有効活用ができます。また、さまざまな部署の社員が隣り合って仕事をすることで、社内に新たなコミュニケーションが発生し、結果、新しい発想が生まれやすくなるといった点でも注目されています。
●BYOD
「Bring Your Own Device」の略で、自分が所有するスマートフォンやPCなどの端末を業務に使用することです。アクセスする端末の種類や性能を問わないクラウドサービスが普及したことで、スタートアップ企業や中小企業を中心に導入するところが増えています。企業にとっては、会社が端末を購入するコストを削減できるメリットがあります。社員にとっては端末を2台もつ必要がなくなり、普段から使っていて操作に慣れた端末で、いつでもどこでも仕事ができるメリットがあります。ただし端末の紛失や盗難による情報漏えいのリスクもあるため、万全なセキュリティ対策が不可欠です。
●労働生産性
投入した労働に対して、どれだけのモノや売り上げが生まれたかの割合を言います。労働によって生み出されたモノや価値を、労働者の人数や労働時間で割ることで算出されます。労働生産性には、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2つがあります。物的労働生産性は、作物・製品の数や大きさ、重さなどを、労働者の数や労働時間で割ったもの。付加価値労働生産性は、企業が新しく生み出した価値(粗利)を、労働者の人数や労働時間で割ったものです。労働生産性を向上させるには一般的に、ICTの活用などで業務を効率化する、労働者の能力を上げる、不採算部門の人員を削減する、規模を拡大してスケールメリットを生み出すといった方法があります。
●ファシリティマネジメント
ファシリティとは、ビジネスの分野では企業経営にかかわる土地や建物、設備や機器のことを言います。ファシリティマネジメントは、これら土地や建物、設備や機器を総合的かつ効率的に企画、管理、活用するための方法論です。現在の企業経営においてファシリティマネジメントは、人事、ICT、財務などと並ぶ大きな柱となってきています。この概念のポイントは、従来の維持や保全を目的とした施設管理とは異なり、建物や設備をより戦略的に、積極的にマネジメントする点にあります。最近はICTを活用したファシリティマネジメントが一般的になり、そのためのシステムやツールも数多く登場しています。
●ABW
「Activity Based Working」の略で、仕事内容に応じて、それに適した場所を選んで働くワークスタイルを言います。フリーアドレスが単純に〝固定席を設けない〟ことであるのに対し、ABWは、働く人一人ひとりのための環境づくりをより重視している点が異なります。例えばABWの発想でつくられたオフィスは、一人で集中して作業をしたいときのための個室ブースや、同僚と意見を交換しながら仕事をしたいときのためのオープンワークスペース、気分転換をしたり新しいアイデアを練ったりしたいときのためのゆったりしたソファ席といった具合に、仕事内容に合わせたさまざまな環境を用意しています。それにより、社員の労働意欲を高め、新しい発想が生まれるなど、生産性を高める狙いがあります。
●ビジネスチャット
ビジネスのために開発されたチャットツールのこと。現在、多くの企業では、メインの連絡手段としてメールが使われています。しかしメールは宛先や件名、挨拶文などの入力が必要で、文面も堅苦しいものになりがちです。ある企業が2018年に行った調査によれば、平均すると1通あたり作成に5分かかっているそうです。一方ビジネスチャットは、SNSのような感覚でメールよりフランクでスピーディなやり取りができます。そのため連絡や情報共有のための時間が減るだけでなく、社内外のコミュニケーション量が増え、活性化するといったメリットがあるのです。誤って送ってしまったメッセージを後から編集したり、削除したりできるのも利点です。ビデオ通話でオンライン会議ができ、タスク管理機能などで業務の効率化を図ることもできます。
●シャドーIT
社員が会社に無断で、自分で所有するPCやスマートフォン、タブレットなどのスマートデバイスを業務に使うこと。個人所有のスマートフォンを使い、一般のオンラインストレージサービスで業務データを扱ったり、プライベートで使っているチャットアプリを業務で使用したりすることを言います。端末の盗難や紛失による機密情報や顧客情報の漏えいなどの重大なリスクをはらんでいます。一方、社員が会社の許可を得たうえで私物の端末を業務に使うことを、「BYOD(Bring Your Own Device)」と言います。こちらもリスクが一切ないわけではありませんが、会社側が何らかのルールを課し、セキュリティ対策を施しているケースが多く、シャドーITと比較しリスクは低いと言えます。
●エンドポイントセキュリティ
エンドポイントとは「終点」や「端末」のこと。つまりインターネットや社内LANの最後につながれているPCやスマートフォン、サーバーを指します。よってPCやスマートフォン、サーバーなど末端の端末をハッキングなどから守る対策を、エンドポイントセキュリティと言います。かつてはセキュリティ対策といえば、社内システムと社外ネットワークとの接続ポイントにおける対策が中心でした。しかし現在は、オフィスで多様な端末が使われるようになり、社員が自宅や外からスマートフォンなどでネットワークにアクセスする機会も増えました。そのため、エンドポイントセキュリティがますます重要になってきているのです。
●モビリティ
直訳すると、「移動性」や「動きやすさ」といった意味になります。ITの分野では、外出先や移動中に情報機器や通信サービス、コンピュータシステムなどを、いつもの通り使えること、またその度合いを意味することが多いです。例えばノートPCやタブレット、スマートフォンなどのスマートデバイスは、モビリティの高い製品と言えます。またスマートフォンなどのICTを活用し、バスや電車、飛行機やレンタカーなどの複数の交通手段の検索から予約、決済までを一括で行えるような仕組みを「MaaS(Mobility as a Service)」と言い、これからの社会を効率化する仕組みとして大きな注目が集まっています。
●スマートデバイス
明確な定義はありませんが、スマートフォンやタブレット、モバイルPCのような情報機器を総称してスマートデバイスと言います。デスクトップPC以外の製品で、通信機能やコンピュータとしての機能を持ち、アプリを使ってさまざまな情報処理を行い、コンピュータのように使えるツールと言ってもいいでしょう。従来の家電やテレビにPCに近い機能を組み込み、ネットワークと接続してオンラインサービスを利用できるようにしたものをスマート家電、スマートテレビなどと言ったりもします。また時計型の情報機器の総称をスマートウォッチ、メガネ型のデバイスの総称をスマートグラスと言います。
●5G
2020年の春から日本でのサービス開始を予定している、第5世代移動通信システムの略称。スマートフォン・タブレット・LTE対応PCなどの通信に用いられます。5Gの大きな特長は、高速・大容量・低遅延。例えば4Gではダウンロードに30秒を要した動画をものの数秒でダウンロードしたり、車対車の事故を回避させるため、複数の端末を同時に接続、通信するも可能となります。5Gが始まると、リアルタイムに近い通信が可能になり、フィジカル空間 (現実空間) とサイバー空間 (仮想空間) が融合する「Society5.0」の世界が実現すると言われています。自動運転制御やVR・AR、IoTの活用が一気に広がるとともに、ネット上にある膨大なデータをロボットやAIが自動的に処理することが普通となり、人間の作業が大幅に減ると予想されています。それにより、少子高齢化や労働力不足などの問題も解決できるのではないかと期待されています。韓国やアメリカでは、すでに商用サービスが始まっています。
●MDM
「Mobile Device Management」の略。社員が業務で使うスマートフォンやタブレット、モバイルPCなどのスマートデバイスを、一元管理するための仕組みのこと。会社の方針に沿ったセキュリティー設定を行い、事前に定めた条件でしかデバイスを使えないよう制限・管理することができます。アプリケーションの配布と追加などを一元的に行うことで、種類やバージョンを揃えたり、自分で勝手にソフトやアプリをインストールすることを防いだりできます。社員が端末を紛失したり、盗難に遭ったりしたときは、遠隔でデータを削除し、ロックをかけることも可能です。またGPS機能によって、社員が現在どこにいるかを把握できる製品もあります。
※ 記載された情報は、2019年12月時点のものです。